5号館を出て

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切り番の嵐 【弾さん書評御礼】

 今年2009年は、ガリレオが望遠鏡を使って夜空の観測をおこなってから400年にあたり、世界天文年とされています。また、ここでも何度かお知らせしたように、ダーウィン生誕から200年、「種の起源」の出版から150年にあたるため、「ダーウィン年」でもあります。さらに、講談社創業100周年にあたり、講談社ではそれを記念した出版事業を実行中です。

 明日発売日を迎えるブルーバックスの拙著は100周年を迎える講談社から出していただきますが、企画時は特にダーウィン生誕200年に出版することを意識していたわけではありませんでした。そんなふうに切り番が飛び交う中、講談社配信のブルーバックス・メールの第100号が、先ほど届きました。
BLUE BACKS Mail (No.100)
【1】1月20日発売の新刊情報
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『進化から見た病気』
 「ダーウィン医学」のすすめ
 栃内 新 著 定価861円(税込)
〔ヒトが病気になるのは進化による必然だった!〕
感染症、遺伝的疾患、生活習慣病……。
「病気」はヒトにとって不都合であるように思えるが、
その症状の多くは身体を守るための防御反応であるということ、
また、病気の原因遺伝子にはヒトが生き延びるために
有益なものがあったということがわかってきた。
進化論をもとにした「ダーウィン医学」によって
明らかになりつつある、病気があることの意味を
豊富な例とともに平易に解説。
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 こうした奇遇に恵まれて発行を迎えることができた本ですが、センター試験の上に土日で私の手に届く前に、小飼弾さんのところには届いたようで、素早く書評を書いていただけるという幸運に恵まれました。ありがとうございました。

 病気も医学も進化する - 書評 - 進化から見た病気

 ドキドキしながら読んでみると、弾さんらしく英国国教会がダーウィンに謝罪したくだりに目をつけ、国教会のサイトにアクセスして確認するなど、うれしいところに食いついてくれています。

 しかしなんといっても感動したのは、次のフレーズでした。
どちらかというと、本書に書かれている知見は、他の書籍や記事で断片的には紹介されていたものが多く、こういった読み物が好きな私にはどちらかというと「まさか」というより「やはり」というものが多かったが、こうして一冊にまとまるとかなり読み応えがある。久々に面白いブルーバックスだった。
 私が本書を執筆した意図がまさに、ここにあります。誰も知らない新しい情報を自慢げに提供することではなく、すでにあちこちで流布している関連情報を有機的にまとめることで、おもしろくわかりやすい「ダーウィン医学」の入門書を作ることを目指しました。しかし、こちらの意図が読み手に伝わるかどうかは、実際に読んでいただくまでわからないわけで、ハラハラしながら発行を待っておりました。そして、著者よりも早く本書を落手した弾さんに、その思いを受け取っていただけたということで、感激しております。今朝、これを読んでセンター試験の監督疲れも吹き飛んでしまいました。

 実は、本書執筆中も時折、弾さんの顔を思い出していました。何カ所か、弾さんに向けたメッセージも織り込んだ記憶があります。弾さんのような科学書読家に流し読んでいただいても、そこそこ楽しんでもらえると同時に、普段はそんなに本を読まないという方々にも気軽に楽しく読んでいただき、満足していただけることを狙っています。

 目標は「一家に一冊 ダーウィン医学」です。

 【蛇足】遺伝性の禿が(特に欧米に)広く残っているのを見ると、ヒトの歴史において、禿は生きるためにも、女性に選ばれるためにも不利にならなかったのだと思います。ハゲタカやハゲワシのように、食事の時に返り血を浴びるということもないので、禿のほうが有利ということもないのかもしれませんが、アタマジラミなどの寄生虫の存在を考えると、禿の方が有利な状況も想定は可能ですね。(すみません。とっさに考えたので、あまり良い答になりませんでした。)

 モノモライもお大事にしてください。
by stochinai | 2009-01-19 20:47 | つぶやき | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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