5号館を出て

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合法と犯罪の間

 昨夜も千歳は大荒れだったようで、数千人の方が北海道を離れることができなかったとのことです。まことに申し訳ない気もするのですが、今の時期の北海道は飛行機が予定通りに飛ぶ方がラッキーだと思うしかないということをご理解いただきたいところです。

 というわけで、今朝もまた朝から除雪でしたが、昼頃までは暖かな日差しを楽しめるうららかな日曜日でした。私の部屋のウツボカズラも日の光を浴びて気持ちよさそうでした。
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 何年か前に、生物学科の移行性の歓迎会で大滝村のセミナーハウスで合宿した時に、植物のJJY先生がウツボカズラの話をしていたのがえらく印象に残っています。窒素肥料を少なくするとウツボカズラの壺が立派になるというお話だったと記憶しているのですが、それ以来我が家のウツボカズラは水と太陽以外に栄養の元になるものは何もはもらえなくなりました。その甲斐あってか、確かにりっぱな壺をつけて楽しませてくれるようになりました。

 優秀な農家や園芸家は植物の必要とするものを、無駄なく与えて最大の効果を得ることができるようですが、人の世界でも求めるものを与える一方で、逆に与えられた側からすべてのものを吸い上げる技術を持っている巧みな人がたくさんいるようです。

 資本主義社会というものが、経済活動という名の物々交換を基礎に成り立っていますが、物々交換の間に「お金」というものが介在することで、多くの人の目がくもってしまい、さまざまな犯罪が起こります。

 円天とかいうバーチャルマネーなどは、まさにその典型かもしれませんが、物々交換をしている時には考えられないような不均等な交換が成立し、大もうけも夢ではないというような幻想を、人々に抱かせる力があったようです。

 そしてそれは、おそらく犯罪にはならない「正しい資本主義」の中で用いられている論理と基本的には同じものなので、たくさんの人があっさりと「だまされて」しまったのでしょう。

 だまされたと気が付く前には、多くの顧客が大喜びして円天を称えていた映像が残っていますので、おそらく当人達はだまされているとか、自分たちがやっていることが間違っているなどとは思っていなかったと思われますが、それなりの経済学的知識があればあり得ないことだとわかる筈だという人も多いかもしれません。

 しかし、もうちょっと視線を引いて冷静に考えてみれば、現在の世界的経済危機を引き起こしたとされる、アメリカのサブプライムローンも基本的には円天と同じ構造に見えるのは、私が経済学に疎いからだけでしょうか。

 毎日のニュースに出てくる、天下りや渡りの問題や、かんぽの宿の売却問題、小泉・竹中の郵政民営化問題のどれを見ても、犯罪と合法の間には限りなく不透明な部分があって、今なら間違っているとはっきり言えるようなことでも、時期が時期ならば「それは大丈夫」ということでまかり通っていたものばかりだと思います。

 このように、犯罪と合法の境界線が限りなく曖昧な時代に生きているかぎり、この先もいままでと同じように、堂々と違法行為すれすれの行為が行われたり、ひょっとしたら自分もその隙間をかいくぐって良い思いをできるかもしれないという人がだまされるということが、生まれ続けるに違いないと、毎日のニュースを聞いていて思う今日この頃です。

 それはさておき、また今夜も雪が降り続いています。
合法と犯罪の間_c0025115_2356508.jpg
 明日の朝もまた、除雪ですかね。
by stochinai | 2009-02-08 23:59 | つぶやき | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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