原子物理学者の小さな大発明
WIRED VISION SCIENCE & TECHNOLOGY におもしろそうな記事がありました。
自分で度数を調節できる安価なメガネ:開発は英国の物理学者
この人が発明者である、イギリスの原子物理学者のJoshua Silverさんです。

元ネタは Washingtonpost.com にありました。
From a Visionary English Physicist, Self-Adjusting Lenses for the Poor
彼の作業場(?)にある「作品」を見れば、すぐに構造は理解できると思います。

今さら言っても遅いですが、私も学生の頃からこのアイディアは持っており、透明な液体を出し入れしてレンズの球面を変えてやることで、眼鏡の度数を変えることができるに違いないと思っていました。物理・数学そして工学と光学に弱い私の頭で考えていたのは、凸レンズつまり遠視用の老眼鏡だけでしたが、さすがにこの人は物理学者だけあって、凹レンズつまり近眼用の眼鏡も作ったそうです。ただし、さすがに乱視を矯正することはできません。
もうひとつ、どなたも気になると思うのですが、この眼鏡のデザインがあまりにも素朴でダサイことだと思います。注射器を装備したフレームの太い正円形の眼鏡などは、どう見てもパーティ・ジョーク用のものにしか見えません。
そこがこのシルバーさんのえらいところです。彼は、現在「先進国」で美的観点から洗練されたデザインで、しかも乱視なども含めて個々人のために超オーダーメイドされている眼鏡の存在などは相手にしていないのです。彼の思いはただ1つ、アフリカや東欧・アジアなどの貧困な国の人達のために、できる限り安価でしかも誰にでも適合した眼鏡を作りたいということだったのです。欧米先進国では、60-70%の人が眼鏡を使っていますが、貧困な国ではわずかに5%くらいの人しか眼鏡を買えません。
そのためには、デザインなどはまったく問題にせず、ひたすら仁安価で調節可能な眼鏡を開発したのです。現時点でも中国で生産されている眼鏡は1点が19ドルと格安ですが、大量生産することでひとつ数ドルで作りたいとのことです。
彼の願い通り、今までに作った約3万個の眼鏡のうち、2万個はアメリカの国防総省が買い上げてくれて、アフリカや東欧の貧しい人々に無料で配布されたそうです。配られた眼鏡のフレームには、米国旗と「米国民より」という小さな文字が刻印されているという、嫌みなところはありますが、無料で配布していることは称賛したいとと思います。また、世界銀行や英国政府も資金援助をしているとのこと。
もちろん、この発明を買い取りたいという眼鏡会社からの申し出もあったのを、彼はそれでは彼の求める「貧者のための低価格品」とはならないだろうという理由から断ったそうです。日本では最近眼鏡の安売り競争が盛んですが、一方ではやはりオーダーメイドの超高級品としての眼鏡も存在するわけで、生きるか死ぬかというレベルで眼鏡を必要としている世界の約半数の人が手に入れられないような高級品は、彼の視野には入らないということなのでしょう。
シルバーさんは、かつてヘンリー・フォードが、庶民の誰でもが所有できるような安価な車を開発したように、誰でもが買える安い眼鏡を開発したいと思っています。
彼は20年もこの眼鏡の開発にかけているのだそうで、原子物理学者としての業績は知りませんが、「研究者」としては間違いなく立派な仕事をしたと断言できます。
世界不況が起こりつつあるのを見ての、彼の言葉はなかなか泣かせます。
「こんな時代になって人々は、『ちょっとまてよ、金儲け以外に一生をかけるに値する本当の仕事をやろうじゃないか』と考え始めたんじゃないかな」そして、まさに「世界が不景気になった今こそ、それをやる良い機会じゃないか」。
自分で度数を調節できる安価なメガネ:開発は英国の物理学者
この人が発明者である、イギリスの原子物理学者のJoshua Silverさんです。

From a Visionary English Physicist, Self-Adjusting Lenses for the Poor
Silver氏が考案したのは調節可能なメガネだ。レンズは、シリコーン・オイルを満たした柔軟性のある膜[プラスチック製]でできている。注入器(写真に写っている)を使ってオイルの量を調節でき、それによってレンズの屈折率が変わる。注入器は取り外し可能だ。上の写真のシルバーさんも、自分が発明してその眼鏡をつけています。わかりにくいかもしれませんが、左右のツルのところに注射器がついています。
彼の作業場(?)にある「作品」を見れば、すぐに構造は理解できると思います。

もうひとつ、どなたも気になると思うのですが、この眼鏡のデザインがあまりにも素朴でダサイことだと思います。注射器を装備したフレームの太い正円形の眼鏡などは、どう見てもパーティ・ジョーク用のものにしか見えません。
そこがこのシルバーさんのえらいところです。彼は、現在「先進国」で美的観点から洗練されたデザインで、しかも乱視なども含めて個々人のために超オーダーメイドされている眼鏡の存在などは相手にしていないのです。彼の思いはただ1つ、アフリカや東欧・アジアなどの貧困な国の人達のために、できる限り安価でしかも誰にでも適合した眼鏡を作りたいということだったのです。欧米先進国では、60-70%の人が眼鏡を使っていますが、貧困な国ではわずかに5%くらいの人しか眼鏡を買えません。
そのためには、デザインなどはまったく問題にせず、ひたすら仁安価で調節可能な眼鏡を開発したのです。現時点でも中国で生産されている眼鏡は1点が19ドルと格安ですが、大量生産することでひとつ数ドルで作りたいとのことです。
彼の願い通り、今までに作った約3万個の眼鏡のうち、2万個はアメリカの国防総省が買い上げてくれて、アフリカや東欧の貧しい人々に無料で配布されたそうです。配られた眼鏡のフレームには、米国旗と「米国民より」という小さな文字が刻印されているという、嫌みなところはありますが、無料で配布していることは称賛したいとと思います。また、世界銀行や英国政府も資金援助をしているとのこと。
もちろん、この発明を買い取りたいという眼鏡会社からの申し出もあったのを、彼はそれでは彼の求める「貧者のための低価格品」とはならないだろうという理由から断ったそうです。日本では最近眼鏡の安売り競争が盛んですが、一方ではやはりオーダーメイドの超高級品としての眼鏡も存在するわけで、生きるか死ぬかというレベルで眼鏡を必要としている世界の約半数の人が手に入れられないような高級品は、彼の視野には入らないということなのでしょう。
シルバーさんは、かつてヘンリー・フォードが、庶民の誰でもが所有できるような安価な車を開発したように、誰でもが買える安い眼鏡を開発したいと思っています。
彼は20年もこの眼鏡の開発にかけているのだそうで、原子物理学者としての業績は知りませんが、「研究者」としては間違いなく立派な仕事をしたと断言できます。
世界不況が起こりつつあるのを見ての、彼の言葉はなかなか泣かせます。
"I feel people are saying, 'Hold on, there is some real work to do in life,' " he said, adding that maybe for his project, "the time has come."うまく訳せませんが、彼が言いたいことを推測してみます。
「こんな時代になって人々は、『ちょっとまてよ、金儲け以外に一生をかけるに値する本当の仕事をやろうじゃないか』と考え始めたんじゃないかな」そして、まさに「世界が不景気になった今こそ、それをやる良い機会じゃないか」。
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