5号館を出て

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動物学会全国大会で行う一般向け企画のアイディア募集

 再来年、日本動物学会が旭川で開かれる予定になりました。旭川には動物学会の会員はあまりおられないので、札幌周辺の会員が地元会員の方の協力を得て運営という形になるものと思われます。

 最近は、あちこちの学会で全国大会には、地元の高校生や一般市民向けの企画を提供することが多くなってきています。しかし、高校でこうしたプロの学会で発表できるほどの活動をしているところはそれほど数が多くなく、また高校のクラブ活動だと動物学会も植物学会も同じ生物クラブの活動のことが多く、場合によっては理科クラブといって、物理化学生物地学がぜんぶで一つのクラブになっているケースさえありますので、あちこちの学会からお呼びがかかってもそうそう対応できるものではなく、だんだんと高校側でも「疲れ」が出てきているのか、たとえポスター発表でもつらそうに思えることもあります。

 また市民向けの講演会にしても、学会が「アリバイ作り」のために行うようなケースも目立ち、大きな会場には「市民」はほとんどおらずにサクラの古参学会員と駆り出された学生会員だけというようなものを目撃したことも幾度かあります。

 こうしたことは、ひとえに高校や市民と学会のコミュニケーションの悪さに原因があることはすぐにわかりますが、これを打破するためにはまず学会が何を期待されているのか、または期待されることがもしもあるとすればどんなことなのかをリサーチするところから始まるものと思います。

 もともと研究者の集まりである学術系の学会では、そうしたことが苦手な人が多いわけで、その学会が「市民向け」と考えて企画すること自体がもはや能力を越えているとも言えるので、こういう時こそ科学コミュニケーターの力を借りるべきなのでしょうが、あちこちの学会の動きを見ていると、たとえコミュニケーターを使ったとしても、企画までは学会が立てて実行部分をコミュニケーターに投げるというケースが多いようです。

 まあ、それでも誰もこないような講演会を「やるだけは、やりました」などというのに比べればはるかにましな結果が得られるでしょうが、どうせやるなら一人でも多くの高校生を含む地元の人に喜んでもらえる企画を考えたいと思います。

 というわけで、まだ2年後のことなのですが、北海道の旭川で日本動物学会が開かれるとしたら、地元の方々はどんな企画を希望するのかを考えています。

 「動物学会 旭川」と言えば、すぐに旭山動物園が浮かんでくるのかもしれませんが、旭山動物園は地元の人には「企画」にはなりにくいくらい馴染んでしまっている存在ではないかと危惧されます。逆に、全国から集まる動物学会員にとっては「旭山動物園」は目玉になるかもしれませんが、それでは地元の方々に公開する企画とはちょっと違うものになってしまいます。

 というわけで、「動物学会 北海道 旭川 高校生 市民」などというキーワードから、どんなことが連想されるのかについて、お知恵を拝借したいと思います。そもそも、動物学会と聞いてその中身を想像されることと、学会員が研究していること、学会で発表されることのギャップも実はものすごく大きいことは認識しております。動物園と関係のある研究をしている会員などは、ほとんどおりません。

 というわけで、一般公開企画というものはとても難しいと思っているのが私の実感なのですが、とりあえず今週の土曜日に函館で開かれる動物学会北海道支部大会で2011年度旭川大会の2回目の打ち合わせがあります。現時点では、ほとんど白紙ですので何かよいアイディアがあったら是非とも教えていただければ、と思います。

 私も、ない頭を振り絞っております(^^;)。
Commented by poco a poco at 2009-08-06 22:22 x
NHK第一放送では毎年夏に(現在進行形ですが)「夏休み子ども科学電話相談」を行っていますが,これに似た催しはいかがでしょうか。事前に質問を受け付けておき,学会会場で改めて質問していただき,「その道の専門家」が図や写真を使いながらお答えする。学会開催が9-10月のようなので,夏休みほどはインパクトがないかもしれませんが,またとない機会なので小学生から高校生まで,幅広い客層が期待できます。いかがでしょうか。
Commented by stochinai at 2009-08-06 23:17
 なるほど、おもしろいアイディアですね。早速、検討させていただきます。
Commented by henry at 2009-08-07 03:11 x
関東支部会では、埼玉の生物部系の学生にも発表の場を持たせていましたよね。
こと一般向けとなると、ゲノム広場的な実験動物の展示や実演のスペースがベタでしょうか、、、
Commented by stochinai at 2009-08-07 18:28
 動物広場はやることになるんじゃないかと思います。高校生の発表や実演屋台みたいなものもあり得るとは思っていますが、できれば地元の方々が望んでおられることをやってみたいというのが、これを書いたきっかけです。もちろん、そうした声を集められるかどうかということや、集まったとしてもご希望に沿える企画を実行できるかという問題もあるのですが・・・・。
Commented by stochinai at 2009-08-07 18:32
動物広場>「動物学ひろば」でした。
Commented by あすてろいど at 2009-08-08 13:49 x
某学会の市民公開シンポジウムのお手伝いをしています。ほぼ最初の段階からシンポ準備委員会の会議に参加し、会議設計にも参加さてもらっています。ボランティアですが。

名ばかりの「市民公開」状況を打破したいという研究者の熱意にほだされましたが、そのための準備に必要な経費はナシという状態でした。
動物学会でも、会員以外の視点で協力する人を準備委員会に招いてくださいませ。準備のための経費は捻出してくださいね。

いかに人々の関心を喚起するか。会場に足を運ぼうという気にさせて実際に来てもらって、用意した仕掛けで楽しんでもらう。それだけのことが、結構難しい・・・。


Commented by stochinai at 2009-08-09 00:48
 コミュニケーターをただでこき使う風潮はなんとかしたいと思っています。会員以外の協力も必要だと思っています。その時、「犠牲者」を作ったらすべてが無に帰するということは肝に銘じております。
 やるからには、やる方も参加する方も満足し、全員がwinnerになってloserを作らないこと、これがコミュニケーションの究極目標だと思っています。そのためには、まだまだ試行錯誤を続けなければならないですね。
 あせらず、しかしとどまらず、やっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
Commented by さすらいの秘書 at 2009-08-11 09:53 x
市民でも道民でもなく、科学に疎い一般人です。
動物、と聞くと、動物とウイルス感染症(ヒトにも感染するような)の話を専門家に詳しく聞きたいなぁ~と思います。
最近は特に新型インフルエンザの騒ぎがあったためか、一般人の間でもそういうことに興味のある方がいるのではと思いました(私だけ??)。
でも再来年はまた、ブーム??も去っていて受けないかもしれませんね‥。
Commented by stochinai at 2009-08-11 10:22
 それは、とても良くわかります。そういう「これが聞きたい」というテーマをタイムリーに吸い上げることが、まず大事そうですね。コメント、ありがとうございました。
by stochinai | 2009-08-06 21:48 | 生物学 | Comments(9)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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