2010年 09月 29日
卵の核を追い出して精子の核だけで発生する雄性発生
今日と明日は三重大学からK丸先生をお招きして、大学院の特別講義をお願いしてあります。
K丸先生は、マシジミの発生を研究するうちに、それがとんでもない発生の仕方をすることを発見したことでとても有名な方です。
大学院の特別講義の最後に、そのシジミのお話をしていただくことになっており、少数の大学院生だけに聞かせるのはもったいないということで、動物学会北海道支部の講演会の共催で特別講義としていただくことにしました。
来られない方のために、K丸先生が撮影された「雄性発生するマシジミの卵」の写真を引用させていただきます。(ソースはこちらです。)
K丸先生は、マシジミの発生を研究するうちに、それがとんでもない発生の仕方をすることを発見したことでとても有名な方です。
大学院の特別講義の最後に、そのシジミのお話をしていただくことになっており、少数の大学院生だけに聞かせるのはもったいないということで、動物学会北海道支部の講演会の共催で特別講義としていただくことにしました。
動物学会員でなくとも、どなたも自由に参加していただけますので、どうぞご自由においでください。
日本動物学会北海道支部 第535回支部講演会
「雄性発生シジミについて」
古丸 明氏(三重大学生物資源学部生物圏生命科学科)
日時:平成22年9月30日(木)午後1:30 - 3:00
場所:北海道大学理学部5号館3階5-305講義室
古丸氏は日本にいる3種類のシジミ-ヤマトシジミ(汽水産)、セタシジミ(淡水産)、マシジミ(淡水産)-のうち、マシジミが非常に変わった発生様式を持つことを発見した。
マシジミは雌雄同体で、自家受精する。ところが、受精後まもなく、受精卵から卵由来の染色体のすべてが極体となって捨てられてしまい、精子の染色体だけで個体発生が進行する。多くの動物では精子の染色体は減数して半数体になっているが、マシジミの精子では減数しておらず親と同じ2倍体の染色体を持つために、卵の染色体を捨てて精子の染色体だけで次世代の個体が2倍体として正常に発生することが可能となっている。この奇妙な現象は、フナやドジョウで見られるメスの染色体だけで発生が進行する「雌性発生」に対して「雄性発生」と呼ばれている。
http://www.brh.co.jp/s_library/j_site/scientist/komaru_a/index.html
今回のセミナーでは、この驚くべき発生様式の発見から最新の知見までを詳しく語っていただきます。また、多くの方々との活発な議論を期待しておられますので、たくさんの方々のご参加をお願いいたします。
連絡先:北海道大学理学研究院自然史科学専攻 栃内新
E-mail:st@mail.sci.hokudai.ac.jp 電話:706-4463
来られない方のために、K丸先生が撮影された「雄性発生するマシジミの卵」の写真を引用させていただきます。(ソースはこちらです。)
雄性発生するマシジミの卵ともかく、スゴイ動物です。
マシジミの発生は,精子のゲノムだけで進行する。
④受精直後の卵。卵の核は第一減数分裂の中期(2つに分かれ始めたところ)。鎌形に見えるのが精子の核。
⑤第一減数分裂後期(卵の核の染色体が2つに分かれる)。
⑥卵の核が2つとも極体として放出される(通常の両性発生では一つだけが放出され,もう一方が精子の核と合体する)。
⑦精子由来の核が分裂するところ(第一卵割中期)。
⑧二細胞期。放出された卵の核は一方の割球の外側に付着している。以後,精子由来のゲノムだけで発生が進行する。(写真=古丸明)
by stochinai
| 2010-09-29 17:33
| 生物学
|
Comments(0)