5号館を出て

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三が日も終わり

 今期の年末年始は久しぶりにゆっくりさせてもらったような気がします。穏やかな年の暮れと年明けで、雪も少なかったので除雪に追われることもなく、大学へも元日ではありましたが1回出ただけで済みました。

 私自身が用もないのにコセコセと動き回るということを控えるようになった(要するにパワーがなくなった?)ということも理由のひとつなのかもしれません。地元の私としては、帰省のための移動がないことがまた、のんびり度に貢献してくれているのですが、これは今年だけのことではありません。

 いずれにせよ、ゆったりと心身のリフレッシュができた気分です。これは本来の姿からいっても良い「お正月休み」でした。

 網戸越しに見たなんとなくぼやけた夕焼け空ものどかで、気温も比較的高い小春日和の終わりでした。
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 明日から新年の仕事にも前向きにとりかかれそうな充実感があります。

 とのんきなことを考えていても、冷静に考えるとこの国の政治に関しては「政権交代をしてもダメだった」という結論が出つつあります。次の政権選択選挙までは少し時間がありますが、マスコミが国論をリードする能力を完全に失っているという結論も同時に出つつあると思われますので、次の政府をどうやって選ぶのかということについてマスコミに依存しない世論の作り方は国民全体に投げられた大きな課題だと感じています。まさか、安易に民主党ではだめだったから自民党に戻すなどという選択肢はありえませんので、政治あるいは政界というものを作り直す時期なのだと思います。具体的にどうするかについての良いアイディアはありませんが、基本的にはボトムアップの再構築だとは感じています。

 また、我々に直接関係の深い大学・大学院の高等教育政策や科学技術政策も、現在や過去の政権政党や文科省に長期的展望があったわけではないこともはっきりしておりますが、こちらは利害関係者である、大学教職員や研究者、ポスドク・大学院生・大学生さらには高校生、中等教育教職員などが意見と知恵を出し合っていくこと、そしてもっとも重要なことですが、国全体から見るとほんの一握りの比重しか持たない高等教育や学術研究分野へ巨額の国費を投入することについての国民的合意がなければ無理な段階にきていると思います。ここでもやはりボトムアップの議論が重要です。

 ところが政治経済にしろ、科学技術にしろ、専門的になると難しいことが多く、簡単に「国民全体で議論を」などということができないものですが、科学技術にコミュニケーターが必要なのと同じように、政治経済にもコミュニケーターがいて初めてボトムアップの議論が成立することは自明だと思います。

 というわけで、今の日本には次の選挙で投票することで片が付くような簡単な問題などはほとんど存在せず(そういうものなら選挙をせずにも片が付いてしまう)、戦後60年かけてたまりにたまった問題をなんとかしようと思ったら、次の50年60年かけるくらいのことは覚悟しなければならないのでしょう。

 そう考えると、確かに「維新」が必要な時代なのかもしれません。

 前半ののんびりムードから、かなり悲観的な後半になってしまいましたが、日本だけではなく世界全体が同じ状況に陥っているような気配もあります。ガラパゴスなどという自虐的なことを言っていてもすみません。視点を常に内外に配ることもまた要求されていると考えるべきでしょう。

 こうなってくると一人や二人の小さな脳では足りません。やはり、たくさんの脳を寄せ集めたボトムアップを実現していきたいものです。
by stochinai | 2011-01-03 23:59 | つぶやき | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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