5号館を出て

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病院は危険

 院内感染により患者さん4人がC型肝炎になった可能性があると札幌医大病院が発表(共同)しました。

 病院というのは、もともと病気の患者さんの多いところですから、伝染性の感染症に関していえばもっとも危険性の高い地帯です。もちろん、医師や看護士など病気に関するスペシャリストもいますから、危険地帯でありながら、感染の拡大は通常抑え込まれています。

 しかし、プロといえども人間ですので、スキもあればミスも必ず起こりますので、時として院内感染が広がることがあります。そうした場合に事故を隠すのではなく、速やかに発表するとともに対策を取ることが、被害を最小限に留めておくことと、社会的信頼性の獲得に大いに役立ちます。

 C型肝炎は血液を介して感染すると考えられています。今回のウイルスに関しても遺伝子解析をすることで、同じウイルスに感染したのか、それとも別のルートでの感染がたまたま同時に起こったのかということを信頼性高く判断することができます。

 遺伝子解析は今やいろいろなところでできますし、もちろん札幌医大でもできるのですが、その解析を「外部機関に依頼した」というところも、正しい対応と言えます。内部で解析して、「それぞれのウイルスが別々の感染経路でもたらされたものである可能性が高く、いわゆる院内感染としての病院側の責任は大きくない」などという結論を出しても全然説得力がありませんが、外部機関が同じ結論を出してくれたなら、比較的容易に信頼されると思います。

 さらに、院内感染防止委員会の下に、外部委員を加えた調査委員会を設置するという対応も好感を持たれるでしょう。

 横田めぐみさんのDNA鑑定の時や、JR西日本の事故の時にも、こうした冷静で客観的な対応が速やかに取られたならば、その後の展開はずいぶん違ったものになったような気がします。

 院内感染は不幸な事件ですが、札幌医大の対応には共感が持てました。
by stochinai | 2005-06-17 23:07 | 生物学 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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