5号館を出て

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それでも選挙をやるの

 なぜかあまり大きなニュースにはなっていないので、あまり大した問題ではないのかとも疑ってしまいますが、バグダッド州知事、銃撃され死亡というのは、とんでもなく重大な事件なのではないでしょうか。

 知事と言えば、地方の最高権力者で、国で言えば大統領と同じような地位の人だと思います。ニュースでも「バグダッド州は18州の中で首都を抱える最重要州。昨年6月の主権移譲後、殺害された高官としては最高ランクになる」と言っていながら、ほとんど続報がないのはどうしたことでしょう。

 詳しく報道してしまうと、そんな中で今月の30日にイラク国民議会選挙などができるわけがないと、誰もが思ってしまうので報道を規制しているのでしょうか。

 この事件の直前にもイラク国防相、選挙延期の可能性言及というニュースがありました。国防大臣がエジプトの外務大臣に選挙のボイコットを表明しているスンニ派の説得を要請するために、カイロに行っていたようです。国防相は「スンニ派が説得を受け入れれば、選挙の延期も考慮する」と言っていたのですが、その後に知事の射殺事件が起こったと思われます。

 ニュースが少ない中で、イラク暫定政府の大統領の発言が報道されています。イラク選挙「国連が実施の判断」 大統領、延期論に理解ということです。さすがに、自分では延期するとは言えないのか、「実施可能かどうかの見極めは国連に責任と義務がある」と述べたとのことです。

 アメリカは昨年暮れに基地内の食堂で起きた爆破事件で13人もの米兵を一度に失った後でも、全国18州のうち17州で選挙の実施は可能と発表するなど、どうしても選挙をやろうと構えています。

 この状況で、もし選挙ができないということになると、アメリカのもっとも嫌悪する「テロに屈した」ことになってしまうので、選挙をやりたいという気持ちはわかります。

 しかし、ここは冷静になって欲しいところです。テロを恐れる多くの国民は、いくらアメリカや政府が守ってくれるといっても自爆攻撃の核になるであろうことが確実な投票所に出かけるでしょうか。誰も選挙に行かないで選挙が成立してしまったとしたら、ますます新しい政府の権威は落ちてしまうことでしょう。

 民主主義の選挙であることを示すのであれば、大統領がいみじくも発言したように、「多くの住民が投票できない事態となれば、選挙は成功したことにならない」のです。

 民主主義というものは、誰でもが投票する権利を持って、それを行使することで成立するものです。となれば、基本的にはテロリストであろうが、何派であろうが投票所に入ることを止められないはずで、冷静に考えるとテロを誘発するチャンスでさえあると思えます。

 しかし、今のイラクの大統領はアメリカがやろうとしている選挙を「できない」とは言える立場にないのでしょう。「国連に責任と義務がある」という言い方は、偉そうに聞こえますが、国連に「選挙は不可能である」と宣言してもらいたくて泣きついたセリフだと読めるのではないでしょうか。

 こんな時、我が総理大臣が親友に向かって「ジョージ、今は選挙は無理だよ。ちょっと延期しようぜ」とでも言ってくれると、国際的に男が上がるんでしょうけどねえ。
Commented at 2005-01-05 21:23 x
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by stochinai | 2005-01-05 20:42 | つぶやき | Comments(1)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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