5号館を出て

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微妙

 文化庁の「国語に関する世論調査」の結果が発表になったようです。文化庁のサイトにはまだ出ていないようですが、今年の初めに平成16年度の調査のお願いというのが出されていますので、その結果の概要が発表になったということだと思います。

 共同通信の記事によると迷ったら「ビミョー」96%というタイトルで配信されていますが、良いか悪いか判断が付かなかった時に「ビミョー(微妙)」という言葉を使う人が全体で58%おり、10代では96%を越えるというふうに書かれています。

 大学生とつきあっていると、この手の言葉にはかなり早い時期からさらされておりますので、ふ~んという感想に過ぎないことが多いのですが、「ビミョー」という言葉は迷っているというより「婉曲な否定」であるというのが現場での印象です。たとえば先生が学生に「**さん、これはこうじゃないの?」と聞いた時に、「う~ん、ビミョーです」と言われたら、私なら間違いなく否定されていると感じます。ただ、強い拒否ではなくやんわりとした否定なのが、若者の思いやりというところでしょうか。

 同じようにあまりにもおいしいとか、素晴らしいとか感じた時に「やばい」という言葉を使うことを驚いたように書いていますが、かなり昔から同じ使い方で「まずい」という言葉もあったと思いますので、これもそれほど違和感のある使い方ではないように感じました。

 この調査報告の中では、古典的な間違い指摘もあって「青田刈り」(正しくは青田買い)や「汚名挽回」の誤用が正しい用法を上回っているとのことです。ちなみに、汚名挽回をATOKで変換しようとしたら≪汚名返上と名誉挽回の誤用≫と出ました。すごい。文化庁は、自国民を笑いものにする前に、こういう仮名漢字変換ソフトの開発に補助金でも出したほうが生産的かも知れません。

 「世間ずれ」や「枯れ木も山のにぎわい」などは、かなり前から講義室では使えない言葉になっていることは薄々感じていました。

 毎年、この発表があるたびに感じるのですが、小学生や中学生の日本語教育に対して文化庁はどんなことをしているんでしょうねえ。
by stochinai | 2005-07-12 22:33 | つぶやき | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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