5号館を出て

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市民と科学者が対等に参加する新しいコミュニティをつくるブログ

 先日泣きを入れた、今日が締め切りの3000字の科学技術社会論学会(STS学会)のワークショップの要旨は1000字で良いとのお言葉をいただき、一気に緊張感が破れてなかなか書けずにおりました。それに、実は3000字の方が1000字よりも文章は書きやすかったりするので、逆に悪戦苦闘することにもなりました。1000字だと何もかけないこともしみじみと感じております。Wikipediaの説明みたいになってしまいました。

 いちおう、提出用なのでいつもと文体が違うのですが、ワークショップ参加者全員から原稿を集めてまとめてくれるSさんにお送りする前に、ここで発表しちゃいます。固まりのままだと読みにくいので、改行を追加してありますが、もともとは段落2つのものです。

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 ~市民と科学者が対等に参加する新しいコミュニティをつくるブログ~ 

 もともとブログ(ウェブログ、Blog、Weblog)とは、ウェブ上で発見したニュースやサイトなどのWeb URL情報のコメントつき記録(log)を集めたウェブサイトの呼び名だった。現在のブログは、個人または数人のグループで運営され、時事ニュースや専門的トピックスに関して、管理者の専門や思想に根ざした分析や意見を表明するエントリーと呼ばれる記事が頻繁に追加されるサイトのことである。
 
 エントリーは、消去や大幅な改訂なしに蓄積され続け、ウェブ検索ソフトに内容が登録され、膨大なデータベースの一部となる。ブログの特徴として、エントリーに対するコメントとトラックバック、さらにRSSという更新情報の通知機能がある。

 コメントは、エントリーのすぐ下に読者が意見や感想を書き込み、それがまたサイトの追加記事となって蓄積していくという機能であり、トラックバックというのは他のブログサイトに当該エントリーに関連して書かれたエントリーがあることを、そちらからこちらへと通知する機能で、この情報もまたエントリーに追加された情報として蓄積される。

 ボランティア・ベースで運営されているブログの不定期なエントリーをユーザーが監視するには大変な労力が必要とされるが、更新されると同時にRSSと呼ばれる情報が配信される仕様になっているブログが多いため、RSSリーダーというソフトを利用することでユーザーはいちいちそれぞれのサイトにアクセスすることなく特定のエントリーの更新を知ることができる。

 こうした特徴を持ったブログは、我々の考える双方向性を持った科学コミュニケーションの有力なツールになる可能性を秘めている。

 例えば、あるブログに最近ニュースで話題になった科学の話題に関連した論評が、専門・準専門の科学者あるいは科学マニアやウォッチャーによって書かれたとする。わかりやすく書かれていなかったり、あるいは間違いがあったりすると、コメント欄に専門家・非専門家を含めたあらゆる人々から質問や意見・反論が書き込まれる。そうしたコメント欄での「質疑応答」もウェブ上で行われるので、公開された即席の授業や討論会として機能する。

 場合によっては、他のブログサイトにこのエントリーに対する批判や賛同のエントリーが書かれ、トラックバックによって通知される。その情報はサイト管理者のみならず、サイトにアクセスするすべてに人に公開されているので、多くの人はそちらのエントリーも読むことで、議論を比較検討することができる。さらに、そちらのエントリーの下でもコメントや議論が交わされるかもしれない。エントリーが新たなエントリーを呼び、それぞれのエントリーにぶら下がるコメント欄で議論の渦があちこちで巻き起こっていく。しかも、それらのすべてが記録されてデータベースとなっていくのだ。

 こうして時間と場所を越えて市民と科学者によって対話データベースが作られた時、ウェブ上には時空を越えた新たなコミュニティが創造されることになる。ブログはそれを可能にしてくれる可能性を秘めた万人のためのツールなのだ。

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 どんなもんでしょう。1265文字です。
Commented by 花見月 at 2005-09-20 23:04 x
ブログが何なのか、新聞の記事などでは、日記風のホームページ
などと紹介されますが、このように機能を中心にわかりやすく書いていただいて、とてもいい解説だと思います。
まずはブログを定義して、機能を上げて、それがどのように使われたのか、また、つぶやきさんはどこが面白いと感じているのかを
話していただければ、発表も完成!ではないでしょうか。
Commented by さなえ at 2005-09-21 06:54 x
おばちゃんである私も図々しくお邪魔させていただいておりますが、素人の意見も大丈夫だよとお墨付きをいただいたようで、少々安心しました。ところで、265文字の超過ですが、学生ですと減点対象ですが先生はよろしいんですのね(笑)
Commented by stochinai at 2005-09-21 12:54
 要旨を書くにあたって、ブログを要領よく説明した文章を探したのですが、ないので自分で書いているうちに字数が尽きてしまったという感じです。あとは、どのように使われてきたか、どのような可能性があるか、どこがおもしろいか、ですね。ちょっとネタをためておきます。

>265文字の超過ですが
 はははは、厳しいですね。「1000字以内」というなら確実に減点になります。「1000字程度」の場合には微妙なラインです。内容が良ければ見逃されることもあるかもしれません。
 いずれにせよ、4人分が統合されるところで削除されることも想定しての確信犯的超過でした(^^;)。
Commented by ぜのぱす at 2005-09-29 10:43 x
遅レスですが(computer新調して日本語復活)、非常に分かりやすいです。trackbackの何たるかが、漸く分かりました(笑)。

ところで、"確信犯"、また、使ってますねぇ(笑)。最近は、プロの作家でも本来の意味とは違う意味で使ってるんで(例えば、宮部みゆきが何かの文庫本の"あとがき"で思いっきり使ってました)、まぁ、もう市民権を得たと見ても良いのかも。
Commented by stochinai at 2005-09-29 11:29
>ところで、"確信犯"、また、使ってますねぇ
 はい、確信犯なので、、、(爆)。
by stochinai | 2005-09-20 19:12 | CoSTEP | Comments(5)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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