5号館を出て

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300年前の女性昆虫学者の作品がオープンアクセスに

 寡聞にして私は知らなかったのですが、Maria Sibylla Merianという超有名な女性昆虫学者が300年前に活躍していたということです。今朝のFacebookでtheguardianの記事の紹介があってこの方のことを始めて知りました。ウィキペディアにかなり詳しい日本語の紹介文(マリア・ジビーラ・メーリアン)があります。

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 FacebookはBiodiversity Heritage Libraryのタイムラインだったのですが、上の写真でも読めますがこう書いてあります。

Don't have £120,000 to spend on Merian's masterpiece, "Metamorphosis insectorum surinamensium"? Don't worry. You can access a digital copy for free in BHL, digitized by Smithsonian Libraries: http://s.si.edu/2zHM7hB

 メリアンの名作「Metamorphosis insectorum surinamensium(スリナム産昆虫変態図譜」を買う12万ポンドのお金を持っていなくても問題ありません。スミソニアン図書館にあるその本のデジタル版にアクセスしてください。

 ガーディアンの記事はこの本がサザビーで競売にかけられて12万ポンドの値がつくだろうというものです。

 早速デジタル版にアクセスしてみました。こちらが扉です。

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 南アメリカのスリナムの昆虫(幼虫と成体)と植物をそのまわりにいる動物や自然とともに芸術の域に達するレベルの技術で描いた図版が圧巻です。

 これにはパイナップルとそれを食草とするチョウの幼虫、サナギ、成虫が描かれています。

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 ほとんどがチョウやガの鱗翅目昆虫の成長過程を描いたものなのですが、最後のあたりに不思議なことにカエルが2種類描かれています。

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 タガメと思われる昆虫が変態前に、これまた変態直前のカエルを捕食しているところが描かれています。変態後のタガメが空を飛んでおり、カエルの方は卵塊からオタマジャクシそして成体が描かれています。カエルの種類は私にはわからないのですが、次には南アメリカ産のコモリガエル(ピパ)が描かれていてびっくりしました。

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 ピパは背中で子供を育てることで有名ですが、実に細かく観察されて描かれていることがわかります。

 これは銅版画なので、拡大すると線の一本一本が見えるくらいの精細度でデジタル化されているので感激しました。

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 こんな貴重な図版集がネットでフリー・アクセスになっているのはまったくもってありがたいことです。

 この本は世界中の図書館が競って集めているようで、あちこちでデジタル公開されているようですが、同じ本のはずなのに同じ絵をみても色合いなどがかなり違うように見えるのは、デジタル化の際の技術的問題だけではなく銅版画に手描きで色がつけられていることによる差もあるような気がしてなかなか興味深いものです。








by STOCHINAI | 2017-11-15 23:12 | 生物学 | Comments(0)

日の暮の背中淋しき紅葉哉            小林一茶


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