5号館を出て

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ほぼマイナスのない暖かな日からほぼマイナスだけの寒い日へ急降下(写本のナマコ)

 昨日は24時間を通じてほぼマイナスの気温が記録されない、この時期としては暖かい一日となりました。

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 マイナスの気温をかすって記録したのは日付が変わったちょっと後の夜半の時だけでした。そして結局、一日中ほぼプラスとなり最高気温は7.2℃まで上がり街中が水たまりと化したのでした。

 その時から翌日となる今日が真冬日に近い低温になることは予測されていたのですが、シャーベット状になった雪に対して適切な対処がされないまま今朝のマイナス3℃くらいを迎えてしまったので、昨日のグシャグシャ道路がほぼそのまま芸術作品のように凍結した朝になりました。平らなところはツルツルに、凸凹のところはそのままの凸凹道路のまま交通障害デーとなってしまいました。

 こちらが今日の気温変化グラフです。ほぼ一直線に下がって現在に至っています。

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 明日はちょっとは気温が上がるかもしれませんが、基本的には真冬日だと思っていたほうが良さそうです。

 さて、今日はまた暦が変わって24節季は大雪ですが、72候は「くまあなにこもる 熊蟄穴」となりました。

 「くらしのこよみ」の旬のさかなはナマコでした。久しぶりに日本の文献からの出典です。

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 注釈には「『千蟲譜』 栗本丹洲画」より「マナマコ」となっておりましたのでさっそく検索してみると、これは意外と簡単に国立国会図書館でデジタル画像が公開されていることがわかりました。おもしろいことに2種類の本がありました。

 まずはこちらが上の「くらしのこよみ」から切り抜いた画像です。

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 国会図書館のデジタルコレクションに「千蟲譜 3巻」として公開されているものの該当部分がこちらです。(こちらにも解説があります。)

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 かなりよく似ていると思いますが、細かく見ると明らかに違う模写であることがわかります。解説に「これが日本最初の虫類図譜だったので、転写本が次々に作られ、現存写本も数多いが、所収品数や配列は資料ごとに異なり、転写図の巧拙はさらに違いが著しい。当館も5点を所蔵するが図の出来はさまざまで、本資料が、他館資料を含めて最良の転写本と思われる」ということです。

 さらにもうひとつのデジタルコレクションがこちらですが、同じマナマコを模写したことはわかりますが、ページから方向から全然違います。

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 とはいえ、こちらの方が資料としての価値は大きいもののようで、「「『千虫譜』の配列は雑然としていて、分類的配慮が無い」と記したが、例外がただ1点ある。それが本資料で、昆虫学者曲直瀬愛(1851-88)が幕医大膳亮(だいぜんのすけ)から入手したもの。分類や配置の仕方は不十分だが、次のような構成である―冊1:有用昆虫、冊2:チョウとガの幼虫・水生昆虫、冊3:カ・ハチ・セミ・トンボ、冊4:甲虫・水生昆虫、冊5:甲虫・ハエ・鳴虫、冊6:鳴虫・クモ・多足類、冊7:カエル・河童・イモリ・トカゲ、冊8:タツノオトシゴ・トカゲ・カタツムリ・コウモリ・ナマコ、冊9:ヒトデ・ウニ・貝類・クラゲ、冊10:カニ・エビ・タコ。栗本家には、流布している「雑然とした」『千虫譜』の原本(A)と、「順序を整頓した」原本(B)があったといわれ、本資料はそのBの姿を伝える唯一の写本ではないかと思われる」という貴重なものらしいのです。

 と、手描きで写本を作っていた時代には「本」というものの価値はどれも「唯一無二」の芸術作品だったということがわかり、コレクターを自認する方ならば、たとえ同じものを模写した本だとしてもすべてを入手したくなる気持ちになるのがちょっとはわかるような気になりました。

 どんなものでも気軽に精密な複製ができる今という時代、私は好きで素晴らしいと思うのですが、なんでも世界に一つしかないという時代にもそれはそれなりの素晴らしさがあったということはすごくよく理解できるような気はします。








by STOCHINAI | 2017-12-12 22:08 | 札幌・北海道 | Comments(0)

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