5号館を出て

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世界最小のサカナ

 今朝は通勤途中で、1月26日更新のディスカバリー・チャンネル・ポッドキャスティングを聞いていたら、世界で最小のサカナが発見されたというようなことを言っているので気になりました。

 日本国内でも大学への基礎数学-雑記帳さんのブログ「世界最小の魚を発見!」で取り上げられていました。こちらのネタはCNNニュース「体長7.9ミリ、世界最小の「魚」発見 スマトラ島」ですが、原著の論文が英王立協会紀要という訳がいただけません。

 ポッドキャスティングを聞いていると Proceedings of Royal Scociety と言っているようなので、さっそくネット検索してみると、簡単に The Royal Society Publishing にたどり着けました。すると、ここでは多くの論文がフリーアクセスとして開放されている上に、ニュースのところに「Proc. R. Soc. B: Scientists discover the World's smallest fish. Article freely available」とあります。

 世界中の人が自由に原著論文にアクセスできるようです。素晴らしい!

 論文のタイトルは
Paedocypris, a new genus of Southeast Asian cyprinid fish with a remarkable sexual dimorphism, comprises the world's smallest vertebrate
です。

 付けられた学名(属名)がPaedocyprisです。Cyprisがコイやフナの属名ですから、それに近いという意味ですが、東南アジアでこの属のサカナが2種類発見されて、そのうちのひとつが世界最小の脊椎動物という大発見になりました。

 成熟したメスのうちでもっとも小さいものの体長が7.9ミリ、でちょっと見にはメダカの子どものように見えます。

 頭蓋骨はほとんど軟骨のままで、まさに稚魚の形質をもったまま大人になっているようです。

 pH3という強い酸性の泥炭地に住むこのサカナは1996年にはすでに見つかっていたそうなのですが、別の既存種に分類されてしまったいたものが、今回新属として報告されたもので分類学では良くあることです。

 卵や発生や稚魚のことが書いていないようですが、手には入ったら是非とも飼育してみたいものだと思うのですが、生息域が破壊されていてもはや絶滅しているかもしれずこれ以上の研究はできないと結ばれているのが、なんとも残念なことです。
by stochinai | 2006-01-30 21:42 | 生物学 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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