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拘禁の「日当」が3000円!

 昨日の朝日新聞の朝刊に珍しい「広告」が載っていました。
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 読んでいただければその通りのことが書いてあるだけなのですが、いろいろと考えさせられます。

 間違えて逮捕されて裁判にかけられた結果、無罪が確定した場合には補償金が出るということは聞いたことがあります。しかし、補償といえばいわば警察・検察が間違った逮捕・拘禁をしていたことの賠償ともいえるものですから、十分にその「罪」をあがなうに値する額でなくてはならないと思います。

 ところが、この公示を読むと133日分39万9000円となっています。電卓をたたいてみると、きっちりと割り切れて、なんと1日3000円です。無実の罪を着せられて逮捕され、拘留され、裁判にかけられて、さんざん犯人扱いされたあげくの無罪です。それに対して、申し訳ありませんでしたということはどこにも書いていませんし(謝るのは裁判所ではなく、警察・検察でしょうから書いていなくても良いのかもしれませんが)、なんだか偉そうに日当3000円を遣わすというような文面に読めます。

 何もしなくて良くて3度の食事は補償するからと言われても、外に出ることも禁止、テレビ・ラジオもちろんインターネットや携帯電話も禁止のアルバイトで、日当3000円だけどと言ったら誰がそれを受けるでしょうか。今の学生ならば、1日1万円でも受けるかどうかあやしいところだと思います。おまけに毎日、犯罪者として人権を奪われた扱いをされるのです。

 私は最初、漢字で書いてある一三三日を33日だと思って計算して、1日12000円ちょっとなのだったら、まあ許してもいいかなと一瞬思ったのですが、3000円とわかった時には愕然としてしまいました。

 これじゃあ、賠償金とは言えません。民事訴訟を起こして数千万円を要求したくなると思いますが、おそらくこの元「被告」はそういうことはしないような気がします。

 住居侵入および窃盗の被告にされてしまった陳雄さんという方は、おそらく中国人だと思います。最近、外国人による犯罪が多いと報道されることがありますが、そうした傾向の陰で陳さんのように誤認逮捕される外国人も多くなっているのかもしれません。

 ニュースやワイドショーでは、中国人などが犯罪を犯した時には大々的に報道しますが、この件のように、実はそれは誤認逮捕だったというようなことをきちんとフォローする報道はされているのでしょうか。

 ほんの数行のこの公示を読んで、ひょっとしたら一生がすっかり変わってしまったかもしれない、中国から来た労働者の生活や家族のことがいろいろと想像されて、またまた暗い気持ちになってしまいました。

 この補償金は10倍くらいにしないと、同じような悲劇が繰り返されるのではないでしょうか。
by stochinai | 2006-07-14 22:52 | つぶやき | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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