5号館を出て

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ゼロからわかる生物学

 今度の日曜日のオープンキャンパスに合わせて、文科省採択による「教育改革支援事業特色ある大学教育支援プログラム」(読むと息が続かないので、普段は「特色GP」と呼んでいます)に採択された課題「進化するコアカリキュラム」の報告を兼ねたフォーラムを開催することになりました。

 その日は、北大中でオープンキャンパス行事を行っていますので、各学部や研究所でお客さん(主に高校生とその父兄、そして一般市民の方々)の奪い合いになり、ひとつの会場にそれほど人が集まらないのではないかと予想されてはいるのですが、そうでありながらもついつい人を集めたくなるのが悲しい(?)性で、我々のフォーラムではキラーコンテンツとして、札幌交響楽団の首席チェリストの石川さんに「無伴奏チェロ組曲」の生演奏をお願いすることとなりました。

 もちろん、我々の特色GPプログラムでは、こうした音楽家との連携授業や各地にある研究フィールドで実地体験をしてもらうということを実際に行っており、その一端をご紹介しようということで石川さんをお呼びするわけです。

 大学へはいったばかりの1年生に対して行われる全学教育(昔は「一般教養」と言って嫌われていたものです)として行われるコアカリキュラムでは、理系科目としては一般の理科(物理・生物・化学・地学)が開講されています。

 「特色GP」の中で、理科では高校までの理科教育が削減された2006年問題に対応するために、高校での履修を前提としない教育プログラムを作るべく努力してきました。その結果、作られたのが理科の基礎科目(生物ならば基礎生物学)と、自然科学全科目を融合した自然科学基礎実験という科目で、いずれも今年から本格的に始動しています。

 高校生や一般の方々に、こうした大学における初年度教育を紹介するということは、全国的に見ても珍しいのではないかと思いますが、大学に入学したばかりの学生が最初に受ける洗礼である全学教育の一端を、高校生のうちに垣間見ておくということは意味のあることだと思っています。

 と、いつも偉そうなことばかり言っているものですから、当日のフォーラムで基礎生物学のデモ授業をやる羽目になってしまいました。与えられた時間は20分です。その時間内に、基礎生物学の神髄を伝えるというとんでもないミッション・インポッシブルになってしまいました。

 当日のプログラムを読んでみると、(私が書いたものなのですが)「大丈夫かいな」という壮大なことが書いてあります。
生物学デモ授業「ゼロからわかる生物学」

 人間がヒトという生物であること、毎日食べるもののほとんどが生物であること、すべての生物が地球というひとつの生態系の中で関わり合いながら生きていることなどについて、ほとんどの人は深く考えることなしに感じることができるはずです。基礎生物学では、そんな実感とともにゼロから始めて、生命科学の最先端まで皆さんをお連れします。
 できるかどうかはわかりませんが、こう書いてある以上詐欺にならない程度の授業はやらねばと思って、今日1日無い知恵をしぼっていました。もちろん、まだ終わりません。

 いずれにせよ、当日は「無伴奏チェロ組曲」までのつなぎと割り切って、一席お伺うということになるのですが、できるところまではあがいてみることにします。
by stochinai | 2006-07-24 23:32 | 教育 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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