5号館を出て

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匿名で気軽に書いてください

 今日は神戸にいます。今回は一泊だけで、朝には札幌に帰ります。今月12日から始まったロード生活は明日28日でようやく一区切りになりますが、その間1日中札幌にいることができたのはたった4日間だけでした。

 その時間を含め、私が大阪大学の事件について最初のエントリーを書いた9月7日から27日までの20日間に、このサイトに35000近くのアクセス(PV)がありました。もちろん、大阪大学関係のエントリーはたった3編ですので、すべてのアクセスがそれらに対するものではありませんが、それでも延べ数で万単位の方が読んでくださったのだと思います。

 しかし、その3編に対していただいたトラックバックやコメントは数十に過ぎません。ということは、99%以上の方がただ静かに読んでくださっているということです。その行儀の良さに対しては、もちろん感謝の気持ちが大きいのですが、反面私の考えに対してあるに違いない反論や批判、時には非難や怒りの気持ちなどが伝わってこないというもどかしさも感じます。

 私の書くことなど、ある意味で非常に狭い見識から書かれた、偏見に満ちた一方的な意見にすぎないと思いますので、それに対して読まれた方の大多数が同意しているとはとても思えません。

 わざわざ読んでくださっているのですから、ブログやネット上の情報など取るに足らないと思っていらっしゃる方はそれほど多くないと思うのですが、なぜ気軽に意見を書いていただけないのかを考えてみると、研究者をとりまく環境で仕事を得ようと思っている人が意見を言いにくいという現実がここにまで引きずられているのかもしれないと感じることもあります。

 もしも、そのようなことを思って書きたいことも書かないでおられる方がいらっしゃいましたら、匿名でかまいません。一回限りで使い捨てるハンドルネームで結構ですので、どんなご意見でも書いていただけると大変に嬉しいです。

 今回の大阪大学の事件では、調査委員会が今までになく緻密な調査を行い、教授のねつ造を証明し、懲戒免職処分へと導くことができました。このことは、今までの大学や研究機関で起こった同様の事件のようないい加減な調査や処分ではすまないところまで自分たちが追い込まれてきていると、研究者側が認識してきたことを意味していると考えることもできます。しかし、多くの人が指摘しているように、助手の方が自殺されたことと今回の事件の関係を解明するという意味ではまったく不十分な報告しかされていません。

 ここでもう一歩大阪大学を動かして、自殺の真相すなわちそこに論文のねつ造や教授がどのようにかかわっているのかを明らかにさせるためには、たくさんの人々の声が巻き起こることが必要だと思います。

 大阪大学の関係者も、毎日目を皿のようにしてあちこちのブログを読んでいると思います。それを考えると、ひとりでも多くの人が、ブログのコメント欄を通じて自分たちの声を挙げていくことは無駄にはならないと思います。

 たとえ短いコメントでも、うねりのように次から次へと書き込まれていけば、関係者も無視し続けることはできなくなると思います。

 それを信じて、書きましょう。たった一言ずつでもかまいません。このブログでなくてもかまいせん。何万人もの一言コメントがあちこちで小さな火の手となって、大阪大学を包囲してくれると思います。
Commented by impactfactor at 2006-09-28 03:25 x
大阪大学助手の自死事件について。
私は、博士課程の院生です。初めてですが、コメントさせていただきます。
日本科学界の信頼回復のためにも、他にも存在するであろう潜在的な被害者のためにも、そして何より遺族の方々のためにも、本事件における助手の自死と教授の論文捏造の関係を、詳細に解明すべきだ。また、これを機に、大学研究室の閉鎖性や、部下・院生に対する教授の異様な影響力を排除するシステムについて議論すべきだ。同時に、大学における、教授未満のスタッフ・ポスドク・院生の独立性を保障する制度について議論が必要だ。
私の周りにも、教授の異常な言動に悩むポスドク・院生は多い。この事件を風化させれば、必ず類似の被害者が出ると感じている。
Commented by ミヒー at 2006-09-28 03:42 x
コメントは初めてですが、お言葉に甘えて書かせて頂きます。
私は科学者でも研究者でもありませんが、今回のこの事件には激しい憤りをおぼえています。
沢山の研究者の方々がこの事件に関して記事やコメントを書いておられますが、その皆さまの勇気には尊敬の念を抱いて止みません。そして、まだ声に出してらっしゃらない方々がいらっしゃれば(とても大変なことだとは容易に想像がつきますが)どうか勇気を持って声に出して頂きたいと切に願っております。
Kさんが死と引き換えに皆さんに託された思い、本当に真面目に研究に打ち込まれてらっしゃる皆さんの思い、それが一番大切だと私は思います。正直者が馬鹿を見る世の中では決してあってはいけないと思います。
Commented by ヨシダヒロコ at 2006-09-28 08:29 x
思えばわたしも大学で壊れた人間なのでした(最近、相手とは和解)。そして研究者を泣く泣く諦めた人間なのでした。

何人かの方が捏造事件のコメントに一理あるとおっしゃってくださいましたが、それもそのはず、元未遂者だからです。で、いま「自殺予防」という新書が出ておりまして、仕事なんかの役に立つかもと思って買ってあります。

教授が独断で論文出したそうですが、それを最近知って「これは大きい理由だろうな、自殺の」と個人的には思いましたです。

stochinaiさんが「匿名OK」といわれたのは、なんだか「いのちの電話」や「アルコール・アノニマス(AA)」みたいですね。
Commented by Tsukamotomaru at 2006-09-28 08:47
大阪出身の一介の主婦です。
神聖な場であるはずの大学の研究室で、何度も捏造が行われていたことは、本当に驚く事件です。 社会から信頼を失うことの重大さをもっともっと一人一人が考えなければいけないと思います。 
Commented by kk at 2006-09-28 09:21 x
 亡くなられた助手の方はもちろんのこと、捏造した教授も相当病んでいたんだろうと思う。昔は大学はいろいろ批判があっても、今程規模が大きくなく、研究成果もなくても何とかなる人がいっぱいいた。ある意味で大学は、市場の原理、企業の原理についていけないひとの一つの逃げ場であったのではないかと思う。競争によってよいものがうまれる、売れるものはいいものであるという考えは一理あるけど、世の中がそれだけになったら、辛いと思う。もし、大学に過酷な競争原理を持ち込むんだったら、税金で研究してるんだから失敗するな、余計な金使うな、でも外国に負けるなって言われるならば、そういう研究ができなくなったらいつでもそこから逃げられるような、そんなシステムが大学内外で必要だと思う。
Commented by sukato at 2006-09-28 10:09 x
企業じゃこんなこと日常茶飯事なので、世間から見れば正直大した事件ではない。論文も韓国のESほど画期的なものでもなさそうだし、今時部下の自殺など珍しくもない。
Commented by k at 2006-09-28 10:43 x
身近にも大学内で上司のやりかたに悩んでいる人がいます。時々発作的に首をつりたくなるそうです。なので、「そんな世間一般の常識からかけ離れたある意味つまらない人間のために自分の命を無駄にすることだけはするな。」と言っています。それから、大学の研究室は決して神聖な場所ではないですよ。
Commented by alchemist at 2006-09-28 12:16 x
学問に国境はありません。大学があるのは日本だけではありません。日本がダメなら外国があるさ、と割合簡単に国境を超えることができるのが研究の世界です。研究室でイビられるというのは良く見聞きします。イビられたら機会を見つけて出ていった方が精神的には楽なのではないでしょうか。
Commented by hal at 2006-09-28 12:28 x
捏造事件そのものに関しては、前回の医学部の事件とはまったく異なり、研究科長以下調査委員会のみなさんによる精緻な調査が行われ、大学の自浄作用としてきちんと処分がなされたという事実は、もっと高く評価して良いと思います。
次の段階である捏造事件と自殺との関連性の解明は、学内調査委員会の手に余るでしょう。科学ジャーナリズムか、場合によっては警察の力を使って明らかにするしかないのではないかと思います。
Commented by 通りすがり at 2006-09-28 16:19 x
失礼ですがPVは所詮PV。みんながみんなこの問題に興味をもっていると思わないほうがよいですよ。また大阪大学だけが諸悪の根源ではあるまいし。
Commented by italo design at 2006-09-28 17:12 x
こんにちはある方のブログのリンクからここを知り拝読させていただきました。自死された方、またその家族の方には大変お気の毒なことだと思います。まずはご冥福をお祈りしたいと思います。

私は某証券会社に20年弱勤務しています。当時の入社同期は約400人。内把握している範囲での自殺者は3人。現在同期で会社に残っているのは160人。自殺した人間は上司の過酷なノルマとお客との板ばさみでノイローゼになり死を選択した。どうして彼らは他の200余人のように会社を辞めて、精神的に楽になろうと考えなかったのだろうか?といつも思う。民間で働く私には国立大学の研究室の異常性は分かりえないが、今所属している空間、そこだけが人生のすべてではないだろう。
どうして楽観的に物事を考えられないのだろうか?と今回の事件を過去の同僚の件と重ね合わせ考えてしまいました。
Commented by min at 2006-09-28 20:09 x
この事件の報道、blog を見る限りでは、本当に自殺なんだろうか、と疑ってしまいます。某所でアジ化ナトリウム混入事件があったときも、官官接待のような関係があったため、最初は研究機関と警察が事件を内々で処理しようとした、という噂がありました(あくまで噂です)。警察等が事件を放置しておくならば大きな問題だと感じます。

民間でも自殺が多いから、という理由でこういう事件を軽く扱うのも良くないことです。本来大学は社会をリードすべき存在であるはずです。大学全体の力を結集して、こういう問題に対する対処の仕方を模索し、日本社会の負の部分に光を当て、その方法論を社会に発信し、民間企業へ模範を示すくらいの存在であってほしいと思います。
Commented by stochinai at 2006-09-28 20:14
 みなさん、ありがとうございます。こうして、賛否両論・異論反論がでてくると、とても力づけられます。

 もう、大学も社会の中で決して特別な位置にあるものではないという意見には、ある意味で目からウロコが落ちました。大学における研究も普通の社会と同じような競争の中で、生き残ったものがすべてを取るというスタイルになってきたというのは、その通りなのかもしれません。
 だとしたら、教育部分と研究部分を分けないとまずいのではないかと思い始めました。それほど激しい競争の中で、学生を教育するなどということは、絶対にできないのではないかと感じられます。それとも、そうした嵐の中でこそ学生は強く育つというのでしょうか?
Commented by 実験器具オーナー at 2006-09-29 10:22 x
これだけ多くの方々が意見を述べられているので、大阪大学の事件については私からは言う事はありません(もちろん徹底究明をしなければなりません)。ただつぶやき先生のおっしゃる通り、現在の外部資金獲得システム自体、大学が教育機関である事を置き去りにしているように思われます。恥ずかしながら校費は二束三文、科研費も当たる気配がないので、ここ数年は民間企業との共同研究費(科研費若手Bと同等以上の額=これでも科研費が当たらない)を使って、私付きの学生さんの教育しています。これってやっぱり異常な状況なのでは?
Commented by 閻魔王 at 2006-09-29 23:41 x
今回の阪大のような事件今までにも何件か あったでしょう。
現在 ビクビクしている大学教授が何人かいることでしょう。
まったく同じようなケースで大学の実験室でアザイドを服毒しての助手の自殺。以前にもあったはずですが、単に個人的な問題と処理されています。学会開催前の時期だったと思います。また、博士課程に在学の学生=教授と学位の件等で話した後での逃避・練炭自殺。これは病死扱いか?どうなったか判りません。オープンになっていないようです。自殺者が遺書を残さない限り判らないままです。
博士課程の学生や長年研究をされている研究者にとって、もう後もどりできない世界に居ると思ってしまいます。別の世界へ移ることは、家族へも説明できない苦しみの中で悩み続けるものです。周りからの期待が多きかった人へは大きなプレシャーでしょう。
”教授に全ての権限があるという異常な研究室がいつまで続くのでしょうか” 本当に優秀な教授は実感として2割以下と思います。
Commented by 毎日 at 2006-09-30 01:57 x
この論文の筆頭著者で、実験データの一部を出した研究員は、毎日新聞の指摘に対して「杉野教授にデータを渡し、教授が論文を執筆した。確かに同じ写真を切り張りしたように見える。初めて気づいた」と戸惑った様子で答えた。

というコメントでこの研究室で通常行われている論文作成プロセスが伺えます。ここに原因があると思います。私の常識では、筆頭著者が自分の論文が出た後に「初めて気づいた」というのはありえないのですが。
Commented at 2006-09-30 01:59 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2006-09-30 02:07 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by とら at 2006-09-30 10:47 x
毎日さんの意見に同感。原因はそれひとつではないでしょうけれども、ともかくそういう研究室文化が醸成されていたのでしょう。教授が大きな権限を持っているのは仕方ないというか当然だとしても、その行動に一定の制約を与える仕組みがないと解決しないでしょうね。阪大が報告書で打ち出した「風通しを良くする」というのはもっともな話だけれども、教授会が、外からは研究室の運営にまず口出しできない心地よい現状を、どこまで本気で変えていけるでしょうかね。構造的に無理じゃないかしら?
Commented by 実験器具オーナー at 2006-09-30 21:35 x
論文を教授が執筆するのみならず、学振の申請書類を学生の代わりに作成しているのを実際に目の当たりにしたことがあります(ポスドク時代)。これでは何のための学振なのかわかりませんね。実態を知らずまじめに自分で書いている地方大学の学生さんが当たらないわけです。

>教授会が、外からは研究室の運営にまず口出しできない心地よい現状>を、どこまで本気で変えていけるでしょうかね。構造的に無理じゃない>かしら?

私も無理だと思います。良くないことについて口出しするのであればまだしも、敵を陥れる手段にもなりかねませんからね。要するに学問以前の人間的に問題が多い大学教員が多い現状では無理でしょう。
Commented at 2006-10-02 11:14 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by stochinai | 2006-09-27 23:52 | つぶやき | Comments(21)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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