5号館を出て

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ニセ科学に立ち向かう?

 昨日、阪大サイバーメディアセンターの菊池誠さんが「ニセ科学に立ち向かう?」というタイトルでCoSTEPの公開講義をしてくださいました。3日前のエントリーで講義のタイトルは「ニセ科学に立ち向かう」とお知らせしていましたが、講義がはじまるなりいきなり「タイトルにクエスチョンマークを付けてみました」という意表を突いたフレーズでした。

 そして、この?は今我々がニセ科学に対してどのように立ち向かっていったら良いのか、そう簡単に正解が出るようななものではないのだよ、という結論へつながる重要な?だということが夜も更ける頃にじわっと効いてきたのでした。

 ありがたいことに、講義の概要は会場に聞きにいらしてくれたmittyuさんのブログ「酒とアザラシと怠惰な日々。」に詳しいので、是非ごらんください。mittyuさん、聞いて頂いた上に講義ノートまで公開していただき、ありがとうございました。

 菊池さんのご意見は、著作や講演ノートでたくさん公開されていますので、骨子としては知っていることが多くても、やはり生(なま)の声を聞きやりとりすると理解は深まるもので、講義に参加したCoSTEP受講生、修了生および特別参加されてくれたたくさんの人々は多くのものをもらうことができたと思います。私も、かなり頭の中が整理された気がします。

 夜には、月例のこ~すてっぱ~ずサロンにも来て頂いて、K野さんK山さんの司会でニセ科学に対して科学・技術コミュニケーターはどうしたら良いのかという、ワークショップのようなものが開かれました。

 まず、S吉さんがスイスの研究者社会における「ニセ科学」の認知度調査報告をされ、続いてこ~すてっぱ~のS上さんがご自身の貴重な体験をもとに、商品販売に利用されるニセ科学の実態の暴露報告がありました(詐欺です)。いずれも、日常生活では見聞きする機会がほとんどないものであり、菊池さんのコメントをからませながら議論が盛り上がりました。

 会場には、ペットボトルで「人工雪」を作る方法を開発したH松さんもいらっしゃっており、菊池さんが「水からの伝言」との闘いの中で、誰でもいつでも簡単に「美しい」雪の結晶を作ることができるH松メソッドを賞賛していたこともあり、そのお二人が偶然にも出会うという不思議な場にもなったサロンなのでした。

 上のmitttyuさんのレポート以外にもいくつかブログに報告が出ています。

酒とアザラシと怠惰な日々。: 「ニセ科学に立ち向かう?」を聴講した。
M姫の科技コミし放題!: ニセ科学
科学技術コミュニケーターってなんだろう: ニセ科学
リエゾンマンのつぶやき: 阪大菊池先生の「ニセ科学に立ち向かう」
cony diary: サロンだった
【追加 10/16】
セキュリティ&コンサドーレ札幌: ニセ科学対策「エイプリルフール作戦」
【追加 10/17】
脱サラ学生(研究者?)のスープカレー日記: 科学は魔法!? - CoSTEP

 みなさん、それぞれ自分の実体験に絡ませながらの感想が出てくるところが、このニセ科学というものが我々の生活に深くからみついていることの反映なのだと思います。

 私の記憶に残っていることは、ニセ科学を追いかけていくといつの間にか、ほんとうの科学の領域に入っていったり、ねつ造問題につながっていったり、宗教の領域に入っていったり、子どもの教育問題に行き当たったり、とすぐに解決できるようなものではないということがはっきりしてくるということです。

 それと、立ち向かう相手が善意の信者である場合は、ニセであると結論したり追いつめたりすることは決して良い結果を生まないという体験談もたくさん出てきました。また、ニセ科学を広めている側の人は、議論をしたり反証したりしても、決して意見を変えることはないということも再確認されました。

 となると、ニセ科学に立ち向かう時には具体的な人を相手にしてはいけないのではないか、というのが私の持ったとりあえずの結論です。つまり、ニセ科学という非人格的存在に対しては、機会あるごとに闘いを挑まなければならないとは思いますが、それをもてあそんでいる人格はとりあえず見ないことにして闘うのが良い作戦なのではないかということです。

 というわけで、最初に菊池さんが付けた「?」の意味は深く、ニセ科学に立ち向かうのはそう簡単なことではないのだよ、というアドバイスのように思えてくるのでした。

【追記】
 sapporokoyaさんが、ニセ科学対抗策としておもしろいアイディアを提案されています。確かに、ストイックに闘うことばかり考えているとダメですよね。
Commented by 黒影 at 2006-10-16 01:53 x
お久しぶりです。
CoSTEPで菊池先生の講義があったのですね。
情報を見逃すとは不覚でした。

>ニセ科学を追いかけていくといつの間にか~
私なんてもろにこの典型例な気がします(笑

ちなみに私は、「ニセ科学に立ち向かう」上で最重要視すべきなのは、Silent Majorityにニセ科学のニセ科学たる所以を理解してもらう事だと思っています。教祖や信者の宣伝行為に対するカウンターはその為の一手段に過ぎず、まずはニセ科学の存在を認知してもらう事が重要だろうと考えています。
Commented by ハニーm at 2006-10-16 12:32 x
“tolerance”講義終了後にお話を伺ったとき、ある事例に絡んで
おっしゃったお言葉です。一般市民が認知していくうえでも重要な
注意点と思われます。
Sapporokoya さんのアイディア、素晴らしいですね。
来年ぜひ開催されますように!
Commented by stochinai at 2006-10-16 15:00
 寛容、忍耐、我慢、などなどいろいろ思い浮かびますが、社会性という言葉も思い浮かびました。
Commented by stochinai at 2006-10-16 15:08
 黒影さんは札幌にいらっしゃったのですか、それはご連絡をせずに失礼しました。
>まずはニセ科学の存在を認知してもらう事が重要
 同意します。そのための日常的活動ならば、1%でもエフォートを割けば十分意味がありそうです。
Commented by 黒影 at 2006-10-16 20:11 x
>stochinaiさん
いえ、今は就職して本州に戻ってます。
だからどのみち聞きにいく事は出来なかったのですが、ニセ科学の追っかけとして、アナウンスのお手伝いぐらいはしたかったなぁと思う次第です。
Commented by stochinai at 2006-10-16 20:35
 ありがとうございます。これからは、積極的にお願いすることにします。
Commented by きくち at 2006-10-17 01:06 x
お世話になりました。僕も勉強になりました。
あとで考えてみるといくつか言い忘れたこともあるのですが、それはまたの機会にでも。
「科学を伝える人」の役割はこれから大きくなるはずです。ニセ科学を直接批判しなくても、「科学」をきちんと伝える努力はそれだけでもニセ科学対策になりますので、よろしくお願いします。
Commented by stochinai at 2006-10-17 10:29
 お疲れさまでした。

 とても良い人のつながりがたくさんできた(あるいは、それがあることが確認できた)ことが今回の一番大きな収穫だったように思います。

 日常生活の中で、ごく普通にいろいろなことを科学的に考えることができる人がどんどん増えていけば、ニセ科学のはびこる環境はなくなります。科学・技術コミュニケーターが普通に活躍していれば、いずれそうなるということですね。同感です。
Commented at 2007-02-14 21:06
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by apj_yamagata at 2008-06-22 12:50 x
ニセ科学批判と超常信念と批判的思考 - alice-2008の日記
http://d.hatena.ne.jp/alice-2008/20080621/1214012442
Commented by stochinai at 2008-06-23 15:13
 別人を彷彿とさせるようなハンドル名は好ましくありませんね。
by stochinai | 2006-10-15 23:20 | 科学一般 | Comments(11)

ふと咲けば山茶花の散りはじめかな        平井照敏


by stochinai