5号館を出て

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イラク選挙

 選挙を控えて厳戒態勢に入るというのも珍しいことだと思いますが、イラクはそうなっているようです。選挙控えイラク厳戒態勢 夜間外出禁止、商店は休業によると、「国民議会選挙を30日にひかえたイラクでは、28日午後7時(日本時間29日午前1時)から全土に夜間外出禁止令が敷かれ、厳戒態勢に入った。外出禁止令は翌朝6時までで、4日間実施される。さらに29日からは、すべての商店が休業し、官公庁も休み。空港、国境の閉鎖も始まった」のだそうです。

 「多くの市民は27日までに3、4日分のパンや缶詰など食糧と水を買いだめし、自宅での籠城(ろうじょう)に備えている」とのことですが、そんな状況の中で家から出て投票所へ行こうという人が出てくるでしょうか。

 あるジャーナリストに送られたバグダッドからのメールにある、「あまりに多くの人々が投票所が爆破されることを怖がっている。私の家族は投票には行かないと決めた」という言葉は真に迫っていると思います。

 国連のアナン国連事務総長がイラク国民に対してビデオ・メッセージを流して、強く投票呼びかけたということですが、無責任ではないでしょうか。投票所に向かったために事故にあった住民に「今回の選挙は暴力や混乱を乗り越える好機となる」などと呑気なことを言うつもりなのでしょうか。国連の責任問題にもなりかねません。

 スンニ派は選挙のボイコットを呼びかけており、もちろん立候補もしていませんので、選挙が成立した場合も選ばれる国民議会の議員はシーア派とクルド系住民ということになります。

 つまり、たとえ形式的に民主的な選挙が行われたと主張したところで、選挙後にテロがなくなることはあり得ないと思います。

 テロに屈しないと叫んでみたところで、選挙反対派が明日の選挙に向けて今までにない最大限のテロを計画していることは火を見るよりも明らかですし、今日も既に多くの爆弾事件が起こっているとニュースが報じています。

 選挙を守るためにイラク治安部隊や米軍など30万人の軍隊がイラク全土に展開するということですが、まさか武器をもって人々を投票所に駆り出すなどということはしないでしょうね。

 選挙が公正に行われるかどうかを監視する国際監視団が30人居るのだそうです。しかし、ニュースによればイラク選挙、監視できず 選管発表と実態は乖離とのことで、「治安悪化などの影響で実際には投票所を巡回する国際監視員が存在せず、中立的なイラク人による監視もほとんど行われないことが分かった」のだそうです。

 選挙をやろうとする側には、意地のようなものがあるのかもしれません。人が死ぬことに対しても鈍感になっているのかもしれません。しかし、冷静に考えると決して引き合わない選挙を強行するのは、幻の大量破壊兵器を追って始めた戦争の尻ぬぐいとしては、やめられないということなのかもしれません。山本・ブッシュ・リンダですね。
by stochinai | 2005-01-29 18:04 | つぶやき | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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