2006年 11月 06日
正直者が馬鹿を見る
今回の高校の単位偽装問題は、政府および文科省の「政治的判断」により、履修時間を軽減して単位を履修したとみなすことで決着が計られようとしています。
これにより、単位を偽装した高校の責任も、それを見逃した各地の教育委員会の責任も、さらにそれらすべての責任を負うべき文科省の責任もうやむやになるような気がします。しかし、それは単にうやむやな解決というわけではなく、政府・文科省が教育委員会・学校(校長)の処罰を見逃すという「貸し」を作ったうえでの決着という形をとっていますから、学校(校長)・教育委員会は今後しばらくの間は文科省や政府に頭が上がらないという状態になるでしょう。
逆らおうとしたら、責任を追及するぞと脅されるかもしれないからです。
そんな中、茨城県立高校に続いて、愛媛県立高校の校長先生が未履修問題について県教委の指導を求めたとみられる内容の遺書を校長室に残して自殺してしまいました。
今回の単位偽装問題で、受験直前のこの時期になってとんでもない時間数の補修補習をしなければならなくなった受験生が一番の被害者であることは間違いないのですが、この件に関しては各学校の校長先生に下からと上からのとんでもないプレッシャーがかかっているであろうことは容易に想像がつきます。
政府や文科省は、「やるべきことはやってもらいます」などと法律を守ることの重要性を強調し、今回の事件が自分たちには何の責任もないかのごとき態度をとっていますけれども、何年もあるいは場合によっては十何年さらには何十年も見逃してきたことの責任は重いはずです。
それだけ長いこと見逃されてきたならば、現場の先生や校長先生の中に「これは政府公認の脱法行為である」というような認識が生まれてきても不思議はありません。ところが、ここへ来ていきなり、責任を追及しなければならないというようなすっぱ抜きがあり、政府や文科省はあたかも自分たちに温情があるかのごとくに、本来ならば必要な70時間を50時間にまけてやると言うようないい加減な単位の安売りに出たのです。
昨年までの卒業生はまったく同じことをしていても何の沙汰もなく、今年の受験生だけが政治的駆け引きの中で、まさにスケープゴートにされ、さらにその間で背中からバッサリと刀で切られたような気分になっているのが高校の先生だと思います。
政府や文科省のお偉い方々が言うことには、正直な高校では単位を偽装せずに「(受験に)必要もない」科目を履修しているのに対し、その間に単位を偽装しつつ受験科目の勉強をしていた受験生達が受験競争において「有利」になっているのだそうです。そして、「正直者が馬鹿を見る」ようなことにさせないために、受験生をいじめることにしました、というのが今回の「温情的」な単位の安売り処分ではないでしょうか。
そもそも、受験に関係ない授業を受けた生徒達を「馬鹿な正直者」であるというふうに発言してはばからない政府・文科省の方々は、高校の教育というものをどのようにお考えなのでしょうか。受験科目ではない高校教育は意味のない「修行」とでもいうことでしょうか。
今回の単位偽装問題で、「正直者が馬鹿を見」ずに済み、しかも昨年まで良かった単位偽装がこの期におよんで突然ダメにされるという「不公平」を避けるためには、今年に限って単位偽装は認めることとすること、および単位を偽装せずに「正直者」として単位を履修したものには、センター試験で一律何点かの自動加算を与えるという処置もありうると思います。あるいは、時期が悪すぎるので、今年に限って何も見なかったことにするということだってできたはずです。(今まで、ずっとそうやってきたのですから)
それと、今回のことに関しては、最大の責任者は文科省であり、それを支配してきた政府とともに最大の責任をとるべきだと思います。その上で、各地の教育委員会と個別高校の処分を考えての良いでしょう。
この時期になって受験生に50時間もの補修をさせるということになって、受験生と校長先生を苦しめている文科省が「いじめはいけない」などと言っても、全然説得力がないと思います。これは、かなり陰湿ないじめに他なりません。
これにより、単位を偽装した高校の責任も、それを見逃した各地の教育委員会の責任も、さらにそれらすべての責任を負うべき文科省の責任もうやむやになるような気がします。しかし、それは単にうやむやな解決というわけではなく、政府・文科省が教育委員会・学校(校長)の処罰を見逃すという「貸し」を作ったうえでの決着という形をとっていますから、学校(校長)・教育委員会は今後しばらくの間は文科省や政府に頭が上がらないという状態になるでしょう。
逆らおうとしたら、責任を追及するぞと脅されるかもしれないからです。
そんな中、茨城県立高校に続いて、愛媛県立高校の校長先生が未履修問題について県教委の指導を求めたとみられる内容の遺書を校長室に残して自殺してしまいました。
今回の単位偽装問題で、受験直前のこの時期になってとんでもない時間数の
政府や文科省は、「やるべきことはやってもらいます」などと法律を守ることの重要性を強調し、今回の事件が自分たちには何の責任もないかのごとき態度をとっていますけれども、何年もあるいは場合によっては十何年さらには何十年も見逃してきたことの責任は重いはずです。
それだけ長いこと見逃されてきたならば、現場の先生や校長先生の中に「これは政府公認の脱法行為である」というような認識が生まれてきても不思議はありません。ところが、ここへ来ていきなり、責任を追及しなければならないというようなすっぱ抜きがあり、政府や文科省はあたかも自分たちに温情があるかのごとくに、本来ならば必要な70時間を50時間にまけてやると言うようないい加減な単位の安売りに出たのです。
昨年までの卒業生はまったく同じことをしていても何の沙汰もなく、今年の受験生だけが政治的駆け引きの中で、まさにスケープゴートにされ、さらにその間で背中からバッサリと刀で切られたような気分になっているのが高校の先生だと思います。
政府や文科省のお偉い方々が言うことには、正直な高校では単位を偽装せずに「(受験に)必要もない」科目を履修しているのに対し、その間に単位を偽装しつつ受験科目の勉強をしていた受験生達が受験競争において「有利」になっているのだそうです。そして、「正直者が馬鹿を見る」ようなことにさせないために、受験生をいじめることにしました、というのが今回の「温情的」な単位の安売り処分ではないでしょうか。
そもそも、受験に関係ない授業を受けた生徒達を「馬鹿な正直者」であるというふうに発言してはばからない政府・文科省の方々は、高校の教育というものをどのようにお考えなのでしょうか。受験科目ではない高校教育は意味のない「修行」とでもいうことでしょうか。
今回の単位偽装問題で、「正直者が馬鹿を見」ずに済み、しかも昨年まで良かった単位偽装がこの期におよんで突然ダメにされるという「不公平」を避けるためには、今年に限って単位偽装は認めることとすること、および単位を偽装せずに「正直者」として単位を履修したものには、センター試験で一律何点かの自動加算を与えるという処置もありうると思います。あるいは、時期が悪すぎるので、今年に限って何も見なかったことにするということだってできたはずです。(今まで、ずっとそうやってきたのですから)
それと、今回のことに関しては、最大の責任者は文科省であり、それを支配してきた政府とともに最大の責任をとるべきだと思います。その上で、各地の教育委員会と個別高校の処分を考えての良いでしょう。
この時期になって受験生に50時間もの補修をさせるということになって、受験生と校長先生を苦しめている文科省が「いじめはいけない」などと言っても、全然説得力がないと思います。これは、かなり陰湿ないじめに他なりません。
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kshojima at 2006-11-07 00:44
指導要領自体がいじめなんですよ。週5日制にしてやることは増やし、それで受験をクリアするなんて手品に近いです。受験実績で学校が評価される時代ですから法令順守は分かっていても無理があります。結局全ての責任を現場へ丸投げして、自分たちの作った法令を遂行することを有耶無耶にしているのですから、責任逃れもいい加減にして欲しいものです。教育を制御できる官僚また政治家にマスコミの矛先が向かないのに違和感を感じます。これだけの件数が出るには理由があるはずです。まぁ取り挙げたら自分ら(新聞社)の出している雑誌の合格者ランキング等が受験戦争を煽っていることも露呈されますし。結局全ては下部の反論できない弱い立場に責任が押し付けられるのがこの国の構造でしょう。美しい国はどこへやら。。。
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alchemist
at 2006-11-07 09:20
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週5日制にしてやることが増えているのでしょうか?高校を卒業以来、高校のカリキュラム全体が判っていないのですが、教科書の内容にしても、必修科目にしても随分減少している・・・というふうにしか見えないのですが。例えば英語の出題基準にしても、3000語程度のボキャブラリーを越えた場合は訳を付けています。かつて高校入試で3000語、大学入試で10000語とか言われていたような気がします。別に単語を覚えるだけが英語じゃないのは判っていますが・・・。理科の教科書も随分ペラペラになってますし、社会も似たようなもののようです。で、何がどんな風に増えているのでしょう?現状を理解していないので、説明いただければ幸いです。
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kshojima at 2006-11-07 19:24
理科に関しては役人が系統を無視して単に3割分を減らしたので、その部分を教えないと中途半端になるし話がつなげ難いのが現状です。その分が理系が必要とするⅡにまわされ、さらに化学なら生化学分野、生物ならバイテク分野がさらに加わりかなり重たいものとなっています。教科書が終われません。。。またぺらぺらの教科書では到底受験には太刀打ちできません。それは指導要領の最低基準の内容しか入っていないのでその薄さになるのです。ゆとり教育による学力低下批判により発展内容に縛りがなくなり、S堂のように調べものとして使える教科書も出現しました。またそれにより受験の問題も難化しているのも事実です。結局受験のことしか述べていませんが、受験(進路保証)が生徒と保護者の要望ですし、それがある意味社会の要望でもあります。上を変えないと下は幾ら法規を掲げられても変わりようがないですよ。現指導要領を遂行させるなら、ドイツのように大学に全入にしないと無理ですね。
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ヨシダヒロコ
at 2006-11-07 22:02
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たしかに化学IIを数年前に教えたことありましたが、重いですね。
高校の授業は、平日しか増やせないので、7時間目までのところもありますし。終わりが4時半くらいまでになるのでかなり大変です。
この話はとある親御さんが地元新聞に投書したのがきっかけだったらしいのですが(きちんとは未確認です)、どうしてここまで広がっちゃったんでしょうね。
高校の授業は、平日しか増やせないので、7時間目までのところもありますし。終わりが4時半くらいまでになるのでかなり大変です。
この話はとある親御さんが地元新聞に投書したのがきっかけだったらしいのですが(きちんとは未確認です)、どうしてここまで広がっちゃったんでしょうね。
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kshojima at 2006-11-07 22:46
生化学はここまでいるかと思う位の重さです。おまけに薬品や肥料の概要や機能まで教えないといけないですからね。生物Ⅱもですが、大学でやっても遅くないものが。。。
今回の件の同様の例が以前に兵庫や熊本でも明るみになりましたが、その時はその地域限定で収まったのですが。でも今回ここまでの拡がりが生じたのは時期が時期だけに邪推してしまいますね。
今回の件の同様の例が以前に兵庫や熊本でも明るみになりましたが、その時はその地域限定で収まったのですが。でも今回ここまでの拡がりが生じたのは時期が時期だけに邪推してしまいますね。
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at 2006-11-08 10:08
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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at 2006-11-08 10:10
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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みつみ
at 2006-11-21 11:11
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も う 過 激 派 が 出 な い よ う に
親 は 身 動 き で き な い よ う に 縛 り 、
子 供 は 扱 い や す い 馬 鹿 を 育 て よ う 。
子 供 に は ゆ と り を 。
大 人 に は 無 償 労 働 延 長 を 。
親 は 身 動 き で き な い よ う に 縛 り 、
子 供 は 扱 い や す い 馬 鹿 を 育 て よ う 。
子 供 に は ゆ と り を 。
大 人 に は 無 償 労 働 延 長 を 。
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みつみ
at 2006-11-21 11:11
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もともと、戦後教育自体が、軍国教育の修正から始まり、
試行錯誤の後に団塊世代の学生運動で政治が混乱し、
教育姿勢が大きく変更されました。
ゆとり教育世代が政治について感心が低いのも、
多く抵抗しないように育てられているからですね。
「親や教師が子供に接する時間」を減らそうとしているのが今の
政府の方針ですが、子供に大人から監視されない自由時間を与えても
援助交際やいじめや不良行為に走るだけです。
何故なら、セックスも暴力も、動物として育った場合、
野生の本能の行動だからです。
親がキチンと痛みを教える分、まだ猿の方がマシでしょう。
ゆとりという名の自由時間が必要だったのは子供ではなく
親の育児の為の時間だったのです。
政府の目論見通り、毎日ラッシュ通勤で無償残業させても
ほとんど反対運動をしない奴隷を作る事ができました。
ホワイトカラーエグゼンプションも、批判と反対はネット上のみ。
匿名の世界から現実を変える事は難しいでしょう。
試行錯誤の後に団塊世代の学生運動で政治が混乱し、
教育姿勢が大きく変更されました。
ゆとり教育世代が政治について感心が低いのも、
多く抵抗しないように育てられているからですね。
「親や教師が子供に接する時間」を減らそうとしているのが今の
政府の方針ですが、子供に大人から監視されない自由時間を与えても
援助交際やいじめや不良行為に走るだけです。
何故なら、セックスも暴力も、動物として育った場合、
野生の本能の行動だからです。
親がキチンと痛みを教える分、まだ猿の方がマシでしょう。
ゆとりという名の自由時間が必要だったのは子供ではなく
親の育児の為の時間だったのです。
政府の目論見通り、毎日ラッシュ通勤で無償残業させても
ほとんど反対運動をしない奴隷を作る事ができました。
ホワイトカラーエグゼンプションも、批判と反対はネット上のみ。
匿名の世界から現実を変える事は難しいでしょう。
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stochinai at 2006-11-21 14:54
みつみさんの怒りは、私も共有しています。私も、日本の戦後教育では国民から思考力と教養を取り上げて、政治的に抵抗できなくする「愚民政策」が(なかば無意識的だとは思いますが)行われたのではないかと感じています。
匿名の世界から現実を変えることは難しいとおっしゃいますが、匿名でなくともそれは難しいのが実情だと思います。ならば、匿名でもやらないよりはマシかもしれません。実名でも匿名でも、自分で考えしっかりと発言する人間がひとりでも増えることの期待は捨てたくないと思っています。
沖縄知事選の結果などをみていると、もうダメかもしれないと感じることもあるのですが、ほうっておくとこの国がもっともっとひどくなるのが目に見えているので、ほんとうの「愛国者」である私としてはこんなところでつぶやき続けております。
みつみさんには、これからも吠え続けて欲しい私です。
匿名の世界から現実を変えることは難しいとおっしゃいますが、匿名でなくともそれは難しいのが実情だと思います。ならば、匿名でもやらないよりはマシかもしれません。実名でも匿名でも、自分で考えしっかりと発言する人間がひとりでも増えることの期待は捨てたくないと思っています。
沖縄知事選の結果などをみていると、もうダメかもしれないと感じることもあるのですが、ほうっておくとこの国がもっともっとひどくなるのが目に見えているので、ほんとうの「愛国者」である私としてはこんなところでつぶやき続けております。
みつみさんには、これからも吠え続けて欲しい私です。
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rabbitfootmh at 2006-11-26 23:51
> 受験科目ではない高校教育は意味のない「修行」とでも
> いうことでしょうか。
高校に限らず、日本の学校のお勉強は「修行」ですよね(苦笑)
「効率=市場競争原理」という批判がすぐに出てきますが、「効率化」というのは、人間の高度な知恵によってしかなし遂げられない、素晴らしいものだと、私は思います。
> いうことでしょうか。
高校に限らず、日本の学校のお勉強は「修行」ですよね(苦笑)
「効率=市場競争原理」という批判がすぐに出てきますが、「効率化」というのは、人間の高度な知恵によってしかなし遂げられない、素晴らしいものだと、私は思います。
by stochinai
| 2006-11-06 22:41
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