5号館を出て

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つまらないことを書かないための10の心得?

 10日ほど前に、こんなタイトルの記事が出ていました。ブログにつまらないことばかり書いているのではないかと心配している自分としては、ちょっと気になった記事ですので、ここで引用およびコメントしておきたいと思います。

 ■ブログにつまらないことを書かないために知っておくとよい10の心得(前編)
 ■ブログにつまらないことを書かないために知っておくとよい10の心得(後編)

 その10項目とは次のものです。番号は、私がつけました。

 (1) サイトの更新を義務だと錯覚してはならない
 (2) 自分の土俵に立って記事を書くこと
 (3) 1エントリ1キャッチコピー
 (4) 記事はあとで必ず読み直すこと
 (5) あまりブログ論を真に受けすぎないこと
 (6) 記事の対象を明確にしておくこと
 (7) 見やすい記事を書くよう心がける
 (8) テンポがいい文章を作り上げる
 (9) 方向性の定まった記事であることが大事
(10) 「自分が教えてあげている」という意識は捨て去るべきである

 ブログに限らず、人に読んでもらおうという文章を書く時に、こういう注意をしておくことは大切だろうと思います。でも、これらの項目を守ったとしてもつまらないことを書かないでいられるものだろうかというと、それはまた別の話のような気がします。

 思いつくまま書かれたものなのかもしれませんが、これらの注意事項はいくつかのカテゴリーに分けることができそうです。勝手に分けさせてもらった上で感想を述べてみます。

 「ブログとはなにか」的なもの

 (1) サイトの更新を義務だと錯覚してはならない
 (5) あまりブログ論を真に受けすぎないこと
(10) 「自分が教えてあげている」という意識は捨て去るべきである

 ブログとは何かということを論じるのが、いわゆる「ブログ論」というものなのでしょうが、そもそもブログというのは形にすぎないものだと思います。つまり、次々と記事が追加され続けられるという特徴こそがブログをブログたらしめているものでしょう。そうなると、サイトの更新がなくなった時点でブログはブログでなくなるような気がします。もちろん、しばらく活動を停止していたとしても、いつかまた再会された時点でまたブログとして復活できるわけですので、別に更新を義務と考える必要がないというのはその通りなのでしょう。

 多くのブログでは、「自分が教えてあげる」というよりは、「自分はこれが言いたい」ということを書いているような気がします。あるいは、情報を提供してくれている場合も、「教えてあげる」というよりは、「こんなおもしろいものやことがあるよ」という書かれ方をしていることが多いのではないでしょうか。間違ったことを偉そうに書いてしまうと、ほぼ確実に撃沈させられてしまうのが、ネットの世界でもありますので、「自分が教えてあげている」という意識は自然に淘汰されるような気がします。

 そして、今私がぐだぐだと書いている「ブログ論」のようなものは、もちろんあまり気にする必要はないのです(^^;)。

 記事を書くにあたっての総論的なもの

 (2) 自分の土俵に立って記事を書くこと
 (6) 記事の対象を明確にしておくこと
 (9) 方向性の定まった記事であることが大事

 これらの注意事項はブログに限らず、文章を書く時には常に心がけておかなければならないことだと思います。特に情報提供に徹しているようなケースを除くと、やはり「書き手」というものが強く表現されるのがブログの特徴だとすると、(2)がもっとも大切な注意事項かもしれません。毎日書いていると、ネタも切れてくることもあって、ついつい付け焼き刃の記事をやっつけで書いてしまうことがありますが、自分よりもその方面に詳しい読者の方が必ずいらっしゃることを考えてみると、それほど恥ずかしいあるいは愚かなことはないような気もします。

 毎日書き続けるということを前提とするならば、ウソや誇張は自滅・自損行為以外のなにものでもありません。無理をせずに自然体で、ということでしょうね。

 自分の立ち位置がしっかりしてくると、記事の内容および議論の方向は自ずと決まってくると思います。自分らしく書くということを前提にしていれば、対象テーマが決まった時点で、議論の方向はそれほどぶれることはないはずです。対象が明確にできないということは、まだ自分のなかで熟していないのだと思います。もう何日あるいは何ヶ月か寝かせてみると良いかもしれません。

 記事を書くにあたっての技術的なもの

 (3) 1エントリ1キャッチコピー
 (4) 記事はあとで必ず読み直すこと
 (7) 見やすい記事を書くよう心がける
 (8) テンポがいい文章を作り上げる

 これは、短い文章(エッセイ)を書く時の一般的注意として普遍的なものではないでしょうか。1エントリ1キャッチコピーというのは、テーマがひとつであれば簡単に出そうなもののように思われるかもしれませんが、実は一番難しいところかもしれません。まずは、タイトル作りをがんばりましょうということですか。

 あとは、正しく読みやすい日本語を書きましょうということで、これはブログを書く人であっても書かない人であっても、日本人ならば身に付けておいて損はないことです。というよりは、できれば教養としてしっかりと身に付けておきたいことですね。初等・中等教育でしっかりと身に付けておくべき、読み・書き・そろばんのうち、一番身に付きにくいのが「書き」かもしれません。逆に、一生伸び続ける可能性があるのも「書き」かもしれません。毎日ブログを書いていると、少しずつでも、その能力を伸ばすことができるかもしれないという思いも、私に毎日書かせる動機のひとつです。

 この記事の中にあった珠玉の一言、「読者あってこそのブログである」を引用して、今日のエントリーを終わりにします。
Commented by ぜのぱす at 2007-02-19 13:30 x
滝汗 (;^_^A
Commented by stochinai at 2007-02-19 14:12
 でも、ブログにつまらないことを書いてはいけないということもないんですよね。だったら、無視ムシ。
Commented by killhiguchi at 2007-02-19 17:53 x
 どうしてブログが面白くなきゃなんないんでしょう?勝手に書いているだけなのに。面白さを、他人にまして権威に云々される謂れはありません。
 「現代思想」でしたか、ブログの特集をして、新しいメディアを既存の権威の構築制に従わせようとしたのは。
 無論、他者に開かれていることは望ましく、批判には答えるべきですし、間違ったことはかかないように心掛けるべきです。しかし、それも、まともなメディアリテラシーを持っていれば、ネットなんて間違ってて卑怯なつまらないものと一蹴すればいいだけの話です。
Commented by stochinai at 2007-02-19 20:07
 やっぱり書くからには読んでいただきたい、読んでいただくからにはおもしろかったり、同意していただいたり、反論していただいたり、少なくとも、読んで後悔をさせたくないという気持ちは(少なくとも私には)あるのだと思います。まあ、気に入られなければ読んでいただけないという簡単な結末があるわけですので、それほど気にすることはないと言えば、その通りだと思います。
 せっかく書いたものが有効に生きるためのTipsとでも言うべきものかもしれないですね。
Commented by oyajikamo at 2007-02-21 12:44 x
5号館さんのブログを読んでいつも素晴らしいなと思うことの一つは、文体というか、文章の調子が日によってぶれないということであります。(もちろん内容も素晴らしいと思ってますので、あくまでも一つです^^)
丁寧に、かつ媚びるわけでもなく、また上からものを言うような威圧的なこともなく、常に一定の「トーン」で毎日のテーマが展開されていく、ということがいざ自分でブログを書くと本当に難しいと感じてしまいます。
こちらのブログについては、もちろん書かれている内容もさることながら、その「トーン」の一定性が、読む人間に安心感と信頼感を与えてくれます。またその安定した「トーン」が書き手の人格をも感じさせ、その人格に対する信頼感が、さらに内容に対する信頼を読み手に与えるという効果もあるのではないでしょうか。
そういう点では、ブログというのはやはり点(日々の内容)だけではなく、線での連続性によって見えてくる書き手の人格や見識というものが重要なメディアなのかなと感じております。
Commented by くり at 2007-02-21 16:17 x
oyajikamoさんに同感です。5号館さんの文章は明確でかつ落ち着いていて、いつも安心して読むことができます。
Commented by stochinai at 2007-02-21 21:55
 oyajikamoさん、くりさん。恐縮です。穴があったら入りたい気分です。今後とも、厳しく見つめていただけると幸いです。
by stochinai | 2007-02-18 23:49 | コンピューター・ネット | Comments(7)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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