2007年 04月 18日
留学生100万人計画
今の政府の目玉が教育改革なのだそうですが、このくらいメチャメチャに食い荒らされると、真面目に批判する気もだんだん失せてくるものです。実は、それが教育再生会議の本当の狙いだとしたら、それもまた恐ろしいことです。
ということで、いずれ出てくるだろうと思っていましたが、やっぱり出ましたね。今度は留学生100万人計画だそうです。
2025年に留学生100万人 教育再生会議が目標
留学生100万人計画:第2次報告に盛る方向 再生会議
たしか中曽根総理大臣の頃、1983年に約1万人しかいなかった留学生を21世紀までに10倍の10万人に増やそうという計画がありました。バブル時代ということもあり、信じられないほどの奨学金(母国に送金して留学生の家族・親族を養ってもあまるほどだと聞いたことがあります)をたくさんの留学生に与えたこともあって、この目標は計画・実施した文科省自身がおどろくほどのスピードで2003年までに達成されてしまいました。
下のグラフはここからお借りしたものですけれども、その様子をしめしたものです。折れ線グラフが留学生数で、棒グラフが投入された予算です。
バブルが崩壊した頃に予算が頭打ちになってしまったのですが、なぜかその後に留学生が激増して、2003年までに10万人を達成したということを示す、興味深いデータです。
このとき20年で10倍にできたので、今度も約20年後の2025年までに10倍の100万人に増やすことは可能だろうというのが、今度の100万人計画のようです。少子化で日本人学生数が減っているため、減った分を留学生で補填しようというのは日本産業界の要請でもあるのでしょう。しかし、日本の学生に対する奨学金が切りつめられたり、取り立てが厳しくなっている一方で、大量の予算を留学生のためにつぎ込むという政策は国民に支持されるものでしょうか。
それとも、教育再生会議・政府はこの政策と引き換えに、大学教員の数を3倍増くらいにする覚悟があるのでしょうか。それなら、受け入れられなくもないのかもしれませんが、大学教員はあまり増やさずにこんな政策を実施したら、とんでもないことになるのは火を見るよりも明らかです。
まったく教育再生会議というのは不思議な人達の集まりだと感じます。
ということで、いずれ出てくるだろうと思っていましたが、やっぱり出ましたね。今度は留学生100万人計画だそうです。
2025年に留学生100万人 教育再生会議が目標
留学生100万人計画:第2次報告に盛る方向 再生会議
たしか中曽根総理大臣の頃、1983年に約1万人しかいなかった留学生を21世紀までに10倍の10万人に増やそうという計画がありました。バブル時代ということもあり、信じられないほどの奨学金(母国に送金して留学生の家族・親族を養ってもあまるほどだと聞いたことがあります)をたくさんの留学生に与えたこともあって、この目標は計画・実施した文科省自身がおどろくほどのスピードで2003年までに達成されてしまいました。
下のグラフはここからお借りしたものですけれども、その様子をしめしたものです。折れ線グラフが留学生数で、棒グラフが投入された予算です。
このとき20年で10倍にできたので、今度も約20年後の2025年までに10倍の100万人に増やすことは可能だろうというのが、今度の100万人計画のようです。少子化で日本人学生数が減っているため、減った分を留学生で補填しようというのは日本産業界の要請でもあるのでしょう。しかし、日本の学生に対する奨学金が切りつめられたり、取り立てが厳しくなっている一方で、大量の予算を留学生のためにつぎ込むという政策は国民に支持されるものでしょうか。
奨学金支給など予算面での支援も必要となるため、再生会議は、高等教育への財政支出を国内総生産(GDP)比で現在の0・5%から各国並みの1%に引き上げることも検討する。さらに、我々大学にいるものとしては、留学生1人を育てるには、日本人学生3人を育てるのに匹敵する労力がかかるという「実感」のようなものがあります。教員もどんどん減りつつある大学に、大量の留学生が流れ込んでくるということになると、教育の質そのものが劣悪化することが容易に想像されます。
それとも、教育再生会議・政府はこの政策と引き換えに、大学教員の数を3倍増くらいにする覚悟があるのでしょうか。それなら、受け入れられなくもないのかもしれませんが、大学教員はあまり増やさずにこんな政策を実施したら、とんでもないことになるのは火を見るよりも明らかです。
まったく教育再生会議というのは不思議な人達の集まりだと感じます。
いくらなんでも無茶だと思います。
それは外国人排斥というのではなくて、今大学院生でさえまともに指導、教育しきれない現場に、数合わせのために人を送り込むというのでは、お互いにとって不幸なのではないかと思うのです。
数合わせじゃなくて、社会が留学生も暮らしやすいようにするとか、さまざまな状況を変える必要があります。今のままでは、逆に日本にマイナスイメージを持って帰国される方が多いような気がします。
教育再生会議は全然現場を見てないし、現場の声も聞きません。
机上の空論ばかり…
それは外国人排斥というのではなくて、今大学院生でさえまともに指導、教育しきれない現場に、数合わせのために人を送り込むというのでは、お互いにとって不幸なのではないかと思うのです。
数合わせじゃなくて、社会が留学生も暮らしやすいようにするとか、さまざまな状況を変える必要があります。今のままでは、逆に日本にマイナスイメージを持って帰国される方が多いような気がします。
教育再生会議は全然現場を見てないし、現場の声も聞きません。
机上の空論ばかり…
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alchemist
at 2007-04-19 10:55
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要は『高等教育への財政支出を国内総生産(GDP)比で現在の0・5%から各国並みの1%に引き上げる』ことを持続的に可能にできるか、その増えた額を現場のニーズにあわせて支出できるか、にかかっているんでしょうね。無理っぽいなあ。
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もも
at 2007-04-19 21:54
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少子化で足りなくなる医療分野の人材を、海外から、という話がすすんでいますが、肝心の海外希望者は、ほとんどがカナダやアメリカなど、英語圏を望んでいます。
学生も、同じ条件なら一から日本語を学ぶより、英語圏をのぞむのではないでしょうか。日本だけのインセンティブが、なにかあれば、ですが。
学生も、同じ条件なら一から日本語を学ぶより、英語圏をのぞむのではないでしょうか。日本だけのインセンティブが、なにかあれば、ですが。
教育学者なしの教育審議会なんて、経済学者なしの金融制度審議会とか、医師なしの医療政策審議会みたいなもので、どうしようもないことは明らかではありませんか。
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stochinai at 2007-04-21 17:54
結局、教育再生会議はブレインストーミングみたいに、あらゆる可能性を出すことが期待されているような気がしてきました。その中から、政府に都合の良さそうなものを適宜ピックアップして、教育再生会議から提言があったのでこういう政策を実行することにしましたという「権威」付けのために組織された会議です。まさに御用会議とはこれだという見本として後世に名を残すことになると思います。
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alchemist
at 2007-04-22 15:54
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言ったことが実現する訳でもない無責任な機関であれば「高等教育への財政支出を国内総生産(GDP)比で現在の0・5%から各国並みの1%に引き上げること『も検討』する」ではなく「各国の半分に過ぎない高等教育への財政支出を各国並みにすることを提言する」くらいにしても大丈夫のハズですけど・・・どうせ無視されるんだから。
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stochinai at 2007-04-23 01:34
野依さんが、時々「まともな」ことを言うようですけれども、実行させるような圧力をかけるところまではやられないのでしょうか。言ったことが無視されたらプライドが傷つくと思うのですが。
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at 2007-05-24 21:57
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by stochinai
| 2007-04-18 22:45
| 大学・高等教育
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Comments(8)