5号館を出て

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大学内に保育所

 あまりにも当たり前すぎることだと思うのですが、読売オンラインに名大が教職員・学生など対象に「学内保育所」開設へという記事が出ていました。

 「名古屋大学(平野眞一学長)は来年4月から、同大の教職員や学生、留学生を対象にした学内保育所を開設する方針を決めた」ということです。大きな大学だったら、どこでも教職員向けの保育所はあるものですが、学生・留学生をも対象としたとものについては、あまり聞いたことがありませんでしたので、画期的なことなのかもしれないと思いました。

 しかも「国立大の学内保育で、国立大学法人が設置主体となるのは全国初という」と書かれています。しかし、今まで横並びでやってきた全国の国立大学のことです。名古屋がやるなら、他でも一斉にやるのではないかと思い、調べてみました。

 まずは、足元の北大を検索。なんと、脱力するほど同じストーリーの話題が12月の北大時報に載っていたのでした。 お知らせ「子どもの園保育園(仮称)の設置等について」です。

 「このたび,本学の中期計画に基づき,育児にあたる必要の生じた本学の職員や大学院生,ポストドクター,外国人研究者等が安心して就労又は就学できる環境を整えるため,平成17年度から「子どもの園保育園(仮称)」を札幌市の認可を得て本学が設置・運営する予定でおります」だそうです。ほとんどまったく同じ企画ですね。もちろん、悪いことではありませんので、どんどんやったら良いと思います。

 私は保育所のことは詳しくないのですが、北大の場合は札幌市の認可を受けることから、「4月1日からの入園児童は一般市民の児童も対象となっており,入園の可否は札幌市で決定されることとなりますので,入園を希望する場合は,居住地域の区役所(保健福祉サービス課)へお申し込みください」となっており、「現在職員授乳所に入所中の児童であっても,同様に申込手続きが必要と」なるのだそうです。そうなると、北大関係者が優先されるわけではなくなると読めます。

 これって、地域のためにはなるかもしれませんが、北大の教職員・学生にとっては大学のそばに認可保育園ができたのとなんら変わらないということになります。北大が自らの費用を使って作るのであれば、北大関係者の福利厚生を優先すべきではないかと思うのですが、そこにもまた例の経済原則が働いているのでしょう。認可保育園となると、自主性を失う見返りに公的補助が得られます。なんかセコイ気がします。

 それに、そもそも保育園や託児所というものは、異常にお金がかかるところだと聞いています。ある時給非常勤の方が、「子どもを預けて働いても赤字になるだけです」とおっしゃっていましたが、そんな現実があるのに国が少子化対策に有効な手を打てないというのは、まったく不可思議な気がします。

 学生であろうが、大学院生であろうが、事務職員であろうが、若手研究者であろうが、給料の少ない大学(だけじゃないですが)関係者が子どもを持った場合には、保育料や低学年の学費はすべて無料にするという簡単な政策がどうして取れないのでしょう。

 くだらない大型工事はもうやめて、すべての予算を子どもを増やすためにまわすくらいのことをやらないと、少子化に歯止めなんてかかるわけないです。

 少子化対策なんてきわめて簡単です。子どもを生んだ方が生活が楽になる社会を作ることです。それを、子どもは将来収入源になる親の資源であるから、その成育は受益者負担で自己責任でおやり下さいなどという思想を持った連中が行政を牛耳っている限り、何百年後かに人の1人もいない日本列島が近隣のアジアの国に乗っ取られることでしょう。

 まったく、書いていても腹が立ってきます。
Commented by shok at 2005-02-08 22:54 x
少子化ですが、日本社会自体が安心して子供を産んで育てられる環境ではないことを意味してるのだと思います。
男女参画社会といいながら全然状況はかわっていませんからね。産前、産後休を取れば仕事には戻りにくいし、男性なんか制度があってもとってはいけない風潮ですからね。夜間育児所は少ないし、お金も掛かりますからね。
また子どもにとっても相変わらずの受験地獄ですからね。偏差値なくしても状況は変わらず、教育に掛かるお金は増加するばかりで、受験の低年齢化も激しくなってますからね。親は子どもの将来とゆとりを優先したいのでしょうが。子どもを多く産めない状況もありますね。
だから少子化は致し方ないのだと思います。
文部大臣も勤めた、蜃気楼前首相は子どもを産まないキャリアウーマンは将来年金を貰うべきではないといってますから。
こんな政治家が漫然と居続ける限り、日本の将来はないですね。まぁ政治かを選んでいる、日本国民が目先の利益しか考えていないのが原因ですが・・・。かといって革命を起こすような国民性でもないですがね。
Commented by stochinai at 2005-02-09 16:53
 毎日のように、母親・父親による幼児虐待のニュースがありますが、子育てをしたことのある人は思わず子どもを殴りたくなる気持ちがわかるといいます。
 そんなストレスのかかる子育てを社会全体でサポートしないで、なんとかなると思っている政府はやっぱり取り替えないとダメなんだと思いますが、なかなかそうならないですね。
Commented by 花見月 at 2005-02-10 05:45 x
保育所では、0歳から2歳までは子供3人に先生が3人、5歳6歳の小学生になる前の年の子供の場合、子供15人に先生が一人ぐらいつく感じです。子供の年齢によって、必要な人員に差があるので、額も大きく違ってきますが、保育園児一人には、最低でも月12万円ぐらい費用がかかるようです。それに対して、千葉県の某市の例ですが、現在親は、最高6万円ぐらいの費用を負担します。(年収によってこの金額は変わります)。つまり、行政の補助がない保育園に子供を二人預けると、ひと月最低24万円ぐらいはかかります。子供二人を無認可保育園に預けて働くことは、およそ、現実的ではありません。女性の平均賃金を考えると、奥さんは働きに行かず、家で子供を見るのが得なのです。
現在、日本で制度上一番優雅に暮らせるのは、子供を持たず、奥さんが専業主婦の家族です。男が働く方が、賃金は高く、奥さんには扶養控除、家族手当などがつき、年金も払わなくていいし。つまり、日本社会は、社会制度そのものが、子供をもたない、専業主婦がいる二人家族を推し進めるようになっているのです。経済的な制度は大きなインセンティブを持ちます。そこを無視して、決して社会は変わらないのです。
Commented by stochinai at 2005-02-10 21:35
 花見月さん。いろいろ教えていただいてありがとうございました。
>保育園児一人には、最低でも月12万円ぐらい費用がかかるようです。 これには、びっくりしました。それは、普通の家庭ではとても負担できない額ですね。貧乏人は子どもを持つなってことを意味していそうです。
> 現在親は、最高6万円ぐらいの費用を負担します。(年収によってこの金額は変わります)。
 これを読んで、ちょっとだけ安心しましたが、学生や院生やフリーのアルバイターだと、やっぱりきつい額には違いありません。
>現在、日本で制度上一番優雅に暮らせるのは、子供を持たず、奥さんが専業主婦の家族です。
 だとすると、政府がそれを奨励していると言って良いのだと思います。 少子化対策なんて口先だけなのですね。
 子どもを持っている、あるいは持ちたい人々は率先して政府を変える動きをする必要があるということだと思うのですが、なぜそうはならないのか考えて行きたいと思っています。
 これからも、よろしくお願いします。
Commented by ぢゅにあ at 2005-02-11 01:30 x
少子化が問題なのはわかってるけど、行政がなんとかしろというだけでは済まない根深い問題だと思います。
というのも、アメリカの保育料はめちゃくちゃ高いです。田舎でも月平均800ドル〜1000ドル。NY市では平均1200ドルです。日本のような出産一時金、児童手当、扶養手当、医療費の免除といった経済的補助は一切ありません。福祉的な面で言えば私は日本の方が至れりつくせりだと感心してます。保育園も日本の認可は低所得であれば月1万円くらいで済みますし、母子家庭や低所得者の入所は優先されています。子育てにお金がかかるのは日本だけじゃないんですよ。
お金がかかるから子供を産まないというのは、ある種思い込みのような気もします。子育てに魅力を感じない、社会がやる気を起こさせてくれないから?というのは言い過ぎでしょうか?
社会全体が子供とその親を見守るという意識はちょっと前の日本もあったはずですが、いつから日本は母親が孤独に育児をする国になってしまったんでしょう?
子育てが楽しいと思える社会づくり、がなければ行政がいくら制度を整えても無理なんじゃないでしょうか。
Commented by stochinai at 2005-02-12 15:47
 ぢゅにあさん、アメリカ現地からのコメントありがとうございます。
>行政がなんとかしろというだけでは済まない
 まったく、そのとおりなのでして、「せめて行政だけでもなんとか」という気持ちでした。何十年もかかって変わってしまった社会を変えるには、また何十年もかかりそうで、ついつい実現可能性の高いほうの「行政」に頼った発言をしてしまうの傾向については、反省したいと思います。
 貧乏人の子沢山という言葉もありますので、単にお金がないからお金がかかるから子供を生まないのではない、というのはその通りだと思います。
Commented by stochinai at 2005-02-12 15:47
続き

>子育てに魅力を感じない、社会がやる気を起こさせてくれない
  ぢゅにあさんを含め、子どもさんを育てたあるいは育てている方は、子育ての楽しさもつらさも体験しておられることと思います。一人目のお子さんを生んで育てた時に、「もう生まない」と思う人と「これなら、あと何人かいてもいいな」と思う人がいると聞きます。
 少子化問題を検討する場合には、一人目を育ててみてそのように差ができる原因を探るのが良いかもしれません。意外と、その人を囲む小さな「社会(コミュニティ)」に大きな差があるのかもしれません。そうだとするならば、そこに少子化を解決する鍵がひそんでいることになります。

 おそらく、子育てが楽しいと思えるコミュニティの復活なんでしょうね。
Commented by ぢゅにあ at 2005-02-13 02:02 x
立て続けにつみません。ちょっとだけ補足させて下さい。北大の保育園なのに一般にも開放うんぬんの件について、入所できるかどうかは自治体の裁量にかかっています。北大関係者であるということは、優先理由のひとつになると思いますので、それほど危惧することでもないように思います、とあくまで私見ですが。
話かわって蛇足ですが、成田空港での体験談です。子連れで入国審査の長い列で待っていた時、見かねた審査官が列に向かって、「小さなお子さんがいらしゃいますので先に通してあげて下さいませんか?」と言ってくれたんです。とたんに列から「並んでるのはみんな同じだ!」「そんなの不公平だ!」「そうだ、そうだ!」の罵声が。(ほんとの話ですよ!)あきらめて外国人の列で同じことを頼んでくれたのですが、みんな「どうぞどうぞ」って。こんなんでいいのか日本!ってちょっと悲しいものがありましたね。
Commented by stochinai at 2005-02-14 10:23
 列の扱いについては、日本人は下手だなあっていつも思います。最近は銀行のキャッシュコーナーなどは並ぶのは一本だけにして、先頭の人は空いたATMに分散してアクセスするようになりましたけど、昔はATMごとに並んで、早い遅いの差がひどくてみんなが不快な思いをしていました。
 スーパーのレジなんかでも、カゴ二つ分ある人の後に、ドリンク一本だけを持った子どもが並んでいたりしても、見て見ぬふりをする人がまだまだ多いですね。逆に、譲られる方もなれていないのか、先日の近くのスーパーで弁当を一つ持ったおじさんにお先にどうぞ、って譲ろうとしたら断られてしまいました。
 日本人の持っている「公平感」って、ハンディを認めないところがあるのかもしれません。だから、大人でも子どもでも並ぶ時は並ぶことを要求されて。車いすが優先される社会というのは歓迎されていないのかもしれません。だいたい、ゴルフやボーリングのハンディが持つ社会学的意味も理解されていないんじゃないでしょうか。
 アメリカ占領軍が民主主義を導入する時に、日本人の心を教育することを忘れて形だけ入れた後遺症でもあるんでしょうね。
Commented by stochinai at 2005-02-14 19:35
 今日配信された■萬晩報 コラム配信ジャーナリズム■ http://www.yorozubp.com/の「読者の声」に米国在住の専業主婦さんの投書の中に、日本でたくさんの子どもを生みたくない理由というのが書かれていました。(ネットではまだ読めないようなので転載します。)
 「子供と荷物を両脇に抱えている時にお店などのドアを開けてくれる人はいるでしょうか? 乗り物の中で赤ちゃんを抱えているお母さんに席を譲ってあげるでしょうか? 子供は「うるさい存在」と思っている人がどれほど多くいることでしょうか? 子育てに関わっている男の人がどれくらいいるでしょうか?」
 アメリカだと「赤ちゃんを連れて外出するといろいろな人が寄ってきてかわいがってくれます。こちらがびっくりするほど子供のことをよく誉めてくれます。そして見ず知らぬ人でも荷物を運ぶのを手伝ってくれ、子供が愚図れば「いないいないばぁ」をしたりして笑わせてくれます。そして、「こんなすばらしい子供がいて、あなたは幸せね」と人々は当たり前のように口にするのです」とのこと。これは多くの日本人が経験することのようですね。
 そういえば、アメリカでは養子もごく普通にありますよね。
by stochinai | 2005-02-08 21:41 | 大学・高等教育 | Comments(10)

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