5号館を出て

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M姫と10人のこびと

 M姫さまのご要望により、普段は森に隠れているこびと達が招集されました。お互い、文字だけでしか知らなかった人、文字ですら知らなかった人もおられたようですが、私がかつて経験したことのある1980年代のものとほとんど変わらない「オフ会」が再現され、「パソコン通信」の時代からネットにかかわっているものにとっては、別の意味での感慨もありました。

 当時は、コンピューターを電話回線につなぎ、掲示板のようなやり方で話をするというのが一般的でしたので、普段はそこでつながっている人達が出会うと、たとえ初めてあったとしても、お互いいろいろな情報を共有していますから、すぐに古くからの知り合いのように打ち解けることができることに不思議な思いを持ったものです。

 もちろん、今のオフ会も似たようなものではあるのですが、参加するメンバーが当時はいわゆる「コンピューターのハード・ソフトに詳しいオタク」ばかりだったのと比べると、まったく普通の人々の集まりになっているところが全然違います。

 当然、話される会話も当時はコンピューターとその周辺技術の話題が中心だったのですが、昨夜の会ではそういう話題はひとつも出なかったと思います。もはやコンピューターを使って人と人がコミュニケートすることが、技術についての知識がほとんどなくても可能な時代になり、コンピューターが透明な「メディア」の位置に後退したことを意味しています。

 コンピューターを使って行われるコミュニケーションの内容のほとんどが、コンピューターとは関係ないものになってきているということは、ネットが人と人が自分の伝えたいことを伝えあう「普通のメディア」になったということです。そして、そのつながり方が、昔のように特定のサーバーにみんなが集まってコミュニケーションするという「閉じた」やり方以外にも、ブログなどを使って、世界に「開かれた」形で双方向のコミュニケーションするというやり方が一般的になっています。

 このやり方は、潜在的にはとてつもないパワーを秘めていいます。毎日数人から数十人しかアクセスしないブログの場合には、友達同士のつきあい程度にしか見えませんが、理論上は毎日数万から数十万のアクセスを得ることも可能で、そうなるとまさに中規模のマスコミの領域もカバーするメディアになってしまいます。さらに、それぞれのブログコミュニティが連鎖的につながっていくという、波紋のような連鎖が起こると、日本中に情報が伝搬することも意外と簡単に起こり得ます。

 というわけで、意識するとしないとにかかわらず、インターネットを介したコミュニケーションは日に日に我々の生活に深く関わってくるようになっており、それを考えると、ただ楽しんでいるように見える我々のブログも、いずれは我々の生活に直接影響を及ぼす存在になるかもしれません。

 そうなった時にはどうしても、ネットを介したつきあいと、生身の人間同士のつきあいをすりあわせる必要が出てくるものと思います。そういう意味では、ネット上のつきあいと、リアルな現実でのつきあいを時々マッチングさせておくということが、後々意外と大きな効果を持ってくるのかもしれません。

 まさか、M姫はそこまで考えて「オフ会に出てこいや~!!」と我々に招集をかけたのではないと思いますが、M姫の行動は後になってみるとすべて大きな意味を持つことになるという「妖精の第2法則」(by 5号館)の存在を考えると、今後もM姫の言うことには逆らわないほうがよろしいかと存じます。

はじめてのオフ会無事終了!(by M姫さま)
M姫様のオフ会 (by 信濃さん)
M姫の「出てこいや~!!」 (by Salsaさん)
Commented by M姫 at 2007-05-19 22:19 x
ふふふ。2000年代のいま、はじめてオフ会を経験し、予想以上に楽しい会となって大変満足でございます。M姫の行動は、全て動物的な“野生の勘”によるものです。でも自分の勘には結構自信があります。ところで、『妖精の第1法則』もあるのかしら?
Commented by stochinai at 2007-05-19 22:34
 「第1法則」は、、、、おっとっとっと、論文で発表するまでは、秘密です。
by stochinai | 2007-05-19 16:19 | コンピューター・ネット | Comments(2)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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