5号館を出て

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ポスター発表のための10の簡単なルール

 今日は日本の中央部は雨が降っていたりしたようですが、出発地の九州と到着地の北海道は良い天気でした。

 2時過ぎに札幌着いたのですが、いままで北海道大学の正門の写真を撮ったことがなかったことに気がついたので、意味もなく撮してみました。
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 福岡も酷暑という感じではありませんでしたが、さすがに札幌の初夏はさわやかです。

 研究室に着いて新着論文をチェックしていたら、PLoS COMPUTATIONAL BIOLOGY に、「良いポスター発表をするための10の簡単なルール」という論説が載っていました。すでに、ポスター発表を終わった人には「何をいまさら」と思われてしまうかもしれませんが、学会を思い出しながら読んでみました。

 今回の学会でも素晴らしいポスターもたくさんありましたが、明らかに読んで欲しくないオーラを出しているポスター、パワーポイントやワードのページを並べただけのポスターなどもたくさんあり、やはり発表するならば発表する人と、読んでくれる人の両方のためになるものであって欲しいと思います。この論説に書いてあることは、ごくごく当然のことばかりですが、改めて整理しておくのは悪くないと思いますので、余計なお世話ですがメモしておきます。

 「ポスターというものは、あなたの研究のスナップショットであり、それを前にして他の研究者とディスカッションをするためにある。もしも、ポスターの前にあなたがいないとしても、それを見た人をもっと知りたいという気にさせなければならない。」

 それでは、効果的なポスター発表をするための10の簡単なルールを見ていきましょう。抄訳というよりは、意味を抽出したつもりです。

Rule 1: Define the Purpose 目的をはっきりさせよう

 研究の目的ではなく、そのポスターを見た人にどうして欲しいのかという目的です。議論をして欲しいのか、何かを教えたいのか、共同研究者を探すのか、ともかくなんのためのポスターを作るのかを考えよう。

Rule 2: Sell Your Work in Ten Seconds 10秒で売り込め

 自分の研究を売り込むためのポスターですが、あなたに与えられているのはエレベーターの中でたまたま乗り合わせた人に自分を注目させるのと同じくらいの時間です。研究を始めるにあたっての疑問はなんなのかについて、単純明快に書いておきましょう。

Rule 3: The Title Is Important タイトルはとても重要

 人はプログラムに載ったタイトルしか見てこないものです。タイトルには、Rule 2 で書いた疑問、研究の目的、そして何かわかったのかということが示されていると良いでしょう。いろんな人がいますので、そういう人に向けたタイトルは新聞記事の見出しと同じように、短く、シャープで、ぐっと惹きつけるものにしましょう。

Rule 4: Poster Acceptance Means Nothing ポスターを出したからといって安心しない

 ポスター発表は、ほとんどの学会で無審査で受け入れられますので、発表しただけでは、それが学問的に認められたわけでもなんでもないということを自覚しておきましょう。

Rule 5: Many of the Rules for Writing a Good Paper Apply to Posters, Too ポスターといえども論文を書くのと同じ決まりがある

 見に来る人がどういう人かはっきりと自覚して、レベルに合わせたポスターにしましょう。専門家ばかりではない人も来るのならば、論文の要旨と同じように研究の動機、仮説、結果、結論をはっきりと書いておきましょう。

Rule 6: Good Posters Have Unique Features Not Pertinent to Papers ポスターには論文とはまったく異なる作り方をしなければならない面もある

 論文に比べると分量が圧倒的に少ないのですが、内容を精選してしかも言いたいことや論理の流れは論文と同じように維持されていなければなりません。ポスターはちょっと離れて眺めるものですが、研究者がグッと前に出てくることができるものでもあります。ポスター発表のうち、記録として残るのはタイトルと要旨くらいで、後は忘れ去られるものですから、時には論文では書けないような大胆なことを言うことも許されます。そうした特徴を生かして、ポスター発表を活用しましょう。

Rule 7: Layout and Format Are Critical レイアウトやデザインが決定的

 キース・リチャード(知ってますか?)がもし良い画家は、キャンバスを埋め尽くすように描いたりはしない。自分の音楽でも沈黙の部分が大切だ、というようなことを言っているそうです。ポスターにも空白を残しておきましょう。見る人の目の動きを誘導するような、矢印や番号などの工夫も必要です。他の人のポスターを見て、いろいろなことを学びましょう。そして、決して24ポイント以下の大きさの文字を使ってはいけません。

Rule 8: Content Is Important, but Keep It Concise もちろん中味は重要なのですが、簡潔に表現しましょう

 ともかく文字数を減らして、図やグラフに置き換える努力をしましょう。ひとつのグラフは何百もの単語に匹敵する情報を与えます。図はパッと見てもわかるし、詳しく見ようとおもったら詳しい情報も得られるように描かれているのがベストです。要旨のあとに、簡潔明瞭な結論があるのも、人目を引きます。

Rule 9: Posters Should Have Your Personality ポスターには自分の個性を

 伝統的に無味乾燥な論文と違い、ポスターには自分の個性を出すようにしましょう。見た人が「ン」と思って寄ってきて、あなたと話したがるようなものにしましょう。そこから、共同研究が始まることも多いのです。ポスターの上に自分の顔写真を貼っておくのもいいでしょう。趣味や興味を書いたりすることも許されます。

Rule 10: The Impact of a Poster Happens Both During and After the Poster Session ポスターの効果はポスターセッションの間だけではなく、後になって出てくる

 ポスターセッションの間は、「お客さん」を引き寄せる努力をしましょう。ひとりが興味をもってくれると、どんどん人が寄ってきます。だからといって、うるさくつきまとわずに、静かに読んでもらいましょう。そして、アイコンタクトを忘れずに。

 ポスターセッションで知り合いになった人が、あなたに連絡しやすい工夫をしましょう。論文やポスターのコピーを配ったり、あなた自身の自己紹介になるウェブサイトを教えるのも良いでしょう。連絡先を教えてくれたお客さんへ、アフターサービスすることもできるでしょう。

 お客さんというのは、ポスターの中味よりも「あなた」を覚えているものです。それを忘れずに印象に残るような対応をしましょう。

 ちょっと、日本の学会と違う雰囲気もあるみたいですが、いろいろと役に立つことが書いてあると思います。まあ、ポスターセッションに限らず、より良い科学コミュニケーションをするためのルールは、意外と民間企業のマーケティングに似ているということが良くわかると思います。

 こういう才能が磨かれていけば、大学院やポスドクで科学研究をしていても、どこにでも出ていけるつぶしの利く人材になれるような気がします。

 こういうところから、職業の壁が壊れていってくれると良いのですが、、、。
by stochinai | 2007-05-31 21:37 | 札幌・北海道 | Comments(0)

風わたり泥も乾きて春の草             嵐雪


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