5号館を出て

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熱帯夜の東京で考えるバイオ燃料

 また東京に来ています。今日は、ジャンボの2階席の一番前に座りました。一瞬ですが、コックピットものぞけて、ちょっと得した気分です。
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 それにしても、このジャンボもちょっと汚れが目立ってますね。きれいにしないと、燃費も悪くなると聞きますし、何よりなんとなく乗るのが怖くなります。

 さて、東京の宿はなんと西葛西というディープなところです。このあたりは、ものすごいアパートジャングルなんですね。
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 なぜ西葛西かというと、私が定宿にしているTYインというホテルがあることと、明日講演を頼まれている国立情報学研究所のある一ツ橋まで東京メトロ東西線で乗り換えなしでいける場所ということで決めました。羽田からも意外と近く、穴場だったかもしれません。

 さて、東京は相変わらずの熱帯夜です。30℃近い中で、冷房なしで眠ることができるのかというと、安眠することはやはり無理だと思います。しかし、安眠するための冷房がまた、ヒートアイランド現象を増大させるだけではなく、全地球的に温暖化を進めているのだとしたら、根本的な考え方を変えなければならないということに、ようやく人類が気が付いてきているのが今という時代だと思います。

 ところが、数日前のWIRED NEWSに「バイオ燃料の普及で森林が絶滅?(1)」という記事が載っていました。続編「バイオ燃料の普及で森林が絶滅?(2)」もあります。

 要するに、地球温暖化を押し留めるために化石燃料を燃やすのをやめなければならないというところまでは良いのですが、その変わりにバイオ燃料を燃やすことがはやり始めていて、そのバイオ燃料がどんどん売れるので、熱帯雨林を所有するアマゾンやインドネシア地域では熱帯雨林が燃やされ、そこがトウモロコシや大豆の畑に変わっているというのです。熱帯雨林が燃やされることが二酸化炭素を増やすだけではなく、そもそもバイオ燃料を使っても二酸化炭素を減らすことにはならず、単に二酸化炭素を吸収して作ったトウモロコシや大豆を燃やす循環を新たに作り出すだけということがどうも理解されていないというところに問題がありそうです。

 takuroshinanoさんのブログにも同様の危惧「バイオエタノールに?」が書かれています。

 今考えるべきは何を燃やすかではなく、どうやって今まで燃やした二酸化炭素を空中から回収するかということなのです。

 我々は「バイオエタノールが売れる」ということで、熱帯雨林を燃やしてしまっている低開発国を無知と笑うことはできないと思います。彼らにそのような行動をとらせているグローバリゼーションの進んだ商業主義をこそ考え直さなければならないし、それは我々「先進国」の責任でもあるのだと思います。
Commented by suz at 2007-08-23 00:44 x
講師をされることを聞いていましたが明日なんですね!
受講生が羨ましいです。
Commented by さなえ at 2007-08-23 09:04 x
28度に設定しているのですが、朝、ベランダに出てみると室内よりも涼しい。こまめに屋外の気温もチェックすべきで下。東京は久しぶりに暑さ一服です。つぶやきさんがマグノリアの花のところでtakuroshinanoさんの記事「土壌に蓄積可能な炭素の量は莫大で、それらが果たしている役割(地球化学的のみならず、そこに棲息する生物に与える影響も大きいでしょう)はどうなんでしょう?」を引用して、「地球上のあらゆる土壌を有機質の肥沃な土壌に変えることで、かなりの二酸化炭素が削減されるのではないでしょうか」と書いていらっしゃいましたが、そこのところの議論がもっと聞きたいところです。熱帯雨林は腐葉土層が極めて薄く、一度破壊すると再生が難しいと聞いたことがあります。トウモロコシ畑に変えてしまうとますます自分たちの首を絞めているのではないでしょうか。
Commented by takuroshinano at 2007-08-23 22:39
TBありがとうございます。今日は東京の学会でお会いした研究者と土壌への炭素の蓄積について話をする機械がありました。土壌の専門家なのですが、森林を耕地に転換する事で土壌中の炭素量が減っていくという事が明らかなそうです。二酸化炭素収支においてもそのことは考慮されているそうです。さなえさんが指摘されているように熱帯雨林では温度が高いために土壌中の有機物量(腐葉土層もそうですね)が少ないそうです。そのため有機物を含む肥沃度の高い(養分が多いという意味で)土壌の潜在的な存在量が少なく、これが森林の開発によって失われることは、そこの植物を含んだ生態系の再構築を困難にさせていると考えられています。
 ただし、最近の研究報告例では、当初考えられているよりも植物の再生能力が高いということも報告されております。きっと、低栄養供給条件にも重鵜分に対応できる植物種が主要な構成種であるためでしょう。
Commented by SUG at 2007-08-24 09:15 x
研修会でご一緒したSUGであります。
大好評で、あとで聞いてみると講師陣も質疑に「手を挙げたいが受講生を優先しなければならなくてじりじりした」といってました。
「オープンアクセスジャパン」というウェブサイトに科学者版YouTubeという記事が載っていました。IRシステム開発の中心人物がGoogleに引き抜かれたこともあり、Googleが、GoogleScholarを超えて、研究者個人向けの論文保管・公開ホスティングに乗り出すのでないかと自分は予想(妄想)しています。どのような世界になっていくのでしょう。

http://www.openaccessjapan.com/2007/08/youtube.html
by stochinai | 2007-08-22 23:51 | 科学一般 | Comments(4)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai