IE9ピン留め

北海道でトノサマガエルが繁殖

 2日ほど前の記事ですが、北海道新聞オンライン版に北海道にいなかったはずのトノサマガエルが石狩、空知管内に生息分布を広げているという記事が出ていました。

 トノサマガエル駆除へ 道内在来種と「共存難しい」

 今年は国際カエル年ということもあってニュース・バリューがあったということでしょうが、酪農学園大学の吉田先生(野生動物保護管理学)が「駆除も含めた調査に乗り出す」とのことです。
 トノサマガエルは体長九・五センチにもなり、一九九三年ごろ札幌市、北広島市で確認されている。

 吉田准教授の研究室で調査したところ、江別市や空知管内南幌町でも見つかった。在来種とは餌の昆虫を奪い合うほか、他種のカエルを食べる食性からも吉田准教授は「在来種との共存は難しい」と分析している。
 たとえ人為的に放されたものだとしても、その地域の環境で繁殖している野生動物の駆除というものは、苦労の割にはなかなか難しいのではないかと思います。さらに、もし動物を持ち込んだのが人ではなく水鳥などだったりしたらその分布拡大は自然に起こったということにはならないでしょうか。それでも、分布が変わったことを理由に駆除するのが正しいことなのでしょうか。

 北海道にいるカエルは、エゾアカガエルとニホンアマガエルだけということになっていますが、ヒキガエルは50年くらい前には札幌近郊に住んでいた記録がありますし、函館では北海道には分布しないことになっているメダカなどと同じく古くから自然に繁殖しています。旭川にもいると聞いたことがあります。ツチガエルも札幌や旭川近郊でかなり前から繁殖しているようです。

 もともと彼らの分布は、主に気候や餌によって支配されているので、同種のカエルとの競争による分布の激変というのはそんなに大きな分布を決める要因にならないのではないかと思われます。本州にもトノサマガエルとニホンアカガエルが共存していますし、アメリカからあの凶暴なウシガエルが導入されたことによって、トノサマガエルやアカガエルが絶滅したという話もあまり聞いたことがありません。

 それよりも、やはりカエルが減るのはカエルが住める環境の変化が大きいのではないでしょうか。

 そういう意味で、北海道で本州産のカエルが繁殖しているというニュースによって、私は温暖化を考えさせられます。もちろん、札幌などでは都市化によるヒートアイランド現象による環境変化も大きいでしょうが、古くから温泉のまわりなどで繁殖する南方の動物集団は北海道でも知られています。あちこちでトノサマガエルが発見されるということは、北海道全体が暖かくなったということではないでしょうか。

 北海道では栽培不可能とされていたサツマイモが道南地方で特産物になりつつあります。北海道米がおいしいブランド米としてもてはやされるようになってきたのも温暖化の影響だと考えられています。

 そんな状況では、北海道の動物相も変わるのが当然なのではないかと思われます。調べてみると、なんと札幌の小さな川ではアメリカザリガニが繁殖しているところもあるそうです。これは温排水が効いているようですが、そのうちに分布が拡がりそうな気がします。今や、カマキリも今やそんなに珍しいものではなくなったようですし、いろいろな動物や植物を調べてみると北海道がどんどん本州化(南方化)していることが明らかにされるのではないでしょうか。
by stochinai | 2008-05-04 23:38 | 札幌・北海道 | Trackback | Comments(7)
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Commented by ぜのぱす at 2008-05-05 12:54 x
アオスジアゲハも、今や、青森県まで北上中らしいですから、そのうち北海道に上陸するのも時間の問題でしょうか?
Commented by とくめー at 2008-05-05 21:42 x
アオスジアゲハの食樹はクスノキですから、クスノキが北海道にすでに分布しているかどうかが、侵入の決め手になるでしょう。街路樹などですでに使われているんでしょうか?個人的な感覚では北海道の冬はクスノキは越せないイメージがありますが。
Commented by stochinai at 2008-05-05 22:02
 クスノキの北限が福島だという記述を見つけましたが、アオスジアゲハはすでにそれを越えて北上しているようですね。ということはクスノキそのものでなくとも、近縁の木を食草とするようになっているのかもしれません。ごく一部の栽培木を除くと北海道にクスノキはないと思われますが、食草の変換(拡張)が起こっているのだとすると、気温のバリアがなくなれば、羽のあるチョウにとっては津軽海峡を越えるのはそれほど困難ではないかもしれません。いろいろ問題はあるのでしょうが、生物が分布範囲を広げている様子を見るのは、興味深いものです。
Commented by とくめー at 2008-05-06 18:09 x
忘れていましたが、アオスジアゲハのクスノキ以外の重要な食樹としてはタブノキがあります。こちらは青森県まで分布しているようですので、食樹の拡張が起きてなくとも平均気温が上昇があれば青森まで定着するのは不思議でないかもしれません。北海道にはタブノキはないようですが、アオスジアゲハが近縁のクロモジなどの仲間を食べることができれば、北上するかも知れないと思いました。
Commented by wisdom96 at 2008-05-07 00:59
北海道の本州化・・・で思い出しました。
最近の北海道のお米がおいしい理由の一つにこの「本州化」があるようですね。新潟の10年ほど前の平均気温など水稲の栽培に関係する気象条件とほぼ同じなのが、滝川なのだそうです。
カエルもカマキリも、自分の意志ではないのですから、複雑な心境になりますね・・・
Commented by K at 2008-05-07 19:09 x
よく言われている気候温暖化は10年程度のタームで顕在化する現象ではありません。北海道の米がこの頃評価が高くなったのは、道内の農業試験場の品種育成の方々が何十年もかけて、食味の良いコシヒカリなどの本州の品種と北海道に適した寒さにも強くて極早生の従来の品種を掛け合わせ、地道に努力してきたからであり、科学の勝利です。
Commented by stochinai at 2008-05-07 19:33
 「地球温暖化」が本当か嘘かはさておき、米の件は私もホクレンの方から直接うかがったことがあります。もちろん、品種改良の努力は間違いなく大きいとは思いますが、ここ数年、新潟や仙台の米が夏場の高温にやられて品質が落ちているという現象があるとおっしゃっていました。

 アオスジアゲハの北上はネットで見ても追跡できるほど、関東→東北→青森と急速に進んでいます。何年か後にふたたび寒冷化して、北上した動物が絶滅したり、北海道も冷害にやられたりという可能性も充分あると思いますが、とりあえず非常に短い時間単位で「変なこと」が起こっているのは感じられます。

 地球規模で考えると、100年待たなければ結果は出せないというのも「科学」かもしれませんが、100年後に生きている人はほとんどいないのですから、こういう時の「正しい姿勢」は本当に難しいと思います。
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