5号館を出て

shinka3.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

Blog Action Day :テーマは貧困

 右下にバナーを貼っておりますが、本日がブログ・アクション・デーです。昨日はオープン・アクセス・デーでしたが、ウェブのおかげでこうした国際的なイベントが簡単に開催できるようになったのは喜ばしい限りです。現時点で9394サイトが賛同の登録をしているとのことで、すでに10000以上のアクション(ブログ・エントリー)などがあったとされています。読者はなんと1000万人以上!
Blog Action Day :テーマは貧困_c0025115_1951294.jpg

 さて、そのブログ・クション・デーですが、基本的にはブログで「貧困」に関するエントリーを書いてくださいということなので、書いて私もアクションを1つ追加したいと思います。

---

 「高学歴ワーキング・プア」という言葉が市民権を持ち始めた日本ですが、いわゆるポスドク問題で注目を集めているポスドクの実態調査が先週くらいに発表されてニュースになっていました。

 ポスドク満足度、雇用待遇で二分-文科省が実態調査
 「ポスドク(博士研究員)の任期は平均2・7年で、研究活動には大部分が満足し、平均月給は約30万6000円」―。文部科学省の科学技術政策研究所が国内のポスドクに対し、インターネットを通じて研究活動と生活実態調査を行い、こんな結果が明らかになった。
 この記事を読む限りは、貧困とはほど遠いリッチなポスドク像が浮かび上がってきます。

 そうなのでしょうか。

 この調査の報告が概要とともに、文部科学省科学技術政策研究所のサイトで公開されています。(情報は、Science and Communication さんに教えていただきました。)

 プレス発表資料
 ポストドクター等の研究活動及び生活実態に関する分析

 中を見るといろいろと考えさせられることはたくさんあるのですが、第一に挙げなければならないのは、その不安定性でしょう。「現在の任期期間中の所属年数」というグラフがあります。
Blog Action Day :テーマは貧困_c0025115_1919870.jpg
 それがポスドクというものだと言ってしまえばそれだけですが、同じ場所に4年以上続けて居る人がほとんどいません。ポスドクの側でも3年くらいで良いと思っている人が多いことも事実ですが、5年以上勤めたいという人がその次に多いという結果も出ています(図3-8)ので、その間にギャップがあると思います。

 さて、本題の給料です。
Blog Action Day :テーマは貧困_c0025115_19234328.jpg
 60万円以上もらっている人がいるのにはびっくりですが、いわゆるスーパー・ポスドクでしょうか。報道では平均が30万円となっていますが、約半数は30万円未満です。20万円以下だと、プアの領域にはいるかもしれません。いずれにせよ、平均値というのは印象をぼかしてしまいますね。

 また、平均年齢は33歳くらいなのですが、配偶者ありが420名なのに対して、無しが615名です。さらに、配偶者ありのうち、子どもありが197名と半数以下です。ここらあたりにも、ポスドクの置かれた環境を推測させるものが感じられます。

 さらに、ちょっと恐ろしいデータがあります。ポスドクを長く続けていると、論文ならびにファースト著者での論文作成効率にリニアに落ちてくるのです。
Blog Action Day :テーマは貧困_c0025115_1936253.jpg
 常勤のPIになっていれば、その頃には自分で後進を育てながら論文を書き始めるので、この低下は問題にならないのかもしれませんが、これから職(特に研究職)を探そうという立場に立ったら、これは先へ行くほどだんだんと競争力が落ちるということを意味しているかもしれないと思うと、ちょっとつらいデータです。研究というものは、最初はグーンと進み、深くつっこもうとすると段々と時間がかかるようになるものです。そして、体力も落ちてきますから、このグラフには現実味を感じます。

 さて、この調査結果から読みとることができなかったことは、ポスドクを終わった後に、彼ら・彼女らはどうなるのか、ということです。

 ポスドク時代には、確かに苦労はしているのでしょうが、それなりの給料をもらい、それなりに充実した研究生活を送れており、とてもワーキング・プアなどとは比べものにならないことは明らかに示されているとは思いますが、彼ら・彼女らの将来像が浮かび上がってこないということはどう考えたら良いのでしょうか。

 多少、こじつけになってしまいますが、現在職を得ているいるポスドクは貧困とはいえないものの、彼ら・彼女らが描くことのできる「夢」について考えた時、それはまさしく貧困な未来図しか思い浮かばないという状況ではないのでしょうか。

 彼ら・彼女らに必要なのは、今日の生活費ではなく、明日の夢なのです。


Commented by K_Tachibana at 2008-10-15 21:00 x
TBとブログ記事の引用をいただきありがとうございます.

日刊工業の記事は,政策研のプレスリリースの引き写しですね.
逐一報告書の内容を読んで記事を書けるほどの時間がないのかも知れません.

ポスドクを終わった後にどうなるかは,報告書をまとめた政策研のかたも情報をもっていないと思います.この報告書をたたき台として,議論してほしいということなのでしょう.
Commented by MusignyBlanc at 2008-10-16 11:12
どこかで読みましたが、一般的に日本男性の所得額と婚姻比率は明らかな相関があるらしいですね。所得が高い方が、結婚する年齢が低くなる傾向があるそうです。

ポスドクの場合、平均の所得額は必ずしも低くはありませんが、婚姻比率が低く、子供ありの比率も低い、というのは、「任期付き」故の将来に対する不安・不確実性のせい、とも言えるのではないでしょうか?

結局、ポスドク一万人計画の出口が、まだ見つからないことが、遠因としてあるんでしょうね。ポストの数からいって、全員がアカデミックポジションに残ることはできないのでしょうから、別の道に行くこともできるようになればいいのでしょうが、まだ大きなルートが見つかっていない、いうことでしょうか。有能な人材がたくさん埋もれているはずですから、何とか良い解決方法を見つけないといけませんね。
Commented by 元ポスドク at 2008-10-16 13:52 x
 ポスドク問題で大学側ができることは一つだけで、人事を公正なものにして、今いるダメ教員をくびにすることです。
ポスドクが多すぎる問題は解決しませんが、優秀な人が就職できないことは防げますし、全体のレベルも上がりますし、優秀な学生が院に行かなくなることも防げます。
 どうしたらいいのかと本気で考えるのなら自分たちがしんどくなるこういう事も考えてください。
Commented by あふらっく at 2008-10-16 14:22 x
ポスドクの場合、月給30万でもボーナスなし、各種手当てなし、福利厚生なし、残業代なし、任期制ですから、一般的な月給30万よりは相当低待遇とみるべきでしょうね。
Commented by コメント at 2008-10-16 20:13 x
元ポスドクさんの言われる公正な人事には賛成です。

但し、ポスドク問題で、もう一つできることがあります。大学院定員の削減です。

ポスドクも院生も教員も、出来の悪い奴には辞めて貰う必要があるでしょうね。また、出来の悪い大学院生に、学位を垂れ流すのは、禁止すべきです。

ポスドクの給与は、かつてオーバードクターが溢れた時代に比べると随分恵まれています。国際比較をしても、決して安い給料では無いと思います。
Commented by 一言 at 2008-10-16 22:13 x
>今いるダメ教員をくびにすることです
それは労働法上、無理。
そういうこともわからないから、ポスドクは世間知らずと言われるのである。
Commented by naka at 2008-10-16 23:17 x
> >今いるダメ教員をくびにすることです
> それは労働法上、無理。
全てのアカデミックポストをポスドク同様に任期制とし、採用・再任等の審査を厳格にするべき、という意味ではないでしょうか?
個人的には、それもあまり現実的ではないと思いますが、、。

既得利権を手放すのは難しいだろうし、優秀なポスドクが晴れてアカデミックポストを取っても、いつまでも落ち着いて長期的な研究ができないのも問題だと思います。
Commented by SR at 2008-10-17 05:04 x
> ポスドクの給与は、かつてオーバードクターが溢れた時代に比べると随分恵まれています。国際比較をしても、決して安い給料では無いと思います。

確かにポスドク天国アメリカもポスドクの給料は安いですが、あくまでtemporaryなものと割り切ってがんばれば将来に希望がもてるので、いいわけです。といっても、アメリカ人もポスドクやりたがりませんが。

> >今いるダメ教員をくびにすることです
> それは労働法上、無理。

同じ大学内で事務系などに配置転換する等のことはできないですかね。民間ならクビも左遷もあります。大学自体が生き残りのかかっているご時世に、アイデアも情熱も枯渇した教官をおいておく余裕があるのでしょうか。
Commented by とおりすがり at 2008-10-17 08:35 x
実力のないポスドクがそれでもアカデミックの世界にこだわってしがみついている様を表しているだけではないのですか?特にファーストの論文が減るというくだりは。どうして実力がない者に実力の求められる職が与えられなければならないのでしょうか。
Commented by MusignyBlanc at 2008-10-17 10:58
大学院の定員を減らせば良い、というお話が上の方でありました。
確かにそれで、現在のポスドクの厳しい雇用問題は、長期的には解決するかもしれません。
ただし、日本のサイエンスの発展のためには、裾野を広くしておくことも大切です。間口を狭める、入ってくる学生さんが少なくなれば、おのずとトップレベルのサイエンティストへと成長する人の数も減るでしょう。

だとすると、やはり博士を取得してからもっと企業へと行きやすくするか、あるいはポスドクから企業・官公庁へと行くようなルートを開拓するか、あるいは(上に述べられていたように)能力のないダメ教員をクビにするか、ということになるでしょうね。

しかし、ダメ教員に限って古株だから、任期制じゃなかったりするんですよね。法律上、クビが難しい。ただし、SRさんの言われるような配置転換なら可能かもしれない。
三菱化学生命研では、かつてそのようなことがなされたと聞いています。(今では、この研究所自体の閉鎖が決まってはいますが。)
Commented by ダメ教員 at 2008-10-17 16:58 x
ふっふっふ。「有能」と思われた者を雇っても科研費採択率20%ではかなりの者が落ちこぼれる。それを無理に首切りするようなら、捏造、銅鉄実験ばかり流行る。まあ、今の大御所さんたちも銅鉄実験で成り上がった者や再現不能実験で出世した者が多いから、批判はできまいが。
Commented by 通りすがり at 2008-10-17 18:01 x
> 日本のサイエンスの発展のためには、裾野を広くしておくことも大切

一般論としては、裾野が広いのは望ましいですが、裾野にどんな人がいるかにも依ります。

例えば、ノーベル賞受賞でGFPが騒がれているのに、大学院入試で
「GFPは緑色の蛍光を出す」
と答えられない様な学力でも、旧帝大の大学院に入学できたりします。

こんなレベルの人で裾野が広がっても意味が無いです。

悪貨が良貨を駆逐し、有能な人がアカデミックを目指さなくなった気がします。
Commented by drteachsci at 2008-10-17 18:42 x
根本的な解決になるかどうかわかりませんが、
①大学院生数を減らす
②アカデミックポストを増やす(研究専門スタッフと教育専門スタッフに分けて)
が良いのではないでしょうか?
しかし特に生物系においては①のように大学院生は減らさないでしょうね。実際の実働部隊である大学院生が数多くいないとデータがでなくて既得権を持つ人々にとっては困るから。大学院生はタダで実働するので何としても数を減らしたくないはず。
②研究専門と教育専門と分野を分けてみては?大学教員(任期の有無に関係なく)は研究室に在籍する大学院生に修士なら修士なりの、博士なら博士なりの教育指導を行う義務があります。しかし、現状は(研究室によって大きく違いはあるでしょうが)教育指導を放棄しています。これではノーベル賞受賞者を30人輩出するだの言ってられません。
本当に日本の科学技術を発展させ優秀な人材を輩出して国際競争力を高めるならば、既得権を持つ人々自身が思い切って既得権を放棄してゼロから始めるくらいの「改革」をするべきです。
Commented by 元ポスドク at 2008-10-17 21:11 x
 何か再燃してしまいましたね。
僕も大学にいたときなら、良識派のとちない先生のブログにこういう書き方はしなかったのですが、外に出てみると大学の常識は世間の非常識なんですね。大学人には責任感・倫理観というものが決定的に欠けています。それはここのコメントにも良く現れていると思います。
 例えば、世間では自分が悪くなくても会社が潰れれば無職です。強制的に責任を取らされるのです。そういうことが絶対にないと思っているから、「・・・は無理だから」「・・・は非現実的」という言葉で逃げてしまう。組織にいる人間にはそれなりに組織の社会に対する責任があるのです。
 私も大学にいたので実際に無理とか非現実的であることは良く分かっているのですが、それが大学の中から外に向かって恥ずかしげもなく言えることではないのです。それが如何に無責任であるかと言うことをよく考えて欲しいと思います。首にならないと言う特権を持っているのなら、余計に大きな責任と義務があるはずなのです。
Commented by drteachsci at 2008-10-17 21:54 x
そもそもポスドク一万人計画にしろ、大学院重点化にしても、結局は既得権を持つ人たち中心に構成される中央教育審議会委員の人たちによって唱えられた政策ではないでしょうか?
つまり既得権を持つ人たちが、自分たちは余り傷付かないまま、既得権益を更に増やせる方法を唱えて政策にしたのではないでしょうか?
大学人は、綺麗事を並べるのではなく、現状をありのままに未来の大学院生や未来のアカデミックを担う人たち、そして世間の人たちに説明する義務はあると思いますが。
Commented by ポスドク at 2008-10-17 23:37 x
既得権を言い出すと攻撃にどうしてもなってしまいますが,現実的?な策と
しては,1)全教員の給料を半分ぐらいに減らし,その分ポストを増やす,
2)減った分の給料は最大現基準まで科研費から補充できるようにする,
3)また,担当授業なども科研費からある程度出せば免除できるように
する,4)そのお金で非常勤なども雇うことができる,5)大型トップダウン
助成は先細りにして,科研費を増やす,4)それによって,個々の研究者のすみわけ(研究か教育か)を促す. というのはどうでしょうか.ほとんど米国のシステムそのままですが,実感として,このシステムは悪くないと思うのですが.
Commented by 一言 at 2008-10-17 23:48 x
>民間ならクビも左遷もあります

民間でもそう簡単にクビや左遷はできません。
それからポスドク1万人計画はアカデミックの世界からではなく、産業界から出た話ではなかったでしょうか?
Commented by SR at 2008-10-18 04:39 x
>>民間ならクビも左遷もあります
>民間でもそう簡単にクビや左遷はできません。
企業はクビとか左遷なんて露骨な言葉は使わず、再構築(リストラ)という言葉を使います。希望にそぐわない異動は普通にありますし、早期退職制度もありますし、部門ごと子会社化して切り離すなんてこともあります。個人的には大学も早期退職制度を導入すれば意外といいかもなんて思うのですが、やっぱり無理ですかね。

>現実的?な策としては,(以下略)
ポスドクさんのアイデアはいいとは思うのですが、グラント審査の公平性が大前提ですね。『切磋琢磨するアメリカの科学者たち』を読むと、グラント審査の公平性こそがアメリカ科学の生命線として最重要視されていることがわかります。もちろん審査する側も、される側も膨大な労力を要求されます。そこの部分を改革せずに、おっしゃるような改革をしてもうまくいかないかなと思います。
Commented by 通りすがり at 2008-10-18 07:20 x
(重点化前)
大学院博士前期は入試倍率3-4倍。。博士取得率は6割程度)。アカポスの応募倍率は20-30倍。博士取得後は無職(OD)か海外ポスドクが普通。
(重点化後)
大学院入試は倍率1倍。博士取得率は9割。国内ポスドク制度もある、無職(OD)はいない。アカポスの応募倍率は40-100倍。

上記を元に、大学院受験→アカポスに就くまでの倍率を計算すると。。

大学院重点化前。
3倍(入試倍率)x 1.6倍(博士取得率6割)x 20~30倍(アカポスの倍率)
=96~144倍

大学院重点化後
1.2倍(入試倍率)x 1.1倍(博士取得率9割)x80倍(アカポス倍率)=
105倍

上記は概算だが、大学院受験→アカポスの選抜の倍率は、今も昔も変わらない。どの段階で人を選抜するかの問題だ。

小中高の教員採用試験でさえ10倍以上の難関。落ちた人のケアなどない。それを考えると、ポスドク後は自己責任ではないのか。嫌なら、かつての様に、海外ポスドクに挑戦してみてはどうだろう。
Commented by 通りすがり at 2008-10-18 07:53 x
ポスドク問題は、アカデミックへ進む人の選抜が、高齢になってからなされることだ。

年功賃金ではないアメリカなら「30代のおっさん」でも、新卒に近い職があるが、日本では難しい。上に出ている統計資料はアカポスを夢見てしがみつくポスドクの姿を現していろと思う。

日本ポスドクは、アカデミック至上主義を叩き込まれて、頭の切換ができない人が多い。。アカポスですら使いにくいと感じるから、民間企業でツカエない。悲しい現実だと思う。

ポスドク問題を人の選抜の問題として捉えると、対策は、博士取得を厳しくし、大学院を出る段階で厳しく選抜し、一定のレベル以上に人にだけ博士の与えることだろう。早い段階での選抜しかないと思う。

給料を削ったり、ワークシェア的な事をしても、問題の解決にはならない
Commented by ダメ教員 at 2008-10-18 10:02 x
まあ、私が言うのもなんですが、各段階での選抜を強化することですかね。博士取得を公表論文なんでも1報じゃなくてインパクトファクター5以上2報、助教で5以上4報、准教授は10以上2報+5以上6報、教授で10以上5報+5以上10報とか。昇進はすべて他大学・機関へ移動。基準がはっきりすれば、早めに諦める人も多いと思うよ。

それでもこの経済状況と少子化で、こんなに博士や大学は要らないね。
Commented by ポスドク at 2008-10-18 10:42 x
とにかく削れ,いらない,という意見ばかりですね.終末思想的になって
しまう現状は私自身理解できていると思うのですが,それでは希望がな
いというところは変わらないでしょう.通りすがりさんの意見もただの数字
遊びにしか見えません.実数の問題なのに,率で計算してどうするので
しょうか.
私自身,米国で独立して(教育義務がないという意味でポスドクみたいなものとおもっていますが)やっていますが,グラント獲得は相当大変な
ものの,希望があるから続けられます.ですから,日本が嫌ならアメリカ
に行ってしまえという個人行動レベルの意見には同意します.

ちなみに,審査が米国では公正というのは少々誤解があるかもしれません.やはりコネの力は強いですし,そのための努力は必要です.公正だと思い込んでいる人はおかしな審査者にあたるなど,不幸をみています.
Commented by またぞろ at 2008-10-18 12:00 x
アメリカの話になって芸がないなとも思うのですが、アメリカでは年齢差別も禁止され、アカデミックを離れても産業界への道も日本よりずっと開けているし、公的機関やNPOにも博士やポスドクが沢山います。
とりまく全てが違いますので、一部だけもってきてもダメでしょうね。ポスドク制度だってそのやりかたで失敗したんでしょう。
Commented by 通りすがり at 2008-10-18 14:53 x
> もただの数字遊びにしか見えません.実数の問題
> なのに,率で計算してどうするのでしょうか.

実際の人数で計算しても同じことです。
「学部の学生数」と「アカポスの数」は、大学院の重点化の前後で変化がなく、増えたのは、両者の中間の「博士院生」と「ポスドク」だけです。ポスドク問題は人の選抜の仕方の問題で、「どの段階でアカポスを目指す人をふるい落とすか」です。

アカポスを目指し、ふるい落とされても、別の道がある段階での選抜が望ましいです。たとえば、米国の特許審査官は、博士号保持者が優先で、人数不足だと修士号保持者も採用します。日本は逆で、博士は敬遠です。社会の仕組みが違うのです。

まず、院生を定員削減し入り口で絞ること。それから、博士号審査を厳格化、大学院の出口で絞る(重点化前と同程度の博士号の水準を保証)ことです。この2つで、随分変わると思います。

(なお、私も、アメリカではRO1を申請できる立場でした。)
Commented by sue at 2008-10-18 18:39 x
stochinaiさん、数字・リンクも含め参考になるエントリをありがとうございました。

それにしても、コメント欄にやたらとレベルの低い議論が散見されたのが気になります。ひと様の庭でケンカをするのは避けたいので、一つ一つ指摘するのはこらえることにしますが、ポスドク、スタッフ、大学の外、どの立場から発言するにしても、もう少し話をかみ合わせる努力をしてもバチは当たらないと思いますが。
Commented by というより at 2008-10-18 19:57 x
同じような議論が何度繰り返されたことか。レベルが低いというのなら、議論の堂々巡りから脱することのできない状況そのものが低レベルというべきでしょうね。
Commented by 民間企業勤務(not研究職) at 2008-10-18 19:57 x
みなさんのコメントを拝見していて、あまり「既得権」者の反発を受けなさそうな方策として、大学教職員募集時の年齢制限廃止と公的機関での博士号取得者優先採用あたりがあるように感じたのですが、米国(と欧州?)でこれらが実現している(と理解しました)背景についての研究などはあるのでしょうか。日本でどの程度の実現性があるのか興味がありまして。
Commented by 小姑様へ at 2008-10-18 23:20 x
議論のレベルが低いとか高いとかいう書き込みはどうかと思います。世間には様々な人がいます。レベルが高くても、低くても、繰り返しでも、認めてほしいことがあれば、主張するのが海外では基本です。

不毛ならスルーすれば良いのです。

様々な人が自由に意見を言う方が、賢い議論よりも良いと思います。
Commented by 通りすがり at 2008-10-18 23:38 x
民間企業勤務(not研究職)さまが、書かれたことが実現すれば随分様子は変わるでしょうね。
Commented by 通行人 at 2008-10-18 23:58 x
そういう方針は何度となくいろんな人が言ってきたことで、でも実現するための行動がとれないからぐるぐる回っているわけで、そういうところがアカデミックの「使えない」面なんでしょうね。自由に言ってみました。
Commented by MusignyBlanc at 2008-10-19 00:07
このトビが伸びているのは、やはり多くの皆さんの関心を集めているからでしょう。

それに、ただ単に現状を嘆いているだけではなくて、「通りすがり」様や「ポスドク」様のようなコメントは、現状の分析と解決策を提案されているので、とても建設的だと思いました。アメリカの実情もふまえた、レベルの高い議論だと思いますよ。

大学院の出口と入り口を絞る、というのが、やはり一つの解決策になるのでしょうか。
ただ、いくら制度を変えたところで、全ての人が救われるわけではないでしょう。自分の周囲を見ていると、やはり個人個人の努力というか、「この世界で生き残ってやる」という気迫が最後は勝負を決めるような気がします。
Commented by SR at 2008-10-19 06:11 x
大学院の定員を絞る、学位授与を厳格化する、比較的若いポスドク・博士はアカデミックにこだわらないキャリアを考える、年齢的に厳しいポスドクはとにかく自力で頑張る、、、。これらはずいぶん前から繰り返し言われてきたことだと思います。

私が興味があるのは、このポスドク問題が大学内の会議(教授会とか??)でどのような議論のされ方をされてきたのか(あるいはされていないのか)です。ポスドク問題が社会的に認知されて大学院が敬遠されるようになってきていますが、大学内の実際の会議では人事の公正化や大学院定員やその他の問題に関して、どう話し合われているのでしょうか?外にいるとわからないのですが、興味があります。
Commented by kazu at 2008-10-19 14:01 x
やっぱりアメリカに行ってしまうのが、いいんじゃないでしょうか?
野球選手のように。



Commented by alchemist at 2008-10-19 14:14 x
大学院の定員に関して教授会での話題で出ることはありますが、重点化前のように学部学生数ではなく、現在は大学院生数に対して教員定数などが決まるようなところがあるので、大学院定数を減らして教員数を減らすというところまでは踏み込めていません。ただ、教員の定員が自動的に削減されていますので、それに合わせて院生数を減らすということは可能かも知れません。(文科省の方針次第でしょうけど)。
人事で直接関与できるのは教授選考だけですが、公正にやりたいという雰囲気のヒトが多くなっているのではないでしょうか(単に期待かも知れませんが)。准教授、助教の場合は一応このレベル以上という基準(余り厳しくはありませんが)が決まっていますので、それに応じて人事委員会でチェックして教授会に提案ということになっています。
ヨソの大学、学部のことは判りかねますが・・・・。
Commented by at 2008-10-19 22:47 x
久しぶりに発言します。相変わらず何も変わっていない状況のようですが、最近の政府関係の発表を見ていると、今回のような発表のような世論を惑わせるものが増えてきましたね。ポスドク問題は過去の問題と終止符を打つための努力がなされているように感じるのは私だけでしょうか。微力ながら米国で日本人のポスドク向けにジョブフェアを開催していますが、最近日本企業さんの姿勢がだいぶ変わってきて、採用に熱心なところが増えてきましたが、一方でアメリカに留学する日本人が減少傾向というちぐはぐな状況が生まれてきてしまっています。ちょっと残念ですね。
Commented by SR at 2008-10-20 07:33 x
alchemist先生
コメントありがとうございます。10/19のエントリーに意見を書かせていただきました。

鼎 さま
私も海外ですが、アメリカに留学する日本人が減少傾向というのが本当ならちょっと意外です。しかし考えてみたら理解できる気もします。一昔前は海外でそこそこの業績を上げると日本でポジションが見つかりましたが、現在はそこそこではダメで、かなり派手な業績が必要です。必然的に海外に行く場合は長期化、永住化を覚悟することになります。独り身ならそれも結構ですが、家族持ちだと、自分の一存では決められず、躊躇する気持ちは良くわかります。
Commented by sue at 2008-10-20 21:57 x
先日のエントリでは問題の現状に苛々するあまり、議論のレベルが低いなどと、自分から率先してレベルを下げ、口論に油を注ぐようなことを書いてしまいました。不愉快な思いをした皆様、すみません。遅ればせながら反省しております。

反省ついでに気になったことを書きますが、最近ポスドクをめぐる問題を議論するときに、キャリアパス開拓が解決の処方箋としてよく言われます。しかしそればかりでは、結局ポスドクは「業界の外に出して」解決するという方向になります。実際には研究でも教育でもポスドクの貢献は大きいのですから、そこには矛盾があります。drteachsciさんが書かれていたことに近いですが、アカデミック側で人を採っていく努力も必要なはずです。
現在、すでに大学スタッフの年齢構成はバランスが悪くなっています。このまま30代半ば~40歳前後あたりのポスドクを大学として確保できなかったら数年後に急に人材難になる業界が多いのではないですか? (→次へ)
Commented by sue at 2008-10-20 21:58 x
(→続き)

個人的な印象ですが、ポスドクの話をしていると
・緊急の対策(今そこにいるポスドクをどうするか)
・長期的な対策(制度的なものを含む)
の二つがごっちゃになる傾向があります(以前も指摘されていた方があったように思いますが)。数の問題を考えると、長期的には縮小傾向にならざるを得ない、というのは確かですが、緊急の対策抜きにそこを議論してもポスドクとしては反発を感じるでしょう。一方で今のことばかり言われても、構造をどうにかしないといけない、というのも事実です。これらは分けて、しかし平行して考えられると思っています。
Commented by じゅん at 2009-05-26 18:37 x
・長期的には大学院の定員を半分に減らす
・短期的には、ダブルスクールを奨励し、資格を取得させて民間企業へ

これで対応できるでしょう。

定員削減反対派は欧米と比べて院生が少ないとかいいますが、欧米では定員を拡大しすぎて博士号をもった運転手が珍しくないなど、明らかに過剰です。欧米のよくないところをそのまま見習うのは問題です。

修士課程も博士課程も半分に削減すれば、この問題は解決します。
また、その分税金を安くできて、納税者のためにもなります。
現在の、大学院の無意味な拡大は、税金の無駄遣いという点では官僚の天下りなどと同じですから、直ちに縮小されるべきです。
by stochinai | 2008-10-15 19:50 | コンピューター・ネット | Comments(39)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai