5号館を出て

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2006年 12月 13日 ( 1 )

 来るべき貧困状態へ備えて、我が大学も教育の合理化を始めています。特に全学教育では、非常勤講師を削減して将来はゼロにすることと、大人数教育の可能性を探るための様々な試みを行っています。

 特に、理科科目では中学高校での履修範囲の大幅削減と、高校では選択科目として履修してこない学生が大幅に増えたことを受けて、基本的には全科目が「初習者」を相手に行わなければならない、いわゆる2006年問題への対処が始まっているのです。

 そこで、私は水産系4クラス合同という200人以上のクラスを相手に行う生物学のパイロット授業に参加しております。200人以上のクラスを毎週講義するということは、真面目にやろうとするととてもひとりでできるものではありません。そこで、3名の教員と2名のTAでチームを作っています。

 水産系の場合は、6割程度が高校で生物を選択して、いわゆる生物IIBまで履修してきているのですが、残りの4割は生物を習ったのは中学が最後という学生です。昔はそのグループを二つに分けてレベルの違う生物学を教えていたのですが、それだといつまでたっても両者のレベルが並ばないことと、高校までに習う生物学は時代遅れで、最新の生物学に関して言えば全員が初習ということになること、それと教員の数が減ってきているということから、両者を一緒にして教育してしまおうというのが、「新しい大学」の考え方のようです。

 というわけで、200余名の基礎知識のない学生に、最新の生物学を、やさしくわかりやすく、しかも飽きさせないように、という講義をしなければなりません。毎回、入念に準備をして講義に望むわけで、準備も大変ですし、学生の気を惹きつけながら飽きさせないようにすると同時に、90分の講義が終わる頃までには、生物学に対する新しい知識と考察力を身につけさせなければなりませんから、それはもう大変です。

 いくら努力をしても、200余名も学生がいるといろいろと苦情も出てくるもので、講義の後に行う小テストの最後に、疑問・質問・意見・要望などを書いてもらうと、ぞろぞろと出てきます。

 私は結構、講義の中にのめり込んで話をしていますので、たとえある数の学生が私語をしていようと、それに負けないくらいのパワーとスピードで講義をやってしまいますので、学生の方が根負けして話すのをやめてしまうことが多いと思っていたのですが、それでも5人くらいの学生からまわりの学生の私語のせいで講義に集中できないからなんとかして欲しいという要望が出てきました。

 たとえ5人でも、一所懸命講義に打ち込みたいという姿勢を持った学生の意見をないがしろにするわけにはいきません。そこで、今日は私語をゼロにする試みを準備して講義に望んだところ、講義室は90分間みごとに静まりかえっておりました。

 その秘策とは、インタビュー用のマイクを2本用意したことです。そして、講義の前に「私語があったらTAがその学生のもとに駆けつけてマイクを渡すので、みんなに話を聞かせてやって欲しい。さらに、もし講義の内容に対する質問だったら、大歓迎です」と宣言したのです。実際にはマイクが使われることはありませんでした。まあ暇を持てあましたのか、いつもより寝ている学生は多かったような気もしましたが、講義室は気持ちが悪いくらい静かでした。文句を言っていた学生からは、感謝のコメントをたくさんもらいました。

 私はそこまでする必要はないと思うのですが、この方法で私語は完封できそうです。興味のある方は、お試し下さい。

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 さて、先週でCoSTEPウィークは終わっているのですが、夜は理学部大講堂でCoSTEPの拡大講義として一般に開放された「K本さんのビデオ基礎講座」を聞きに行きました。さすがに元N*Kのディレクターだけあって、K本さんのビデオ講座はとても実用的で、役に立つことばかりでした。(実は、講座のことはすっかり忘れていたのですが、Salsaさんが「行きますよ~」と迎えにきてくださったのです。ありがとうございました。)

 普段はデジカメしか使うことのない私ですが、これならビデオも撮れるかもしれないと思わせられたものです。ビデオ撮影の神髄として、私が理解したことは次のことでした。

・ ビデオ撮影では、後で編集することを考えながら、素材として使える短いショットを撮りだめていくこと。

・ ズーム・パン・ドリーという特殊ショット以外では、カメラを構えたらフレームを動かしてはいけない。

 特に、後者は目からウロコの落ちる思いでした。つまり、ビデオのショットというものは数秒間かけたスチール写真だと思って撮るべし、ということではないかと得心がいったのです。

 この理解でよろしいでしょうか。K本先生!
by stochinai | 2006-12-13 23:32 | 大学・高等教育 | Comments(6)

日の暮の背中淋しき紅葉哉            小林一茶


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