5号館を出て

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2006年 12月 21日 ( 3 )

 NHKの全国ニュースで、北海道米が全国で人気急上昇で売れ始めていると報道されれました。

 こちらにいても、北海道米がどんどん値上がりしているので、北海道米の評価が上がっていることを実感できます。これは去年くらいから、急に起こってきた現象のような気がします。

 私はあまり米の味がわからないのですが、誰に聞いても確かにおいしくなっていると言います。

 ニュースでは、品種改良や販売ルート、販売戦略による成功だと言っていましたが、実は最大の功労者は地球温暖化だと聞いたことがあります。今や秋田でもおいしい米が取れるのは県北と呼ばれる地域なのだそうで、新潟や仙台などとともに夏が暑すぎて、高品質の米ができなくなっているのだという話でした。

 要するに、北海道の気候が米作りに適するように温暖化してきたということなのでしょう。そういえば、最近「冷害」という言葉を聞かなくなりました。この調子で行けば、この先100年くらいは米を中心とした農業で北海道経済に順風が訪れるかもしれません。

 いよいよ、北海道独立の機が熟して来たのかもしれません。

 一方、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」には、「サムサノナツハオロオロアルキ」という一節があります。東北地方も当時に比べるとどんどん温暖化したのかもしれません。このままいって、北海道も米作りに適さなくなるくらい暑くなってくると、いよいよ地球の危機が訪れるということになるのでしょうか。
by stochinai | 2006-12-21 22:02 | 札幌・北海道 | Comments(6)

おいしいカキが安い

 カキがもっともおいしい季節になりました。一年で一番おいしい時期になっているにもかかわらず、カキの値段が去年の半額から4分の1という安さだそうです。

 カキを食べるチャンスです。

 もちろん、値段が安いの理由は、全国的に蔓延している「ノロウイルス(呪う居留守)」のせいです。

 テレビのニュースでは風評被害といっていますが、風評というよりはノロウイルスに対する普通の反応の結果だと思います。

 ここは、少しは健康や生物・医学的リテラシーの高い人をターゲットに、ノロウイルスにやられることなく安くておいしいカキを食べるチャンスであることと、それでもなおかつ心配があるのならば、生ガキを食べる量を減らして、残りはフライや鍋物で超安全に食べましょう、というようなキャンペーンを張って大売り出しをするのが良いのではないでしょうか。

 こういうことがあると、カキを得って生活なさっている方々は、すぐに被害だ被害だと騒ぎ立てるのですが、安全性に自信があるのであれば、ここはひとつポジティブ思考で「売り」のチャンスだと考えてみてはいかがでしょう。

 また、我々消費者の側からみると、まさに安くておいしいカキをたくさん食べられるチャンスです。

 不幸にもノロウイルス関連でなくなった方は、合併症などを併発したお年寄りが多いようです。過去にも、冬にはやった「お腹にくる風邪」というのがノロウイルスであったことも多かったようで、基本的にはそれほど深刻な死にいたる病ではないのですから、必要以上に騒ぐことは慎みたいものです。

 ワイドショー主導型のニュースをなんとかしないと、ダメですね。
by stochinai | 2006-12-21 21:21 | 札幌・北海道 | Comments(4)
 今日発行されたNatureに、イギリスの動物園で飼育されていたコモドオオトカゲ(コモドドラゴン)の卵が、単為発生をしているという報告が出ています。論文ではなく、ニュースとして書かれたこちらの記事の方が、わかりやすそうです。

 処女ドラゴンが子どもを生んで動物園は大ショック Dragon virgin births startle zoo keepers

 チェスター動物園では25個の卵から11個の子どもが発生中であることが確認されたという記事が載っています。3個の卵が壊れたので、遺伝子の検査などの実験に回されましたが、残りの8匹は1月には孵化する予定だそうです。一方、ロンドン動物園でも2年半前に22個の卵から4匹の子どもが生まれたのだそうですが、その時にもメスはオスと離されてから2年半も絶っていたので、単為発生したのではないかと疑われていたそうです。このメスは、卵を産んだのであわててオスと一緒にされると、オスと一緒になった2ヶ月後に新たに6個の卵を産み、そのうち1匹が孵化したそうです。

 この度の論文で、上の二つの「単為発生」らしいケースについて、フィンガープリンティング法で遺伝子を調べたところ、すべての子どもの遺伝子はホモになっていて、それらの個体がオスの遺伝子と関わりなく発生をした単為発生個体のメス(すべてがオス)であることが確かめられたと言っています。

 爬虫類ではヤモリやトカゲで単為発生をするものが何種類か知られていますので、コモドオオトカゲが単為発生してもそれほど驚くべきこととは思いませんが、動物園でオスなしで育てられたことが単為発生をするようになった原因だとすると、遺伝的多様性を維持しながら繁殖させたいと思っている動物園としては深刻な事態と受け止めているようです。ヘビやトカゲでも、同じような状況でメスだけにすると単為発生をしたという報告もあるのだそうで、動物園での1個体飼いという飼育方法にも疑問が出てきます。

 このまま、単為発生が増えていくと遺伝的多様性が失われるばかりではなく、メスしか生まれなくなりますから、この種からオスが消えてしまうことになります。(【補足】参照)

 おもしろい話題なのですが、いろいろな問題を提起もしているようです。

【関連過去記事】
 処女懐胎
 ミステリー・クレイフィッシュ
 メスだけの島

【補足】
 先ほどNature podcast を聞いていたら、コモドドラゴンの性を決定する染色体がZWというようなことを言っていました。読み落としていましたが、論文の中にも書いてありました。つまり、コモドオオトカゲでは単為発生で生まれた子どもはすべてがZZのオス(WWは死ぬ)になり、メスは生まれないことになります。(ヒトと同じようなXY型だと、メスからはメスが生まれるので、単為発生だけで世代を続けることができるのですが、コモドオオトカゲでは有性生殖に戻らなければ絶滅してしまいます。)

 実は、これはなかなかうまくできた生き残りのしくみで、もしも特定の地域でオスがいなくなってメスが一匹だけ残されたとしても、単為生殖をすることでオスが生まれます。そのオスと「母親」が有性生殖することで、ふたたびオスとメスとからなる個体集団を増やすことができるようになるというわけです。

 緊急避難としては、これで良いのかもしれませんが、子どもと母親が「有性生殖」しても、遺伝子の多様性は増しません。動物園が心配していることは、そういうことのようです。
by stochinai | 2006-12-21 18:38 | 生物学 | Comments(5)

今日二つ三つ朝顔の通り道          稲畑廣太郎


by stochinai