5号館を出て

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広島にて

 昨日と同じように、飛行機の中で査読の内職をしていたら、2時間などはあっという間に過ぎてしまい。今朝の札幌とは、温度差が10℃以上もある広島に到着しました。さんざん驚かされていたことが逆に幸いしたのか、広島の「暑さ」は予想していたよりはずっとマイルドなものでした。

 学会は、正式には明日からだと思うのですが、今日も夕方からワークショップと称して、広島大学医学部で勉強会がありました。残念ながら私が広島空港についたのはすでにワークショップ開始時間の5時を過ぎており、そこからシャトルバスで広島駅まで50分。ホテルに着いたのは、もう6時半でした。

 今から行っても遅すぎだよな~と思いつつも、ワークショップ終了後には参加者で懇親会がありますという誘惑に勝てずに、最後の講演だけは何とかすべて聞く時間に開場に滑り込むことができました。

 開場は満員ですごい熱気です。広島の暑さはそれほどでもないなどという、先ほどの感想はどこへやら、まるでサウナの中での講演会という感じでしたが、これはビールがうまくなるぞなどと不謹慎なことを考えていたのは、たぶん私ひとりだけだったと思われるくらい、みなさんまじめに聞き熱心に議論をしていました。

 さてさて懇親会ですよということで、バス乗り場へ向かう道すがら、昨年学会の懇親会で東大臨海実験所のA先生に紹介されたSさんが、明後日ポスター発表をしますので是非聞いてくださいと話しかけてきて、嬉しい再会。彼女は世界でも数少ない(ひとり?)ウミユリの再生研究をやっているがんばりやさんです。明後日の発表が楽しみです。

 その後にもうひとり、不思議な人を発見。北大の同じ生物学科で(今は、大学院は理学研究院と先端生命科学研究院に分かれてしまいましたが)植物の研究をしているはずのF先生。あれれ、先生こんなところで何をしているのですか、という話になりましたが実はFさんもコケの再生の研究をしているとのこと。同じ建物の上下の階にいるのに、全然知らずにいてすみませんでした。

 思い返せばFさんは、北大内でも動物や発生関係の講演会に良くいらっしゃっていて、勉強熱心だなと思っていたことは思い出しましたが、まさかそんな近い研究分野にいらっしゃったとは。まったく灯台もと暗しとはこのことですが、これで北大に帰ってからの楽しみがひとつ増えました。

 それに、発生生物学は別に動物の専売特許ではなく、そういえば昔に植物の研究発表が結構あった時期もありました。今後はFさんのような方が、どんどんはいってきてくだされれば、動物だけでは見えにくかった生物のかたちづくりの根本原則が、意外に見つけやすくなったりする可能性もあるかもしれません。

 SさんやFさんと、ウミユリや植物をまぜこぜにした話をしていてもまったく違和感がないどころか、単純に楽しいことこの上もありませんでした。自分には植物は趣味の世界の話だと思っていたのですが、こうして専門家と話すことができると趣味だけにしておくのはほんとうにもったいないと思いました。

 全国の植物関係者で、発生生物学に興味を持たれている方は、是非ともどんどんこの学会に乗り込んできてください。動物学研究者にとっても植物学研究者にとっても、win-win の関係になることは間違いありませんので、是非どうぞ!


 #さて話変わって、1年ほど前に私は「教員処分を続ける東京都(別歌詞で歌え、君が代を)」というエントリーを書いていたのですが、八国山だよりさんが31日付で「「君が代」替え歌流布」というエントリーを書かれているのを読んでびっくりしました。なかなかカッコいい英語で、ちょっと聞いていると君が代みたいにも聞こえるというすぐれものがあるそうです。君が代裁判においては、裁判所も信用できない今の日本ですから、こういう抵抗のやり方も私は断固支持したいと思います。
by stochinai | 2006-05-31 23:54 | つぶやき | Comments(3)
 今日は東京への日帰り出張だったのですが、参加しているメーリングリストで協力している本の原稿の査読が急激に大量に投稿されてきているので、今日の空き時間には内職をすることに決めていました。というわけで、行きの飛行機の中でいくつか見てあったものは、会議終了後羽田空港で電話回線からアップロードしました。

 今日は、会議が予定より1時間ほど早く終わったので、早めの飛行機に乗り換えて早く帰ろうかと思ったのですが、札幌行きはすでに満席状態でした。仕方がないので、空港内で査読をすることにしましたが、待合室で膝の上にコンピューターを載せて仕事をするのは、機内よりもつらいということで空港(羽田空港第2旅客ターミナル)内にどこか無線LANの使える店でもないかとうろついたのですが、どうも無料のフリースポットはないようでした。

 イヌも歩けば棒にあたる。うろうろしているうちに、エアポートラウンジというものがありましたので、「無線LANは使えますか」と聞いてみると使えるとのこと、しかも当日の搭乗券とどこかのゴールドクレジットカードを提示すると、フリードリンクつきの使用料が無料になるということです。なんと、私の持っている共済組合で共同加入したDCカードがゴールドなんですよね。今まで、ゴールドカードの特典などの恩恵にあずかったことはないのですが、なんともラッキーな発見でした。

 残念なことにそこで使える無線LANというのは無料のものではなく、ローミング対応のプロバイダーのものか、プリペイド式の1日500円というものだけということだったので、無料ドリンクと椅子テーブルを借りて、1時間ほど原稿の査読をさせていただきました。

 調べてみると、このゴールドカードを持っていると、あちこちの空港にある似たようなラウンジが無料で使えるようです。新千歳と広島にもありました。貧乏人の悲しさで、エアポートラウンジなど我々と違う世界に住む人が使うところだと思っていましたが、これからはどんどん利用させてもらうことにします(^^)V。

 今日の東京は、天気予報では雷雨ということだったのですが、着いた昼頃はものすごい晴天で、帰りの7時半には曇っていたものの雨にはなっていませんでした。自分で言うのもなんですが、私はかなりの「晴れ男」でして、今日もまたその意を強くしたものです。

 アウトドアなどの行事の時に、天気が欲しいときには是非とも私をお呼び下さい。

 さて、明日からは広島です。ブログつながりのHさんから、広島のつけ麺ラーメン、お好み焼き、それにおいしいパンの情報などをいただきましたので、楽しみが増えました。

 広島も昨日までの天気予報で週末は雨ということだったのですが、さっき見てみると晴れに変わってました。お天気の神様、ありがとうございます。
by stochinai | 2006-05-30 23:43 | つぶやき | Comments(2)

出張と動植物

 出張のたびに頭を悩ますもののひとつが、動物や植物の世話です。

 哺乳類や鳥類などの恒温動物は、大量に食べて大量に排泄しますから、あまり長い間世話をしないわけにはいきませんので、基本的に長期(2日が限界?)の不在の時には誰かに世話を頼まなくてはなりません。

 また、大量に食べて大量に排泄するという性質から、宇宙空間に連れていくのにはコストがかかりすぎます。それで、今までの宇宙旅行にはヒトを除くと、魚類や両生類のメダカとかカエルとかコイなどが連れて行ってもらっているのは、そういう理由があるのだと思います。もっとも最初に宇宙を飛んだ哺乳類はイヌでしたが。

 さて、話を元にもどして、少しくらい長期の旅行でもメンテナンスフリーでなんとかなる動物がいます。私が実験に使っているアフリカツメガエルなどは、どんどん餌をやるとどんどん排泄して水が汚れてしまうのですが、絶食させると排泄もとまり水も汚れにくくなります。そして、かなり長期の絶食に絶えてくれます。

 昔、学生が卒業したあとに誰も世話をしなかったアフリカツメガエルが1年後に発見されたことがあるのですが、痩せてはいましたが十数匹(数十匹だったかも)が生き延びていました。ただ、おなじ水槽に何匹か分のカエルの骨格が沈んでいたのはちょっとしたホラーではありましたが。

 というわけで、アフリカツメガエルは旅行の数日前から絶食をさせておくと、1週間くらいはまったく問題がありません。同じ脊椎動物のサカナ(メダカや熱帯魚など)も、問題なく絶食に絶えると思います。

 水草を食べてくれるザリガニなどは、生きた水草と一緒にいれておけば、それを食べてくれているようです。ただし、この場合は排泄もしますので、あまりたくさんの個体を狭いところに入れておくと危険かもしれません。

 カメなどの爬虫類も、大騒ぎはしますが比較的絶食に絶えてくれるような気がします。ただし、高い温度で飼育しているトカゲなどは、たくさん食べさせないと弱ってしまうかもしれません。

 旅行がちな人は、比較的低い温度で生育して、あまり大量に食べない動物をペットにすると良いでしょう。

 植物は多肉植物に限ります。ものによっては1ヶ月くらい水をやらないでも大丈夫(というより、あまり水をやらない方が元気なものも多い)です。多肉植物以外は、旅行直前に鉢皿にたっぷりと水を入れておけば、数日ならば北海道ではしおれて死んでしまうという事故はそれほど起こりません。

 講義の時にいつも言うのですが、生物は一回死んだらもうおしまい。そこで、生命30億年の歴史が途絶えるのです。逆に、一回も殺さずに子孫を残していくと、その先どんな子孫が生まれてくるか(進化してくるか)想像するだけでも楽しくなります。

 生物は生きているから美しく、見ていても楽しい。これが、私の生物学の原点のひとつです。

 さて、明日は東京日帰り出張。明後日からは広島に5日間の出張です。私の管理下にいる生き物さんたち、ごめんなさい。
by stochinai | 2006-05-29 23:01 | 趣味 | Comments(5)
 毎日、新聞に挟み込まれてくるチラシの半分はパチンコ屋の宣伝です。テレビのコマーシャルも(最近はちょっと少なくなったものの)サラ金とパパチンコ屋の宣伝が圧倒的に多い気がします。ということは、やはりパチンコ屋とサラ金は儲かっているということであり、利用者の数も多いのでしょう。

 わが家の近くでも、安売りショップがつぶれた跡地にパチンコ屋が建設中です。町内で若干の反対運動はあったものの、それなりの騒音対策や交通対策を講じることを条件に、結局建築が認められることが多いようです。

 私も学生時代に何回かやったことはあります。もう何十年もやったことはないのですが、休日でも朝早くから駐車場が満杯になっているパチンコ屋を見るたびに、国民的娯楽となっているパチンコの地位は動かしがたい事実だと思います。

 賭博のような射幸性があり、場合によっては依存症になる人もいるのかもしれないという説にも一理あるのでしょうが、宝くじや競馬・競輪と並んで政府が公式に認めている賭博のひとつですから、存在すること自体が良いの悪いのと言ってもはじまらないと思います。

 そんな中、定期的に繰り返されている駐車場の車の中に置き去りにされた乳幼児の事故がまた起こりました。「パチンコ店駐車場の車内で乳児死亡 両親が遊戯中」がそれです。24歳と23歳の若い夫婦が生後2ヶ月の赤ちゃんを自動車の中に置き去りにして、午前9時頃からパチンコを続け、午後3時に脱水症と熱中症でぐったりしている赤ちゃんを発見して病院に運んだものの、すでに手遅れだったというのが報道内容です。

 6時間ほどもミルクも与えずに放置したということだけでもちょっと驚きですが、そもそもほんとうは子育てなどしたくない夫婦に子どもの養育をまかせるということなど自体が、難しい時代になってきているのかもしれません。

 日の当たる自動車の中に子どもを放置するということがどういうことかがわかっていないという夫婦も困った物ですが、ひょっとする駐車した場所は午前中に入店した時には日陰だったのかもしれません。そうでなくとも、赤ちゃんがさらわれたらどうしようなどという心配もしていなかったということなのでしょう。

 少子化の中で、子どもを生むことは国として歓迎するということならば、子どもを育てる能力に欠陥のある夫婦の子育てもサポートしてあげるのが国の責任なのかもしれません。

 恐らく法律なのだと思いますが、最近はどこの駐車場でも車椅子を利用する人を乗せた車両の専用駐車スペースが用意されています。残念ながら、そういう場所のほとんどが明らかに車椅子などとは無縁の乗用車に占領されていることが多いので、用意しておくということと実際に機能するかどうかということは別だとは思いますが、パチンコ屋など通常の利用をするお客さんが2時間以上滞在することが予想される施設では、保育・託児施設を用意することを義務づけてはどうでしょうか。

 今年も本格的な暑さがきます。悲しいことですが、また毎月のように同じ事故がおこることが予想されます。事故が起こってから、アホや親を責めることは簡単ですが、蒸し風呂の中で殺されていく赤ちゃんの身になって考えてみると、事故を未然に防ぐためにも娯楽施設側にも一定の責任を持たせてはどうでしょうか。

 もうけているところには、いろいろと責任の分担もしてもらいましょう。
by stochinai | 2006-05-28 23:58 | つぶやき | Comments(6)
##  すみません。昨日はとうとう更新できませんでした。このエントリーは日曜日になって書いていますが、土曜日ポストということで偽装しています。  ##

 土曜日はちょっと風がありましたけれども、絶好のアウトドア日和で札幌市内のかなりの小学校で運動会が行われたようですが、良い一日だったと思います。今日の日曜日は一転して冷たい雨が降り風も強く、残りの小学校で今日が運動会の予定だったところは中止せざるを得なかったと思います。たった一日が明暗を分けた昨日と今日です。

 さて、私も昨日は朝時半から12時45分からまでは、北大ガイド・センター&グッズショップ「エルムの森」の前のテーブルで、コーステッパーの無敵トリオの皆さんと楽しいピクニック・カフェでした。(その後、1時から5時まで科研費「科学技術者の倫理教育」の班会議、その後懇親会と非常に濃い土曜日でした。)

 ピクニックカフェといっても、もちろん内容は超まじめなものでconyさんの発案で、立ち上がろうとしているペンギンカフェおよびその運営母体となるペンギンカフェ倶楽部の相談です。

 さわやかな風が吹き抜ける木漏れ日の下で、Salsaさんが用意してくれたサンドウィッチほか以下が「おしながき」です。「ランチを一緒にしましょう」というメールをいただいていたので、生協食堂へでも行くのかと思っていた一同、感涙!
ドリンク: カフェ、ペリエ、ROSSO DELLA CASA(赤ワイン)。
メイン: アスパラと小エビとチーズのサンドイッチ。
パン: Moulin de la Galette。
添え物: 生ハム、オイルサーディン、ハーブ入りクリームチーズ。
 こんな豪華なランチを前にしたら、次々と良いアイディアが爆発的にわいてくるのは当たり前というものでしょう。会議を成功させようとしたら、まずは参加者を幸せな気分にさせることという、基本にして結論でありながらほとんどの会議では実現されていないことを、あっさりと実行してしまえるSalsaさんは、(あまりたくさんは知らないのですが)私の知る限りバイオカフェのSさんに並ぶコミュニケーターの達人のおひとりと言えるでしょう。(もちろんそれには大変な準備が必要なのですが、それを楽しそうに行ってしまえるというところが達人の達人たる所以です。

 いろいろな話が進んだのでいずれあちこちから報告があると思いますので、私はペンギンカフェの連絡網としてのメーリングリストに関する話題についての感想を書き留めておきたいと思います。

 ペンギンカフェは、今までいろいろと試行錯誤しながらやってきた「サイエンスカフェ」では、何か物足りないと感じたconyさんが、コーステッパーの無敵トリオとともに形にしようとしている、会員制あるいは登録制あるいは招待制のカフェです。今までのカフェだと、広報によって一般市民に呼びかけ、先着順で入れなくなった場合を除き参加者を制限することはなかったと思います。ペンギンカフェでは、予告の一般公開はせずに「人間の鎖(友達の輪)」でつながった人だけでカフェをやってみたらどうなるだろうかという試みです。

 その連絡網はどうしたらよいかという話になって、期せずして全員が「メーリングリストはダメ」という意見であることがわかったのです。今では、何かの連絡網を作る時には誰でもが気軽にメーリングリストを作り、あとはそのアドレスに連絡事項を何でも投げ込むことで便利に使っている人が多いと思います。

 しかし、受け取る側の身になって考えてみるとどうでしょう。毎日のようにいろいろなメーリングリストから大量のメールが来て、ほとんどが「読み流し」の状態になっているのではないでしょうか。場合によってはメーラーで振り分けて読まない設定になっているケースも多いのではないでしょうか。

 どうしてそうなるかというと、メーリングリストに送る場合も受け取る場合も「多対多」の連絡であることに慣れすぎてしまっていて、メールの基本であるはずの、「ある人から特定の人への個人的通信」に込められている「心」が薄くなっていることも一因だと思います。

 出す方はメーリングリスト全員の顔を思い浮かべて出すわけではないでしょう。また、受け取るほうも自分一人で宛てられたメールでないことを知っていますから、一所懸命に読もうという気が失せていると思います。

 本当にペンギンカフェに来て欲しい人への連絡は、そんな「心のない」手段で行ってはならないということが話し合いの中での合意だったと思います。

 カフェに来て欲しい人には個人的にメールを出して、参加してくれるかどうかの返事を必ずもらえるような相手にだけ呼びかける。参加したい人はその意志をかならずメールで連絡する。そういうシステムになっていると、できあがるカフェは必然的に「招待制ソーシャルネットワーキングカフェ」になってしまうでしょう。

 広報活動によって参加を呼びかけた場合に来てくださる方はほんとうにありがたいのですが、札幌180万人市民の中でさえホンの数百人の方に固定されてしまいそうな気配があります。一方、人と人のつながりはほぼ180万人すべての方が複雑にからみなっているはずです。サイエンスカフェという形を用意して人を待つという形のほかにも、いろんなことを試してみる価値はあるだろう。

 コーステッパーの夢は次々と形になっていきます。
by stochinai | 2006-05-27 23:59 | コンピューター・ネット | Comments(3)

黒いネコ

 Gato negro というチリのワインは、値段も手頃で飲みやすい割には、安っぽくない味がする庶民の「高級ワイン」です。

 今日はちょっと気分を変えて買ってみたのですが、いつもの定位置であるテレビの上にいる、うちの黒猫 gato negro とボトルを並べて記念撮影。
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 ラベルの黒猫が見えますか。
by stochinai | 2006-05-26 22:41 | つぶやき | Comments(4)

ブレーキワイヤー交換

 今朝、大学へと向かう途中で自転車のブレーキワイヤーが突然切断してしまいました。

 後ろタイヤのブレーキワイヤーだったのですが、さすがにワイヤーがないまま走るのは緊張感いっぱいです。大学の近くにある、ホームセンターによってワイヤーを購入してから大学に行きました。

 今日は昼から、研究室に大学院入学希望者、共同研究をしている中でもありでトカゲをいただいた研究室のご一行様、大学における科学教育の研究をされている北海道K大の先生などからアポイントメントをいただいていたため、昼前から6時頃までずっとお客さんが出たり入ったりの一日でした。

 私の身体は一つしかないので、すべての方にきちんとお相手をすることもかなわず、いろいろと失礼なこともあったと思いますが、どうぞお許し下さい。

 その間に、明日講演にくるものだとばかり思っていたZ学会事務局のNさんが、隣の部屋で会議をしていたりと、予想を越えた方々とのエンカウンターもあったりして、今日はいったい何人の方にあったのか、はっきりと思い出せないほどの一日でした。

 夜も遅くなって、ブレーキワイヤーを交換していないことを思い出しました。このままでは帰れません。

 5号館5階の廊下まで自転車を運びあげ(と言ってももちろんエレベーターでですが)、ブレーキワイヤーの交換をしました。これは先日のチェーンの切断・接続作業と比べると、天と地ほどの差があるほど簡単な作業で、かかった時間はそれほどの差がなかったものの、精神的には鼻歌まじりの作業です。

 しかし、こんなささいな作業でも、ダメになっていた自転車が生き返るということの喜びにはそれほどの差があるわけでもなく、ほんとうに良い気持ちになれるものです。

 思い返せば、昔中学校でやった「技術・家庭科」という実習はこんな楽しいことばかりだったような気がします。学校によっては、すごい先生がいて工場みたいな実習室があったり、自動車を作ったりとすごく実用的なことを教わった記憶があります。

 今の中学生も、こういうことをやっているのでしょうか。

 もし、やっていなかったとしたら英語とかコンピューターとかよりも、ローテクの技術・家庭科を復活すると教育基本法の改正よりもずっと子どもたちが生き返ることになりそうな気がします。

 政府や国会のみなさん、教育現場は法律で何とかするものじゃないですよ。現場にまで降りてきて、再検討してみてくださいませんか。
by stochinai | 2006-05-25 22:45 | 趣味 | Comments(5)

子どもが卵を産んだ

 カテゴリは「生物学」にしてしまいましたが、現時点では限りなく「趣味」に近いものです。

 昨年10月25に生まれた卵から孵ったミステリークレイフィッシュが卵を産みました。数日前に1匹、今日また1匹です。大きさはそれほど大きくなっていないのですが、昨年のことを考えるとそんなに早いわけではないようです。ただ冬で成長が悪い時期をまたいでいて、まだまだ小さいと思っていただけに、ちょっとびっくりしました。
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 多くの動物では、性成熟して子どもを生むようになると成長が止まるものだと思っていましたが、最初にもらってきた個体は2回の産卵を経て、まだまだ成長中と思われます。

 それを示すために、3世代(母親、娘、卵)を一緒に撮影してみました。右の母親も最初の産卵の時には、左の娘と同じくらいの大きさだったのかもしれません。
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 なんとなく感動的な写真ではありませんか。

 この調子で殖えてくれると、実験に使えるのもそう遠くない未来のことでしょう。
by stochinai | 2006-05-24 20:11 | 生物学 | Comments(6)
 奈良ローカルのようなのですが、毎日新聞にヤマトヒメミミズが取り上げられました。「ヤマトヒメミミズ:生殖器官を自ら再生 奈良先端大のチーム初解明 /奈良」です。昨日、共同通信で配信されていたものは知っていたのですが、短いしその記事だけを読んでも誤解を招きそうな記事でしたが、さすがに毎日の記事はしっかり書かれています。
 (研究したのは)先端大と理化学研究所発生再生科学総合研究センター(神戸市)、北海道大のグループ。高橋教授らは、90年代に国内で新種として発見されたヤマトヒメミミズが精子と卵子による有性生殖と、分裂して増える無性生殖の両方をする事実に着目。胴体を切断し、人工的に無性生殖を起こしたところ、10日ほどで、どの断片からも頭部から7~8番目の体節に、生殖器官ができることが分かった。
 メカニズムを調べると、体のあらゆる器官を作る体細胞とは別に、生殖細胞(精子や卵子のもと)に将来なる細胞が、体中に点在していると判明。さらに、無性生殖後、切断面近くにあるこれらの細胞が分裂を始め、再生された組織中へ移動。最終的に再生された7~8番目の節にたどり着き、生殖器官をつくることもわかったという。
 また、奈良新聞というほんとうのローカル新聞も記事にしているのですが、ここがヤマトヒメミミズの有性生殖と無性生殖の使い分けについて意外と正しいことを書いてくれています。
 ヤマトヒメミミズは、無性と有性の両生殖を可能とする極めて貴重な生物。普段は体を3~7個に分裂させて増殖する無性生殖だが、生息に厳しい環境下では有性化、遺伝子を組み替えて新たな環境に対応する子孫をつくる。
 原典はこちらです。
Current Biology
Volume 16, Issue 10 , 23 May 2006, Pages 1012-1017

Early Segregation of Germ and Somatic Lineages during Gonadal Regeneration in the Annelid Enchytraeus japonensis
Ryosuke Tadokoro, Mutsumi Sugio, Junko Kutsuna, Shin Tochinai and Yoshiko Takahashi
 図だけを見ても内容はすぐに理解していただけると思いますが、piwiという遺伝子を発現している細胞が、普段は生殖幹細胞としてヤマトヒメミミズの体内のあちこち(腹部神経索の上)に潜んでいることがわかりました。ミミズのからだは時折、無性生殖のためにバラバラになり、それぞれの断片から新しい個体が再生します。そうやって無性生殖だけで増えている時には、卵や精子は作られないのですが、環境条件によって有性生殖をする場合があります。

 有性生殖をする時には、からだのあちこちに潜んでいたpiwi陽性細胞が、再生個体の中に作られる生殖巣(ミミズは雌雄同体なので、一つの体の中に精巣と卵巣があります)の中に潜り込んでいって、卵や精子のもとになるということを証明した論文です。

 この研究が、すぐにヒトの生殖医療への応用へつながることはありえませんけれども、ヤマトヒメミミズのように驚異的な再生力を持っている動物でも、その生殖細胞というものがからだをつくっている他の細胞(体細胞)とは別に「取り置かれている」ということは、生殖細胞と体細胞というものがかなり質的に違うものであることを示しています。そして、そのことは、ヒトを含むあらゆる動物にかなり普遍的な事実のようなのです。そういう意味で眺めてみると、やはり重要な知見であるとは思います。

 興味があったら読んでいただけると幸いです。
by stochinai | 2006-05-24 17:24 | 生物学 | Comments(7)
 札幌は朝から雨模様の一日で、まさに典型的なリラ冷えの寒い一日でした。幸い雨は昼頃までにはほとんど上がり、午後からあった「情報基盤センター情報ネットワークシステム学内共同利用委員会」へは、傘をささずに行けました。会議はとても覚えられないくらい長い名前ですが、「情報基盤センター情報ネットワークシステム」は通称HINESと呼ばれていますので、「HINES共同利用委員会」というわけです。

 北大にとっては、いまや電気や水道なみのライフラインとも言える情報ネットワークですが、つながって当たり前、何かがあるとすぐに不平不満が噴出するという因果な組織です。会議に出ていると、幸いなことに北大のネットワークはコンピューターやネットワークを愛する教員・職員の方によって献身的に維持されていることが良くわかります。しかし、その分その方々の出血サービスに依存しているところが多いこともまた感じられ、こりゃあ我々もできる限りは協力するしかないなと思わせられるものでした。

 このことは図書館についてもそう思っており、大学のインフラを支える組織をもう少し何とかしないと、人が入れ替わったとたんに崩壊する恐れがあるところが怖いです。もっとも、これは大学の研究体制についても言えることで、大学という組織をチェックするたびに、民間会社のように運営し維持発展させていきたいのなら、そのためのきちんとした体制がないとこの先持たないだろうと思います。

 逆にいうと、教員・職員の中にはかなりの割合で才能を持った人が存在しており、「さすが大学には人材がいるものだ」と感心することは多いです。しかし、いつまでもそうしたものに依存していると、ほんの何人かの優秀な人材がいなくなったとたんに大学全体がガタガタになるということも想定される綱渡りをしているということでもあります。

 そこのところを知ってか知らずか、特別支出が必要とされない「才能に依存する体質」はなかなか改まらないようです。

 **********

 さて話題一転、午後6時からは今日もまた平成遠友夜学校に聴講に行ってきました。

 今日の講師は先日、カンブリアの話をしたYIさんと双子のかたわれ、AIさん(イニシャルはカッコいい)でした。

 擬態の話をするというので個人的興味もありましたし、それよりも双子の話の片方だけを聞いて終わりという状況にしておくと、後でどんなひどい目に遭わされるかが怖いというのが強い動機だったかもしれません(ウソです^^;、もちろん。ホントだとシバカレル・・・・)。

 AIさんも、YIさんに負けず劣らずしゃべりが上手いのでびっくりしました。最近は、2人を見分けられるようになったのですが、こうして話を聞いているとどっちがどっちだかわからなくなってきます。しゃべり能力は遺伝子が決めるのかとすら思えてきますが、生まれてから今までずっと一緒に育ってきた2人が似ていたとしても、その原因が遺伝子なのか環境なのかを見分ける術はなく、研究対象としては不適格な2人なのです。それはさておき、AIさんの話はとても修士1年生とは思えないくらい堂々として間の取り方が上手く、客席のいじり方などは天性のものなのか、見習うべきものを感じました。

 話の内容は、昆虫の擬態の展覧会から始めて、彼女が昔から好きだという絵画の話へつなげ、さらにダーウィンの進化論へと展開した話を現代のDNAの話へとつなげ、最後にそれらすべてを擬態の進化へと収束させていく論理展開は、なかなかのものでした。結婚詐欺になれる素質を感じます。

 ただ、客席に多かったシニアの方々に「分子遺伝学入門」はちょっとハードすぎたかもしれないとは思いました。それと、本人が楽しみすぎてシニアでもある私にも少々長すぎたと思いました。私はあの椅子に座らされるのは1時間が限界ではないかと思いつつ聞いていたのですが、他の皆さんは最後まで眠りもせずに一所懸命聞いておられたのにはちょっと驚きました。結局、私が一番根気のないシニアだったのかもしれません。

 今日は用があったので、この夜学校の売りのひとつであるQandAのデスマッチは聞けませんでしたが、それが楽しみで来られている常連さんもいらっしゃるようで、いつもながら楽しい雰囲気をちょっとだけ聞かせてもらって会場を後にしました。

 外はとんでもない寒さです。今夜はまた電気ストーブが活躍してくれるでしょう。良いのか悪いのか咲いた花が長持ちしそうな、寒い札幌です。
by stochinai | 2006-05-23 20:49 | 生物学 | Comments(4)

ふと咲けば山茶花の散りはじめかな        平井照敏


by stochinai