5号館を出て

shinka3.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

<   2006年 06月 ( 32 )   > この月の画像一覧

 今日は久しぶりに、全学教育の学生実験を担当しました。解剖なのですが、昨年までやっていたラットの解剖に変わって、今年からはなんとイカの解剖です。ラットの解剖なら今までに何十匹もやっているので、目をつぶっていてもできる気分なのですが、実をいうとイカを真面目に解剖したことはありませんでした。そこで、一昨日に他の先生がやっている実験を見学させてもらってから、にわか勉強をして、本番に臨んだというわけです。
c0025115_22512018.jpg
 一昨日、昨日と勉強してみてわかったのですが、イカの解剖というのは日本だけではなく世界的に解剖入門としてはかなりポピュラーなものらしく、ネットで探してもたくさん見つかります。その他、イカに関する情報はなかなか豊富で時間の経つのを忘れて楽しく勉強させてもらいました。

 上の写真でわかるように、使ったスルメイカを始めイカは10本の脚(ゲソというのは下足が語源だって知ってました?)のうち2本が特に長く、まさに手のようになっています。
c0025115_22543645.jpg
 この手のような触脚には「歯」のついた吸盤があり、かなり強力な武器になることが見て取れます。

 お刺身にするときには、下の写真のように「頭」の部分(外套膜)を切り開き、見えてくる内臓は捨ててしまうのですが、良く見ると塩辛を作るときに使う大きな肝臓(中央に大きく見えるメタリックに光るもの)以外にもいろいろと臓器があることがわかります。
c0025115_2258747.jpg
 取りあえず、肝臓以外に食用に使う可能性のあるものは肝臓の右側に細長く密着して見える黄色くメタリックに光る墨袋(墨汁嚢)でしょうか。何人かの学生が、この袋を開いて手を真っ黒にしていましたが、イカ墨のいい匂いがするという感想もありました。

 これはメスの個体ですが、オスメスを見分けるのに、内臓を開かなくても一番上の写真で1対だけ裏向きになって白く見える脚の様子(オスでは太く、先に吸盤がない生殖腕になっています)で見分けられることも学びました。

 調べてまた実際にやってみて。イカの解剖は台所で気軽にできる生物学実験として、なかなかおもしろいテーマであることを発見しました。今度、小学生からお父さんお母さんまでみんなで実習できるサイエンスカフェとしてやってみたいと思いました。終わったらバーベキューパーティができるというところも、おすすめの材料ですね。

 さて、6時過ぎまで実習をやった後は、8時から一部では「オカフェ」あるいは「岡フェ」と呼ばれる、超少人数で行われるサイエンスカフェを語る「メタ・サイエンス・カフェ」に参加させてもらいました。こちらは、実習で疲れた喉をビールでいやしながら、脳の中をリフレッシュさせてくれる有意義なものでした。内容はあまりにもすごいアイディアが続出したので、企業秘密ということにしておきましょう。

 カフェは10時に店を追い出されてお開きになったのですが、帰る道すがら追い出されなかったら朝までしゃべりそうな勢いだったので、追い出されて良かったねと語りながら、今日一日が終わるのでした。

 メタカフェに向かう直前に、火事かと思われるほど真っ赤な夕焼けになっていたので、思わずデジカメを取り出してしまいました。今日の最後の1枚とします。
c0025115_23131084.jpg

by stochinai | 2006-06-30 23:22 | 大学・高等教育 | Comments(15)
 地球環境研究科学院(でいいのかな?)のM浦研究室からフトアゴヒゲトカゲを2匹頂き、うちの大学院生が熱心に可愛がっているせいで、メスはすくすくと、オスもそれなりに育っております。時々、親戚(もちろんトカゲの)が訪ねてきたりするのですが、本当にフレンドリーなトカゲです。

 隣の研究室にも、兄弟が1匹いるのですが、こちらは餌に金をかけているせいか、異常に発育が順調です。

 というわけでM研を中心に、北大のごく一部の地域ではフトアゴヒゲトカゲがブームになっています。

 今日は、私のRSSリーダーに登録されている愛のエロテロリズム・インリン・オブ・ジョイトイの日記で、インリン様がフトアゴヒゲトカゲが登場。「余りにも可愛くて、抱っこしちゃった☆」写真が出ているので、このエントリーを書いてみようと思い立ちました。

 本当にこのトカゲはおとなしくて、かわいいのです。M浦研のメンバーのブログにはカテゴリー「トカゲ」の登録もあって、すごいですよ。

 それでは、その中からベストスリー「トカゲ」カテゴリーエントリーを発表します。

 3位 6エントリー polyphenismさん
 2位 12エントリー 愉快な彗星さん
 優勝 29エントリー ワニの庭さん
 
 なお、毎日のようにブログサイト名が変わるのでなんとお呼びすべきかわからないミジンコさんのエントリー「らぶ☆じむ」に努力賞を差し上げます。

 というわけで、北海道大学南キャンパスには、ちょっとしたトカゲ・シンジケートがあるのです。
by stochinai | 2006-06-29 19:46 | 趣味 | Comments(1)
 東京都立府中病院で脳内出血で入院中の女性が、日本で48例目の臓器移植法に基づく脳死と判定されて臓器の摘出が始まるそうです。

 心臓、肝臓、膵臓、腎臓が利用されることになり、そのうち肝臓は北海道大学病院で移植される予定になっていると報道されているのですが、その陰で昨日北大病院で管理していた臓器移植希望者の一覧表が入ったパソコンのハードディスク(おそらく外付けだったようです)が一時所在不明になっていたという「事件」が発覚していたのでした。

 大学病院では警察に被害届も出すなど、大騒ぎになっていたようですが、ハードディスクは翌二十七日昼ごろ、同じ建物二階にあるスタッフルーム(スタッフ休憩室)で見つかっています。まったく、お粗末な一件落着と言わざるを得ません。

 まあこんなことは、大学の研究室ならよくあることですが、それが病院の中で起こり、しかもそのハードディスクの中に臓器移植希望者名簿という、ちょっと考えただけでも流出したら大騒ぎになることがあまりにも明らかなものがはいっているものが、いとも易々と移動されてしまい、さらにあまりにも不用意に別室で発見されるなどといういい加減さに、世間の人はビックリなされることと思います。

 しかし、大学病院には医師であるという自覚よりは、どちらかというと研究者や研修中という医療者としては無責任になりがちな気分の人間がたくさんおりますので、同じ大学にいる人間としてはいかにもありそうなことだとため息をついてしまうわけです。

 結論から言うと、今回の問題はやはり管理者側に大きな責任があると思います。学生や研修医、外部の研究者などがアクセスできる場所に、超一級の個人情報が入ったハードディスクが外付けで簡単にはずせるようになって置いてあるなどということの危険性を理解していなかった責任は重いです。

 管理する立場にいる方々の多くは情報技術に明るくないということは同情できますが、外付けハードディスクに重要書類がはいっているということは、机の上に秘密ファイルを置きっぱなしにしているのと同じだということくらいは、おわかりになると思います。

 別のニュースでは、ファイルにはパスワードがかかっており、簡単には見れないようになっていたということも書いてありましたが、北海道新聞や神戸新聞のニュースでは触れられていないところを見ると誤報だったのかもしれません。

 いずれにしても、個人情報の入ったファイルが持ち出されたり、簡単に読まれたり(ということはコピーされうる状態です)、ましてやインターネットにつながるような状態にしてはいけないことくらいは常識として知っていなければなりません。

 常識として知っていなければならないということは、法的責任から逃れることはできないということです。「知らなかった」は大人の世界では通用しない言い訳なのです。
by stochinai | 2006-06-28 23:01 | 大学・高等教育 | Comments(2)

勝手に行って勝手に帰る

 いよいよ陸上自衛隊がイラクから撤退を開始したようです。いままで、死亡者はもちろんけが人も出ずに、さらには(おそらく)誰も殺さなかったことは喜ばしいことだと思っていたら、つい先ほど軽装甲機動車の横転事故により、骨折など3名が重傷を負ったというニュースが飛び込んできました。

 焦って逃げなければならないほど、状況は悪いのではないかという気もしますが、確かにここへ来てかなり反政府派の実力行使が激しくなってきているようではあります。

 非戦闘地域だから派遣していたのだけれども、戦闘地域になってきたから撤退するということなら、一貫性のある行動だとも思えますが、理由はそうではないようです。

 イラクに展開している多国籍軍が撤退するので、日本もそれに合わせて撤退すると言うこと以外の理由が見つかりません。

 もしも、多国籍軍が形式的な権限委譲ではなく、現地が平和で安全な地域になってきたことをうけて撤退するということならば、納得もできますが現地からのニュースを見聞きする限り、疲弊した多国籍軍が敗走して撤退という感じもします。

 余談ですが、Googleなどで「イラク 撤退」と「イラク 撤収」で検索してみると、かなり違ったニュアンスで行われている報道があることが発見できます。どちらかというとイラク派遣を評価する感じのニュースでは、陸上自衛隊がイラクから撤収すると書いています。撤退と書いているのは、少し否定的な感じがするニュースが多いような気がします。

 それはさておき、今のイラクから撤退するのは明らかに逃亡です。私は、自衛隊のイラク派遣には反対でしたが、このまま理由もなく撤退することにも反対です。

 それでは、やっぱり理由なく行ったということを自白するようなものだからです。

 小泉さん、もしもイラクが安全になったという判断で撤退するというならば逆だと思います。安全になって、イラク中が非戦闘地域になったというのなら、今こそ自衛隊が本来の派遣の目的を達するために働く時がきたということになります。いまこそ、全土に展開すべき時ではないでしょうか。

 逆に、戦闘が激しくて役に立てない時期に行くべきではなかったのです。

 結局、発見できなかった大量破壊兵器を持っているフセインを征伐するためにという理由ならば、戦闘能力を抑止された自衛隊が行くべきではなかったのだと思います。

 しかし、反対を押し切って行ったのだったら、最後まで責任を持って任務を遂行してください。

(と、ここまでは建前で書きました。)

 でも、ここで残ったらとても危険なことになると思います。小泉さんの責任を追及するためにの議論としては、上に言ったとおりに思っていますが、自衛隊の皆さんにはなんの責任もありません。ケガをしたり殺されたりしないうちに、一刻も早く逃げて帰って来てください。

 できるならば、さらに危険な任務につかされている航空自衛隊も撤退させてください。彼らは、今までになく危険な任務に当たらされることになってしまいました。

 もしものことがあってからでは、遅すぎます。

 小泉さん、最後の仕事です。イラクからの全面撤退をお願いします。
by stochinai | 2006-06-27 22:52 | つぶやき | Comments(0)
 昨年度から、ひそかに時間をかけてじっくりとCoSTEPのウェブサイトの更新をしていました。

 この度、いちおうの完成を見ましたので今日から公開いたします。アドレスは前と同じhttp://costep.hucc.hokudai.ac.jp/ですので、アクセスしてみてください。我々、作成側としてはもはや「見飽きた」きらいもなきにしもあらずなのですが、冷静に振り返ってみると、なかなかのものができたと思っています。

c0025115_22131531.jpg

 CoSTEPにとっては、ホームページそのものも科学技術コミュニケーションと位置づけておりますので、このサイトもいままでのものとは一味も二味も違ったものになっています。

 現時点では、正直言いましてそれほどの中味はないかもしれませんが、このホームページはブログなどでおなじみのCMSを導入しておりますので、毎日のように進化するダイナミックなホームページになっております。

 しかもRSSによる配信も行っていますので、記事やポッドキャスティングの更新も黙って待っているだけで皆さんのところへと通知されます。

 まさに未来型のコミュニケーションページができつつあると言っても良いのかもしれません。後は、コンテンツの充実が課題ですが、タレント揃いのCoSTEPですので「固定客」になっても損はさせないものを目指していきます。

 今後ともよろしくお願いいたします。
by stochinai | 2006-06-26 22:11 | CoSTEP | Comments(0)

夏至も過ぎて

 ひさびさに暑いと言える1日でした。気象台の発表でも、かろうじて最高気温が25℃を越えたようです(午後4時で25.2℃)。

 夕涼みをかねて、ポプラ並木横の農場まで散歩に出てみました。残念ながら、太陽が沈む小樽のあたりには低い雲が立ちこめており、太陽が沈むところを見ることはできませんでしたが、ぼんやりとした空がうっすらと赤みを帯びた落ち着いた夕焼けです。まさにブリーズという風が牧草地をわたってくるのが、とても心地よい夕暮れでした。

c0025115_202247.jpg


 太陽と反対側に目をやると、ポプラ並木と背中を合わせるように建っている工学部の裏手の建物が夕日に染まっていて、なかなかの光景でした。

c0025115_2021847.jpg


 農場の真ん中で不思議な機械を発見。太陽電池と、アンテナがついています。自動気象測定装置でしょうか。あちこち見回しても何の表示も発見できませんでしたが、農業もハイテク化していることだけは実感できました。

c0025115_20324942.jpg


 日が落ちると、さすがに涼しくなってきます。今年は夏が来ないかもしれません。
by stochinai | 2006-06-26 20:35 | つぶやき | Comments(2)

ブルーベリー

 わが家の庭にはあまり実のなる樹木はないのですが、鉢植えのブルーベリーは毎年かなりたくさんの実をつけてくれます。

 今年もたくさんの花が付きました。

 ブルーベリーは決して自家受粉しないことで有名な花なのですが、(購入した時の説明に寄れば)この木はどうやら二本の木を接ぎ木してつくったもののようで、わが家には一本しかないにもかかわらず、きちんと実が付きます。

 花が終わると、スズランのような筒形の花弁が抜けるように落ちて、めしべとがくだけの姿になります。このときに受粉に成功していると、がくの下の部分が心持ちふくらんでいるような気がしますので、今年の大体の収穫数を予測することができます。
c0025115_048960.jpg
 この写真を見る限り、今年もけっこうたくさんの実が期待できそうです。

 しかし、自家受粉をしないというブルーベリーですが、花粉を運んでいる昆虫の姿を見たことがあまりありません。どうなっているんだろうと心配していたのですが、こんな写真を見つけて安心しました。

 ところでブルーベリーは目によいということで、最近は注目を集めているようですが有効成分はアントシアニンという色素のようです。アントシアニンと言えば、私はすぐにアサガオの花の色のことを思い出してしまうのですが、紫色っぽいものにはかなりはいっているようです。

 Wikipediaによれば、アントシアニンをたくさん含むものには次のようなものがあるとのことです。

クワ
クランベリー(苔桃)
すぐり(ベリーの一種)
ブルーベリー
ブラックベリー
プルーン
ビルベリー
アサイベリー
ブドウ
ラズベリー
イチゴ
赤キャベツ
ナス
黒米
黒大豆(黒豆)
黒ゴマ
有色サツマイモ(特にムラサキイモ)
 ゴマはちょっと意外でしたが、ナスやムラサキイモは想定内でした。基本的に紫っぽさのある植物が多いようですね。

 健康食品やサプリメントの話を聞く度に思うのですが、要するにいろんなものを食べることが健康への近道ということではないでしょうか。そういう意味では、このような話題からは特定の食品やサプリメントではなく、季節に従って自然が恵んでくれる旬のものを食べるだけで良いのだというメッセージを感じるですが、相変わらずみのもんたの号令で特定の食品やサプリメントに殺到することが繰り返されているのが現実のようですね。
by stochinai | 2006-06-25 23:59 | 趣味 | Comments(2)

泥棒に縄をなわせる

 不正を行う可能性のある人間に、不正の取り締まりをやらせるようなことを「泥棒に縄をなわせる」と言います。

 ここ数日、報道が続いている早稲田大学理工学部教授による研究費の不正受給問題の渦中の人、松本和子さんは今年の3月17日現在の名簿によると文部科学省の「科学技術・学術審議会研究活動の不正行為に関する特別委員会委員」で、主査代理という重職に任命されていたようです。ちなみに、以下のような方々がメンバーとして名簿に載っています。
 東京大学名誉教授 (主査)
 奈良先端科学技術大学院大学理事・副学長
 国立精神・神経センター総長
 情報・システム研究機構国立情報学研究所長
 慶応義塾大学医学部教授
 一橋大学経済研究所教授
 東京大学大学院農学生命科学研究科教授
 早稲田大学理工学術院教授 (主査代理)
 東京大学大学院人文・社会系研究科教授
 東北大学大学院法学研究科教授
 独立行政法人科学技術振興機構研究開発戦略センター上席フェロー
 独立行政法人理化学研究所主任研究員
 この名簿を見ていて、不思議に感じられるのは、ほとんどが現役の研究者あるいはその人達とともに仕事をなさっておられると思われる方であり、どちらかというと問題になっている不正行為をする可能性がある側に属すると思われることです。

 研究者の不正行為を問題にするのであれば、そのメンバーの多くは利害関係のない第3者であるべきで、事情を聞いたりする時に現場の研究者を呼ぶというのが筋ではないでしょうか。たとえば、警察の不正行為を防止するための議論を警察にやってもらって出てきた結論などを信用する気になるものでしょうか。

 タイミングが良すぎる感じもするのですが、松本さんが委員をしていた特別委員会が昨23日に第6回の委員会を開いて、不正の調査や罰則などの対策を盛り込んだ指針案を発表しました。やはりというべきか、そこでは松本さんが告発されたような研究費の不正使用などは議論されていなかったようです。
 指針案の対象となるのは、国の研究費のうち、研究者が応募して、国の審査を経て支給される競争的資金による研究で起きた、論文の捏造(ねつぞう)、改ざん、盗用。
 研究費の不正使用というような、もっとも起こりやすいことが議論されなかったのは、まさか委員の中にその疑いのある人がいたからというようなことはないと思いますが(笑)、研究者の行う不正の中ではもっともポピュラーなものでしょうから、是非とも議論しておいて欲しいと思います。

 逆にそのような議論をする中で、現在の「研究費」というものが、研究遂行にとってかなり使いにくいものであることが明らかになってくることも期待したいところです。すでにあちこちで指摘されていることですが、純粋に研究目的にのみ使われるものでありながら、制度的には「不適切な方法」で支出されているものが現実にはかなりあると思います。そうして、その件については、研究者側にあまり罪悪感がないことも事実です。

 ところが、そうした「正しい不適切支出」とまったく同じやり方で、今回松本さんが疑惑を持たれているような私的流用となる「間違った不適切支出」は、テクニカルには見分けることができないものです。しかし、「正しい不適切支出」の存在が許されるような制度がある限り、その隙をついて「不正な不適切支出」をやろうとする連中が出てくることを阻止することはできません。

 つまり、この問題の解決にはまず「正しい不適切支出」の存在が必要なくなるような、研究費の運用制度の変更が必要なのです。そこに手をつけずに、罰則だけを強化することは、必要な研究費の支出もできなくなるというというような波及効果が起こることも考えられ、研究活動が低下する危惧もあります。

 今回の不正行為に関する特別委員会の議論が「泥棒に縄をなわせる」ようなものであることを象徴していると思われる文言が指針の中に盛り込まれています。次の文を読んでみてください。
 一方、根拠の薄い告発で研究活動が妨げられないよう、悪意に基づく告発と判断した場合は、研究機関は告発者名を公表し、刑事告発や懲戒処分などを検討する。
 こんなことは、敢えて指針の中に入れるべきことでしょうか。本当に不当な告発だった場合には、名誉毀損や地位保全ということが現行の法律の下でも可能です。それなのに、敢えて指針の中にこうした一文を入れるということは、「内部告発者への牽制」と思われても仕方がないと思います。こんなところにも、研究者に研究者監視のルール作りをさせることのマイナス面が出ていると思いました。

 こういう「事件」における内部告発者は、関係者ならばなんとなくわかる場合が多いもので、多くの場合は弱い立場にいる人ではないかと思われます。そういう人の名前を公表するということは、その人を社会的に葬り去るということになるでしょう。そのような脅し文句をちらつかせているような研究機関に、自分の身を危険にさらしてまで告発しようという気に誰がなるでしょうか。

 結局、この指針も「内部告発抑止のための指針」になってしまいそうな気がします。

 だから、泥棒に縄をなわせてはいけないのです。

【追記】
 投稿後、お二人からトラックバックをいただきましたが、あちこちで関連記事を見つけましたので、ここにまとめておきたいと思います。

 ポスドクのひとりごと
  研究費流用問題
 marginBlog
  研究上の不正行為と研究費の不正流用
 地獄のハイウェイ
  身上調査はされていたの?
 中年哲学徒の備忘録
  研究費不正使用
 ある大学研究者の悩み
  研究費で投資信託?
 ladylakeの時間
  不正の爆弾
 科学コミュニケーションブログ
  改めて文科省のナノテク関連サイトから,松本和子教授のインタビュー記事を読み直す

 さらに、コメントをいただいたアマクナさんと、そこからたどってchem@uさんのところ。こちらは研究費の「不適切な」使われ方が生々しく(というか、きわめて正確に)記述されていると思います。

 けんきゅうせいかつ りそうろん
  研究費不正疑惑
  ケミストの日常
  研究費の流用
by stochinai | 2006-06-24 16:50 | 科学一般 | Comments(28)

雨に咲く花

 札幌はぐずついた寒い日が続いており、風邪をひいている人も多いようです。そう言えば、なぜか札幌と沖縄で季節はずれのインフルエンザが流行しており学級閉鎖をしているところもあると聞きました。

 確かに寒いのですが、数日前の朝のラジオでラジオ・カーの女性が工事をしている人にインタビューをして「寒いですねえ」と言ったときに、「冬に比べると、こんな寒さはなんでもない」ときわめて当たり前の受け応えをしたのがなぜかおかしく、ひとりで大笑いしてしまいました。

 そうです。寒いといっても雪が降るわけではありません。単に20℃に届かない日が続いているだけです。それにしても、この春は雨が多いような気がします。雨が降って水が下水に流れ込むのを見ていると、なんとも無駄な感じがするものですから、雨がふると、ついつい持っている限りのバケツや桶を持ち出して、カーポートやベランダの雨どいから出てくる水を集めてしまうのですが、この春になってから庭の植物にやる水はほとんどこの雨水だけで足りているのです。

 1週間に1回くらい、本格的な雨が降っているのだと思います。そして、ここ数日はいつもの3回分くらいの雨が続いています。そろそろ、止んで欲しいものです。

 雨でも冷夏でも春から夏にかけての花はどんどん咲いています。
c0025115_20494242.jpg
 小さな白いアヤメ(と思われる花)です。雨がとても似合いますね。
c0025115_20504189.jpg
 こちらはちょっと増えすぎてひんしゅくものになりかけているミヤコワスレです。さすがに薄紫色が清楚に美しいです。

 こうした雨が似合う花に対して、赤やピンクのルピナスも満開なのですが、こちらはカーッと照りつける太陽を欲しがっているようにも見えます。
c0025115_2052173.jpg
 明日こそ太陽の顔が見られることを期待しています。

 さて、「雨に咲く花」というタイトルを見て、井上ひろしという歌手の名前を思い出した方は、私と同年代以上だと思います。はやったのは1960年だそうです。ところが、実はこの歌は戦前(昭和10年頃)にはやったもののカバーだったのだそうで、そちらを知っている方は80代以上になっておられるかもしれません。

 さて、この歌には苦い思い出があるため、私は今でも「雨に咲く花」の歌詞を鮮明に覚えています。

およばぬことと あきらめました

だけどこいしい あのひとよ

ままになるなら いまいちど

ひとめだけでも あいたいの
 当時、小学生だった私にはこの歌詞の意味は良く分からなかったのですが、なんとなく失恋の歌だとは感じていました。しかし、そのあと何年も(十何年も?)歌詞の意味を取り違えていたことを思い出すと、今でも冷や汗が出ます。

 3行目は「儘になるなら いま一度」ということなのですが、そこのところを子供の私は「ママになるなら いま一度」と思いこんでおり、「振られた彼女に子供ができてママになりそうになったので、子供が生まれる前にもう一度会いたい」という意味だと信じ切っていたのでした。

 かわいいものですね(^^;)。
by stochinai | 2006-06-23 21:12 | スマイル | Comments(3)
 CoSTEPでウェブ実習を担当されているIさんから、「本日のKさんの記事掲載を持ちまして、『さっぽろサイエンス観光マップ』のCoSTEP一期生の記事執筆がすべて終了しました。次回からは二期生の記事が登場します」とのメールを受け取りました。

 私もこのプロジェクトではいちおうアドバイザリースタッフという名前を頂戴しており、ウェブ記事を作る途中の段階でのコメンテーターとして、微力ながらお手伝いをさせていただいてきました。

 CoSTEP2期生の授業も始まってもうすぐ2ヶ月になり、水面下では2期生のウェブ作成も始まっているのですが、この1期生ウェブチームの「実習」は淡々と続いてきているので、修了生たちはボランティアとしてこのままずっとウェブ制作に携わるのかなとも思っていました。

 しかし、やはりそうではなく、本日投稿された「自然の中の数式フラクタル~前田森林公園~」という記事をもって、1期生のプロジェクトは終了ということになったようです。

 思い返せば、CoSTEP1期生は昨年の秋から授業を始めて約半年で、1年分のコースをこなすというハードなスケジュールの下、ウェブチームの実習もなかなかハードに追い回されていたようです。

 このウェブサイトが公式に公開されたのが、昨年の12月21日ですから、ようやく半年しかたっていないのですが、最初のうちは、写真のアップロードの仕方もわからないメンバーもいる中、たった5人のメンバーで50の記事を書き上げたということですから、それは本当にお疲れさまの仕事だったと思います。

 しかも、ウェブで公開しただけではなく、この4月からは北海道新聞のコラム「散歩でサイエンス」というコラムで、ウェブの記事を組み直した連載も始まり、社会的にも大きな評価を得たことは自慢しても良いことでしょう。また、こちらは内輪の話ですが、CoSTEPが発信しているコミュニティFMラジオ番組「かがく探検隊コーステップ」でも、「教えてサイエンス観光マップ」というコーナーでマップの紹介をしていますので、多角的発信という意味でも成功したプロジェクトです。

 さて、サイエンス観光マップと銘打っていますので、単なる札幌観光マップではなく、それぞれの見所の背景にあるサイエンスを読み解くという切り口がCoSTEPらしい仕掛けだったと思います。それも単に「科学的」な説明をするのではなく、日常会話の中で取り上げられるような易しい言葉で語られる「お話し」は、読み手の科学的知識のレベルを問わない、まさに科学技術コミュニケーターの仕事になっていると思います。

 いちおう生物、地学、物理、化学、数学、機械、電子、後日談というカテゴリー分けがされていますが、特に理科の分野を強く意識しているというものでもありません。ただ記事の分野は作者の得意分野が反映されているせいか、生物が16なのに大して、地学が8、物理が7(ひとつは機械と重複)、化学が5(ひとつは機械と重複)、数学が3、機械が6(うち2つが物理、化学と重複)、電子が4となってしまいました。

 まあ、生物ネタはたくさんありますし、書きやすく受けも良いという傾向があるのかもしれませんが、2期生には「苦手」なテーマにも果敢に挑んでもらいたいと思います。

 申し遅れましたが、この企画の大きな特徴のひとつが、地図ソフトとの連携です。連載が始まった後からも、地図ソフトはどんどんと進化を続けているようで、衛星写真で見たり、実際の地図でアクセスを確認したりと、使い方によってはさらに発展の可能性を感じさせる試みになっていることも見逃せません。このあたりは、指導されたIさんのアイディアの勝利ですね。

 この地図ソフトとの連携に関しては、日本国内だけではなく国外(カナダ?)でも同じような企画でウェブサイトを立ち上げる動きがあるとも聞いています。世界中で作られたマップが連携し始めると、これまたすごいことになる可能性もありそうです。

 いろいろと書きましたが、ただ単に写真と文章と地図を見ているだけでも楽しいウェブサイトですし、一味違った札幌観光をしたいという方には一押しのガイドマップと言えるでしょう。

 たった5名の実習生にとっては大変な半年だったとは思いますが、ウェブ作成の総合的スキルが身に付いたことは間違いありませんので、非常に有益な実習だったと思います。2期生のウェブチームはメンバーが倍以上の11名となりましたのが、先輩達が築き上げたサイトをより発展させるという重い責任を背負っていますので、最初はなかなか大変かもしれません。いよいよ、2期生の記事が出てくるのを楽しみにしながらも厳しく見守って行きたいと思います。

 2期生の実習でも、私はアドバイザリースタッフとしてお手伝いさせていただきます。

 このウェブチームに関しては、個人的に残念なことがありまして、今までに2回も懇親の宴会に誘われたのですが、いずれも他の会とぶつかってしまって参加できなかったのです。というわけで、ウェブチームのほとんどの人とはインターネット上でのバーチャルなおつきあいしかしておりません。それでも、なんだか「仲間意識」のようなものを感じられるのは、ウェブの持つ新しい可能性というものでしょうか。

 1期生のみなさん、お疲れさまでした。2期生のみなさん、これから一緒にがんばりましょう。
by stochinai | 2006-06-22 21:43 | CoSTEP | Comments(3)

ふと咲けば山茶花の散りはじめかな        平井照敏


by stochinai