5号館を出て

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日だまりの中で

 日差しが、完全に春です。猫がキャットテイルの下に隠れているのは、なんなんでしょう。
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 写真を撮ろうと近づくと迷惑そうですが、虹彩がとても細くなっているのがおもしろかったので撮らせてもらいました。
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 目の中にカメラが反射しているのまでは、さすがにわかりませんよね(^^;)。これなら、どうでしょう。
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by stochinai | 2007-03-31 17:34 | 趣味 | Comments(3)
 10日前のエントリー「真夜中の緊急記者会見とタミフル関係官僚の天下り」で私が推測していた、「つまり、厚生省には10代の患者にはタミフルが黒であるという証拠のデータがある、ということではないか」については、一昨日似たようなニュースが出てきました。

 東京新聞によると、「横浜市小児科医会(水野恭一会長)は二十九日、市内でインフルエンザウイルスに感染した男子中学生(14)が治療薬「タミフル」を服用していないにもかかわらず、自宅屋根に上り転落するといった異常行動を示す事例があったと発表した」そうですが、これは厚労省発表よりも後に発覚したことのようなので、どうやら私の仮説は違っていたようです。

 ところが、今朝になって「レゾンデートルのサイドボード」を見ると、「タミフルの厚労省班研究費、足りないので、不足分はこれがなんと当のメーカーから資金が出ていたそうです」と書かれています。どうやら、真夜中の記者会見の背景はこれだったのかもしれません。

 元記事は、毎日新聞のサイトに出ています。

タミフル:調査対象企業から資金流用 厚労省が黙認

 インフルエンザ治療薬「タミフル」の副作用を調査している厚生労働省研究班の06年度予算1027万円(30日現在)のうち、627万円は輸入販売元の中外製薬が研究班員の所属機関に寄付した資金だったことが分かった。厚労省が30日、発表した。中立性が求められる副作用調査に、調査対象企業からの資金を使っていたことになるが、研究班から事前に相談を受けた厚労省の担当部局も黙認していた。調査の中立性を根幹から揺るがし、同省の姿勢にも批判が高まりそうだ。

 おそらく、これが理由だと思われます。また次に出た記事によると、研究班のメンバーは中外製薬から寄付金をもらっていたということは、「厚労省に報告し、承認を得て進めていた」のだそうで、彼らにしてみれば「研究班から突然外されたことに不信感を募らせ」ているとのことです。

 研究班の記者会見
 一方、研究班の横田俊平・横浜市立大教授と藤田利治・統計数理研究所教授も記者会見。冒頭、「一企業からの寄付金は好ましくなく、重要な調査に無用な誤解を与えた。責任を痛感しており、遺憾に思う」と謝罪したが、「厚労省が研究の必要性を認めながら、費用を調達できなかったことが原因で、研究班を辞めなければいけない理由はない」と話し、同省の対応を厳しく批判した。
 中外製薬の記者会見
 さらに中外製薬も会見し、藤田晴隆専務らによると、同社は今回の寄付について厚労省に相談したという。その際、同省安全対策課は「研究費拠出を所轄しているのはうち(安全対策課)である。所轄部門に伝えたということになるのではないでしょうか」と反対しなかったため、了解を得たと理解したという。
 というわけですから、厚労省の中に「真犯人」がいることは間違いなく、それが真夜中の記者会見の原因になったのでありましょう。さて、犯人までもが「自首」してくるでしょうか。
by stochinai | 2007-03-31 14:21 | 科学一般 | Comments(7)

待つ力

 またまた山田ズーニーさんの「大人の進路教室。」を聞いて感動、というよりは共感してしまいました。

 最近3月8日からは『第五章 「働けない日々」からの脱出』ということで、高校1年のときシックハウス症候群になって、受験にも乗りそこね、就職の機会も逃したという、末吉さんという方がゲストでした。彼は150社不合格という壮絶な就職活動の末、やっと就職できたらしいのですが、やがてその仕事も辞めざるを得なくなるという踏んだり蹴ったりの経験を積んだ方です。

 これまでは3回、彼の話を聞くというスタイルだったのですが、昨日29日は「Lesson20 ズーニーのまとめ」ということで、山田ズーニーさんの一人語りでした。前に書いた「やりたいことが見つからない」の時もそうでしたが、彼女はひとりで語っている時が断然良いのです。

 昨日の話は、まったく同感というところが満載の話でした。自分の過去を語っているのですが、気に入ったところを抜き書きさせてもらいます。

 ポッドキャスティング Lesson20 ズーニーのまとめ
あれが
アイデンティティを失うという感覚だったのだと思う。
天職とか、大好きな人とか、
自分の真ん中にあるものを失うという感覚。

でも私は、そこからのがれるために、
スケジュールの空白をうめる、ということをしなかった。

正直いうと、やろうとしてもできなかった。

 自分がダメだと思った時に、ともかく身体を動かし続けて落ち込むことを避けることができる人がいますが、ズーニーさんはそれができないのだそうです。私も、「とりあえず体を動かす」というのができない質です。体を動かし続けていると、どうなるかというと。
それはそれでスケジュールの空白は埋まり、
絶えず何かやってれば、
寂しさは感じなくてすむかもしれない。
でも何かで空白を埋めるということは、
そこにはもう、他の何かは入れられない、ということだ。
 ということで、そんな生活をしていたら新しいことができなくなるのではないか、というのです。まさしく、そうだと思います。
1年のうちでも何回もない、「これだ!」
というものに出逢ったときに、

むやみな動きで消耗しきってくたくただったら?
スケジュールに余白がなかったら?
どうやってそこに飛び込んでいけるのだろうか?
 
 何もしないことの力、それを「待つ力」と呼ぶのかも知れません。何もしないということは、充電の期間でもあるのです。
だから、心の声にしたがえば、
スケジュールに空白ができ、
空白の時間は、じっとパワーを溜め込んだ。

その状態は、見方を変えれば、
いつなんどき「これだ!」というものに遭遇しても、
「すぐに」、「全身全霊で」、飛び込める状態でもある。

 そうなのです。こちらの準備がなければ、チャンスに出会った時にそれをつかむことができないのです。素晴らしい結語もありました。

  「ものはひらいた手でしかつかめない」

 何かを探している時には、何もしないこと。このアドバイスは、とても大切なのかもしれないと思います。

【追記】
 もう一回聞いてみると、山田ズーニーさんは昔書いたエッセイを朗読しているようです。探してみたら、ここに全文がありました。1年ちょっと前に書かれたものですね。

   おとなの小論文教室。感じる・考える・伝わる!
      Lesson 280  待つ力
by stochinai | 2007-03-30 21:26 | つぶやき | Comments(2)
 先ほどNHK総合テレビの7時のニュースのトップで、高校の日本史の教科書の検定によって太平洋戦争末期の沖縄戦での住民の「集団自決」について、昨年までは認められていた「日本軍により強制された」となっていた記述が、強制はなかったというように修正されたと報道されていました。

 従軍慰安婦問題でも、「日本軍の直接関与」がうんぬんされ、証拠がないからなかったのだろうという議論がありましたが、今回の教科書検定も教科書検定調査審議会が、日本軍の強制の証拠がないから、教科書から削除するようにという意見(逆らうと検定外になってしまうので、事実上の強制)を付けたものと思われます。(不思議なことに、従軍慰安婦問題には検定で意見書が付いていないそうです。外圧のせいでしょうか?)

 これでまた、明日から世界中からいろいろな文句が来ることは間違いなく、国際的に孤立して生きていくことはできないグローバリゼイションの時代に、なんともセンスのない行政を行う政府なのかと疲れてしまいます。(総理は文科省のやることこは、政府がやっていることではないとコメントしているようですが、外国からみるとそうはならないでしょう。)

 従軍慰安婦にしても、沖縄の非戦闘員集団自決にしても、存在したことは事実として否定する人はいないと思うのですが、それを日本帝国軍が直接指揮したかどうかについては議論が分かれるのはかまわないと思います。そして、両方の意見が自由に言える状態でこそ、本当の民主主義国家と言えるのだと思います。ですから、時の政府がどちらの意見であったとしても、それを国民全体に強制するということになる教科書検定などはもうやめてしまってはどうでしょう。

 そもそも教科書検定の大問題は、教えてはならないことが出てくることであり、検定教科書に載っていないことは受験に出してはいけないことになっており、そのせいで能力のある子どもでもその能力を伸ばそうと思っても、モグラたたきのようにたたかれてしまう原因のひとつにもなっていると思います。

 これだけの情報化社会なのですから、教科書で知識や思想を統制しようという発想そのものが古すぎます。これを機に、教科書検定そのものをやめてしまってはどうでしょう。そうしなければ、ただでさえ評判がガタガタになっている公教育そのものが見捨てられることになってしまうと思います。(結果的には、それでも検定制度は崩壊します。)

 教科書の検定制度は廃止しましょう。
by stochinai | 2007-03-30 20:01 | 教育 | Comments(9)
 今日は博物館で、第2回目のジュニアサイエンスが行われるというので、見学にいってきました。

 ジュニアサイエンスカフェは、CoSTEP応援団に参加する小中学生(!)で構成されているジュニアチームが自主的に行っているカフェだそうです。いろいろ聞いてみると、聞き手が自主的に主催して、ゲストの科学者を呼んでいろいろ聞き出すというスタイルになっており、私が考える「理想のカフェ」に近いもののように感じておりました。

 1月に行われた1回目の報告が、こちら「かなり遅れてのジュニアサイエンスカフェの報告」というエントリーで、司会のAKさん自らの手で書かれております。人集めから、いろいろと苦労がしのばれますが、明るくがんばっている様子が伝わってきますので、是非お読み下さい。

 さて今回は、場所が北大博物館で、参加する小学生も春休みというだけではなく、北海道新聞でデカデカと取り上げられたこともあり、定員20名があっという間に埋まってしまったのではないかと思われます。私が開始時間ギリギリで会場に着いた時には、参加の小学生と付き添いの父母や兄弟のみなさんで、すでに会場は満員でした。
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 カフェの流れとしては、小中学生のお客さんが少ない北大博物館に、どうしたら小中学生が来てくれるか、頭に博物館のパネルを付けたちょっと怪しい博士風の「ミスター博物館(だったかな?)」が、知恵を貸して欲しいとみんなにお願いするところから始まりました。
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 続いて、CoSTEP特任教員の石村さんが、世界各国で見つけた博物館のおもしろい展示を紹介して、展示というものを考える時に大切な4箇条を示し、その後で実際に子ども達に博物館の展示を見てもらいます。
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 たくさんのキュレーター(解説員)のついた博物館見学は、よくわかる上に、とてもおもしろかったようで、最後に子どもさんのひとりが言った、「すべての展示の前に一人ずつ説明員がいれば良い」という、非常にもっともな(しかし残念ながら現実的にはほとんど不可能な)提言につながったように思われました。
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 最後に見学から戻った子ども達が、博物館に対する提言を画用紙に書いて、ひとりひとりが発表し、博物館のキュレーター達とやりとりをして、提言に対するお礼に博物館からピンバッジが贈られるという、参加した小学生にはなかなか満足度の高いカフェになったと思います。
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 CoSTEP応援団が総動員していた感じの上、博物館からもこの上もなくたくさんのキュレーターが参加してくれたようで、このくらいケアがあると博物館も無敵のおもしろランドになるということが良くわかりました。

 普段は、ほんとうに人の少ない博物館をおもしろくするには、どうしたら良いのでしょうね。小学生の意見を吸い上げる試みとしても、なかなかおもしろい成果が得られたように思えるカフェでした。

 とりあえず、大成功ですね。AKさん、石村さん、そして皆さん、お疲れさまでした。
by stochinai | 2007-03-29 23:09 | CoSTEP | Comments(2)

猫耳 (今朝の武蔵丸)

 武蔵丸は外を眺めるのが好きで、食べている時と、寝ている時を除くと、ほとんど外を見て過ごしています。今朝も残り少なくなっていく雪を見つめて、物思いにふける武藏なのでした。
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by stochinai | 2007-03-29 18:21 | スマイル | Comments(2)
 今朝の朝日新聞にこんな広告が載っていました。おそらく他紙にも出ていたことでしょう。
 良く読むと、ナントカ還元水なみにおもしろい広告だと思います。
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 大臣の力がこんなにすごいということ、ご存じでしたか?
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 これが額面通りということならば、日本も安泰です。
by stochinai | 2007-03-29 13:02 | つぶやき | Comments(5)
 先日、未成年のタレントがタバコを吸っているところを目撃・報道され、芸能界を追われることになったというようなニュースがありました。どうやらそのお嬢さんは、前にもタバコを吸ったことが発覚したことで「謹慎中」の出来事だったらしく、これで芸能人としての生命を絶たれるというような事件だったと思います。

 芸能界で生きていた人間にとって、そこでの生活ができなくなるということは、とてつもなく大きな権利の侵害だと思います。

 19歳だったということですが、同じ年齢でタバコを吸っている何万人いや何十万人の学生やフリーターにはなんのおとがめもなしという状況が一方でありながら、何年か前から芸能界入りをして、そこで「飯を食っている」人間が「飯を食えなくなる」状況に追い込まれるというのは、あまりにもバランスを欠いた処置ではないでしょうか。

 そもそも、未成年がタバコを吸ったからといって法律による罰則はなかったと思います。まわりにいる成人がタバコを吸わせたり、飲酒させたりした場合には、その成人が罰せられるというのが法律として定められていることではないでしょうか。そうだとすると、今回の事件は彼女を雇用している芸能事務所やプロダクションが罰せられるというのが筋なのではないかと思います。それが、まわりにいた大人の責任が追求されず、未成年の「子ども」にすべての責任を取らせるという「処分」はいかがなものでしょう。

 「社会への影響力が大きい」などといって、高校野球やこういう未成年の芸能人の小さなあまりにも小さな違法行為(飲酒や喫煙)や、場合によっては法的には問題にならない異性交遊なども血祭りに挙げられることが、この国では異常に多いと感じています。

 再度言いますが、同じことを普通の高校生やフリーターがやってもほとんどのケースで見逃されるだけのはずです。稀には、高校を停学になったりすることがあるかもしれませんが、将来を閉ざされるような大きな罰を与えられることは考えられません。

 そもそも、芸能界などというところは無頼な人間の巣窟だったはずであり、倫理的な人間が集まってできあがっている世界ではなかったし、今だってそれはそれほど変わっていないと思います。我々鑑賞する側にもそれは周知の事実であり、むしろそうした規格はずれの人間であるからこそ、我々にはできない特殊な才能を発揮して、我々を楽しませてくれると思っている人が多いのではないでしょうか。

 それが、我々でさえ普通に通過する未成年時の飲酒・喫煙などが「あってはならない」などという、背筋の寒くなるような「正論の」倫理観が適用されるという対処には身の毛がよだつほどの嫌悪感を覚えます。そして、そんなことを軽々と言いのける、「芸能界」の人々と、それを淡々と報道するマスコミの存在に、耐えられない軽さを感じます。

 いちど、みんなで死んだら良いのではないでしょうか。(一部、不適切な表現になってしまったことをお断りしておきます。)

 ハコフグマンさんのところのエントリー「未成年アイドルが喫煙でクビ」にトラックバックを送ります。具体的なことをお知りになりたい方は、そちらをごらんください。
by stochinai | 2007-03-28 21:54 | つぶやき | Comments(10)

大学前に新しい空間

 北大の前に、おもしろい空間が生まれました。その名も In the Loop。
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 来週のオープンを前に、創成研のM姫さま関係者がプレオープニングに招待されました。M姫さまを始め創成研鬼婦人会および鬼婦人会応援団(?)Salsaさん、CoSTEP応援新団長、旧団長とM姫の関係者だけだったので、これはちょっと寂しいということで、CoSTEP教員団や、環境サポートセンターの方々にも電話をかけて、なんとかいい感じのパーティに仕上がりました。

 この、人集めのすばやさもこ~すてっぱ~ならではのものなのかもしれません。

 さて、このお店は見たところ、ただのパンの美味しいおしゃれなカフェといった感じなのですが、それは世を忍ぶ仮の姿で、実はPISEという会社が大学と企業を結ぶ場として作った情報発信・収集のアンテナショップというような位置づけのもののようです。

 それはそれとして、なかなかオシャレな雰囲気です。まずは、入り口。
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 中には、おしゃれなバーカウンターがあります。
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 それほど広くはないのですが、現状でも椅子が30くらいはあります。椅子を増やせば40-50人くらいのイベントは十分にできそうです。
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 今日は、サイエンスカフェなどに使えるかもしれないということで場所の偵察に来たつもりだったのですが、酒食でおもてなしされてしまいました。さすがに自家製パン屋さんが付属しているだけあって、パンはおいしかったです。一番上の写真をごらんください。
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 これは外から見たところですが、道路に面してガラス張りで非常にオープンな雰囲気がいい感じでした。まさに、サイエンスカフェなどのイベント向きの空間だと思いました。今はまだありませんでしたが、大型の液晶ディスプレイも設置されるそうですし、会社お得意のLANに接続する設備も完備されています。ユーザーからの要望があれば液晶プロジェクターにスクリーンも用意してくださるとのお話しでした。

 配膳カウンターに置かれたノートパソコンには、さりげなくセカンド・ライフの画面が表示されていました。

 で、会場(カフェ)空間を借りるのはどのくらいの料金なのでしょうかと、おそるおそる訊いてみましたところ、「お金はいただきません。ご自由にお使い下さい」とのことでした。

 本当のターゲットは大学生だとしても、会社としてはとりあえずこの空間を大学生を初めとする人々の情報交換の場所として使ってもらえれば良いということだと理解しました。こちらとしては、活気のある場所になるイベントに使うのであれば、歓迎されるというふうに好意的に解釈しておきます。

 ということで、まずはサイエンスカフェをここで一回やってみましょうか。
by stochinai | 2007-03-27 22:23 | 札幌・北海道 | Comments(3)
 これまで、いくつかタミフルに対して否定的とも取られそうなエントリーを書きました。

 タミフルを飲むか飲まないか 【追記:厚労省方針変更】
 真夜中の緊急記者会見とタミフル関係官僚の天下り

 そして、たくさんの皆さんから、有益なコメントをいただきました。ここへ来て、急にタミフルが悪者にされ始めておりますが、その状況も手放しで良いことだとだとは思えません。どうして、この国では、ものごとが極端から極端へと動いてしまうのでしょう。

 そもそも私は、タミフルが強力な抗インフルエンザ薬であることを疑ってはおりません。

 私の理解では、タミフル(オセルタミビル)には、インフルエンザウイルスが持つノイラミニダーゼという酵素の活性を抑える阻害作用があるので、たとえインフルエンザウイルスが細胞の中で増殖したとしても、その酵素が働かないとウイルスが細胞から飛び出して拡散できず、インフルエンザ症状が悪化することを防ぐことができるのだというものです。だから、ウイルスが体内で増殖して他の細胞へと拡散するウイルス感染の初期には劇的に効果が見られることも納得できますし、逆にそのタイミングを外すとほとんど効果がないということも、よくわかります。

 もちろん、すでにこの阻害効果をすりぬけるべくノイラミニダーゼを変化させるように進化したインフルエンザウイルスが出てきているようですが、とりあえず現時点では、多くの場合まだ効果があると思います。

 ただし、数年前からタミフルには異常行動を引き起こすような副作用があると主張されていることも事実です。たとえ、一握りの患者さんと言えども重大な副作用が報告されているのであれば、それはほんとうにタミフルの副作用なのか、もしそうだとしたらどのような場合(患者さんの年齢、性別や遺伝的性質、インフルエンザウイルスの種類、インフルエンザの感染のフェーズ、食べ物、他の薬との組み合わせ、などなど)に、副作用が発生するのかといったことについて、大々的な調査をする義務が厚生労働省にはあるのだと思います。

 そして、その調査の時には、当該の製薬会社から研究費をもらっている人などに調査を依頼しては絶対にダメであり、日本人が2400万人も使っているのだとしたら、1000人や2000人ではなく、数万人・数十万人のケースを調査すべきなのだと思います。

 また、その調査が行われている間は、「現時点ではこれこれの副作用と思われるケースが報告されているので、その点に注意しながら使うように」というような注意をすれば良いのだと思います。今までは、どうもそのあたりにうやむやな姿勢があったと思えます。

 たくさんの人がおっしゃっておられるように、薬はからだに影響を与えるから効くのであって、場合によっては不都合な影響を与えることもあたりまえのことです。そして、それは患者さんに伝えられるべきとても重要な事項なのだと思います。医師は患者さんにこの薬を使うとひょっとしたらこういうような状況になるかもしれませんので、それでも使うかどうかのインフォームド・コンセントを取った上で処方箋を出さなければいけないはずです。

 医師は副作用が起こった時には、患者と連帯でそのことに責任を持つという自信がなければ、投薬などすべきではないと思います。

 逆に、その自信があれば厚労省がなんと言おうと、タミフルが必要な患者さんには、本人および家族にしっかりと説明した上で、これからもタミフルを使うのだという気概が欲しいと思います。

 厚労省が「安全だ」と宣言しているうちは湯水のごとくにタミフルを使い、厚労省が「使わないように」と言ったら、とたんに使わなくなるというようなことでは、患者は医師を信じることができなくなります。

 我々、患者側にも問題があります。厚労省がなんと言おうと、医師がなんと言おうと、納得のできない投薬は受けない。必要な場合には、医師と議論してでも投薬してもらう。こういうリテラシーが必要だと思います。

 病気に対して、厚労省と医師と患者(それに薬剤師もですね)は連帯して闘う戦友であって欲しいと思います。敵から賄賂などをもらわないで、一緒に闘ってください。

 そして、薬を正しく使いましょう。
by stochinai | 2007-03-26 22:16 | 科学一般 | Comments(0)

風わたり泥も乾きて春の草             嵐雪


by stochinai