5号館を出て

shinka3.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

<   2008年 08月 ( 41 )   > この月の画像一覧

 8月最後の日曜日だった今日、恒例の北海道マラソンと全学大停電がありました。
北海道マラソン
 期 日 2008年8月31日(日)午後0時10分スタート
 種 目 マラソン(42.195km)
 定 員 5,700人
 参加料 7,000円

自家用電気工作物保安規程に基づく本学中央配電所定期点検
 停電月日 平成20年8月31日(日)
 停電時間 8時00分~18時00分
 停電範囲 北海道大学全域(札幌キャンパス)
 どちらも恒例化しているので、手際よくことが運ぶようになりました。

 今日の札幌は久しぶりに夏日になり、最高気温が27.8℃。マラソンをするにはちょっと暑かったと思いますが、一昨年は30℃を越えていたということなので、北海道マラソンだからといって涼しいことを期待してはいけません。

 北海道マラソンでは女子の新星が誕生するというジンクスがあるようですが、今年はまた公称身長が143センチで体重も30キロちょっとという、小学生のようなニュースターが生まれました。今回が初マラソンという、19歳の佐伯由香里(さはくゆかり:「さえき」ではないのが珍しい)です。当然、招待選手ではなかったのですが、招待選手で2位になった新谷仁美とともに、高橋尚子を育てたことで有名になった小出門下です。同じく招待選手で、一昨年優勝した吉田香織は3位でした。

 小出監督の新兵器だそうですが、孫のようにかわいがられているとのことで、放送中に解説をしていた増田明美が小出監督が言った言葉として紹介した、「佐伯は胸にアルゼと書くかわりに、1年3組と書いたほうが似合う」という逸話に思わずうなずいてしまうほどの幼さを感じさせる存在です。あの身体のどこに、フルマラソンを疾走するパワーとエネルギーがあるのかと驚嘆させられました。

 ともかく、今年のオリンピックで意気消沈してしまった日本の女子マラソンですが、すでにロンドンのことを口にできるほど盛り上がった大会になりました。希望があるということは、良いことです。

 マラソンが終わり気温も少し下がってきた頃に大学に行って、停電後の復旧状況をチェックしてきました。とは言っても、私がやったことは、オフィスにある冷蔵庫の冷凍室の霜取り(というより氷はぎ)と、サーバー2台の再起動および、コンピューターのチェックくらいです。サーバーはほぼ問題なく立ち上がったのですが、不思議なことに私のデスクトップコンピューターのディスクにエラーが出たことと、PSマウスが動かなくなってしまっていました。ディスクチェックとマウスをUSBのものに交換して事なきを得ましたが、停電の時には電気製品に意外な反応が起こることがあるのは、コンセントに差しっぱなしにしてある普段はたとえ電源を落としていたとしてもバックアップ電源によって、「何か」が行われているということなのでしょうか。

 いずれにしても、転ばぬ先の杖が必要だということを再確認させられたので、過信することなく緊張感を持って、コンピューターとつきあっていこうという気分が新たになりました。そう考えると小さな事故は、歓迎すべきものです。

 さて、いよいよ明日から9月です。後半戦が始まるまでの時間を有効に使っていきたいと思います。
by stochinai | 2008-08-31 23:59 | 札幌・北海道 | Comments(0)
 ここのところメモリーの値段がどんどん下がってきているようで、もっとも広く使われているUSBメモリーの値段もどんどん下がって、4ギガで1000円くらいにまでなっているようです。2ギガで500円というものも売っていますので、その気になって大量に購入すれば1ギガ100円くらい、あるいはそれ以下で手に入れることができるようになっているということだと思います。 700 - 800 メガの CD-R が 30 - 50 円くらいでしょうから、もうUSBメモリーの値段は十分CDと競争できるところまで落ちてきているということです。

 一方で、私の使っているPanasonicのCD-R7などのノートブックはどんどん軽量化して、光学ドライブを持たないものも出てきています。さらに最近は、光学ドライブを実装することができないモバイルノートもはやっています。

 そうした流れの中、ソフトをCDやDVDではなくUSBメモリーで売ってしまおうというアイディアは自然なものです。ソースネクストでは「Uメモ」シリーズとして、従来CDに入れて売っていたソフトを1ギガのUSBメモリに収録して販売することを始めました。光学ドライブのないコンピューターにインストールすることが簡単になっただけではなく、インストール後のメモリーは単なる1ギガのUSBメモリーとして利用できます。値段もCD-R版と同じです。さらに親切なことに、「プログラムを誤って削除したり、USBメモリ本体を紛失した後に再インストールが必要になった場合に備え、ユーザー登録していただいたお客様には、プログラムのダウンロードができるサービスもご用意しています」とのことです。

 そこまで来たらダウンロード版でいいのではないかということになりそうですが、やはり「ものを買う」という行動に対して、まったくものの移動を伴わないダウンロード販売には抵抗を感じる人がまだ多く、完全移行するまでには、こうした「中間型」の販売方法はアリだと感じます。さらに、リユースできるUSBメモリも手に入るのですから、お得感や今流行のエコ感も付いてきます。

 それと直接関係した話ではないのですが、皆さんはプレゼンなどに使うパワーポイントファイルはどのように持って歩かれているでしょうか。

 もちろん、最近は自分のノートブックを持ってプレゼン会場に臨むというケースがほとんどだと思いますが、あらかじめパワーポイントやキーノートあるいはpdfファイルを会場にある一台のパソコンにインストールするように求められることや、事前にファイルの送付を要求されることもあります。

 いずれにせよ、自分のノートブックの中にプレゼン用のファイルが入っていることはもちろんですが、それ以外にバックアップとしてあるいは提出(移動)用としてファイルをUSBメモリーに入れて持って行かれる人も多いのではないでしょうか。

 私も余裕があるときには、コンピューターの中にある最終版と同じものをUSBメモリーに入れて持っていくのですが、最近はギリギリまでファイルのバージョンアップを繰り返すことが多いので、その度ごとにUSBメモリー内のファイルと同期させながらバックアップを繰り返すのは面倒ですし、その結果としてどうしてもバージョンの違うものがコンピューターとUSBメモリーに入っているということもしばしば起こってしまいます。また、USBメモリーが小さくて携帯に便利だということが同時に紛失しやすさにもつながり、危険性もあります。

 というわけで、最近はオンラインにもファイルを保存するようにしています。ネットにさえつながっていれば、USBメモリーを抜き差しする手間もなくアップロードすることが簡単なので、ファイルを更新すると同時にアップロードするようにしておけば、最新版が常に自分のコンピューターとネットの向こうにあることになります。

 これはとても便利で、いざとなればハードウェアが故障しても、USBメモリーを紛失しても、あるいは持参しなくても出先のコンピューターを借りて簡単にプレゼンできます。

 最近はフリーのストレージ・サービスも便利なものがたくさんでてきているようですが、このところ私がよく使っているfirestorageというサービスは、1ファイル2ギガまでのものを容量無制限で預かってくれます。アップロード・ダウンロードの速度も十分に早く、ファイルにパスワードをかけることもできます。保存期間は7日間までですが、いちいち自分で消去しなくてもいいのは逆に便利ですし、消すときにメールで連絡までしてくれるという親切さです。(しかも、とりあえず登録しなくても使えます!)

 もっと便利なのは、Gmailのメールボックスを使ってファイルを保存することです。FirefoxにはGspaceというエクステンションがあって、今や7ギガを超える大きさになったメールボックスに1ファイル20M(メールのサイズですから、もちろん200Mではありません)までのものを簡単に送受信することができます。ところが、おそらくGoogleはこのサービスを快く思っていないらしく、(Gmailの仕様変更とともに)しばしばGspaceがうまく動かなくなってしまいます。現在も、ダウンロードは大丈夫なのですが、アップロードができません。Gspaceもがんばって対抗バージョンアップしているのですが、不安定感はぬぐえません。

 しかし、このGspaceは単にGmailの添付ファイル機能を利用しているだけなのです。つまり、添付書類としてプレゼンファイルをつけたメールを自分宛に送ることで、Gmailのメールボックスにファイルを保存できることになるのです。

 このGmailのメールボックスにファイルを保存すると、とても良いことがもうひとつあります。それは、メールボックスを開くだけでパワーポイントをスライドショーとして閲覧することができるので、パワーポイントが入っていないコンピューターでもブラウザーさえあればプレゼンができるのです。この場合には、F11キーを押してブラウザを全画面表示にしておくと、気の散らないスライドショーができます。

 是非、お試しください。
by stochinai | 2008-08-30 23:29 | コンピューター・ネット | Comments(3)
 今週は、火曜日に札幌から東京へ、水曜日に東京から札幌へ、木曜日にまた札幌から東京へ、そして今日金曜日に東京から札幌へ戻ってきました。

 その間、あちこちで局地的な集中豪雨などがあったらしく、これだけ移動を続けていると、いつどこでそれにぶち当たっても不思議はないと覚悟していたのですが、昨日羽田へ降りる時に上空で少し順番待ちのための旋回飛行をして遅れたくらいしか影響を受けず、さすがに「晴れ男」を自称しているだけのことはあると、勝手にいい気になっておりました。いくら奥の方とはいえ、東京都内で土砂崩れがあって鉄道が運休になったりしていたので、さすがに今日は何か影響があるかと思っていましたが、飛び立つ時は日差しが暑いくらい羽田周辺は良い天気でしたが、まわりを遠くを見渡してみると、関東地方の北から南西の方向までは、ぐるりとものすごい入道雲に囲まれており、そちらは大雨が降っているのではないかと心配になりました。

 3時頃に羽田を飛び立ってみると、北側にはそれほど雲が発達していません。ところどころで、こんなかわいらしい入道雲というよりは、坊主雲といった感じのものがモコモコと頭を出しているくらいでした。
c0025115_21204179.jpg
 しかし、もう少し北へ進むと段々と雲が濃くなって、かなり広い範囲にわたって積乱雲が発達している不気味なところもありました。
c0025115_21224178.jpg
 こういうところの下では、いわゆる局地的な大雨になっているのかもしれません。

 こちらは、足を2本前に投げ出したスフィンクスの前半部のように見える小さめの入道雲が、晴れた空に作られているの、まわりには雲がなく地上がよく見えることから、わかります。
c0025115_21255834.jpg
 次から次へと、おもしろいかたちの積雲・積乱雲が出てくるのでずっと見下ろしていましたが、すこし雲が薄く広がっているところに、なんとなく七色が見えます。はじめは窓の反射か何かと思っていたのですが、どうやらこれが飛行機から見えるという「円い虹」なのではないかと、急いでシャッターを切ってみましたが、あまり良く撮れませんでした。
c0025115_21285773.jpg
 サイズを小さくしたほうがよく見えるかもしれませんので、もう少し縮めてみます。
c0025115_21305687.jpg
 どうでしょうか?なんとなく内側にも小さな虹があって、2重に見える気がします。残念ながら、このあたりで雲が切れてしまったので見えなくなりました。逆に、厚い雲がかかっているところでも、虹は見えません。適切な薄さの雲と、太陽・飛行機そして観察者(私)のすべての位置関係がぴったりと合わないと見えないのだと思います。良いものを見させていただきました058.gif

 この後、東北地方にさしかかると雲はどんどんと厚くなってきました。最初は、こんなとんがり帽子の雲を見て喜んでいたのですが、
c0025115_21522892.jpg
さらに進むと飛行機の飛んでいる高度まで濃い雲に覆われ、まるで雪に覆われた高山に突っ込むような恐怖感を(ちょっとだけですが)感じました。
c0025115_21391844.jpg
 この下は間違いなく大雨が降っていると思われます。大きな被害にならないと良いのですが・・・。

 集中豪雨の被害に遭われた方々には本当にお気の毒なことですが、そういう異常気象をもたらしている雲の様子などは空から見ると、かなり迫力のある画像として見えるのでしょうね。

 そう言えば、一時期こういう画像を壁紙にしていたことがあります。

 Hurricane Elena
by stochinai | 2008-08-29 21:53 | つぶやき | Comments(0)

POWERS OF TEN

 降ったり止んだりしていますが、ニュースで騒がれるような激しい雨とは縁遠い東京です。

 それとはまったく関係ない話題なのですが、「たつをの ChangeLog」で、自然科学フィルムの名作のひとつと断言できるあの POWERS OF TEN がYouTubeにあるという情報が載っていました。

 私も講義に使えるかもしれないと、数年前におそらくYouTubeからダウンロードした(と記憶している)ファイルを持っていますが、それは英語のナレーションのついたもので実際に講義に使ったことはありません。今回紹介されているものは、ナレーションは英語のままなのですが、日本語の字幕がついています。なぜ、日本語の字幕のついた版があるのかについては、ビデオを最後まで見るとこの字幕がついた理由の種明かしがあります。



 そうなのです、なんとあの**大学の講義の一部として放送されたものだったのです。
c0025115_23382587.jpg
 もちろん正式に放映されているのですから、こちらは著作権がクリアーされているのだと思いますが、こうした教育的価値の高いフィルムはパブリックドメインとして公開されるとありがたいです。

 ビデオの最初に出てくるクレジットにIBMの名前が出てきますので、IBMでは教育目的に使われる限りは著作権侵害などをうるさく言うことはないものと信じています。
c0025115_23441583.jpg
 こうした教育的な視聴覚コンテンツを作って著作権フリーにして自由使用を認めることなどは、企業がする社会貢献として大いに歓迎したいものです。

 先日、ご紹介したPCRのビデオのように、YouTubeには教育的に価値の高いビデオがたくさんあります。一所懸命探せば、「YouTubeでわかる生物学」などのカリキュラムを作ることも可能だと思います。

 誰か、まとめリンクを作ってくれないものでしょうか。
by stochinai | 2008-08-28 23:55 | 教育 | Comments(2)

帰りは「お花ジャンボ」

 札幌に帰ってきました。涼しいとはいえ、こちらへ戻ってみると東京の蒸し暑さは、やはり苦しかったのだと思えます。

 帰りは久々のポケモン機でした。
c0025115_22583343.jpg
 なんだか、今までに見たポケモン機より、元気がある感じがします。
c0025115_22591643.jpg
 花がいっぱいだからでしょうか。
c0025115_22595815.jpg
 頭の先から花だらけです。今回も翼の機体番号が確認できましたので、検索してみました。
c0025115_2325621.jpg
 JA8956は「お花ジャンボ」って呼ばれているんですね。納得。

 機内のカーテンもポケモンでした!
c0025115_2345787.jpg
 明日また東京へ飛びます。
by stochinai | 2008-08-27 23:19 | つぶやき | Comments(0)

学術ポータル担当者研修

 始まりました。
c0025115_10145892.jpg

by stochinai | 2008-08-27 10:15 | コンピューター・ネット | Comments(0)

雨の東京へ

 先月、名古屋大学で開かれた研修会の第2弾が、今度は東京の国立情報学研究所で、明日開催されます。私がにわか講師として担当するのは明日の午前中なので、前日の今日から東京入りです。

 札幌は寒いくらいの朝でしたが、東京も雨で気温も意外なほど涼しいもので、暑さを覚悟してきた気分がちょっと肩すかしをくらってしまいました。

 千歳-羽田の全日空068便は座席が翼の上でした。雲が多かったこととほとんど寝ていたこともありますが、写真は翼を一枚だけ撮っただけで気がついたら羽田に着陸寸前でした。というわけで、翼の写真がこれです。
c0025115_2315198.jpg
 何の変哲もなく、機体番号が識別できるだけですが、これをネット検索してみて衝撃を受けました。

 JA8966

 トップに出てくるのが、これ「全日空 ハイジャック 緊急着陸」です。1999年7月23日金曜日羽田発千歳行き全日空061便が、羽田空港の出口から逆行して侵入してきた男にハイジャックされ、機長が殺され、あわや墜落事故という事件がありましたが、この機体はまさにその時のものだったのです。飛行場で、出口からの逆進入を非常に厳しく取り締まるようになったのは、あの事件があったからだと記憶しています。乗っている時にはまったく知らなかったのですが、今になってなんとも不思議な感覚にとらわれています。

 さて、明日の会場は一ツ橋の学術総合センターですが、今の時期はどこもホテルが混んでいて、ようやく確保できたのが、そう遠くもないですが人形町のホテルでした。人形町というところは、名前は有名ですが実際に訪れたのは初めてです。

 ここから会場へ行くには、水天宮前駅から半蔵門線に乗れば良いらしいので偵察してきました。
c0025115_2329218.jpg
 名前のとおり、駅の上には水天宮がありましたが、残念ながら閉門した後でした。
c0025115_23341333.jpg
 水天宮の前はすぐ広い車道なのですが、いちおうそれらしく灯籠風の照明が良い味を出しています。
c0025115_23333750.jpg
 とは言っても、やはりビル街に埋もれていますので、裏から見るとこんな感じです。
c0025115_23315147.jpg
 この時期の東京がこんなに涼しいのは「異常気象」なのかもしれませんが、誰も不満ではないようで「寒冷化」とは騒がないようです037.gif
by stochinai | 2008-08-26 23:44 | コンピューター・ネット | Comments(1)

オカルト特許申請

 医学・生物学情報が豊富なので、流し読みしている「バイオの故里から」という、情報ブログがあります。

 基本的にどこからかの情報をリブログしているだけだと思うのですが、特許情報が多いのが特徴と言えば言えるのかもしれません。その特許情報のソースは、基本的にいつも同じでJ-tokkyoという、一見特許庁のサイトかと思わせるような無機質に特許申請情報だけを載せているサイトです。ただし、このJ-tokkyoとはどういうところなのかということに関する記述がまったく発見できない、かなり怪しげなサイトではあります。

 というわけで、公開された特許の申請情報が載っているようなのですが、それが本当のものなのか、偽物なのかも確かめることはできていないので、それをここにまた再掲することがいいのかどうかは悩んだのですが、グーグルで検索するとヒットしてしまうので問題を感じました。まあ、特許を申請するだけならなんでもありなのかもしれませんが、いくらなんでもこれはダメだろうというものにぶち当たってしまい、自分の心だけにしまっておくのも気持ち悪いので、敢えてここに公開させていただきます。

 「バイオの故里」からのタイトルがあまりにもすごかったのですが、モトネタの【発明の名称】のままなのでした。

 ヒトiPS細胞初期化3遺伝子利用死者復活製法

 「バイオの故里」さんは、ただ単に特許情報を転載しただけなのかもしれませんが、それを「トンデモ」ではなく「細胞生化学」というカテゴリーに入れてしまったら、「バイオの故里」さんも半分共犯になってしまいますよ。

 モトネタはこちら

 【発明の名称】 ヒトiPS細胞初期化3遺伝子利用死者復活製法

 特許の【課題】となっているのが、「死者を墓の中の遺骨のDNAで復活させる」ということで、100歩譲って、その核やゲノムを卵細胞に移植するというのであれば、まあ「理論的には」不可能ではないかもしれないので、特許になるかとか倫理的にはどうなのかというところを飛ばせば、チェックに値するかもしれないと最初はちょっとだけ思いました。

 しかし、本文を読む限りこれは生物学の訓練を受けた人間の書いたものではないということがたちどころにわかるものです。オカルト以外の何物でもありません。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)ヒトiPS細胞技術応用体細胞を初期化するのに必要な3つの遺伝子のうちOct3/4、Sox2で万能性維持とKlf4で体細胞が分化したことで得た情報を消しゴムのように消す働きをするので墓の中の死者の骨のDNAからこれら3つの遺伝子を取り出して増殖させる。
(ロ)増殖したこれら3つの遺伝子を遺骨DNAからできた死者の再生肉体の体全体の細胞に行き渡るように壊れないようにして各細胞の初期化を若い細胞になるまで戻す。
(ハ)その増殖は止まらないので老化はなくなり若返るしレトロウイルス培養とガン遺伝子には紫外線B波かビタミンDでガンになるのを防ぐ。
(ホ)墓の中の頭蓋骨内側のDNAかその少しの脳のDNAあれば上記のように初期化して生まれて死ぬまでの記憶までも時間とは逆に遡り生前の全記憶を取り戻す。
以上の如く論理で導かれるヒトiPS細胞初期化3遺伝子利用死者復活製法。

 「体細胞が分化したことで得た情報を消しゴムのように消す働きをするので墓の中の死者の骨のDNAからこれら3つの遺伝子を取り出して増殖させる」は、純粋に日本文として読んでも意味不明です。さらには、この遺伝子を「遺骨DNAからできた死者の再生肉体の体全体の細胞に行き渡るように壊れないようにして各細胞の初期化を若い細胞になるまで戻す」のだそうです。そもそも「遺骨DNAからできた死者の再生肉体」などというものが手に入るのだったら、この特許も何もいらないことになります。(まさか、もうすでに特許になっているなどということはないでしょうね。)

 これでは、参考文献にしているという「『読売新聞』2008年1月27日、19頁」や、「『ニュートン』2008年2月号、70頁から75頁」すら理解できていないはずです。もちろん、原著論文を読む能力のある生物学者(生物学科の学生ですら)でないことも明らかです。

 さらには、死者の記憶を再生させるために「墓の中の頭蓋骨内側のDNAかその少しの脳のDNA」を用いるところまでくれば、高校生程度の生物学知識でもこれは明らかに科学・技術とは異なる世界の話であることが、たちどころにわかるはずです。

 iPS細胞もとんだ利用のされ方をしているもので気の毒だと思いますが、たとえ申請だけだとしてもこのレベルのものは申請段階ではじくしくみがないと、日本の特許システムそのものの信頼性が大きく傷つくことになるのではないでしょうか。

 最後に書いてある、【産業上の利用可能性】が「人類史で亡くなった偉人や親しい人と再会し同時に不老不死で需要の産業上の利用可能性は高い」などというところまでくると、中学生でも判断可能なレベルです。読んでいるだけでも、気味が悪くなります。

 特許の【公開番号】というものが載っていて、「特2008 - 154596(P2008 - 154596A)」なのだそうです。そして【出願番号】が特願2008 - 60224(P2008 - 60224)とも書いてあります。

 願わくは、これが悪い冗談で、日本の特許庁ではこのような申請を受け付けた事実はないということであって欲しいと思いますが、そうしたことをネットで調べる方法はあるでしょうか。
by stochinai | 2008-08-25 22:10 | つぶやき | Comments(17)

オリンピック終了

 北京オリンピックの閉会式が行われています。開会早々の花火を上空から撮影した画像が、どうしてもCGに見えてしまうのは、北京オリンピック運営側の実から出た錆というものでしょう。それはさておき、私には長く感じられたオリンピックですが、心配されていたミュンヘンオリンピックの時のような惨劇もなく、また少なくとも発表されるほどの大きな事故がなかったことをひとまず喜びたいと思います。

 もちろん、圧倒的な軍事・警察力であらゆる反対勢力を押し込めた結果の「平穏」なのでしょうが、流血の事件が起こるよりはマシと思う意見が多いと思います。できればこれを機に、中国が民主的な国になってくれるとうれしいのですが、開会式・閉会式の人海戦術を駆使したマス・ゲームを見ていると、北朝鮮あるいは大昔の共産中国スタイルが復活したようにも思え、あまり気分の良いものではありませんでした。

 中国では今、貧富の差が激しくなりつつ、全体主義が強くなっていると聞きます。それはロシアにも見られる傾向ですが、主義主張に関係なく貧富の格差が拡大するという世界的傾向には大きな危惧と希望の喪失感を覚えます。貧乏人を救ってくれるイデオロギーがなくなってしまうとすると、その後には血で血を洗う階級間戦争が再出現しそうな気がするからです。

 世界のことを気にするまでもなく、この日本においても貧富の差が世代間格差とシンクロする形で深刻化しています。特に、失われた10年と言われる1991年から2002年までの間に新卒として社会に出るはずだった団塊ジュニア・ポスト団塊ジュニアの中には、ロストジェネレーションと言われながら、いまだにフリーター、ニート、派遣、ポスドク、研究支援員、無給研究員として不安定な状況に置かれている人も多いのではないでしょうか。

 彼らを再び社会のシステムの正規メンバーとして組み込み、日本を立て直すことが必要なのだろうと感じています。

 オリンピックは、貧困などの不幸を一時的には忘れさせてはくれますが、明日の朝が明ければまた現実に戻らなくてはなりません。

 気分一新、再始動ですね。
c0025115_2228249.jpg
 軒下のオオケタデは、花の蕾が伸び始めてきました。
by stochinai | 2008-08-24 22:45 | つぶやき | Comments(0)
 400メートル・リレーは銅メダルでした。野球は銅メダルも取れませんでした。予測では、リレーはメダルは無理そうでしたが、上位チームが不幸なアクシデントによる脱落で銅メダルに届いたという感じでした。一方、野球は金メダル以外は意味がないというような強気とプレッシャーの中で戦いだったと思われます。

 リレーのチームは、転がり込んできたとも言える銅メダルに驚喜していました。一方、野球チームは決勝に進めなかった時点でもはや銅メダルをもらってもうれしくはない、という気分が見ているこちらにも伝わってくる感じでした。

 他の競技でも、銅メダルをもらうことがうれしくてうれしくてしょうがないというくらい喜んでいる選手を見ると見ているこちらもハッピーになります。一方、銅ならばもらわなくてもいいという態度の選手を見ると、その人あるいはチームは銅メダルすら取ってほしくないという気分になります。見ていると、そういう人あるいはチームの多くは銅メダルを取ることすらできずに敗退していることも多いような気がします。

 銅でも死ぬほどうれしいという人(チーム)にとっては銅メダルは金メダルと同じかあるいはそれ以上に意味があるものになります。一方、銅ならばいらないという人(チーム)にとっては銅メダルはその存在意義すら否定される存在になってしまいます。

 我々観客は、銅メダルならいらないという気分の選手(チーム)が敗退することを喜んでしまうものです。たとえ銅でも、それを取ったことに強い喜びを共有できた選手たちを強く支持する気持ちになるオリンピックです。日本のチームであっても応援できない気分になるケースがあるのはとても残念です。

------

 今日は、野暮用があって大学に行けませんでした。夜になって、自宅の周辺を取った写真をあげておきます。
c0025115_1151091.jpg
c0025115_1152048.jpg
c0025115_1152865.jpg

by stochinai | 2008-08-23 23:59 | つぶやき | Comments(2)

青鬼灯 秘かに育ち 居りにけり      中島たけし


by stochinai