5号館を出て

shinka3.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

<   2008年 10月 ( 38 )   > この月の画像一覧

HAPPY HALLOWEEN

 こちらでは、身近にハロウィーンのお祝いをしている人を見たことはないのですが、ホームセンターなどではクリスマスの時と同じように、いろいろな飾りを売るようになりました。そんなものの1つを手に入れて1ヶ月ほどドアにぶら下げておいたのですが、さすがに明日からは飾るわけにもいかないでしょうからはずしてきました。
c0025115_22275969.jpg
 クリスマスのように盛り上がるまでにはあと何年かかかるのかもしれませんが、なにかしらジワジワと近づいてきたようには感じられます。

 カボチャの提灯は見たことがありませんが、札幌では8月7日に行われる七夕祭りに、子ども達が提灯をぶら下げて、近所の家々をまわり、昔はロウソクだったのですが、今はお菓子や飴、場合によってはお金を集めて歩く習慣があります。最近は、子どもに危険かもしれないという声がでてきて、だんだんと廃れてきたようなので、「習慣がありました」、というべきかも知れません。

 さすがに、今の時期だと寒すぎるので七夕と一緒にしてしまったのかもしれませんが、日本のお祭りとキリスト教のお祭りを一緒にやろうと思いついたのは、昔の宣教師だったのでしょうか。

 札幌の七夕の風習の起源を調べてみると、おもしろい歴史が浮かび上がってくるかもしれませんね。
by stochinai | 2008-10-31 22:42 | スマイル | Comments(3)
 昨日、円山動物園にインドネシアから借り受けた、コモドオオトカゲがやってきたそうです。

 日本唯一のコモドオオトカゲを展示します!!

 上野動物園にいたはずの、雌のコモドオオトカゲは現在、シンガポールに貸し出し中なのだそうで、現在日本には円山動物園にしかいないということです。

 国内で唯一のコモドオオトカゲがシンガポール動物園へお嫁入りします!

 こちらは、あと2年半は帰ってこないのですが、円山のコモドドラゴン(コナン♂とコニ♀)はいつまでいるのでしょうか。
【一般公開】 
 11月1日(土) 記念セレモニー終了後(11時テープカット)  
 ※駐日インドネシア大使館から出席予定
 まさか、明日1日だけということはないですよね。

 誘惑に勝てずに、円山動物園のサイトから、写真を借用してしまいます(ゴメンナサイ)。
c0025115_22144937.jpg

by stochinai | 2008-10-31 22:17 | 札幌・北海道 | Comments(1)
 今日は全然余裕がありませんので、私の研究室で長生きしている鉢植の植物を2つご紹介するだけにします。

 一つ目はオオタニワタリです。2代目で、先代は珍しく株分かれして増えたのですが、引っ越しの時の環境変化に耐えきれず、枯れてしまいました。こちらは、苗(?)の頃から新しい環境で育てているので、グングンと成長しています。
c0025115_20295764.jpg
 あまり大きくなっても困るので、小鉢のままの大タニワタリです(笑)。

 次は、サクララン(ホヤ)です。これも強靱な植物で、毎年のように何度も何度も花を咲かせてくれています。葉が厚く、多肉植物っぽいところがあります。
c0025115_20322253.jpg
 全体が斑入りなのですが、そこから時として真っ白な「斑だけ」の葉を持った枝が出てくることがあります。おもしろいことに、いちど真っ白になった葉の先にはもはや緑の部分を持った葉がはえてくることはありません。この写真でもちょっと右側にそういう枝があります。

 成長点で分裂する細胞が一度葉緑体を失うと、あとは葉緑体のない細胞だけが生み出されるということなのだと思いますが、これを見るたびに「細胞遺伝学」という言葉を思い出します。

 生物がありさえすれば、つねに生物学もあるものです。
by stochinai | 2008-10-30 20:39 | 趣味 | Comments(0)
 マイクロソフトの発表によると、マイクロソフト・オフィス(Word、Excel、PowerPoint、およびOneNote)のブラウザー版が作られており、近々公開されるということです。

 マイクロソフトがOfficeのブラウザ版を発表(ありがとう、Google)
 Microsoft Office Embraces The Browser (Thank You Google)
 Microsoft Office Comes to the Browser (Finally)

 大元のニュースソースは、一番下のもので、その英語解説記事が真ん中のもので、それを日本語に訳したものが、一番上のものです。

 読んでいただければわかるように、ウェブ経由でオフィスが使えるようになり、使えるブラウザーはInternet Explorer、Firefox、およびSafariだということです。

 無料なのか有料なのかについては今のところ不明だそうですが、GoogleのDocs and Spreadsheetsに対抗するには、たとえ昨日機能限定するにしても無料にしてくるのではないかということが想像されます。

 もはやデスクトップではOpenOfficeなどのオフィス類似ソフトが数種類、無料で配布されるようになっており、現状でたとえ50%くらいのシェアを確保しているとは言え高額な値段で売り続けるということはできなくなることは明らかです。

 そこで、デスクトップとウェブ上で完全互換で使えるマイクロソフト・オフィスを公開することで優位性の確保を維持しようという攻めの姿勢だと思われます。

 もしも、無料になると私たちも安心して学生にオフィス・ファイルを使うことを薦められますし、オフィスソフトをコンピューターに入れて持ち歩かなくて良くなると、今はやりのネットコンピューターの可能性が一気に高まると思います。

 ReadWriteWebにあった、印象的なウェブパワーポイントの画像を引用しておきます。
c0025115_22212164.jpg
 動きも軽いといいんですけどね。
by stochinai | 2008-10-29 22:22 | コンピューター・ネット | Comments(2)
 研究者の指から血を吸っているガを見ると、けっこうショックを受けます。苦手な人は画像をクリックしないでください!
c0025115_2224510.jpg

 ソースはナショナル・ジオグラフィック・ニュースですが、まさにハロウィーンの季節にうってつけのホラーと感じる方もおられるかもしれません。

 一般的にこの手の科学ニュースは、どこかの科学雑誌に出た論文のプレス・リリースとして出てくるものが多いのですが、これに関してはまだ論文発表がないようです。それというのも、この研究はナショナル・ジオグラフィックが研究費を提供して行われた研究なのです。

 この動画で、指にガをとまらせて血を吸わせているのはゲインズビルにあるフロリダ大学の女性研究者です。たとえ吸血性のものでも可愛がっている様子が伝わってきますが、これは同じ動物学者としては気持は良くわかります。もちろん、私はやりませんが(笑)。(それに、ちょっと病気の心配も覚えます。)

 カやアブ、ブユ、サシガメなど血を吸う昆虫はたくさんいますので、ガやチョウにも吸血性のものがいても不思議はないのでしょうが、動物学を専攻した私ではありますが恥ずかしながら初耳でした。今回発見されたものも、今まで吸血性のものが報告されているものと同じエグリバ類のCalyptra属のようです。形態的にはヨーロッパに分布する果物の果汁を吸うCalyptra thalictriに非常に良く似ているそうで、他の種では果物に突き刺すために使っているのと同じ形態のクチバシ(吻)をヒトの皮膚に突き刺して血を吸います。

 果物を突き刺すための口を持っているガやチョウが、吸血性へと進化するのを想像することはそれほど難しいことではないのですが、実際にそれが起こったことが証明されるととてもおもしろい発見になると思います。

 不思議なことにこのガは雄だけが吸血するそうです。カなどは産卵のために雌だけが血を吸うことが知られていますが、雄だけが血を吸うということはどういう意味があるのでしょうか。多くのガでは、交尾の時の雄が栄養をたっぷり含んだ精包の中にはいった精子を雌に渡すのだそうで、その栄養を使って卵が成長し成熟するということがあるそうです。このガで雄だけが吸血するというのは、精包を通じて雌に渡すための栄養源として利用しているのではないかと想像されているようですが、それが証明されることも楽しみです。

 こういう血を吸う昆虫では、血液凝固を阻止する物質を持っているものなので、このガもそういう意味ではすでに製薬会社が目をつけているはずですが、そういう応用的なことはさておきヴァンパイア・モスが発見されたということだけでも充分楽しいニュースでした。
by stochinai | 2008-10-28 22:19 | 生物学 | Comments(2)

手稲山冠雪

 昨日のニュースでやっていたのですが、あいにく雲に隠れていて見るチャンスがありませんでした。

 今日は、研究室の窓から雪がくっきりと見えます。
c0025115_1853461.jpg
 Google Map の手稲山はちょうど冬の風景なので、比べてごらんください。頂上から東側に伸びる逆V字形の雪原が写真で見えているところです。

 冬です。
by stochinai | 2008-10-28 18:22 | 札幌・北海道 | Comments(0)
【追記】
 mamekichiさんが、どうして大学が「会議と書類の館」になっているかの種明かしをしてくださっています。関係者および、関心のある方は必読です。でも、これを読むと大学に就職したい人が確実に減りますね。
【追記ここまで】

【追記2】
 ちょうど良いタイミングで財団法人大学基準協会発行の広報誌【じゅあ】第41号がホームページに掲載されたというメールが届きました。
 【じゅあ】第41号pdfファイル
 その9ページ目に事務局からのお知らせがあるのですが、「今の状態では提出資料作成などで大学の負担が大きいので、2009年度から適用する評価項目に対して、『細項目を382項目から約260項目に精選化』した」と書いてありました。それぞれの項目について全教員の過去何年か分の資料を要求していることを考えると、ちっとも減った感じがしませんね。
【追記2ここまで】

 「内田樹の研究室」の26日のエントリー「会議と書類の大学」を大学関係者でない方が読むと、現実をデフォルメしたとてもおもしろい「おとぎ話」に思えるのではないかと不安になりました。

 そこに書かれていることは、笑い話でも誇張でもなんでもありません。しかし、私が読んでいても、まさかこれほどひどいことはあるはずがないと思えるのです。事実を淡々と書いているだけなのに、あまりのばかばかしさに本当のことのようには思えないという、現実の大学で起こっていることであることをどうやって伝えたら信じてもらえるのでしょうか。私も、自分がその内部に身を置くものでなければ、「やっぱり内田さんは話がうまいなあ」と笑いながら楽しんでしまったに違いないと思います。

 今ならネットでも読める、枕に使われている中村桂子さんの毎日新聞の記事「私の提案:毎日新聞・大阪発行120年 JT生命誌研究館館長・中村桂子さん」くらいならば、まだ信じてもらえるのかもしれませんが、次から次へと語られる内田さんの言葉は、まさに笑い話にしか聞こえません。
来週私どもの大学ではある評価機関による実地調査がある。
・・・
文科省や大学基準協会が推進している「アクレディテーション」というのは「この大学は100%まっとうな大学です」という質保証をすることである。その質保証ができない大学は「まっとうではない大学」と見なされる。
つまり、「推定有罪」である。
だから、検査項目は無限であり、検査時間も無限になり、私たちが書かされる書類も無限に増えてゆく。
だが、大学はそのもてるすべてのリソースを「質保証」に注ぎ込んでもそれでも「これまで質の高い教育をしてきたし、これからもするであろう」という事実を証明することができない。
・・・
子どもがぴいぴい泣いているのを放っておいて、「子どもをちゃんと育てていることを証明する書類」を書いている親や、殺人事件が起きたときに、デスクにかじりついて「凶悪犯をきちんと逮捕していることを証明する仕事」を書いている警察官が不条理な存在であるということは誰にでもわかる。
だが、私たちは現にそのような「カフカ的不条理」のうちに投じられているのである。
 私の所属する部局でも「ある評価機関による実地調査」が予定されています。そこで要求されている自己評価資料の検査項目は、まさに「無限」であり、項目を読んでいるだけで気が遠くなります。しかも、この評価によって得られるものが大学の「推定有罪」であることも確信的に予感できます。

 自分を有罪にするための書類を作り続ける行為は、まさにカフカの世界そのものです。

 すべての大学が「推定有罪」になることは、一見フェアなことに思えるかもしれませんが、どんな大学も否定されるべき理由を持っているのですから、どの大学を残しどの大学を捨てるかということに客観的指標がなくなることも意味します。つまり、政府・文科省が思うままの判断をすることが可能になるというわけです。素晴らしいやり方ではありませんか。

 研究・教育に割くべき貴重な時間とリソースを、自分たちが所属する大学を「推定有罪」にするための自己評価書作成に注いでいる我々はいったい何をしているのでしょう。

 大学を評価しなければならないというのであれば、第3者機関からしかるべき専門家を大学に派遣して何年かかけて調査すべきでしょう。大学を評価するといいながら、そのほとんどのものを「自己評価」に委ねているというような大学評価方法は、とても評価の名に値するものとはなりません。その怪しいものを作るために、膨大なエネルギーと時間を注ぎ込まなくてはならない大学は、いったい何を期待されているのでしょう。

 もはや日本の大学はアカデミアと呼ぶことさえできない存在になってしまっているのかもしれません。中村さんのおっしゃるように「今のままだったら20年、30年後もノーベル賞級の業績が出るかどうか疑問」ですし、内田さんがおっしゃるように「中村先生の「このままでは日本はダメになる」という見通しに私も賛成である」に、私も一票を投じます。

 かつての「研究と教育の大学」は、今や「会議と書類の大学」です。と言いながらも、目の前にある自己評価書を作らなくてはなりません。やれやれ。
by stochinai | 2008-10-27 22:20 | 大学・高等教育 | Comments(54)
 安全性が高いのはわかるのですが、都市で供給されている水道は非常に値段が高く設定されているので、大量に水を使う工場や大学・研究所ではかなりのところで井戸水を使っているのではないかと思います。私たちの大学でも、医療用など特殊な例外を除きほどんどの水を井戸水に頼っています。

 北海道のミートホープでは、雨水までも利用していましたが、目的を間違わなければ、いろいろな水を使い分けるのは理にかなったことだと思います。

 井戸水は基本的には雨水が地面にしみこんだものですから、どんなに土壌の濾過作用が優れているといっても、化学薬品汚染などでは除去されないものもたくさんありますから、危険物を使う工場付近、人がたくさん住む都市、農薬を使う農地などの付近では井戸水を飲み水や食品の処理に使うのは危険です。

 もちろん井戸水を飲食用に使っているところでは、水質基準をクリアしているかどうかについて定期的に検査しているはずで、今回問題になっている柏市の伊藤ハム工場でも定期検査でシアン化合物が検出されたのも、この定期検査だったということですから、安全対策はとりあえず機能していたと考えられます。ただ、微量だったとはいえ安全基準を上回ったデータが出てから使用を中止するまで20日間以上もかかってしまったというのは、昨今の食品事故事件を考えると対応に失敗したと言わざるを得ません。

 最初に汚染を発見した段階で即座に製造停止し、それ以前に製造した製品の検査をしてそれには汚染物質は入っていないということになれば、ここまで大騒ぎにならなかったかもしれません。まあ、工場長や生産事業部幹部としては、製造中止や製品回収ということになったら責任を問われるかもしれないし、会社に与える損害を考えるとそうそう簡単に動けなかったという気持ちはわかりますが、地下水汚染の場合には伊藤ハムも被害者である可能性も高いわけですから、迅速な対応をするべきだったと思います。

 では、今回のシアン化合物で井戸水を汚染したのは誰なのでしょう。

 シアン化合物というと、もっとも有名なのは金属メッキの際に使われるものでしょうが、メッキ以外の金属加工でも使われることもあるようです。また、研究所などで化学実験をするところでは良く使われますので、そうした工場や研究所の排水に含まれるものが、下水から滲み出すなどして地下水へと移行することは、それほど珍しくないはずです。

 今回の事件で、地下水汚染の原因が伊藤ハム自身でないとすると、いったいどこが汚染源なのかということが気になります。Google Map で見ると、工場の南東にはかつてひどい汚染で有名だった手賀沼がありますし、北西には工場団地や東大の柏キャンパスなどを始め、大きな工場や病院がけっこうあるようです。もちろん地下水脈の流れ方を調べなければ、汚染がどこから発生してどこまで行っているのかわかりませんが、シアン化合物ということならば、原因の特定はそれほど難しくないような気がします。

 とすれば、保健所などでは汚染源に対してすでにある程度の目星がついているのではないかという気もするのですが、そういう報道がまったく出てこずに、シアン化合物が含まれている可能性のある食品を販売した伊藤ハムだけが叩かれていることに、ちょっとイライラしてしまいます。

 もし今回の事件が、製品回収と伊藤ハム・バッシングだけで終わってしまったら非常に失望します。

 きちんと汚染源が特定されるまで、ウォッチを続けたいと思います。
by stochinai | 2008-10-26 22:44 | 医療・健康 | Comments(1)

黄葉のピーク

 いよいよ本格的に寒くなってきました。天気予報では、来週の中頃は市街地でも初雪が降るのではないかという予報も出ています。

 黄葉や紅葉は、葉を落とすまでの短い時間に急速に色を濃くします。北海道ではソメイヨシノが少ないので、桜の花見に心落ち着かなくなるなどということは少ないのですが、黄葉・紅葉の一番きれいなところを見逃さないようにとソワソワする人も多いようで、イチョウ並木の下はお祭りのような人手です。来週の連休には歩行者天国になるのですが、それまでにピークは過ぎてしまうかもしれません。

 先々週のイチョウ並木
 先週のイチョウ並木
 そして、ここからが本日のイチョウ並木の様子です。
c0025115_1648625.jpg
 逆光を狙ってみましたが、あまりうまく撮れませんでした(^^;)。
c0025115_16485457.jpg
 実は、脇の歩道の方が美しかったりします。
c0025115_16492339.jpg
 こちらは、工学部と理学部の間にある大野池のほとりの紅葉です。
c0025115_16503030.jpg
 最後はこんなので、決めてみました(笑)。
c0025115_16513820.jpg
 日差しは強いですが、気温は低く秋の深まりを感じます。
by stochinai | 2008-10-25 16:52 | 札幌・北海道 | Comments(0)
 硫化水素というと、ちょっと前に自殺に使われるガスとして悪名高かったのですが、今日のScienceにはその硫化水素が体内で血管拡張のための信号物質ガスとして働いていることがわかったという論文が出ています。

H2S as a Physiologic Vasorelaxant: Hypertension in Mice with Deletion of Cystathionine {gamma}-Lyase
Science 24 October 2008:
Vol. 322. no. 5901, pp. 587 - 590
DOI: 10.1126/science.1162667


 文字がうまく表現されないので、タイトルの画像も貼っておきます。
c0025115_20595772.jpg
 NO(一酸化窒素)が血管拡張作用をもつガス性の伝達物質として働いていることが示され、バイアグラの働きがNOを作らせることなどから話題になり、ノーベル賞にもつながったのはそれほど古い話ではないと思って調べてみると、もう10年も前の話なのでした。

 今回、発見された硫化水素も一酸化窒素と同じように、血管弛緩作用があり、血圧を下げる働きがあります。

 論文では、身体の中で硫化水素を作る酵素(シスタチアニン・ガンマ・リアーゼ Cystathionine {gamma}-Lyase: CSE)を作る遺伝子を壊したマウスでは、血液中だけではなく心臓・動脈などの組織において硫化水素レベルが大きく低下していることが示されました。そして、このネズミは高血圧症にもなっていました。さらに、血管を弛緩させ血圧を下げる働きのある神経伝達物質であるメタコリン(methacholine)を与えても血圧が下がらなかったことから、メタコリンの血管弛緩作用はそれによって硫化水素が作られることによって間接的に実現されていることがわかったというわけです。

 おそらくマウスと同じメカニズムがヒトでも働いていることが推測されますので、今後は薬品メーカーなどが必死で研究することになるでしょうが、一酸化窒素と硫化水素が同じ働きをしているのはちょっと不思議な気がします。今後、もうちょっと複雑なしくみが発見されるような気もします。

 また、どこまで本当なのかわかりませんが、硫黄泉と呼ばれる硫化水素の臭いのする温泉には、効能として血圧低下作用があると言われることがありますが、意外とその話とこの話がつながってきたりするとおもしろいですね。民間療法が医学によってサポートされる例になるかもしれません。

 英語ですが、こちらに解説記事があります。

Science News
Naturally Produced 'Rotten Egg' Gas Helps Control Blood Pressure In Body, Researchers Find
身体が作る腐った卵の臭いのするガスが血圧をコントロールすることを科学者が発見した

by stochinai | 2008-10-24 21:33 | 医療・健康 | Comments(0)

今日二つ三つ朝顔の通り道          稲畑廣太郎


by stochinai