5号館を出て

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 事業仕分けで科学研究予算について、かまびすしい議論がわき起こっています。多くの研究費が国民の税金を原資としていることから、無駄遣いをするなという意見はきわめて正当なものです。

 しかし、科学という行為は未踏の領域に踏み込んでいくことであり、予想がつかないことにチャレンジするという際に「効率」とか「無駄を省く」とかいう言葉がまったく通用しない世界であることもまた事実なのだと思います。
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(C) photoXpress

 そういういわば「無駄のかたまり」のような科学研究をするのですから、お金はあればあるに越したことがないので、科学をやっている誰に聞いても「お金は欲しい」というに違いありません。

 しかし、たとえそうであっても「**億円なければ、この研究は達成できない」というような高圧的な台詞には違和感を感じます。

 たとえ、あればあるほどよいというのが事実であっても、スポンサーである国の経済状態がこういうことになっていることを理解できず、科学研究の予算を削減するなどというのは無知蒙昧の証拠である、などという傲慢な態度をとるならば、「だったら研究していただかなくても結構です」と言われても仕方がないと思います。

 過去に、世界に認められる業績を残され、世界的に有名な賞を受賞された方であったとしても、今の日本の経済状況を理解できずにそのような発言を繰り返すのであれば、多くの国民から見放されてしまうこともまた覚悟しなければならないでしょう。

 「資源のない日本という国で、科学技術を振興せずに未来はない」という言葉にも一遍の真理はあると思いますが、科学技術を振興することで当面の財政危機を乗り越えられるのかという問いに、「そうだ」と答えたとしたら、それはその「科学者」がただの社会的状況に無知な人間にすぎないことを表明していることにすぎません。

 基本的に研究や教育というものは、国の基礎体力をつくるものだと思いますが、基礎体力はあくまでも基礎体力であり、目の前の問題を解決する即戦力にはなり得ないことのほうが多いのです。

 そう考えると、やはり科学研究への投資は短期的な見返りを期待できるものではなく、ある意味ではきわめて贅沢な出費ということになりますので、お金が有り余っているのであればともかく、そうでないならばいろいろなものを我慢して投資していただくべきものというものだと思います。

 そのためには、大多数の国民の理解が得られていないならば、科学研究予算を強引に要求するということは、やはり正しくないことだと思います。自民党時代に多く行われた政治主導の研究費獲得には、そうしたものも多かったのではないでしょうか。

 私は研究費を受け取る側として、最低限でも多くの国民の皆さんに「まあそのくらいの費用ですむなら研究してもいいよ」と言ってもらいたいと思いますし、さらにできるならば「いろいろと苦しいんだけど、みんなで我慢するから未来のために研究してください」と言われるのが理想的だと思っています。

 今すぐにそんなことが可能だとはとても思えませんが、今回の「事件」の中で、科学と社会の「いい関係」を作ることの重要性を認識できた科学者がどのくらいいるかが、今後の展開の正否を占う鍵になると思っています。

 残念ながら、あまり明るい未来が見えてこないというのが現在の個人的感触なのですが・・・。
by stochinai | 2009-11-30 22:28 | 科学一般 | Comments(16)

11月29日のtwitter

Sun, Nov 29


  • 14:39  「仕分け」は誰が行ったのか -大学の授業を変える会 会長の日記 - 「元学生だった仕分け人」「今社会の中心にいる人は、まともな大学教育を受けていない。ちょうど自分のように。だから、大学教育をきちんと考えられないのだ。」 http://ow.ly/GFMC

  • 11:04  理系人がiPhoneと手書きMindmapで成功す� - GCOE 東北大学グローバルCOEプログラム「変動地球惑星学の統合教育研究拠点」「恵まれた給付奨学金さえもらえない院生・・・そういう努力人だっていることを自覚しているか、と問いたい。」 http://ow.ly/GCs2


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by stochinai | 2009-11-30 21:32 | コンピューター・ネット | Comments(0)
 まさかデマとは思われないような感じで、大手マスコミ、テレビ、ラジオ、ネットに騒ぎが拡がっています。はては長妻厚生労働大臣までもが「漢方薬についても市販の物を買って保険から外しなさいと、こういうようなご指摘もあると聞いているが、そのまま受け入れるというのはなかなか難しい」(長妻 昭 厚労相)」(TBS Newsi)というコメントを出すなど、誰もが今回の事業仕分けで漢方薬を保険適用から除外すべきという結論が出たと思っていたと思います。上のコメントが出たニュースにもこう書いてあります。
 事業仕分けでは、薬局で類似薬などが市販されている漢方薬は、医師が処方する保険適用から除外するべきとされましたが、長妻大臣は29日、結果を受け入れない姿勢を示しました。
 私のところにも、漢方薬の指定除外の反対署名の情報が来たりしましたので、それは一大事と署名に応じようとしたりもしていました。

 しかし冷静に考えてみると、漢方薬の評価は高まりこそすれダメだという話を聞いたことはほとんどないという状況の中で、いくらあの「必殺仕分け人」でもそんな血迷った判断を下すのかといぶかしく思っていたところではありました。

 あの「きっこのブログ」のきっこさんでさえ、これは一大事ということで「署名サイト」を立ち上げたということで、私も今朝署名に行ったらなんと「状況が怪しくなってきたので、署名は一時中止します」みたいな感じで、サイトが閉鎖されていました。
先ほど、行政刷新会議の事業仕分けで、漢方薬を保険適用の対象外にすると決まったので、これに反対する署名へのご協力をお願いする告知を掲載しました。しかし、もう少し調べてみる必要があると判断しましたので、いったん告知を削除しました。お騒がせしてしまい、申し訳ありません。
 で、先ほど見てみたらきっこさんのところで詳しい状況の解説が行われていました。

 結論から言うと「マスコミが報じている「行政刷新会議の事業仕分けで、漢方薬を保険適用の対象外にすると決まった」という報道は事実に反する」ということのようです。詳しくはきっこのブログをお読みください。

 漢方薬に関するデマ

 そもそもこれに関連した仕分けが行われたのが11月11日のはずなのに、このニュースが流れ始めたのが27日前後だというあたりから疑うべきだったのです。さすがにきっこさんは科学的に「原典にあたる」ということを実行してくださいました。
(この問題に関連した議論がされたのは)11月11日に行なわれた「第2WG 2-5」の「後発品のある先発品などの薬価の見直し」っていう会議で、相手は厚生労働省だ。
・・・
最初に結論から言っとくと、この会議に参加した民主党の枝野幸男議員を始めとした仕分け人の面々は、誰1人として、「漢方薬を保険適用の対象外にする」なんて言ってない。それどころか、「市販品類似薬を保険適用の対象外にする方針なのか?」っていう厚生労働省の官僚の質問に対して、ハッキリと否定してる。
 という恐ろしい事実が浮かび上がってきたのです。 つまり、今日本中を騒がせている大ニュースは大ガセである疑惑があります。
だから、すべての新聞の報道は「デマ」であり、それに乗せられて署名なんか始めちゃった漢方薬関連の人たちも、慌てて署名をしちゃった一般の人たちも、みんな、バカマスコミに騙された被害者ってワケだ。
 きっこさんは、録音を全部聞いて書き起こしてくれています。仕分け人が言ったことは次の3点だけだそうです。
「病院で処方する医薬品は、市販品の定価よりも2%高く設定している。・・・このぶんは全国の国民が支払っているのだから、この2%も削減すべきである」

「海外で使われている薬が国内で使えるようになるまでに長い時間が掛かるドラッグ・ラグについて、もっと短時間で使えるようにするために認可手続きを迅速化すべきである」

「町の薬局でも買えるビタミン剤、シップ薬、うがい薬などの市販品類似薬は、お年寄りなどは飲み残しも多いし、中には市販品を買ったほうが安いものも多い。こうした市販品類似薬に関しては、保険対象外とすべきである」
 そう言えば、こういう議論は当時の新聞などにも出ていたような気がしてきました。

 きっこさんのブログの結論はあまりにも威勢の良い啖呵で終わっていますので、それを引用するのはもったいなのので是非とも「原典」にあたっていただきたいと思うのですが、どうやら仕分け人やら仕分け事業をこき下ろしたい勢力(マスコミ関係?)が意図的に作り出したフレームアップの疑いが濃厚な「事件」のようです。

 まあ、マスコミが起こした事件はいつのまにか静かになって責任追及もされずにうやむやになっていくというのが通例ですから、今回の件も時間と共に忘れ去られていくことになるのでしょう。

 それにしても、この件に関連して私が思ったことは、科学研究関連予算の仕分けについても、きっこさんのように「原典」に当たらずに、伝言ゲームのように「仕分け人の言ったこと」や「仕分けの結論」といったものがネットやマスコミを駆けめぐっていることの危険性です。少なくとも国立大学法人の運営費交付金の議論においては私は枝野さんや蓮舫さんは法人化に批判的で、現在の大学の置かれている窮状を理解していると感じられる発言をしていたことをリアルタイムに見聞きした自信があります。

 今回の「事件」は、2次3次情報に振り回されることの恐ろしさを教えてくれています。少なくとも科学的訓練を受けているはずの我々には、きっこさんに笑われないような「科学的対処」を心がけたいものです。

 大丈夫でしょうか。

【追記】
コラム【安住るりの昭和史瑠璃色眼鏡】
漢方薬保険適用除外は【誤報】です! 仕分け人枝野議員が明言
JANJAN 2009/12/09
 ここでは仕分け人の誰一人として「漢方薬」について言及していない。
 うがいクスリ、湿布薬、ビタミン剤については、具体的に薬品名を挙げて「同等の市販品が安く入手できるもの」については、保険適用から外すことも検討すべき、としたが、財務省の事前ペーパーにあった「漢方薬」には仕分け人は触れておらず、除外する薬品の判断は厚労省と財務省でよく協議検討すべし、という結論になった。

 そのことは、現場で取材していた記者たちは正しく理解したはずだし、枝野議員は、日本テレビの全国放送番組などで「漢方薬を保険から外すとは決まっていない」と何度も述べたのに、系列の新聞さえもが、逆の誤報を前提として「仕分けチーム批判」の社説まで書いたのだという。

 なぜか、他紙もテレビニュースも、いっせいに同様の報道をしたので「署名運動」などの大騒ぎになったのは周知のことである。11月11日の事業仕分けの翌日に、漢方薬大手の「ツムラ」の社長が自ら、誤解に火をつけるような発言をした。経営者としてはおかしな行動だと筆者は感じる。自社の株価などにただちに跳ね返る情報を、この社長は、自ら確認しなかったのだろうか?

 また、短期間に27万人もの署名を集めた「東洋医学会」も、仕分けの音声や映像の記録を確認しなかったのだろうか? 筆者は、どうも腑に落ちない

by stochinai | 2009-11-29 23:55 | 医療・健康 | Comments(45)

11月28日のtwitter

Sat, Nov 28


  • 22:45  いこきろ週間始まるよ。|双子の白クマ赤ちゃん通信 「12月5日から13日はホッキョクグマ・ツインズ・ウィーク・・イコキロの満一歳」「12月12日(土) 13時30分~ (会場未定) ブログ「双子の白くま・・・」を担当する樋泉職員によるトーク」 http://ow.ly/Gshg

  • 09:57  【事業仕分け】: 某科学史家の冒言録「・・・スポークスマンを発掘・・・科学技術のことが分かるだけでなく、その社会への影響、その社会的、経済的、文化的意義について、国際的な比較もしつつ、国民や、政府に対して説得的に説明できなるような人材・・・」 http://ow.ly/Gksp

  • 09:54  【事業仕分け】:某科学史家の冒言録「いいかげんにノーベル賞受賞者をスポークスマンにして、あまり内容のない議論をさせるのをやめてはどうだろうか。特定の科学分野でノーベル賞を取ったからといって、科学政策のことが分かっているわけではまったくない・・」 http://ow.ly/Gkrg

  • 09:50  海洋学研究者の日常: 社会の中の科学 「表明された意見の多くは、我が国の科学技術研究開発従事者(あえて科学者とは言わない)が置かれている深刻な立場を理解しておらず、従来の牧歌的な自律的科学研究者の立場からの物言いのように見える。」 http://ow.ly/Gkp6

  • 01:19  民主党の意図せざる革命 - 池田信夫 blog@「結論からいうと、「人民裁判」は言い過ぎだった。」「徹底して公開するという民主党の方針は、意外に大きな変化を日本の政治にもたらすかもしれない。」 http://ow.ly/Gfgz


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by stochinai | 2009-11-29 11:10 | コンピューター・ネット | Comments(1)

がんばるギンナン

 昨夜は天気予報では雪と言っていたのですが、気温があまり下がらずずっと雨が降っていました。さすがに今朝になると空から落ちてくるものは水ではなくなっていました。が、やわらかな雪でもなく、アラレです。
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 銀杏並木も葉はすべて落ちてしまっているはずなのですが、遠目には黄色く見える枝もあります。
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 近づいてみると、やはり葉ではなさそうです。
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 望遠にしてみると、まるまると太ったギンナンが鈴なりです。葉っぱは見事に一枚も残っていませんが、ギンナンはがんばって枝にしがみついているんですね。まだまだ落ちなさそう。
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 場所によっては、枯れ木に花が咲いたようにも見えるところもあります。
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 これから冬になるのですが、雪の積もる前にもうフキノトウの芽がこんなに大きくなっていることは知りませんでした。
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 春になってからよりも、これを食べた方が栄養がありそうに見えます。

 しばらく雪の下にもぐって、冬眠ですね。おやすみなさい。
by stochinai | 2009-11-28 17:28 | 札幌・北海道 | Comments(0)

11月27日のtwitter

Fri, Nov 27


  • 22:50  kilo's scrap - そうした意味から、持続的な科学研究活動の継続のために、研究プロジ...「「これだけお金を・・・成果を上げる・・・」ではなくて、「これだけの成果を上げるのに従来よりもこれだけ安くできるようにします」という方が有効。」 http://ow.ly/Gddp

  • 22:37  科学コミュニケーター募集中 RT @Salsa_st: 株式会社スペースタイムの正社員募集エントリー締め切りは11月30日です。http://bit.ly/7aXO90

  • 12:25  これぞ新時代! ディアルディスプレイ搭載のB5サイズモバイルPC発表 : Gizmodo Japan(ギズモード・ジャパン), ガジェット情報満載ブログ:ちょっとそそられます。 http://ow.ly/G3y7

  • 12:23  双子の白クマ、海外と交換検討 -動画ニュース「現在は、交換に応じてくれる動物園の情報を集めている段階で、オランダやドイツ、ロシアなどの動物園が候補に挙がっています。」 STV http://ow.ly/G3wc

  • 10:24  理研はプレスリリースを出すか - 成毛眞ブログ 「理研は今年8月7日に長崎大学と共同で本件についてプレスリリース」「国内最速」「このマシン、「地球シミュレータ」の性能を上回るのだが、開発費用は3800万円だった」 http://ow.ly/G1Ec


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by stochinai | 2009-11-28 10:11 | コンピューター・ネット | Comments(0)
 今回の事業仕分けで事業予算の削減や廃止の結論を出されたものがたくさんありました。その中には、科学技術関係でポスドクを雇い入れる資金になっているものもあると思います。GCOEなどでは、たくさんのポスドクが雇われていると思います。廃止になってしまった場合にはどうすることもできないかもしれませんが、削減の場合にはどこから節約していくのかということが問題になります。

 人件費は大きいので、予算が削減された時にはまっさきに人件費を切り詰めることを考えがちですが、ちょっと待ってください。

 文系のことはよくわかりませんが、理系のGCOEだと人件費はどのくらいになるでしょうか。ポスドク以外に大学院生のTAを雇用するお金もかなり投入しているところもあるかもしれませんが、その両方を足してもまさか2/3を人件費に使っているということはないと思います。とすれば、たとえ予算が2/3に削減されたとしてもポスドクの首を切らなくてもなんとかやっていけないでしょうか。多少給料やTAの雇用時間を減らさなくてはならないということはあるかもしれませんが、基本的には事業規模を縮小すればポスドクの首を切ったりしなくても事業の継続は可能ではないかというのが、いろいろなGCOEでのお金の使い方などを見聞きして感じるところです。

 もともと大学での資金は、年度内使い切りが義務づけられております。最近は科研費は「相当の理由」があれば次年度以降に持ち越すこともできるということになりましたが、うちの大学ではなぜか今年はすべての交付金を年度内に使い切ることが推奨されています。GCOEなどの予算も基本的には同じですから、数億円という予算配分を受けた場合には最後の「使い切り」のところで、かなり無理をして予算消化するというようなことになっているところが多いと推測されます。元々必要がないわけではなくとも、たとえば3億円のお金を使って事業を行う時には、最初のうちは誰でも予算をオーバーしないように使うと思います。そうすると、どうしても年度末には数百万円の単位で「多少の無理をして」お金を使うことになるものです。全体で3億円ともなれば、場合によってはそれが数千万円ということがあっても不思議はありません。

 ということは、3億円の予算があったならば、おそらく5千万円減らされても大丈夫ではないかというのが、私のどんぶり勘定です。

 確かに1億円減らされたら大きな影響が出ますし、事業の大幅な縮小は避けられないと思いますが、宝である人材が確保できるのならば、そしてその人たちが未来を担う人財に育ってくれるならば、事業の縮小などは乗り越えて、GCOE本来の目的である教育目標を達成することは可能なのではないかと思うのです。

 個々の事業にはそれぞれの事情があるでしょうし、場合によっては人件費が2/3を越えているところもあるかもしれません。そういうところは、次年度の予算配分に当たって特段の配慮をお願いして、削減幅を小さくして人材の確保を最優先にしてもらうように申請していただきたいと思います。

 研究費の中に占める人件費は大きいものですから、研究機器や消耗品を確保するために、予算削減の時にまっさきに削りたくなるのが人件費という気持ちはわかるのですが、たとえば5年間の事業のためにポスドクを雇うときには「契約は単年度ごとですが、最長で5年間まで延長可能」というような契約を交わすことが多いと思います。これだと、確かに年度替わりの時に予算削減を理由に雇い止めをすることが可能に読める文書ですが、雇い止めをするためには「期待される働きをしなかった」などの積極的理由がなければ、継続を止めることはおそらく「社会通念上の公序良俗」に反する行為として、法的正当性にも疑いが生じるような気もします。

 もちろん、仕切りによって予算が削減されることは、事業の運営側にとって非常にショッキングな「被害」だとは思いますが、そこに雇われているポスドクやTAにとっても同じくらい、あるいはそれ以上に衝撃的な被害を生み出す可能性のある事件です。

 そういう意味では、雇用側と雇われるポスドク・TAは同じ被害者として連帯して困難に立ち向かうべき存在であり、雇用側の都合を優先するあまりにポスドクやTAを切り捨てるというようなことはあってはならないと思います。

 もちろん、この後に政府の正式な予算が決まるときに削減された予算が復活するという可能性もないわけではなく、その場合には両者にとってハッピーエンドになりますが、もしもそうならなかった場合には、雇用側関係者と被雇用側のポスドク・TAがともに被害を分かち合える存在でいて欲しいと思います。

 くどいようですが、繰り返します。たとえ予算が激減したとしても、最大限の努力をしてポスドクの雇い止めだけは避けていただきたいと思います。人がいる限り、細々とでも研究は継続できるものです。経済状態が良くなったらまた活動を復活できる時のために、研究者を確保し続けるということこそが、同じ研究者仲間としての雇用側がやるべき最大の努力目標だと思います。

 スーパーコンピューターなら何度でも作ることにチャレンジできますが、研究者がいなくなってはそれもできなくなります。

 今は、人を守ってください。
by stochinai | 2009-11-27 22:22 | 科学一般 | Comments(7)

11月26日のtwitter

Thu, Nov 26


  • 20:22  有江幹男氏死去 元北海道大学長 89歳。北海道出身。 - 47NEWS(よんななニュース) http://ow.ly/FPy5

  • 19:31  1年生議員が法律を通しつつあります。 Piquer ~Ennrico’s  room:肝炎対策基本法 - livedoor Blog(ブログ) http://ow.ly/FOSX

  • 18:14  ニューヨークの遊び方 : 科学技術・学術関係の予算、アメリカでは逆に増額「(NSF)の予算項目は、前年比で16%増。しかも、今後10年の間に基礎研究(basic research)分野の予算は倍増する?!計画なんだとか。」 http://ow.ly/FNP2

  • 14:22  科学予算についてどう見られているかを常に意識した方が良い。 - 発声練習「スポーツも科学も(ついでにいえば、教育と芸術も)社会の余剰資産で行なわれるもの。生きるのにカツカツであるときには、絶対にスポーツ、科学、教育、芸術は発展しない。」 http://ow.ly/FLnY

  • 12:56  若だんなの新宿通信  日本に「無い資源」ではなく「ある資源」の話をしないと:「事業仕分けも・・・反応も,テレビではなくネットで直接見られる時代。 それを意識して振る舞えるか・・今後の予算が組み直されるか・・ そういう面白い時代に生きている・・」 http://ow.ly/FKMp

  • 12:48  事業仕分け 削減等に批判はあるが 国は大赤字だ!: くまさんの自立:「科学の進歩は必要だと思うのだが、国が赤字ということをもう少し考えるべきだ。・・・スポンサーを見つけることも絶対に必要だし、赤字国債についても責任を持つべきだろう。」 http://ow.ly/FKKx

  • 09:25  賛成! RT @pollyanna_y: いいですね。RT @enodon: これはいい声明だなあ。反省も課題も受け止めている。慶應義塾大学 グローバルCOEプログラム 2拠点リーダーからの 共同声明http://bit.ly/6L3z3P

  • 08:35  こういう内幕がどんどん出てきて欲しいですね。 RT @renho_sha: 財務省に事業予算を何故去年は認めたのかと聞いた時、「それは政治の判断です」との一言。これまで予算編成で誰が何を基準に認めてきたのかわからない政治

  • 06:35  素晴らしい!遺伝子操作じゃないところが、またすばらしい!! 右巻き左巻き自由自在 貝の殻、方向操作に成功 - 47NEWS(よんななニュース) http://ow.ly/FGoX


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by stochinai | 2009-11-27 11:45 | コンピューター・ネット | Comments(0)
 ポスドクを大量に生み出したのが中曽根首相時代のポスドク等1万人計画だったとすると、それを救済するのも自民党(自公)政権の責任とも言えるわけですが、政権交代してしまった今となっては彼らにそれをする力はほとんど残っていません。しかし、自公政権下で国立大学が法人化されて以降、毎年1%ずつ減らされ続けた運営費交付金はどうなっているのでしょうか。

 当然、他の費目に変えられて使っているのだと思いますが、ここはひとつそれを高等教育政策費として戻してもらえませんでしょうか。

 ある資料によれば、毎年90億円ほどが削減されてきたようなので、それが5年分とするとざっと450億円です。

 この450億円を使って、あらゆる研究分野のポスドクを雇用し、研究費配分の仕事をしてもらってはどうかというのが提案です。

 かなり荒っぽい計算ですが、そのお金を使って一人年間400-500万円の給料でポスドク1万人を雇用することができるという計算にならないでしょうか。その1万人のポスドクを各国立大学法人と文科省の下にあるJSPSとJSTに分配してプロフェッショナルな科学研究費プログラムオフィサーとして働いてもらうというのは、かなり現実味のある提案だと思いますが、いかがでしょう。

 もちろん、ポスドクの多くの方々は研究をしたいと思われているでしょうが、プロとして研究費配分の仕事に携わるということは、限りなく研究の現場に近いところにいるということであるともに、世界の研究動向を勘案するという意味において広い視野を持つこともできます。

 そういう仕事を数年続けたら、今度は大学や研究所の研究者と立場を交換するのです。

 アメリカでは、大学などの研究者が1年間くらい研究の現場を離れて、NSFなどで研究費配分の仕事に携わると聞いたことがあります。
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 日本でも、大学や研究所の研究者(教員)は、何年かあるいは十何年かに1回、文科省に1年間くらい現場を離れて出向し、研究費配分の仕事に携わるとか、自分の大学あるいは研究所で研究費申請や審査に携わることを義務づけてはどうでしょう。

 このシステムを起動するために、とりあえず最初はポスドクから始めてみようというのが今回の提案です。

 いきなり、科学者コミュニティに研究費配分のための組織を作れと言っても途方に暮れるだけだと思いますので、今ある組織を改編して(できれば、JSTとJSPSを統廃合し一つの組織にして)、そこに大量のポスドクを入れるところから始めてはどうでしょう。

 我ながら悪くない案だと思いますが、現時点では単なる思いつきですので、どんどん叩いてください。同時により良い対案もお願いします。
by stochinai | 2009-11-26 21:30 | ポスドク・博士 | Comments(8)

11月25日のtwitter

Wed, Nov 25


  • 22:27  さらに同感RT @suedemonaku: 同感 RT @alaudide: 会場にいた事業仕分けで指摘された事柄について真摯に振り返り情報発信すべきではないかと主張した学生さんは立派だと思います.#utnobeldebate ( http://ustre.am/pkA )

  • 21:11  A Science Communicator’s Diary » 批判よりも建設的に:「サイエンスの世界の人は、確かにマスコミ批判が多少なり多い・・その気持ちもわかる・・建設的に行きましょう」「メディアはわたしたちで育てるもの、かも」 http://ow.ly/Fwsg

  • 14:49  サンワダイレクト、単3電池4本で動作するポケットサイズのプロジェクターを発売 - japan.internet.com Webテクノロジー:これは状況によってはすごくいいかも? http://ow.ly/Fr8m

  • 09:16  シベリア・タイガーはもうダメか? Dramatic decline found in Siberian tigers http://ow.ly/Fn0Z

  • 09:10  登録すると勝手にtweetするこのサイトはお行儀が悪すぎるので気をつけましょう。 RT @orcajump: 【Q&Aなう】に登録なう!みんなで参加⇒http://qa-now.com/ twitterを使ってリアルタイムに質問/回答 by Q&Aなう

  • 09:07  大人にも! 江川 紹子 (新書 - Nov 21, 2009) '勇気ってなんだろう (岩波ジュニア新書 639)' Amazon http://bit.ly/6XIfHG


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by stochinai | 2009-11-26 12:32 | コンピューター・ネット | Comments(0)

ふと咲けば山茶花の散りはじめかな        平井照敏


by stochinai