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穏やかに暮れる年の瀬

  西や南の方面では冬の嵐や豪雪に見舞われておられる方もいるようですが、今日の札幌は風もなく時折太陽がのぞく穏やかや大晦日になりました。
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 この写真は、そんな昼過ぎに撮った一枚で、ネコがぼーっと外を眺めています。あたかも年が過ぎゆくのを眺めているかのようにも見えますので、今年最後の一枚に選びました。

 穏やかに太陽が見えるとはいっても、さすがに大晦日ですから、もちろんしっかりと雪は積もっております。

 というわけで、適当な年末の掃除を片付けた後、夕日が沈む前に家の周りというか、正確には家の近くにある小学校の周りで写真を撮ってきたものを付録にします。

 まずは、小学校の正門から西に延びた並木道です。まだまだ木は若いですが、小学生が大人になって戻ってきた頃には立派な並木道に育っていることでしょう。
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 もちろん、小学校は冬休みですが、小学生が通う歩道はしっかりと除雪されていました。
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 動物飼育小屋からぶら下がったつららです。最近は、つららの下がる家がめっきりすくなくなったので、こんなものでも珍しく思えます。
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 動物小屋の横には温室があります。中にはかなりおおきくなった実がたくさんぶら下がったまま立ち枯れているヘチマと思われる植物が見えます。
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 グラウンドのまわりには高い柵が張り巡らされていますが、人気のない校庭というものもいろいろなことを感じさせてくれるものです。
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 おそらく、雪が積もったらそれを集めてスキー用の小山を作るためのブルドーザーが入りやすいように、校庭の門は開かれていました。(ひもが張ってあって、もちろん用のない人間は立ち入り禁止です。)

 そこから撮った一枚です。
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 冬休みですし、誰もグラウンドにははいっていないだろうと思っていたのですが、この写真をよく見ると2-3日前に付けられたとおぼしき足跡がたくさん見えます。子ども達はやっぱり元気に遊んでいるのでしょう。

 今年も一年、いろいろな方のお世話でなんとか大過なく過ごすことができました。大変にありがとうございました。

 また、来年もよろしくお願い申し上げます。
by stochinai | 2010-12-31 22:52 | 札幌・北海道 | Comments(0)

12月30日のtwitter

Thu, Dec 30


  • 23:46  [exblog] 見事な営業 http://bit.ly/fgfE2o

  • 22:34  白氏の雑学日記:科学技術か科学・技術か http://ow.ly/3w5Po 「科学技術か科学・技術か」「もっと本質的な議論をするべき時」「功なり名遂げた人たちに・議論して頂いてもよろしくない・将来の有望株や少し離れた立場の人・冷静かつ客観的に・夢を持って・議論してもらいたい」

  • 14:17  雪に映える大文字と花火 上富良野町で年越しイベント BNNプラス北海道365 http://ow.ly/3vZ8V 「1926・年の十勝岳噴火で発生した大規模な泥流により、当時の上富良野、美瑛、中富良野の3村で144人が死亡」 大晦日の午後11時30分から 元旦午前零時「大文字」

  • 13:19  デッドスペースに設置できる雨水タンク(Rainwater Pillow) : monogocoro ものごころ http://ow.ly/3vYxN さすがアメリカ、いちいちスケールが大きい。我が家の雨水タンクはせいぜい100リットルのオーダー、こちらは千から万リットル!

  • 12:52  【萌えベビーシリーズ】乳離れしたばかりのワラビーの赤ちゃん Well, I’ll Be! It’s a Wallaby! — Cute Overload http://ow.ly/3vY8H

  • 08:38  RT @s_strip028: 「就活は戦場 大学院は墓場」

  • 07:52  [exblog] 12月29日のtwitter http://bit.ly/fcPS5S


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by stochinai | 2010-12-31 09:58 | コンピューター・ネット | Comments(0)

見事な営業

 ついに、あの本がミリオンセラーになったそうです。
J-CASTニュース「水嶋ヒロ「KAGEROU」発行100万部

 俳優の水嶋ヒロさんが齋藤智裕の名義で書いた小説「KAGEROU」(ポプラ社)が2010年12月30日、オリコンの週間ランキング(2011年1月3日付)の本部門で前週に続く首位を獲得した。推定累積売り上げ部数は54万8853部だという。なお、同小説の累計発行部数は12月28日、発売からわずか2週間ほどで大台の100万部に到達している。
 噂によると、この本は一般書籍のように返本できるタイプではなく、各書店が買い上げるというシステムなのだそうで、要するにポプラ社から出た時点で「売れた」ということが確定され、現時点でまだ55万部くらいしか読者が買っていないとしても、ほぼ100万部の売り上げがポプラ社にはいり、その分の印税が著者に入ると言ってよさそうです。
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KAGEROU

 見事な営業を見せていただいたというのが正直な感想です。

 税抜き1400円の本だと印税が一割だとすれば、140円の100万部で1億4千万円。ポプラ社の利益も10億円のレベルに達するのではないでしょうか。

 「第5回ポプラ社小説大賞」の賞金2000万円も、著者は辞退したので結局は「見せ金」程度にしか登場しなかったものの、たとえその2000万円が宣伝費だったとしても十二分に回収できました。またそれに付随して、「出来レース」や「持ちかけ応募」さらには、「ゴーストライター疑惑」など、次から次へと問題視報道が出れば出るほど、結果的にはあらゆる報道が小説の宣伝になってしまうという効果を生み、小説が発売されることになった時点では、社会的認知度はほぼ沸点に達していたと言えそうです。どういうふうに計算していいのかわかりませんが、日本のマスコミが総力を挙げてこの本の宣伝をしていたと考えると、その宣伝効果はおそらく数億円に及ぶことが想像され、その結果としてこのくらいの売れ行きになるというのは、費用対効果としてはある意味妥当なものなのかもしれません。

 しかし、その費用のほとんどを出版社が出していないというところが、今回の件が後世に語り継がれるようなすごい「営業」だったと感じます。

 私は現物を手にとってすらいないので、内容についてコメントできる立場にはありませんが、すでに読んだ方の感想をいろいろと見せていただくと、内容のすばらしさでこの先どんどんと読者が増えていくということはあまり期待できなさそうです。しかし、逆に1470円を払って購入したことで本気になって腹を立てて、詐欺罪で訴えるというような声も聞きません。

 つまり、そういう意味でも今回の出版は営業的に大成功だったと思われるのです。

 10数億円という金をだまし取ったとしたら、立派な犯罪になってしまうと思いますが、一人一人からはわずか1470円しか徴収しておらず、しかもその見返りになにはともあれ「話題の一品」を手に入れた購読者は、その旬の品物を所持したことである意味十分に満足している可能性があります。そうだとすると、詐欺どころか顧客を満足させた優秀な品物だったという可能性もあります。

 そう考えてみると、今回の「騒動」は現代社会の中で起こったきわめて順当なエピソードにすぎず、今後は同じような手はそうそう使えないとしても、たとえ見た目は「小説」というものを売るという形を取っていても、今回売れたのは「話題」であり、現時点ではその「話題」の値段として十分に釣り合うと購買者が判断した結果として売れていると考えると、非常に納得がいきます。

 ただし、この件で出版社と著者はいろいろなものを失ったことも事実でしょうから、彼らの将来ということを考えると、この短期的「成功」が「後悔」へとつながる可能性は高いと思います。一方、1470円を支払った読者は、そこそこの満足を得ただけで傷つくことはありませんので、今回の営業は「自爆テロ」的ではありましたが、まあ笑って許せるたぐいのものだったような気がします。

 ただ、半年もするとこの本はブックオフで105円でも売れないということになると確信しますが・・・。
by stochinai | 2010-12-30 23:46 | つぶやき | Comments(4)

12月29日のtwitter

Wed, Dec 29


  • 23:47  『積丹半島でホッケ釣り体験』に行ってきました! (宝の島 北海道をもっと楽しもう!) http://ow.ly/3vEGm 札幌市内及び新千歳空港から発着! 積丹半島で絶景ホッケ釣り体験&温泉ツアー http://ow.ly/3vEIb レポート

  • 23:37  [exblog] 太陽が描く8の字軌跡 http://bit.ly/gxtLir

  • 15:19  うわあ、これはスゴイですね。自慢して良いと思います。 RT @itaimecom: @NobuKawai @5goukan 複数のアナレンマを1枚の写真に収めたのは世界で私だけと自負しております

  • 13:11  市内の竹澤輝さんに漫画の新人賞「ちばてつや賞」【紋別】 北海道ニュースリンク http://ow.ly/3vvnM 今年後期第58回ちばてつや賞(一般部門)大賞 ちばてつや氏は「作者はいいセンスをしている。キャラクターの心情が伝わってくる作品。意外な演出で主人公が愛おしくなる」

  • 10:05  コミュニケーションの基本がこれでしょう: “うわさ”が“うわさ”を呼んで…商店街が活性化?! “八戸のうわさ”プロジェクト greenz.jp グリーンズ http://ow.ly/3vsUU 「2月にオープンするポータルミュージアム「はっち」の開館記念の一環で行われるイベント」

  • 09:45  北海道社会福祉事業団が札幌市東区にグループホームを開設 BNNプラス北海道365 http://ow.ly/3vsCP 我が家とそんなに近いわけではないのですが、同じ区です。こういうホームなどを「隣近所」が見守り支える雰囲気を作り出せたらいいなあ、と思います。現実は逆が多いので。

  • 09:29  フォーカル、10m防水のiPadケース『DRiPRO iPad用防水ケース』を発表、予約受付中 | トブ iPhone http://ow.ly/3vspM 私の場合も、確かにiPadを持ち込まない最後の聖域が風呂場でした。とりあえずZiplocで試してみるかな?

  • 09:27  同じ地点で同じ時刻に太陽を観測すると1年かけて8の字の形に位置を変えるアナレンマという現象があるのだそうですが、写真で見ると納得します。ナショジオ Sun Pictures: A Full Year in a Single Frame http://ow.ly/3vslT

  • 09:04  [exblog] 12月28日のtwitter http://bit.ly/gR3IwV


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by stochinai | 2010-12-30 07:52 | コンピューター・ネット | Comments(0)

太陽が描く8の字軌跡

 きっかけは、今朝見つけたナショナルジオグラフィックの記事でした。さっそくtwitterでご報告。

  • 09:27  同じ地点で同じ時刻に太陽を観測すると1年かけて8の字の形に位置を変えるアナレンマという現象があるのだそうですが、写真で見ると納得します。ナショジオ Sun Pictures: A Full Year in a Single Frame http://ow.ly/3vslT

  •  これを書いた時点ではまだ日本語の翻訳がウェブに出ていなかったのですが、今は出ています。ナショナルジオグラフィック ニュースの日本語サイトです。

     太陽の年間軌道:アナレンマ撮影
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     合成写真と言ってしまえばそれまでなのですが、この写真を撮る(作る)ためには涙ぐましい努力がいることが解説されています。写真と共に引用させてもらいます。
     アナレンマは、1年を通して週に1、2度、同時刻、同地点にカメラを設置し、計30~50回シャッターを切る。ハンガリーの古都ヴェスプレームで撮影されたこの画像では、2010年の1~12月の午前10時(現地時間)に、同じ場所から撮影した36枚の画像を合成している。また、別の時間帯に同じ場所から撮影した1枚の画像が、地上の前景としてデジタル合成されている。
     最初に見たときには、UFOの写真のような何とも言えない不思議な感覚に襲われたものです。そして今まで、太陽が夏と冬では日の出の時間も出る位置も、そして南中の高さも違いますから、なんとなく楕円軌跡を描いているのではないかと思い込んでいたのですが、実は8の字だったというのは新鮮な驚きでした。

     上のtweetに対して、こんな問題も出されてしまいました。
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     天文や物理に弱い私としては、ナショジオの記事の解説(概説)で満足していたのですが、ちょっとだけ調べてみましたところ、こんな良い解説がありました。

     太陽の描く曲線、アナレンマ
     暦と天文の雑学 (http://koyomi8.com/reki_doc/doc_0553.htm)


     いろいろと数字が出てくるのですが、とりあえずこの図を見るととてもよく分かった気になれます。図を引用させていただきます。
    c0025115_23145810.jpg
     アナレンマの写真を撮るのがいかに難しいかは、このサイトにも書かれています。
    一口に「一年間、毎日同じ時刻に太陽の位置を記録する」といいましたが、考えてみるとこれはなかなか根気のいる仕事。その上、雨や曇りの日には記録をとることが出来ませんから、日本のように雨の多い国では、余程幸運に恵まれなければ不可能なことです。
     また、ナショジオのページにもすごいことが書いてありました。
     時間帯や精度などの問題から、アナレンマの撮影は困難をきわめる。天体写真撮影に関するWebサイト「The World At Night(TWAN)」の設立者、ババク・タフレシ氏によると、成功したのは世界中でたった20人しかいないという。
     ところが、ところがです。続いて、こんなtweetが飛び込んできました。
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     このtweetについている写真を見たら、誰でも跳び上がります。

     東山さんの写した「複数のアナレンマを1枚の写真に収めた」写真(こちらで公開しておられますので、こちらに転載するのも許してくださると信じて、「引用」させてください。)m(__)m
    c0025115_23214932.jpg
     世界でたった20人しかいないアナレンマ写真を撮ったという人々の中の、最高峰が日本にいて、しかも我々の雑談に乗ってきてくれるなんて、twitterの力は偉大でした。

     こんな写真を撮るなんて、どんなに大変だったかと恐れ入っていたところ、またまたご本人がさらりと撮影方法をtweetで解説してくださいました。
    c0025115_2327453.jpg
     「毎日2時間おきに撮影して、後から晴れた日のデータをあよそ2週間ごとに重ねました」と言っても、それを一年間続けられたのですよ。脱帽して、髪の毛を剃って、頭の皮をはがなければいけないくらいに恐れ入りました。

     東山さんのような、超優秀な天体観測研究者が日本にいらっしゃるというだけでも、誇らしいです。

     今日はいろいろと勉強させていただきました。

     情報を引用させていただいた方々には、ご無礼をお詫びするとともに、深く感謝いたします。
    by stochinai | 2010-12-29 23:37 | 科学一般 | Comments(0)

    12月28日のtwitter

    Tue, Dec 28


    • 20:11  [exblog] ウイルス遺伝子をゲノムに取り込み進化するバクテリア http://bit.ly/hPSDGL

    • 16:53  電子書籍、粗製濫造の世界へようこそ:アゴラ http://ow.ly/3v5nd 「品質がいい悪いも関係なく、第3者のチェックもなく販売されるのが電子書籍の世界、粗製濫造の世界」「新しいビジネスとして華ひらく可能性」「とにもかくにも電子書籍だけで利益を出せるビジネスモデルが必要」

    • 13:04  NHKがGoogleに番組販売を開始する意味:アゴラ http://ow.ly/3v2y2 「NHKは・無傷で済むのだろうか?」「ゼンリンは地図データをGoogleに販売すると同時に・有料サービスで無料サービス・Googleと激しく競合」「Googleとの競合は壁打ちテニス」

    • 10:17  文科省の描く医療の未来図とは: ぐり研ブログ http://ow.ly/3uZZI 「文科省の大学医学部の入学定員に関する有識者検討会」「基礎研究や医薬品開発・分野での医師不足も」「研究者が研究に専念できるようにするためには単に人員面のみならず報酬面にも目を向けて」「いっそ新設」

    • 10:11  asahi.com : ホッキョクグマのララ、2年ぶり出産 円山動物園 http://ow.ly/3uZVC 「ララは2年ぶりの出産」「2頭の可能性がある」「ララはこれまで「デナリ」(オス、17歳)との間で4頭を産んでおり、2008年12月の「イコロ」「キロル」以来の出産」

    • 10:08  冬の道東へ JR北海道、来月29日から「知床冬旅情キャンペーン」 BNNプラス北海道365 http://ow.ly/3uZT3 [観光列車]流氷特急オホーツクの風など、[ツインクルバス]知床号、層雲峡号など、砕氷船、網走湖ワカサギ釣り体験、知床ファンタジアなど

    • 09:42  RT @hahaguma: むしろ危険なのは、苦しまない、苦しめない場合だ。まあこんなもんだろう、とぺろぺろと文字数を埋めてしまうことは、成長にはつながらない。世の中には無益な苦しみと有益な苦しみがあり、少なくとも論文を書くことは後者であることは間違いない。苦しい人たちよ、幸..

    • 09:41  RT @hahaguma: 卒論や修論で苦しんでいる人は、その苦しみが最大の糧なのだと知って欲しい。苦しいのは自分がうまく書けないことがわかっており、それを何とか乗り越えようとしているからだ。長い分量で筋の通ったものを書くのは初めてだから、うまく書けないのは当たり前だ。その...

    • 07:47  [exblog] 12月27日のtwitter http://bit.ly/fOdoW6

    • 00:28  美唄が生んだ世界的彫刻家・安田侃氏とは? 北海道ぷっちがいど http://ow.ly/3uLwc 「作品・大理石製、ブロンズ製の彫刻・曲線を描く」「代表例・アルテピアッツァ美唄・学校跡地・現在進行形で作られている野外彫刻公園」YouTube http://ow.ly/3uLAq


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    by stochinai | 2010-12-29 09:04 | コンピューター・ネット | Comments(0)
     先週22日に届いた Nature communications の新着論文のお知らせメールに載っていたはずですが、完全に見落としていました。それが、とてもおもしろいということを ScienceDaily のニュースで認識させられました。

    Bacteria Have One of Nature's First Immune Systems

     バクテリアは自然界で最初の免疫システムを持っていた


     タイトルだけではなんのことかわからないのですが、要するにバクテリアはゲノムの中にウイルス(バクテリオ・ファージ)の遺伝子を取り込むことで、ウイルスが中で増殖して破壊されてしまうことを阻止する(これが「免疫」ということでしょうか)だけではなく、ファージの遺伝子を積極的に利用して抗生物質に対する耐性のみならず、過酸化水素、酸や熱、浸透圧に対する抵抗性を獲得してパワーアップしていることがわかったというお話です。

     下の写真がバクテリア(茶色のソーセージのようなもの)に、たくさんのファージがとりついている電子顕微鏡写真(着色してあります)です。(Microbe May 2009 表紙より引用
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     普通はこのあと、バクテリアの中にファージの遺伝子が注入されて、中でファージが増殖し、バクテリアが破裂して、中から大量のファージが飛び出してきます。つまり、バクテリアが殺されるわけです。

     分子生物学を勉強すると最初のところで習いますが、バクテリアの中に入ったファージの遺伝子が、バクテリアの遺伝子(ゲノム)の中に取り込まれてしまう(溶原化)という現象が知られており、この状況のままだとファージは増えず、バクテリアも死にません(下図の右側)。
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     ところが、ある日ファージの遺伝子がバクテリアの遺伝子から飛び出して増殖を始めると、やはりバクテリアは殺されてしまうのです(上図の左側)。ここまでは昔から知られていた現象でした。

     バクテリアのゲノム中には、最大で20%ものファージ由来の遺伝子が取り込まれていることが知られていましたが、研究者の多くは遅かれ早かれそれらの遺伝子は飛び出してバクテリアを殺すものだと考えており、それらの遺伝子が「何かをしている」などとか考えてきませんでした。ところが・・・。

     せっかくオープンアクセスになっているので、原著論文を見てみましょう。htmlでもpdfでもお好きなスタイルでお読みください。
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      「溶原化したプロファージ(ファージ遺伝子)がバクテリアの環境抵抗性を強化する」というようなタイトルです。

     まずは、大腸菌のゲノムの中にどのくらいファージの遺伝子が入っているかを調べます。
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     リング状になった大腸菌のゲノムDNAの中に9個のファージ遺伝子があることがわかりました。これは、おそらく、前から知られていたことだと思います。

     次にこの9個の遺伝子を取り除いて「きれいにした」大腸菌を作ります。遺伝子工学ならお得意の技です。いままで「寄生」していたファージの遺伝子がなくなるのですから、そっちの大腸菌の方が「健康」になると予想するのが自然です。

     ところが、ファージの遺伝子をなくした大腸菌(白丸)は、その増殖能力が落ちていたのです。
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     こういう「おやっ?」という結果が出てくると、研究者は燃えるものです。何か新発見があるにちがいないと、実験を続けます。

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     この図は横になっていますが、左(もとは上段)にファージの遺伝子を持った大腸菌、右(下段)にファージの遺伝子を取り除いた大腸菌をいろいろな濃度で培養しているのですが、普通の培養液LBではさほどの差が出ませんが、nalidixic acid とか oxolinic acid といった抗生物質、あるいは単なる6%の食塩を入れた培養液では、ファージの遺伝子がなくなった大腸菌の増殖が極端に低下することが示されています。

     同じような実験を、9個のファージ遺伝子をすべて取り除いた△9と、1個ずつの遺伝子を取り除いたもので比較したものです。
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     a,b が抗生物質、c が蒸留水処理、d は過酸化水素、e は酸、f は熱で処理して大腸菌がどのくらい生き残るかという実験です。熱ではあまり差がでていませんがその他の処理では9個のファージ遺伝子をすべて取り除いた場合には例外なく大きな影響が出ていますが、場合によってはひとつの遺伝子を取り除いただけでも大きく抵抗性が下がっているものもあります。

     つまり、複数のファージ遺伝子が強調して大腸菌を守るために働いていることを示しています。

     細菌は増殖して膜状になるバイオフィルムというものを作りますが、その形成能はどのファージ遺伝子が失われてもかなり影響を受けることがわかります。
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     ただ、不思議なことにCP 4-57 というファージ遺伝子を取り除くとバイオフィルムの形成が逆に極端に高くなりますが、この時液中からは大腸菌が激減するということで、何かおかしなことが起こっているようです。

     というわけで、結果をまとめると大腸菌のゲノムに入ったファージの遺伝子は、ただ単に大腸菌を破壊しなくなるだけではなく、大腸菌をパワーアップするという働きをしていることが実験的に示された非常に重要な発見となりました。

     一般に寄生する生物は宿主の中に潜んでいる時に宿主が死んでしまうと自分が寄生する場所がなくなりますので、むやみと宿主を殺さないばかりか、時には宿主が死なないように「手助け」をすることがあると考えられています。

     今回の発見は、大腸菌という宿主の中に潜り込んで大腸菌の一部のようになってしまったウイルス(ファージ)が、最初は一時的に身を潜めていて、いずれ中で増殖して大腸菌を破壊して脱出するつもりだったのかもしれませんが、大腸菌ゲノムの一部として長い時間が経過するうちに、突然変異を起こして、大腸菌から抜け出す性質を失うと同時に、こんどは大腸菌をパワーアップする遺伝子として働き始めたというふうに考えることもできます。

     そうです。まさに寄生性のウイルスがバクテリアと共生するというふうに生き方を変えて、バクテリアのゲノムの一部になってしまったと解釈できる結果です。

     実は、バクテリアだけではなく、我々ヒトを初めとするあらゆる生物のゲノムの中にはウイルス由来のたくさんの遺伝子が入っていることが知られています。そういう遺伝子の歴史と働きを調べていくと、寄生性のウイルスが宿主のゲノムの一部となって「宿主と共生を始める」という、今まであまり考えられてこなかった新しい進化の道筋が見えてくるように思われます。

     この論文は、そうした新しい進化学研究の記念碑的論文になりそうな予感がします。

     おもしろいです。
    by stochinai | 2010-12-28 20:10 | 生物学 | Comments(6)

    12月27日のtwitter

    Mon, Dec 27


    • 21:48  [exblog] ようやく今年最後の講義終了 http://bit.ly/eCTXmn

    • 19:58  キーコーヒー、約15%の値上げへ コーヒー豆高騰で : J-CASTニュース http://ow.ly/3uG9k 「コーヒー豆価格の高騰を受け、11年3月1日からレギュラーコーヒー製品を15%前後値上げすると発表」「天候不順などの影響で・13年ぶりの高騰」

    • 19:55  XPでは使えない!3TBハードディスクの落とし穴:PC自作のコンシェルジュ http://ow.ly/3uG5c 「3TB HDDは・Windows XPに対応しておらず・接続してみると、ドライブは認識されるものの、746GBの容量にしかならない・しかも、フォーマットできない」

    • 18:28  船員の募集 http://ow.ly/3uFcl 「北海道職員として、漁業取締船に勤務する船員を募集します」「採用試験の詳細については、「募集要領」等をご覧ください」募集要項 http://ow.ly/3uFdc

    • 18:24  モノづくり神話はそろそろ捨てるべきです:アゴラ http://ow.ly/3uF9c 「モノづくりに偏った成長戦略を描くことは、時代に逆行しており、それでは国際競争力を失うだけ」「これから・求められてくるのは、急速に進んでいく海外への技術移転を前提とした競争戦略の構築」

    • 13:10  大西 宏のマーケティング・エッセンス:景気への不自然なカンフル剤はもうやめたほうがいい http://ow.ly/3uBEN 「エコポイント・エコカー補助金」「いずれの制度も、景気の腰折れを防ぐということでは、一定の効果があった・結局は需要を先食いしただけ・ツケを先延ばしただけ」

    • 07:55  [exblog] 12月26日のtwitter http://bit.ly/et31CK


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    by stochinai | 2010-12-28 07:47 | コンピューター・ネット | Comments(0)
     先週金曜日まで、明日に今年最後の講義があると思い込んでいましたし、私のグーグルカレンダーにもそう書いてありました。それが、先週金曜日の講義のあと、高等教育機能開発総合センター(平成22年9月30日に廃止されたので、現在は高等教育推進機構)から理学部へ歩きながらの雑談の中で、28日に予定されていたはずの大学院講義は実は27日のものであることが発覚したのです。

     このことは、学生に周知するために配布した予定表にもそのように書かれていたこともわかったのですが、同時にこの講義は月・水曜日に行われているオムニバス講義であるということも学生は知っているはずなので、今さら(先週の金曜日の夕方)に訂正の掲示を出したところで間に合わないとの判断から放置したまま、本日4時半からの講義室へ向かいました。

     年末ということでの学生の減少を考えると、意外と何事もなかったように学生は講義室に集まったようです。聞いてみると、「月曜日」だと思っていたので、28日と書かれていた予定表のことは知らなかったという学生もいました。というわけで、休講にするという最悪の事態は避けられ、2010年最後の講義(最終日の最終時限)はなんとか終了いたしました。

     もはや公務員ではないので、明日は「御用納め」とは呼ばないものの年末の「仕事納め」になります。とは言っても、もともと大学の教員などは個人プレーの仕事がほとんどなので、講義や会議などの「公式行事」がない時こそ、たまった仕事を片付ける書き入れ時でもあるので、もちろん「仕事納め」はうれしいのですが、仕事がなくなるわけでもありません。

     それにしても、大学の授業が27日まであって、冬休みが28日から1月4日までで、5日から授業再開というのでは、「これでも大学か?」という気分にはなります。

     何度でも書きますが、授業時間を増やすことで大学生の「学力」が向上するというものではないということを、文科省の方々はどうして理解していただけないのか不思議です。ご自分達が大学生の時のことを思い出していただければ、わかりそうなものではないでしょうか。

     それでいながら、就活やインフルエンザで休む学生には、単位履修などで不利にならないように考慮せよなどというまったく逆の「配慮」も要求され、何がなんだかわからないので対応のしようもないというのが本音です。

     大学のことはこれくらいにします。

     昨日までの寒波は一段落して、今日はプラスの気温になったようですが、まだまだ路面の凍結状態は続いています。外は寒くても、室内は暖かいのが北海道。
    c0025115_2121222.jpg
     これは昨日撮った我が家で咲いた虫取りスミレの花です。クリックして拡大していただくと、花や茎からにじみ出ている虫取り用の粘液滴が光って見えると思います。餌の虫はいないんですけどね。

     短いとはいえ、明日からは8日間の休暇が始まります。帰省する方々は、自宅でのんびりと良いお年を迎えられ、来年また元気にお会いしましょう。
    by stochinai | 2010-12-27 21:47 | 大学・高等教育 | Comments(4)

    12月26日のtwitter

    Sun, Dec 26


    • 22:53  [exblog] クラウドを意識せずに使えるクラウドサービス simnplenote http://bit.ly/gA8dIZ

    • 17:32  勝って兜の緒をさらに締めよ:科学技術予算「増額」は朗報、だが基礎研究体制の合理化&改革の必要性はさらに増している-大「脳」洋航海記 http://ow.ly/3uqnR 「「増額」によって研究者・の危機意識が低下・長期的にはさらに日本の基礎研究体制が衰退に向かっていく可能性も」

    • 17:26  偏差値追放宗教の終焉 平成鸚鵡籠中記 http://ow.ly/3uqmN 「現実に問題なのは、偏差値というただの数字ではなく、いい成績さえ残したら学歴によって一生安泰の人生が送れるという幻想」「日本人全体の傾向・とにかく先んじていいポジションをを占めて、安心したい病という側面」

    • 17:18  池田信夫 blog : 雇用問題とは何か http://ow.ly/3uqkt 「雇用問題の本質・ワーキングプアがかわいそう・非正社員を保護しろ・話ではなく、このまま不合理な雇用慣行を続けて労働生産性に見合わない高賃金を払い続けていると・国際競争力を失って・みんなが貧しくなる」

    • 17:15  [たつをの ChangeLog] ノマド出張仕事術 http://ow.ly/3uqjj 書評「出張をいかにうまく活用して、+αのパフォーマンスをあげるかという、武器としての出張戦略」「ノマドの基本はクラウド」「新幹線や飛行機での仕事の仕方が懇切丁寧に解説」「ツール類の取得方法」

    • 17:11  未定なブログ 事業仕分けとは何だったのか 廃止判定された事業が続々復活して予算計上される http://ow.ly/3uqim 「事業仕分けで「廃止」・厚労省の「ジョブカード制度」・70億円(要求76億円)、文科省の「就業力支援」で29億円(同30億円)とほぼ要求額通・予算計上」

    • 17:07  12-25総務省が国立大学法人の二次評価結果を公表 大学サラリーマン日記 http://ow.ly/3uqi1 「明確な法人としてのミッションが不在」「学長のリーダーシップが発揮できる状態にない」「国立大学法人法において定められた重要組織の役割が明確ではなく適切に機能していない」

    • 17:06  2010-12-26 国立大学法人運営費交付金の削減止まらず 大学サラリーマン日記 http://ow.ly/3uqhk 「平成23年度の運営費交付金の総額(大学共同利用機関法人を含む)は、前年度予算に比べ、約58億円(0・5%)減の1兆1,528億円となっています」

    • 17:02  Kiyoshi Kurokawa's blog:内向きの日本の若手研究者へ、若手研究者が立ち上がる http://ow.ly/3uqfO 「日本の・「教授先生」は総論賛成・「自分たちの手足」・若手研究者・手放そうとしません」「短い人生で1番の失敗・日本で博士PhDを取ったこと」

    • 16:54  自己紹介ページを作るなら「About.me」が最も簡単! : ライフハッカー http://ow.ly/3uqeg 「プロフィール・入力・Twitter、Facebook・など・へのリンク・完成・ポータルページにどんなトラフィックが・解析」 https://about.me/

    • 16:51  札幌市青少年科学館 5日から冬の特別展「サイエンジャーとふしぎな魔術館」BNNプラス北海道365 http://ow.ly/3uqdI 「「ふしぎなスクリーン」「ふしぎな床」「降らない雨」「ゆらぐ街並み」など・科学・マジックや不思議な現象・体験・中学生以下無料、大人700円」

    • 10:09  [exblog] 12月25日のtwitter http://bit.ly/h0vTmy


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    by stochinai | 2010-12-27 07:55 | コンピューター・ネット | Comments(0)

    ふと咲けば山茶花の散りはじめかな        平井照敏


    by stochinai