5号館を出て

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 水産庁が日本海に大発生しているエチゼンクラゲの駆除に乗りだしたというニュースが出ています。(共同通信)

 食べられるクラゲなのでなんとかならないかという気もするのですが、あまりにも量が多すぎるようです。

 ニュースの中でちょっと気になったところに突っ込んでおきます。

 10月までに「駆除装置」を完成させるそうで、その装置というのが「底引き網の後方にクラゲを追い込むスペースを設置し、クラゲをピアノ線や刃物などで解体して外に排出する仕組み」で、クラゲをバラバラにして海にまく仕組みのようです。

 解説では「エチゼンクラゲはかさが最大直径1メートルにもなるが、一度解体すれば蘇生(そせい)しないという」と書いてありますが、ここは重要なポイントです。

 私もカサが1メートルにもなる巨大なクラゲですから再生はしないと思うのですが、クラゲと同じ腔腸動物には切っても切っても再生するヒドラがいますし、あるクラゲでは平滑筋細胞を培養していろいろな種類の細胞を作ったという論文もあります。

 昔、貝を食べるヒトデに手をやいた漁師さんが、ヒトデの腕をバラバラにして海にまいたところ、バラバラの腕のすべてから新しいヒトデが再生してとんでもないことになったという逸話もあります。

 多分大丈夫だとは思いますが、ほんとうにバラバラにしたクラゲが再生しないかどうかは実験によって確かめておいて欲しいものです。
# by stochinai | 2005-08-31 18:52 | 生物学 | Comments(8)
 アメリカの超大型ハリケーン「カトリーナ」に対し、避難命令が出てたくさんの人が車で避難する光景をテレビで見ていたにもかかわらず、今日のニュースではの被害について、ミシシッピ州ビロクシ市の報道官は死者数が最終的に「数百人」に上る恐れがあると発表しています。

 どうして避難しなかったんだろうと、今朝のニュースを見ながら考えていましたが、映像では洪水の中から救出されるほとんどの人がアフリカ系アメリカ人でした。それを見て、避難しなかったのではなく、貧困で車がないあるいは高騰しているガソリンが買えないなどの理由で避難できなかったのではないかと考えていたところに、ハリケーンで略奪激化 米南部、貧困層に不満 (共同通信)というニュースが出たのでなんだか納得してしまいました。

 「約48万人の市民の大半が市外に脱出した米南部ルイジアナ州ニューオーリンズで、市内に残った住民による略奪や自動車の襲撃などが激化した」と伝えていますが、「車がなく市当局の避難命令に応じられなかった黒人ら貧困層の不満の高まりが背景にあるとみられる」との報道です。やはり、そういうことでしたか。

 日本から見るといつも豊かな国として描かれるアメリカ合衆国は依然として貧富の差が激しい「自由放任主義国家」だったようです。

 貧乏の責任は個人に帰するものであり、努力さえすれば金持ちになれるという幻想のアメリカン・ドリームはホリエモンなども共有しているものでしょう。彼も、NHKテレビでがんばりさえすれば、誰だって金持ちになれると主張していたはずです。

 それでも、小泉さんをはじめとする勝ち組軍団は、アメリカのような国を作りたいんでしょうね。
# by stochinai | 2005-08-31 17:31 | つぶやき | Comments(9)

中学生の職場訪問

 今日は午前中から札幌の近くにある北広島市のO中学校3年生の生徒さんが、「総合的な学習の時間」職場訪問の一環として、大学の教員である私の働きぶり(?)を取材に来てくれました。

 この総合学習の主旨は、「実際に働く方から学び、働くことの意味について考えながら自分の生き方について考える」ということなのでそうで、具体的には自分がなってみたい職種を観察してみよう、ということのようでした。

 同級生達はいろいろな職場に散っていったようで、例えば円山動物園の飼育係の仕事ぶりを見に行った人はたくさんいたそうですが、北大の先生の仕事ぶりを見たいなどと思った人はKさん1人だったとのことで、たった1人で乗り込んできてくれました。

 私について言うと、今年は高校生だけではなく小学生の相手をさせてもらったこともあったのですが、中学生というのは初めてでしたので、なかなかうまく対応ができなかったのではないかと反省しております。

 インタビューを受けることなどなかなかないのですが、あらかじめ質問内容を知らされていました。

 ・ この職を得るまでにつらかったことはどういうことか。

 ・ この職業の「つらいこと」「おもしろいところ」、なって「良かった」と思うことはなにか。

 ・ この職業のがんばりどころはどこか。

 ・ 生物学の大学教員になるために、今どんなことをがんばっておくべきか。

 なかなか難しい問いばかりですが、なんとか答えさせてもらいました。最後の質問をした意図は、やはり生徒さんが将来大学の教員を目指したい、ついてはどういうふうにしていったらそうなれるのか、という質問に関連していますからなかなか答えるにつらいところです。

 中学生にもわかるように説明しようとすると、こんなふうになりました。「まずは、高校に入って、大学に入って、その後に大学院に進まないといけません。今は子供が少ないこともあり、高校や大学ばかりではなく、大学院に進むのも思ったよりも易しいかもしれないけれども、その中で大学の教員になれるのは、何十人あるいは何百人に1人しかいないんですよ」という現実を話さざるを得ません。

 こんなに若い子の夢をぶちこわすようで申し訳ないと思いながらも、実態を話しておきました。その上で、「生物学の大学教員や研究者になろうと思ったら英語の勉強をしておいてください。科学の共通語は英語なのです」という実用的な話もしておきました。

 実験室を見てもらった時にはポスドクの人しかいなかったので、少し話は難しかったかもしれませんでしたが、帰り際に「今日は楽しかったです」と言ってもらえたので、ひとまず責任は果たせたかな、と思いながらもどっと疲れが出たのでした。

 中学生くらいの相手が一番難しいかも知れませんね。
# by stochinai | 2005-08-30 19:54 | 教育 | Comments(8)

今日二つ三つ朝顔の通り道          稲畑廣太郎


by stochinai