2005年 03月 07日
非科学的な説明
国内で初めて感染が確認され、変異型ヤコブ病によって死亡したとされる男性が90年に24日間だけイギリスに滞在していたことが確認されたというニュースが出ました。
そりゃあ、イギリスに24日間も滞在していれば、ハンバーガーも食べれば、ウシのエキスを含んだソースで味付けした料理も食べていたことは間違いないと思います。たったそれだけの理由で、日本の厚労省は「イギリスで感染した可能性」が、今回の結果から「より強く裏付けられた」と言っているようですが、本当にそれでいいんでしょうか。もちろん、厚労省といっても関係の医学・生物学の専門家がそのような判断を下したということなのですが、結論を急ぎすぎているような気がします。
一般的に、科学者は結論を急がないとされていますので、今回のように結論を急いでいると、その背後になんらかの政治的意図があるように感じられてなりません。
確かに、この男性がイギリスでBSEのウシから得られた臓器を食べることによって変異型ヤコブ病になった可能性は否定できないと思います。しかし、「否定できない」ということと、「より強く裏付けられた」ということの間には、天と地ほどの開きがあります。
もしも、100歩譲って今回の厚労省の結論が正しいとしたならば、同じ時期にイギリスでハンバーガーを食べた日本の方達の不安は想像を絶するものがあります。急いで、その方達の診察をすべきだと思いますが、それはやっているのでしょうか。
たった24日間の滞在で感染するというのなら、1週間の滞在や数日の滞在でも十分に危険だと推測されます。そうしたことを充分考えた上での、今回の報道発表だったでしょうか。
どうも、日本のお役所というものは「自分の責任さえなければ問題なし。対処する必要なし」というふるまいをすることが多いように思われて困ります。
もしも今回の発表に自信を持っているということであるならば、BSE騒動のイギリスへ渡航した経歴のある日本人すべてを検査する義務が生じると思います。そういうことも、きちんとする体勢を整えた上での発表だったのでしょうか。私には、ただ単に「日本で感染したのではない」ということを強調するための政治的駆け引きだったように思えてなりません。
今まで、何度となく引き起こされて来た薬害や病人の差別騒動をもう引き起こしたくないという気持ちがあるならば、発表によって幕引きを目指すのではなく、国民全部の協力を得ながら病気と闘うという気持ちを持って行動して欲しいと思います。
そういう姿勢になってくれれば、国民だってもっともっと協力的になってくれると思います。いつになっても相変わらず、「国民は無知だから、我々がすべてを仕切らなければならないのだ」などという気持ちでいるのではないことを、心から願っております。
(追加:3月8日)
厚生労働省は、1980~1996年に英仏両国に1日以上滞在した人の献血を中止する暫定措置を決めたようですが、なんとその数が推計で数十万人だそうです。
そりゃあ、イギリスに24日間も滞在していれば、ハンバーガーも食べれば、ウシのエキスを含んだソースで味付けした料理も食べていたことは間違いないと思います。たったそれだけの理由で、日本の厚労省は「イギリスで感染した可能性」が、今回の結果から「より強く裏付けられた」と言っているようですが、本当にそれでいいんでしょうか。もちろん、厚労省といっても関係の医学・生物学の専門家がそのような判断を下したということなのですが、結論を急ぎすぎているような気がします。
一般的に、科学者は結論を急がないとされていますので、今回のように結論を急いでいると、その背後になんらかの政治的意図があるように感じられてなりません。
確かに、この男性がイギリスでBSEのウシから得られた臓器を食べることによって変異型ヤコブ病になった可能性は否定できないと思います。しかし、「否定できない」ということと、「より強く裏付けられた」ということの間には、天と地ほどの開きがあります。
もしも、100歩譲って今回の厚労省の結論が正しいとしたならば、同じ時期にイギリスでハンバーガーを食べた日本の方達の不安は想像を絶するものがあります。急いで、その方達の診察をすべきだと思いますが、それはやっているのでしょうか。
たった24日間の滞在で感染するというのなら、1週間の滞在や数日の滞在でも十分に危険だと推測されます。そうしたことを充分考えた上での、今回の報道発表だったでしょうか。
どうも、日本のお役所というものは「自分の責任さえなければ問題なし。対処する必要なし」というふるまいをすることが多いように思われて困ります。
もしも今回の発表に自信を持っているということであるならば、BSE騒動のイギリスへ渡航した経歴のある日本人すべてを検査する義務が生じると思います。そういうことも、きちんとする体勢を整えた上での発表だったのでしょうか。私には、ただ単に「日本で感染したのではない」ということを強調するための政治的駆け引きだったように思えてなりません。
今まで、何度となく引き起こされて来た薬害や病人の差別騒動をもう引き起こしたくないという気持ちがあるならば、発表によって幕引きを目指すのではなく、国民全部の協力を得ながら病気と闘うという気持ちを持って行動して欲しいと思います。
そういう姿勢になってくれれば、国民だってもっともっと協力的になってくれると思います。いつになっても相変わらず、「国民は無知だから、我々がすべてを仕切らなければならないのだ」などという気持ちでいるのではないことを、心から願っております。
(追加:3月8日)
厚生労働省は、1980~1996年に英仏両国に1日以上滞在した人の献血を中止する暫定措置を決めたようですが、なんとその数が推計で数十万人だそうです。
これって、今までに採血された分についての対応はいったいどうなるんでしょうね・・・。
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まあ、献血によって採取された血液や血液成分は、加工されたもの以外は、短時日で廃棄されるようですので、古い分といってもそんなに古くはないと思います。しかし、疑問の件についてはまったくその通りなのですが、昨日以前の分については「特になにもしない」という「処置」がなされるものと思います。
だいたい、そのころは日本でもBSE対策をしていなかったでしょうから、日本に一日以上いた人からも献血を受けられないことになるというのが、論理的帰結ではないかと思うのですが、違うのでしょうか。
だいたい、そのころは日本でもBSE対策をしていなかったでしょうから、日本に一日以上いた人からも献血を受けられないことになるというのが、論理的帰結ではないかと思うのですが、違うのでしょうか。

ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
TBありがとうございます。
暫定のイギリスに一ヶ月という条件の方が、なんの根拠もなかったので、フランスを加えて1日でもという今回のは、まだ理解できます。その間に勉強したのでしょう。
vCJDになってしまう確率は、イギリスの患者数を見ても、膨大なBSE牛を食しているのに(ほとんど国民全員が食べてないか?)たった148名(イギリスのみ)です。輸血では脾臓までの感染は1例あっても、脳への感染例は未だ0です。
初めてできた病気で現在進行形なので、どんな可能性も否定できないし、危険とも安全とも科学的に証明することはできませんが、発症したら助からないが、発症する確率の非常に少ない病気であることは間違いありません。
この決定で、私は献血できなくなりました。
健康な血液の確保の方法も考えておく必要もあるんじゃないかな?その方が切実な人が多いと思う。
暫定のイギリスに一ヶ月という条件の方が、なんの根拠もなかったので、フランスを加えて1日でもという今回のは、まだ理解できます。その間に勉強したのでしょう。
vCJDになってしまう確率は、イギリスの患者数を見ても、膨大なBSE牛を食しているのに(ほとんど国民全員が食べてないか?)たった148名(イギリスのみ)です。輸血では脾臓までの感染は1例あっても、脳への感染例は未だ0です。
初めてできた病気で現在進行形なので、どんな可能性も否定できないし、危険とも安全とも科学的に証明することはできませんが、発症したら助からないが、発症する確率の非常に少ない病気であることは間違いありません。
この決定で、私は献血できなくなりました。
健康な血液の確保の方法も考えておく必要もあるんじゃないかな?その方が切実な人が多いと思う。
TBありがとうございました。
不足するだろうことは誰がどう考えてもわかることなのに、計算してみたらびっくり、っていっちゃうのもお役所仕事っぽさ満点ですね。
自分の血液が「感染している」と判断されるのは不思議な気分ですね。
検査されたわけでもないのに。
不足するだろうことは誰がどう考えてもわかることなのに、計算してみたらびっくり、っていっちゃうのもお役所仕事っぽさ満点ですね。
自分の血液が「感染している」と判断されるのは不思議な気分ですね。
検査されたわけでもないのに。

http://news.goo.ne.jp/news/sankei/shakai/20050217/m20050217002.html?C=S

すいません、途中で送信されてしまいました。
話はちょっと違いますが、上記のサイトのニュースのような問題も起きています。私の周りでも、実際に、知り合いが、日本から連れて来たペットを持って帰れなくなりそうで困っています。
一旦決めたことは頑として変えないという、省庁(この場合は農水省)のメンツだけで動いているような感じは、このcaseでも変わりはありません。
話はちょっと違いますが、上記のサイトのニュースのような問題も起きています。私の周りでも、実際に、知り合いが、日本から連れて来たペットを持って帰れなくなりそうで困っています。
一旦決めたことは頑として変えないという、省庁(この場合は農水省)のメンツだけで動いているような感じは、このcaseでも変わりはありません。
どうして「ごめん。間違えてました」って言えないんでしょうね。メンツというより、誤ることに極度な恐怖感を持っているのが日本の官僚のように見えます。
間違いを犯すと、取り返しがつかないのが官僚組織なんでしょうか?
間違いを犯すと、取り返しがつかないのが官僚組織なんでしょうか?
by stochinai
| 2005-03-07 21:46
| 生物学
|
Comments(8)