2008年 11月 23日
子どもの頃に受けた傷に対する復讐という気持ちはわかる
昨夜、自首してきた旧厚生省事務次官および家族の連続殺傷事件の「犯人」が、犯行の動機として言っている「三十数年前の小学生の頃、自分の飼っていた野良犬を保健所に殺されたことに対する復讐」として、今回の事件を実行したということに対して、報道のほとんどが理解不能というコメントをつけていることに対して、あえてひとこと申し上げておきたいと思います。
たとえ40歳を過ぎた大人であっても、小学生の時に理不尽に自分がかわいがっていた犬を保健所が捕獲し、殺害したという事件があったのだとしたら、その件について一生忘れることができず、機会があるならば報復してやろうと思っていたという気持ちに関しては、私は理解できます。
幼い小学生の気持ちとして、その責任者を親だと思ったのか、近隣の住民だと思ったのか、保健所の野犬捕獲員だと思ったのか、保健所の所長だと思ったのかはわかりませんし、その責任者を誤って把握してしまうことのほうがむしろ多いということもわかるのですが、そんなことは関係なく自分がかわいがっていた犬を殺した人間を許せないというふうに思ったことは、非常によく理解できます。
たとえ40歳を越えようが60歳になろうが、小学生の時に受けた強いインパクトあるいは傷を痛みとして抱え続けていることに、私は違和感を覚えません。ですからある日、その報復が行動となって実行されたとしても、それは想定の範囲内です。
ただし、やはりわからないのは小学生の時に受けた心の傷の原因を作ったのが、通報した近隣の住民か、実際に犬を捕らえに来た保健所の野犬捕獲員か、小学生の理解できる指揮体系としてはせいぜいが保健所の所長くらいまでではないかと思われるにもかかわらず、実際にねらったのがそこからはあまりにも遠い、複雑な官僚体系の中で保健所の上部のさらに上部機関である厚生省(厚生労働省)の中の、実力者としては大人の理解を要求される事務次官だったということです。
小学生の時に受けた心の傷を死ぬまで忘れないということは、ちっとも不思議なことだとはおもわないのですが、その相手があまりにも不思議なところにいる人だったということが私の理解を越えてしまっています。
そこで考えたシナリオのひとつがこんなことです。
小学生の時に受けた傷をいつかなんとか晴らしたいと思っていた犯人が、ある日どこかで厚生労働省の事務次官をなんとかしたいと思っていたテロリストに出会ったとします。テロリストは、なんらかの理由で今回襲撃された文部事務次官の口を封じたいと思っていました。一方、今回の犯人は自分が小学生の時に受けた心の傷を癒すために、保健所の関係者に報復したいと思っていました。
そのふたりが出会った時に、テロリストが犯人に対して、これこれの元事務次官を殺害すればその思いを遂げられるとささやいたとしたらどうでしょう。犯人の子どもの頃からの思いは遂げられ、テロリストのねらいも達成され、世間的にはわけのわからない最近の事件の一つとして片づくことが可能になるのではないでしょうか。
こんなシナリオが裏にあるとしたら、今回の事件の真相は決して明らかにならないという気がします。そして、今回の事件もこれ以上の解明は進まずに、これで終わりになってしまいそうです。
このまま歯ぎしりをするくらいしか、われわれのできることはないのでしょうか。そうだとしたら、この国はかなりやばいところまで来てしまっているのだと思います。
たとえ40歳を過ぎた大人であっても、小学生の時に理不尽に自分がかわいがっていた犬を保健所が捕獲し、殺害したという事件があったのだとしたら、その件について一生忘れることができず、機会があるならば報復してやろうと思っていたという気持ちに関しては、私は理解できます。
幼い小学生の気持ちとして、その責任者を親だと思ったのか、近隣の住民だと思ったのか、保健所の野犬捕獲員だと思ったのか、保健所の所長だと思ったのかはわかりませんし、その責任者を誤って把握してしまうことのほうがむしろ多いということもわかるのですが、そんなことは関係なく自分がかわいがっていた犬を殺した人間を許せないというふうに思ったことは、非常によく理解できます。
たとえ40歳を越えようが60歳になろうが、小学生の時に受けた強いインパクトあるいは傷を痛みとして抱え続けていることに、私は違和感を覚えません。ですからある日、その報復が行動となって実行されたとしても、それは想定の範囲内です。
ただし、やはりわからないのは小学生の時に受けた心の傷の原因を作ったのが、通報した近隣の住民か、実際に犬を捕らえに来た保健所の野犬捕獲員か、小学生の理解できる指揮体系としてはせいぜいが保健所の所長くらいまでではないかと思われるにもかかわらず、実際にねらったのがそこからはあまりにも遠い、複雑な官僚体系の中で保健所の上部のさらに上部機関である厚生省(厚生労働省)の中の、実力者としては大人の理解を要求される事務次官だったということです。
小学生の時に受けた心の傷を死ぬまで忘れないということは、ちっとも不思議なことだとはおもわないのですが、その相手があまりにも不思議なところにいる人だったということが私の理解を越えてしまっています。
そこで考えたシナリオのひとつがこんなことです。
小学生の時に受けた傷をいつかなんとか晴らしたいと思っていた犯人が、ある日どこかで厚生労働省の事務次官をなんとかしたいと思っていたテロリストに出会ったとします。テロリストは、なんらかの理由で今回襲撃された文部事務次官の口を封じたいと思っていました。一方、今回の犯人は自分が小学生の時に受けた心の傷を癒すために、保健所の関係者に報復したいと思っていました。
そのふたりが出会った時に、テロリストが犯人に対して、これこれの元事務次官を殺害すればその思いを遂げられるとささやいたとしたらどうでしょう。犯人の子どもの頃からの思いは遂げられ、テロリストのねらいも達成され、世間的にはわけのわからない最近の事件の一つとして片づくことが可能になるのではないでしょうか。
こんなシナリオが裏にあるとしたら、今回の事件の真相は決して明らかにならないという気がします。そして、今回の事件もこれ以上の解明は進まずに、これで終わりになってしまいそうです。
このまま歯ぎしりをするくらいしか、われわれのできることはないのでしょうか。そうだとしたら、この国はかなりやばいところまで来てしまっているのだと思います。
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アンチ水からの伝言
at 2008-11-24 15:49
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その可能性もありますがニュースで連日煽られる行政への恨みが
錯覚を起こし関係のないことも官僚のせいと思った、
という可能性もあります。論理的思考に長けた研究者でも
関係ないことまで自民党のせいにするように。
陰謀論で事件を説明するのは簡単ですが、その陰謀論が合理的な疑いに
基づくものかはまた別の話。
水からの伝言の信者たちの科学に対する姿勢と、
stochinaiさんの政治社会問題に対する姿勢は共通しています。
本気でおかしな世の中を変えるべきと思うなら、
身内に批判してくれる人が必要です。これがないのが既存の市民運動
が社会からそっぽを向かれる最大の理由です。
CoSTEPで藤代さんのような理性的な方に批判してもらってはいかが?
この国を歪めているのは与党のみでなく、野党、市民運動、
マスコミも、です。
与党のだめさ以上に、左よりの人が無責任で自分に甘く、
水からの伝言の信者と同レベルのトンデモ理屈しか語れないこと
の方がこの国の将来を不安に思わせます。
左よりの大人たちが変わらないなら、若者が責任ある左を目指して、
変わっていくことに期待を寄せるしかないのかもしれませんが。
錯覚を起こし関係のないことも官僚のせいと思った、
という可能性もあります。論理的思考に長けた研究者でも
関係ないことまで自民党のせいにするように。
陰謀論で事件を説明するのは簡単ですが、その陰謀論が合理的な疑いに
基づくものかはまた別の話。
水からの伝言の信者たちの科学に対する姿勢と、
stochinaiさんの政治社会問題に対する姿勢は共通しています。
本気でおかしな世の中を変えるべきと思うなら、
身内に批判してくれる人が必要です。これがないのが既存の市民運動
が社会からそっぽを向かれる最大の理由です。
CoSTEPで藤代さんのような理性的な方に批判してもらってはいかが?
この国を歪めているのは与党のみでなく、野党、市民運動、
マスコミも、です。
与党のだめさ以上に、左よりの人が無責任で自分に甘く、
水からの伝言の信者と同レベルのトンデモ理屈しか語れないこと
の方がこの国の将来を不安に思わせます。
左よりの大人たちが変わらないなら、若者が責任ある左を目指して、
変わっていくことに期待を寄せるしかないのかもしれませんが。
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stochinai at 2008-11-24 18:57
>この国を歪めているのは与党のみでなく、野党、市民運動、マスコミも、です。
これには、ほぼ100%同意いたします。しかし、それはさておき、政権政党として責任をとらなければならない自民党は別格だというのが私の言いたいことです。
ミソとクソを一緒にして、クソと一緒だからもミソもだめなんだというのは定量的思考ができていないということだと思います。だいたい、50年体制が崩壊しているにもかかわらず、右だ左だと言っているという時点で、もう後ろ向きすぎます。ここで水伝が出てくることの意味もよくわかりません。
また、もちろんあったらありがたいとは思いますが、身内からの批判などを期待するのは甘えだと思います。右とか左とか、党とか組織とか、そんなところから脱却しない限り、世の中は変わらないでしょう。
老婆心ながら、「もう『左』とかを言う時代ではない」と思いますよ。
これには、ほぼ100%同意いたします。しかし、それはさておき、政権政党として責任をとらなければならない自民党は別格だというのが私の言いたいことです。
ミソとクソを一緒にして、クソと一緒だからもミソもだめなんだというのは定量的思考ができていないということだと思います。だいたい、50年体制が崩壊しているにもかかわらず、右だ左だと言っているという時点で、もう後ろ向きすぎます。ここで水伝が出てくることの意味もよくわかりません。
また、もちろんあったらありがたいとは思いますが、身内からの批判などを期待するのは甘えだと思います。右とか左とか、党とか組織とか、そんなところから脱却しない限り、世の中は変わらないでしょう。
老婆心ながら、「もう『左』とかを言う時代ではない」と思いますよ。
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コメント
at 2008-11-24 20:59
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今回の事件の可能性の一つですが、、、
マスコミは年金問題と結びつけていましたが、過去の人を殺すことを通じ、現職官僚を脅す要素があるように思いました。
第3者が指示した年金制度へのテロなら、犯行声明をだすと思いますが、出ていないので、別な意味での脅しのように思います。
マスコミは年金問題と結びつけていましたが、過去の人を殺すことを通じ、現職官僚を脅す要素があるように思いました。
第3者が指示した年金制度へのテロなら、犯行声明をだすと思いますが、出ていないので、別な意味での脅しのように思います。
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123
at 2008-11-25 12:40
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自分には、精神的に病んでいる家族がいますが、今回の犯人と共通点をいろいろと感じます。遺伝と環境によってなのか、20才くらいから少しずつ社会性を失って性格が変わって行く様子や、1つの出来事がクローズアップされて被害妄想と言った方がいいくらいに何かに執着してしまう様子、近所とのトラブルなどです。家族がこのような状況になってみると、結構そういう人は多いんですよね(増えている?)。ですから、この犯人に対して意外な感じは殆どありません。
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M
at 2008-11-25 18:22
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私も犯人は精神を病んでいると思います。テレビなどは影響力の大きさから、そうは言わないでしょうが。
by stochinai
| 2008-11-23 23:59
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Comments(5)