5号館を出て

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パレスチナ対ユダヤ

 他の宗教に寛容性が低い2つの宗教を国是とする2つの国が一つの土地に住んでいるということがそもそも難しいというのは、本人達を含め世界中の人々がわかっていることなのだと思います。

 イスラエルという一つの国の中にパレスチナ自治区という別の国があり、経済的・軍事的にも圧倒的に有利なイスラエルが、貧困で武器もろくに持たないパレスチナを兵糧責めにしていることは誰の目から見ても明らかで、イスラエルとしてはその状態を続けることで「平和的に」パレスチナ人が出ていってくれるか、あるいは先細って自滅してくれることを望んでいるのかもしれません。しかし、パレスチナ人にとってもイスラエルは重要な土地である上、出ていく先などもありません。もちろん、ユダヤ人にとってもイスラエルは第二次世界大戦後にようやく手に入れた、彼らにとっても歴史的に重要な土地です。そのような状況の下、とりあえずイスラエルにおいては、パレスチナ人とユダヤ人が平和共存をするしかないことはおそらくどちらもわかっているのではないかと思います。

 経済・軍事的に優勢なイスラエルとしては、本格的な戦争状態にはいったらパレスチナ人を全滅させることは技術的には難しくないことでしょう。しかし、それは第二次世界大戦でナチスがユダヤ人を消滅させようとしたことと同じことになってしまうので、それはやはりできないのだと思います。とはいっても、彼らの深層心理にはパレスチナ人を一人残らずイスラエルから追い出したいという気持ちがあるので、ちょっとした理由を見つけては信じられないほどの激しい攻撃を仕掛けることを繰り返しています。

 今回も、つかの間の合意による停戦だったのですが、衝突が起こることは時間の問題だったのだと思います。それにしても、報道によるとイスラエル側の支社1名に対して、パレスチナ側の死者が約300名、負傷者が700名にも達しているという状況は異様です。

 報道を見る限り、イスラエルもパレスチナもそれぞれの「民衆」の声に負けて、お互いを攻撃し合っているようなところもあり、その状況は理解できなくもありません。しかし、そうした憎しみを全面に押し出した「民の声」で対外政策をやっていこうとすると、結論は戦争しかありません。

 どちらも国内に、そうした民の声を平和的にまとめ上げるだけの政治家がいないのだとしたら、国際的に力を持った国が平和をもたらす介入をすべきでしょう。イスラエルにはアメリカが最大の影響力を持っているのでしょうが、どうも情勢は逆でイスラエルが(あるいはユダヤ人が)アメリカに影響力を持っているように見えます。イスラエルが関わるとアメリカはまったく頼りになりません。

 かといって国連はもっと頼りにならず、即時停戦を「呼びかける」くらいしかできません。どこにパレスチナ問題解決の糸口があるでしょうか。

 今日から、このブログのロゴを「反貧困」にしています。この問題も、とりあえずはパレスチナ人の貧困問題を解決することで小康状態に持っていけるのではないかと思っている私は甘すぎるでしょうか。

 人々はどんなに貧困でも戦争が起こってしまったら、気持ちは貧困よりは戦争に向かうのではないかと思います。貧困という国内問題は、戦争が始まったとたんに解決しなくても解消してしまうのではないかと思います。ハマスは政府ではありませんが、現時点ではパレスチナの民意を代表する組織になっていると思います。彼らは民衆の中にある数多くの「不満」を戦争という形のはけ口になることで支持を得ているようです。パレスチナの市民も生活に困らなければ決して戦争をしたいなどと思うはずはありません。彼らの経済的安定に寄与することは、我々日本にもできることかもしれません。

 アメリカの尻馬に乗ってパレスチナを非難していても何の解決にもなりません。日本政府は独自の立場でパレスチナ問題を解決すべく、この問題に中立的立場を保つ各国に呼びかけて和平のリーダーシップを取ってくれるとうれしいと思います。

 そうした国際貢献でしっかりとした存在感を示すことができれば、アメリカの番犬というありがたくない位置から脱出できるのではないでしょうか。

 国際問題にも積極的に関わり合いながら、国としても成長して生きたいものです。
Commented by ある at 2008-12-30 01:06 x
パレスチナの場合は貧困よりは怨恨の方が大きい気がしますけど。親、子、親戚を殺された恨みは永遠に続く気がします。
Commented by stochinai at 2008-12-30 17:15
 不幸が続くと恨みも忘れることはできませんね。テロとの戦いと言いながら、ひたすらにテロリストを増やすことを続けているように思えます。
Commented by ある at 2008-12-30 21:35 x
それは同感です。テロ撲滅の本質について、権力を持つと忘れてしまうのでしょうか?
Commented by 鶏肋 at 2008-12-31 10:04 x
問題となっているハマスはイスラム原理主義の集団で、多くのイスラム教徒はそれほど他の宗教に非寛容ではないと思います。 イラクでの場合と同じく、空爆されて被害を受けているのはほとんどはテロとは関係のない一般の民衆なのですが。ハマスが支持されるとしたら、やはり一般民衆に根付く怨恨の情でしょうね。
そのスパイラルがどのように解決できるのか分かりません。貧困の解決はあまり功を奏しないと思います。インドとパキスタンなど、核戦争の一歩手前まで行っていますし。
Commented by stochinai at 2008-12-31 13:20
 原理主義のハマスは殲滅するしかないというのがイスラエルの結論だとしても、それと一緒に一般市民を虐殺してしまうことによって、ハマスの支持者が増えることも当然考慮しているはずだと思います。そうなると、イスラエルの考えていることはイスラム世界が主張しているようにガザ住民の皆殺しなのでしょうか。イスラエルも世界各国からの「停戦のための提案」を待っているかもしれません。
 日本を含む「第3国」が動かないとならないのだと思いますが・・・。
by stochinai | 2008-12-28 23:57 | つぶやき | Comments(5)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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