5号館を出て

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2008年と2009年の間

 RSSでブログを巡回していると、「今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします」と、「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」が混在していて、おもしろいものです。

 時間的には、もちろん2009年に突入しているから起こる現象なのですが、2008年と2009年の間には、物理的にはなんの境界もありません。

 昨日と今日の間にある境目も、去年と今年の間にある境目も人間の文化が勝手に作り上げた脳の中だけにある「幻想」ですが、それを世界中のヒトが共有できるところがヒトの脳のすごさであり、また恐ろしさなのだと感じることもあります。

 自然界にはバブルもなければ、バブルの崩壊もありません。激しい天変地異はしばしば起こり、生物に大きな影響を及ぼすことはありますが、生物はそれをただ受け入れて絶滅を免れたものだけが生きることを続けてきました。

 たとえヒトが作った文明が原因で絶滅する生物がいたとしても、彼らはその原因を知ることもありませんし、知ったとしても不平や不満をいうことはありません。

 一方、我々はその原因がはっきりしていないことに対しても、どこかに原因があるに違いないと思い、いつも不平や不満を言いつのっています。生物学の研究をしてきて、自分が受けたもっとも大きなインパクトの一つがこの「生物は不平を言わない」ということでした。

 逆に、何も言わないまま死んでいく生物を見て、その原因を知ることができる唯一の存在がヒトでもあります。理解できる能力と状況を変える力を持っているにもかかわらず、物言わず死んでいく彼らに、自分の明日を重ね合わせ、その力を適切に行使することをしなければ、ヒトは後悔し苦しみながら滅亡することになるでしょう。

 ヒトはまったくやっかいな能力を獲得してしまったものだとも思いますが、その能力をどのように使うべきなのかを考えることができるのもその能力があればこそです。

 ヒトが自分の能力(知恵)をどのように使うべきなのかを試される時が来ているのだと思います。

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 浅はかな知識と軽率な考察に満ちあふれたブログを書き連ねる毎日ですが、それを読んでいただける方がある数いらっしゃることには、とても感謝しております。時折いただけるコメントやトラックバックあるいは表に出てこないブックマークなどで教えられることばかりの毎日ですが、皆さまのおかげで少しずつ世の中のしくみが見えてきたような気もしております。

 とりあえず、ブログを書き続けることが負担でもなく苦痛でもないという今の状況が続く限り、今しばらくはこの状態を維持していきたいと思っております。勝手なことばかり書いておりますが、やはり読んでくださる方がいらっしゃるからこそ続いている当ブログです。年が改まっても何も変わりませんが、引き続きご指導をいただければ幸いです。

 今年も よろしく お願い申し上げます。
Commented by ある at 2009-01-01 18:09 x
2000年、問題を思い出します。西暦の基準は特に歴史的な意味がないことはもう自明なのですが、2008年と2009年の境を意識するのは人としてのDNAがそうさせるのかもですね。「今年こそは...。」じゃないでしょうけど。
Commented by だいな at 2009-01-01 21:16 x
カンボジアからの初書き込みです。こちらのお正月は4月14日です。隣のタイではお正月のイベントで死者まで出てるようです。ひっそりとした年越しをしたいと思っています。日本も良いですが、テレビを見たくないので海外に脱出しました。
Commented by stochinai at 2009-01-01 21:49
 人間が勝手に作った年の変わり目ですが、誰もがそれに多かれ少なかれの影響を受けるものです。カンボジアからの書き込みを確認できたのは始めてですが、世界中どこにいても議論ができるこのメディアは、やはりすごいものだと思います。時空を越えて、「何か」ができると良いですね。
by stochinai | 2009-01-01 01:17 | つぶやき | Comments(3)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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