5号館を出て

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「与野党対立」の陰で報道されない超党派年金改革案

 マスコミが取り上げる政治の話は、非生産的な与野党の対決のことばかりになっており、国民を失望させるために報道しているのかと思われるくらいですが、その陰で報道されない与野党を越えた生産的な提案がなされていたということを、「貞子ちゃんの連れ連れ日記」で知りました。

 報道されない超党派による「最高の年金改革案」

 するどいアンテナをお持ちの「貞子ちゃん」でさえご存じなかったというくらいですから、私などが知る可能性もあるわけのないニュースでした。

 自民党の、野田毅、河野太郎、亀井善太郎、民主党の岡田克也、枝野幸男、古川元久、大串博志の7人が集まって、半年くらい議論を重ねて作り上げた超党派の「理想の年金改革案」を12月25日に厚労省で行った記者会見で発表したということです。(メンバーのひとり、河野太郎さんによると「国会で記者会見しても、たぶん、内容は理解されないだろうから、厚生労働省の記者クラブで発表した」とのことですが、報道されなかったということは厚労省クラブの記者も理解できなかったのかもしれません。)
この「年金改革案」は、旧来の年金制度に比べると、
1、基礎年金部分は、すべて税方式であるし、
2、厚生年金などの二階建て部分は積立方式へと移行しているし、
3、さらには、国の年金債務(今まで保険料として国民が支払ってきた厚生年金部分などの二階建て部分)は向こう50年以上かけてでも、国民へ返還するとしている。

といった極めて誠実かつ建設的な内容となっている!!!
 にもかかわらずマスコミがほとんど報道しなかったことにお怒りです。

 とは言え、河野太郎さんが自分のブログ「ごまめの歯ぎしり」で発表されているのですから、我々としてはマスコミを責めるだけではなく、自分たちで発見しニュースとしてバケツ・リレーをして広めることも必要なのだと思います。

 自民・民主両党による年金の抜本改革案
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基礎年金-最低生活保障の明確化
一、 1人あたり、現在の国民生活水準における月額7万円程度の給付水準を将来にわたり確保する。

一方で、高所得者に対しては、年金課税見直しによる給付抑制を今後のオプションとする。

二、 財源には、税を充てる。全ての国民に消費を通じて負担を求めつつ間接徴収であることから納税義務者も少なく徴収上のメリットが大きい消費税を基幹税とすることが相当である。

なお、年金制度自体はできる限りわかりやすくシンプルな制度とすることに配意する。

現在の基礎年金は基本的に個人単位であり、夫婦2人はであれば、満額で月13万2,000円であるものの、高齢遺族は夫が亡くなると途端に1人分の66,000円になってしまう。単身高齢者はもとより66,000円。
低所得の単身高齢者が、所得や生活の実態に応じて追加受給ができる制度(現行の生活保護制度との中間の位置付け)を創設する。対象者特定には、確定申告など既存所得税制を活用し、簡素なものとする。

積立保険料比例年金(現役時の所得比例年金)への移行
一、  保険料の名のもと国民から費用を徴収する以上、所得再分配は極力排除し、現役時に納めた保険料に応じて給付がなされる制度とする。この観点から、名称も「積立保険料比例年金」とする。

二、  拠出建てであることから、給付水準がはじめから設定されることはない。まさに自助努力を政府が支援する制度である。

三、  共済を含め、現行の各種制度を統合し、積立保険料比例年金の対象者は、自営業者や農林漁業者などを含めた全就業者を基本とする。

四、  厚生年金の純債務270兆円の解消には、特定の世代に負担が重くならないように、50年以上の期間をかける。

基礎年金を全額税方式にすることによって企業の厚生年金保険料の基礎年金相当分が浮くことになるため、それを二重の負担の解消に充てるなどによって、純債務の財源とする。

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 さすがに、時間をかけて練っただけあって、わかりやすいです。ワードのファイルも提供されています。

 年金提言最終版.doc (ワードファイル)

 私も基礎年金部分は「貞子ちゃん」の提案のように「失業保険や生活保護とひっくるめて、すべてSaftyNetとして一本化して、ベーシックインカムみたいな、もっともっとシンプルにする」のが良いと思いますが、それでは「霞ヶ関の抵抗が激しくなり過ぎて」実現が難しくなるだろうから、取りあえずは彼らの提案で良いのではないかと、おっしゃっています。

 それはさておき、こうした年金改革案と超党派の動きを報道しないようなことを続けていると、大切にすべき本当の読者(支持者)から、マスコミは日本の将来を考えて報道をいるのではなく「おもしろい報道」「売れる報道」で売り上げを伸ばすことしか考えていないと判断され、その結果として最後にマスコミを守ってくれる可能性のある誠実な読者を失ってしまうことの恐ろしさをもっと真剣に考えた方が良いと思います。

 最後に「貞子ちゃん」からのお願いを転載します。私もまったく同感です。
けれども、今日、このブログで紹介したような、超党派の誠実な政治家たちによる「ポジティブな年金改革案」を報道しないで、黙殺するのは、メディアとしては、大変な罪づくりである。
もしかりに、マスコミがいまだに「公器」としての報道を自覚しているのなら、今からでも遅くないから、この「超党派による年金改革案」を、ぜひとも大々的に報道して下さい。
メディア関係者の方々、なにとぞよろしくお願いします。m( )m

Commented by ゑぶ at 2009-01-06 01:25 x
基礎年金税方式については、政府の社会保障国民会議等でも議論をされています。税方式化で年金保険料の企業負担がなくなれば、その分をサラリーマンが負担することととなり、企業が得をして、家計が損をすることになるといわれています。
Commented by たま at 2009-01-06 07:49 x
ゑぶさんのご指摘に加えて、税方式ではすでに年金受給している高齢者に、新たな負担増となる。また、過去の年金未納者で受給資格がない場合には、年金をもらえないのに消費税という形で新たに負担が課されることになる。
消費税を増税するなら、医療や介護に当てるべきだと思う。
Commented by K at 2009-01-06 19:12 x
多数の年金受給を、どう支えるかという根本的問題の解決策が無い。
定年を大幅延長して、見かけ上の高齢者を大幅削減するより無いと思う。
Commented by ある at 2009-01-07 12:32 x
みんなが幸せな税制なんてありえないので、コンセプトがいりますね。極論、税金なしという選択肢もあり得ますよ。
Commented by m at 2009-01-07 23:08 x
年金関係は慶応大学権条教授がHPでずっと解説し続けてます。
左メニューの「勿凝学問インデックス」です。
ttp://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/seminar/
Commented by stochinai at 2009-01-08 09:12
 ありがとうございます。これは勉強になりそうなサイトですね。
by stochinai | 2009-01-05 20:20 | つぶやき | Comments(6)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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