2009年 01月 09日
動画に撮られた毒を持つ超希少哺乳類
BBC NEWS
ハイチとドミニカの国境を含むイスバニオラ島産の希少動物 Hispaniola solenodon (学名 Solenodon paradoxus 和名 ハイチソレノドン)が、動画としてフィルムに収められたというニュースです。

動画はこちらにあります。
ウィキペディアには剥製の写真しか載っていませんので、この種の生きたものが見つかるということはとても珍しいようです。こちらがウィキペディアの剥製写真です。

そっくりなので、ほぼ本物に間違いないと思います。
キューバにも近縁種がいるようですが、いずれにしてもこのソレノドン属の動物はカリブ海にしか分布していません。数が少ない上に夜行性の動物なので、なかなか発見されることはないのだそうです。2008年夏に行われた今回の調査でもドミニカ側の領土でこの1匹が目撃(というか捕獲)されただけです。個体はDNAサンプル(毛?)を取ってから放されたとのこと。
見た目はトガリネズミのようにも見えるのですが、トガリネズミと比べると大きさが巨大で1キロくらいにもなるそうです。これが、ヒトの手に乗ったソレノドン個体です。

さらに驚くべきことには、なんと唾液腺で作った毒を獲物に注入するための毒牙を持っているという哺乳類としては型破りの存在です。私が知る限り、毒を持つ哺乳類としては他にはカモノハシしかいませんが、カモノハシの毒は後肢の蹴爪(けづめ)にあります。ひょっとすると爬虫類と同じように哺乳類の祖先には噛んで使う毒を持っていたものがたくさんいたのかもしれません。
とすると、どうして現存の哺乳類が毒を失ったのかということも興味深い進化のストーリーになります。
実は調査隊はハイチの別の場所でもソレノドンを発見しているそうで、これから調査が進むといろいろとおもしろい発見があるかもしれませんので、楽しみです。いずれにしても放っておくと遅かれ早かれ絶滅してしまいそうなソレノドンですが、哺乳類の進化を探るためには非常に重要な希少種だと言えると思います。
ゲノムプロジェクトがすぐに始まりそうですね(笑)。
ちなみにこちらが、2003年に捕獲されたキューバソレノドン(Solenodon cubanus)の写真です。ちょっと凶暴な感じですね。

詳しくはこちらの記事をごらんください。
ハイチとドミニカの国境を含むイスバニオラ島産の希少動物 Hispaniola solenodon (学名 Solenodon paradoxus 和名 ハイチソレノドン)が、動画としてフィルムに収められたというニュースです。

ウィキペディアには剥製の写真しか載っていませんので、この種の生きたものが見つかるということはとても珍しいようです。こちらがウィキペディアの剥製写真です。

キューバにも近縁種がいるようですが、いずれにしてもこのソレノドン属の動物はカリブ海にしか分布していません。数が少ない上に夜行性の動物なので、なかなか発見されることはないのだそうです。2008年夏に行われた今回の調査でもドミニカ側の領土でこの1匹が目撃(というか捕獲)されただけです。個体はDNAサンプル(毛?)を取ってから放されたとのこと。
見た目はトガリネズミのようにも見えるのですが、トガリネズミと比べると大きさが巨大で1キロくらいにもなるそうです。これが、ヒトの手に乗ったソレノドン個体です。

とすると、どうして現存の哺乳類が毒を失ったのかということも興味深い進化のストーリーになります。
実は調査隊はハイチの別の場所でもソレノドンを発見しているそうで、これから調査が進むといろいろとおもしろい発見があるかもしれませんので、楽しみです。いずれにしても放っておくと遅かれ早かれ絶滅してしまいそうなソレノドンですが、哺乳類の進化を探るためには非常に重要な希少種だと言えると思います。
ゲノムプロジェクトがすぐに始まりそうですね(笑)。
ちなみにこちらが、2003年に捕獲されたキューバソレノドン(Solenodon cubanus)の写真です。ちょっと凶暴な感じですね。

こいつは,食虫類としてはかなり大きいですね。
ちなみに毒を持つ哺乳類には,いわゆる単孔類に属するカモノハシと,この食虫類に属するブラリナトガリネズミBlarina brevicaudaがおります。
前者は雄だけが後肢に持つので,matingのための闘争用と言われていますので機能が違います。捕食用の毒腺ということになると食虫類だけということになります。
あと,哺乳類において毒腺を持っていたのが祖先形質であったというストーリーは多分無いと思いますよ。
ちなみに毒を持つ哺乳類には,いわゆる単孔類に属するカモノハシと,この食虫類に属するブラリナトガリネズミBlarina brevicaudaがおります。
前者は雄だけが後肢に持つので,matingのための闘争用と言われていますので機能が違います。捕食用の毒腺ということになると食虫類だけということになります。
あと,哺乳類において毒腺を持っていたのが祖先形質であったというストーリーは多分無いと思いますよ。
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いろいろと教えていただきありがとうございます。確かに哺乳類の祖先が有毒だったというのは、ちょっと暴走してますね(^^;)。ブラリトガリネズミという名前も初耳でした。哺乳類は苦手な分野だったのですが、いろいろわかってくるとおもしろいですね。これからもよろしくお願いします。

ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
ナショナル・ジオグラフィックでもビデオを公開しており、未公開部分も含まれています。興味のある方は、是非ご覧下さい。
http://news.nationalgeographic.com/news/2009/01/090112-shrew-venom-video.html
http://news.nationalgeographic.com/news/2009/01/090112-shrew-venom-video.html

いわゆる哺乳類型爬虫類に毒牙を持つものがいたそうです。
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%82%A2
私はこれが専門ではないですが、このグループは哺乳類にはつながらない系統のようですので、やはり哺乳類の祖先が毒牙を持っていた、というわけではなさそうですね。
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%82%A2
私はこれが専門ではないですが、このグループは哺乳類にはつながらない系統のようですので、やはり哺乳類の祖先が毒牙を持っていた、というわけではなさそうですね。
たとえ主流ではないにしても、こうした摩訶不思議な動物の話は、やっぱりおもしろいですねえ。
by stochinai
| 2009-01-09 20:10
| 生物学
|
Comments(6)