2009年 01月 13日
睡眠が10分~40分足りないだけで4倍風邪をひきやすくなる
もうすでに日本語の紹介記事を含めあちこちで話題になっているので、ご存じの方も多いと思いますが、日々の睡眠が不足していると風邪にひきやすくなるという論文が出ました。

邦文・英文さまざまな解説が出ています。
Medical News Japan 睡眠不足は風邪の元
BBCNews Lack of sleep 'raises cold risk'
天漢日乗 睡眠時間が7時間未満だと風邪を3倍引きやすい@アメリカの研究
私の一押しは、こちら Scientific American の記事です。
ScientificAmerican Can a good night's sleep prevent a cold?
どの記事も基本的には、上にタイトルが出ている論文の紹介なのですが、 Scientific American の記事はボランティアの被験者が800ドルをもらっているなどの舞台裏までが明かされていて、研究者に直接取材をしたものであることが推測されます。
さて、内容は我々の日常体験に良く適合する、睡眠不足だと風邪をひきやすいということを実験的に示したものですが、その結果が驚くほどきれいです。きれいすぎるデータは疑うようにという声もありますが、それはそれとして先へ進みます。
まず21歳から55歳までの被験者が153人います。ひとり800ドルですから、それに支払うお金だけでも(1ドル90円として)1000万円以上もかかっています。さらに、それぞれの被験者を5日間ホテルに缶詰にして実験をしていますので、そのホテル代もおそらく500万円近くかかったでしょう。
ホテルに閉じこめて、いわゆる風邪の原因になるライノ・ウイルスを浮遊させた水を鼻の中に垂らしたところ、153人中135人(88.2%)に風邪ウイルスが定着(感染)し、そのうちの54人(35.3%)が臨床的風邪の症状を示しました。臨床症状は出なくても、自覚症状で風邪を訴えた人は66人(43.1%)だったということです。つまり、ウイルス感染を防ぐことは難しいが、ウイルスが感染したからといって、必ずしも「風邪」にはならないということです。
この実験に入る前の2週間、毎日被験者に電話をかけて、前夜は何時間寝たか、よく眠れたか、などについて質問しています。そして、その質問によって得られた、睡眠の時間と質を定量化し(ここのところが良くわかりませんでしたが、要するに「良い眠り」が得られたかどうかということのようです)、その結果とどのくらいの比率で風邪にかかったかということをまとめたのが、このグラフです。

横軸にウイルスを投与される前14日間における眠りの時間と質を定量化した3つのグループを置き、縦軸がその人達のうち何%が風邪をひいたかという値が示されています。全体で35%の人が風邪症状を示したとなっていたので、この値が低すぎるような気がしますが、もともと抗体を持っていた人や年齢で補正した結果だと書いてありますので、そうなったのでしょう。
横軸に示されたSleep Efficiency,% という値がちょっとややこしくて、怪しいと言えば言えなくもないのですが、基本的には睡眠時間と考えてもそう大きな間違いではなさそうです。そして、論文中には (sleep losses of 2%-8%, 10-38 minutes for an 8-hour sleeper) is associated with 3.9 times the risk of developing a cold と書いてあり、普段8時間眠る人が、10分から38分という「短い」時間の睡眠不足を続けただけで、なんと4倍近くも風邪にかかりやすくなるという結果です。
風邪ウイルスに感染した人は88.2%なのに、症状が出た人はそのうちの半分以下で、症状が出なかった人の多くはたっぷり眠っていた人だということのようです。つまり、ウイルスに感染することを防ぐことは難しいけれども、風邪の症状を出さないためにはよく眠ることだという結論です。
私は個人的には、目覚めた時に風邪の予感を感じると、30分くらい朝寝をすることで、くしゃみ・鼻水・鼻づまりがひどくならずにすんだという経験を何度もした(と信じている)ので、この論文にはとても力づけられた思いがします。
風邪の予防には、いつもより30分長く寝るようにしましょう!

Medical News Japan 睡眠不足は風邪の元
BBCNews Lack of sleep 'raises cold risk'
天漢日乗 睡眠時間が7時間未満だと風邪を3倍引きやすい@アメリカの研究
私の一押しは、こちら Scientific American の記事です。
ScientificAmerican Can a good night's sleep prevent a cold?
どの記事も基本的には、上にタイトルが出ている論文の紹介なのですが、 Scientific American の記事はボランティアの被験者が800ドルをもらっているなどの舞台裏までが明かされていて、研究者に直接取材をしたものであることが推測されます。
さて、内容は我々の日常体験に良く適合する、睡眠不足だと風邪をひきやすいということを実験的に示したものですが、その結果が驚くほどきれいです。きれいすぎるデータは疑うようにという声もありますが、それはそれとして先へ進みます。
まず21歳から55歳までの被験者が153人います。ひとり800ドルですから、それに支払うお金だけでも(1ドル90円として)1000万円以上もかかっています。さらに、それぞれの被験者を5日間ホテルに缶詰にして実験をしていますので、そのホテル代もおそらく500万円近くかかったでしょう。
ホテルに閉じこめて、いわゆる風邪の原因になるライノ・ウイルスを浮遊させた水を鼻の中に垂らしたところ、153人中135人(88.2%)に風邪ウイルスが定着(感染)し、そのうちの54人(35.3%)が臨床的風邪の症状を示しました。臨床症状は出なくても、自覚症状で風邪を訴えた人は66人(43.1%)だったということです。つまり、ウイルス感染を防ぐことは難しいが、ウイルスが感染したからといって、必ずしも「風邪」にはならないということです。
この実験に入る前の2週間、毎日被験者に電話をかけて、前夜は何時間寝たか、よく眠れたか、などについて質問しています。そして、その質問によって得られた、睡眠の時間と質を定量化し(ここのところが良くわかりませんでしたが、要するに「良い眠り」が得られたかどうかということのようです)、その結果とどのくらいの比率で風邪にかかったかということをまとめたのが、このグラフです。

横軸に示されたSleep Efficiency,% という値がちょっとややこしくて、怪しいと言えば言えなくもないのですが、基本的には睡眠時間と考えてもそう大きな間違いではなさそうです。そして、論文中には (sleep losses of 2%-8%, 10-38 minutes for an 8-hour sleeper) is associated with 3.9 times the risk of developing a cold と書いてあり、普段8時間眠る人が、10分から38分という「短い」時間の睡眠不足を続けただけで、なんと4倍近くも風邪にかかりやすくなるという結果です。
風邪ウイルスに感染した人は88.2%なのに、症状が出た人はそのうちの半分以下で、症状が出なかった人の多くはたっぷり眠っていた人だということのようです。つまり、ウイルスに感染することを防ぐことは難しいけれども、風邪の症状を出さないためにはよく眠ることだという結論です。
私は個人的には、目覚めた時に風邪の予感を感じると、30分くらい朝寝をすることで、くしゃみ・鼻水・鼻づまりがひどくならずにすんだという経験を何度もした(と信じている)ので、この論文にはとても力づけられた思いがします。
風邪の予防には、いつもより30分長く寝るようにしましょう!
by stochinai
| 2009-01-13 21:10
| 医療・健康
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