5号館を出て

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【タミフル耐性】14例中の13例は確かに93%ですが

 やはりニュース報道としては、こうしたタイトルの付け方になってしまうのでしょうか。

 今シーズンのAソ連型タミフル耐性ウイルス、日本で93%に見つかる(日経メディカルオンライン)

 これだけ見ると、日本のAソ連型インフルエンザはほとんどがタミフル耐性になってしまっているかのような印象を受けますが、WHOの発表で「2008年第4四半期において、日本では14検体中13検体からAソ連型タミフル耐性ウイルスが検出された」ということをセンセーショナルに表現しているものです。「14検体中13」と「93%」は数学的表現としては等価なのかもしれませんが、我々に訴えかけるものは天と地ほどの違いが感じられます。

 タイトルを見て「まさか」と言うことで本文をしっかりと読むことになったのは、向こうの意図どおりということで、目的は達成されたと考えるのかもしれませんが、中味を読まずに「インフルエンザウイルスの93%がタミフル耐性」というフレーズだけがコピペを繰り返されて広がっていくという危惧も感じてもらいたいところです。

 しかも、14検体のうち7検体はたった2ヶ所から得られたものです。
 日本からの報告によると、対象となった14検体のうち、3検体は山口県内の幼稚園、3検体は宮城県内の小学校で発生した集団感染から分離されたもの。

 日本では現在、Aソ連型のほか、A香港型、B型のウイルスが検出されている。混合感染の様相を呈しており、どの型のウイルスが流行の主流となるかは明らかではない。
 と、後半のほうがニュースバリューが高そうな情報です。こういう時には、信頼できる医師であるDr.Blueさんのところに行けば、有益な情報が得られます。

  インフルエンザの季節

 インフルエンザの基礎知識から、なぜタミフルが効くのか、なぜトリインフルエンザが問題になるのか、インフルエンザになったらどうしたら良いのかなどのアドバイスが得られます。
 過去のスペイン風邪は、第一次世界大戦という特殊事情が大きく作用した可能性が高い。軍隊は密集して、かつ遠距離を短時間に移動するので、ウィルスをばらまいているようなもの。テレビマスコミで報道される新型インフルエンザウィルスの感染予想はどうも過大評価のような気がする。が、準備や対応は練っておいた方がいいでしょう。流行が始まったら人の動きを止めるのが一番だろう。
 インフルエンザについてもウイルスが感染しても、症状の出ないあるいは軽いヒトがいるのは事実です。先日も書きましたが、睡眠をたっぷり取っていると風邪の症状が出ないヒトが多くなるという実験結果もありますので、この季節は必要がない限り人混みには近寄らないこと、外出からもどったら手洗いをすること、そして栄養と睡眠をたっぷり取るようにしたいものです。

 それにしても、ソ連などという国がなくなっているのに、いつまでもソ連型のウイルスという呼び名を使い続けることは、いかがなものののでしょう。
Commented by fn.line at 2009-01-16 02:09
名前はできるだけ変えない方が良いでしょう。
情勢に応じて次々に変えると、覚え直しや、変更作業が無駄になります。
例えば、大型施設の名前を売ると、変更をいやがる近所の看板や電車の駅名が、それを避けたりします。確か、大阪のドーム球場が駅名から外されていました。

それに、ソ連時代に見つかったという有益な情報まで消えてしまいます。
不利益もないようですし。放置が良さそうに思います。
Commented by 健太郎 at 2009-01-16 12:50
私も、名前は変えない方がいいと思います。
いや、言いたいことはわからなくもないのですが、表現に多少違和感があっても,何を指しているかが明らかになることを最優先するのが、サイエンティストとしては正しい態度であると思います。
Commented by blue at 2009-01-16 15:20
トラックバックどうもです。新型インフルエンザの話題で、もうすでに風評が立っていますが、ちゃんとした理解をするのが第一歩ですね。人から人への感染力がない今の状況をどう維持するかでしょう。
by stochinai | 2009-01-15 18:34 | 医療・健康 | Comments(3)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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