5号館を出て

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柳の下にドジョウはいるのか

 今日昼過ぎに電話がかかってきました。学内の電話と学外の電話はベルの鳴り方が違うので、学外だとわかります。学外からの電話は、セールス関係のものが多いので、こちらは名乗らずに「はい」と電話を取ります。

 「はい。」

 「東京にある*********という出版社のものですが。」

 「はい。」

 「こちらはT教授の研究室でしょうか。」

 「准教授ですが(笑)。そうです。」

 というやり取りから始まった話を聞いてみると、この度出版されたブルーバックスの「進化から見た病気」が大変おもしろかったので、ついては同じような企画でもう一冊本を書くことは可能でしょうか、というようなお話しでした。

 それは大変に光栄なお話しなのですが、そもそも今回の本で重版がかかってもいないうちから、そっちの方面で同じ著者がまた同じような本を出すということは、営業的に見てどうなのかという思いが先に立ちます。

 確かに、今回の本に盛り込まなかった手持ちの情報があるにはありますし、脱稿してからも新しいダーウィン医学関係の話題はいくつか出てきているのですが、だからといってあの本との重複感なしで、すぐに新しいものが書けるとはとても思えません。

 というわけで、お申し出は大変にありがたいのですが、そういう可能性があるかどうかはしばらく考えなければとてもお答えできないという、当然のお答えになってしまいました。スミマセン。

 ところで、それ自体が非常に不思議な感じがするのですが、たとえAmazonで、「生物・バイオテクノロジー>遺伝子・分子生物学」関係で、1週間ほど(?)ベストセラー1位を続けているとしても(汗)、どのくらい売れているのかという実感がまったくありません。そんな状況で、類書それも明らかに質の劣る類書を著者自らが書いてしまうなどということをしたら、それこそものを各人間としては、自殺行為だと感じます。

 もちろん、本を書いて売れてお金がもうかるとしたら、それはうれしいことだし、それ以上にダーウィン年の今年を契機に「ダーウィン医学」という言葉と概念を日本の中でポピュラーなものにしたいという強い思いは持っていますから、読者の方々を失望させることなくそうしたものが出版できるならば、もちろんそうしたという気持はあるのですが、いかんせん展望がありません。

 というわけで、少なくともしばらくは次の出版を考えるなどという心境にはなれないというところです。

 さて前にも一度、ご紹介したかもしれませんが、「進化から見た病気 『ダーウィン医学』のすすめ」のサポートサイトを作りました。

 ダーウィン医学

 最初は目次くらいしかなかったのですが、書評やブログでの言及を発見するたびにリストアップしてリンクをためています。こちらは、意外とたくさんになってきました。

 書評などへのリンク

 それに、まだ深刻なものは見つかっておりませんが、訂正のページも用意しました。現在、3件あります。

 訂正

 こちらに関しては、もし見つけられたらご一報いただけると幸いです。

 よろしくお願い申し上げます。それにしても、柳の下にはドジョウいるようには見えないんですけれども・・・。
by stochinai | 2009-02-04 21:18 | つぶやき | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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