5号館を出て

shinka3.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

森林を滅ぼすミミズもいる

 エコブームの時代ですから、「気持ち悪い」という感想を除くと、ミミズのことを悪くいう論調に出会うことは少ないのですが、Scientific American Magazine にアメリカ5大湖地域で、ミミズによって森林が破壊されているというショッキングなニュースが載っていました。

March, 2009
Invasive Earthworms Denude Forests in U.S. Great Lakes Region

 この地域では1万年前の氷河期にミミズが絶滅してしまったのだそうで、森林地帯がミミズなしに形成されました。しかし、ヒトが入り込むようになって、余った釣りエサのミミズを捨てたり、車のタイアに付いて運ばれたり、さらには園芸や農業のために導入された堆肥に混じって、あげくのはてには土質改良のために意図的にミミズが入れられたりということでどんどんミミズが増えてきた結果、この地域の家庭の庭は「草木も生えない症候群」(‘nothing grows here syndrome’)と呼ばれる状況に陥っているようです。

 被害は庭だけにとどまらず、森林地帯では森林の再生が起こらない状態になっているようです。森林再生には厚く敷き詰められた落ち葉の層が必要らしいのですが、ミミズがあっというまにその落ち葉を分解してしまい、結果として木が生えず森林が草地に変わってきているのだそうです。

 もちろん、ミミズのすべてが悪いわけではなく、どうも大型のミミズが悪さをしているようで、そういう大型のミミズが増えると小形のミミズが減り、植物相に大きな影響を与えているばかりではなく、小形のミミズをエサにしていたサンショウウオの子どもなどのエサ不足に陥り、数が減っているという結果も出ていると書いてありました。そうすると、サンショウウオを食べるヘビや小形哺乳類、シチメンチョウなどにも影響が出るだろうと予測されています。

 ミミズを減らすなどということはあまり考えられてこなかったことですが、この状況を受けて農林省では40万ドル近い研究費を出して研究を開始しました。

 たとえミミズと言えども、みだりに生息地を人為的に広げると予想外の結果を生むことがあるという教訓になりますね。

 気をつけたいものです。
Commented by おやしらず。 at 2009-03-13 08:56 x
はじめまして。
記載に共感できるところが多々ありますので、私のブログにも貴殿ブログを掲載させてください。
Commented by stochinai at 2009-03-13 09:17
 どうぞご自由に。
by stochinai | 2009-03-11 20:28 | 生物学 | Comments(2)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai