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ネコサイズの肉食恐竜

 あちこちで話題になっていますが、今日配信されたProceedings of the National Academy of Sciences(アメリカ科学アカデミーの学会誌)の新着記事に、約1900グラムといいますからネコくらいの肉食恐竜の骨が同定されたという論文がありました。

 日本の新聞記事だと良くわからないので、やはりナショナルジオグラフィックニュースを参照してください。

 北アメリカ最小の肉食恐竜を発見

 発見されたというか骨が掘り出されたのは1982年なので、「発見」というよりは解析の結果「明らかになった」というニュースにすべきでしょうが、やはりタイトルに「発見!」と書きたい気持はよくわかります。発見された当時はあまりの小ささに、これは恐竜の子どもの骨だろうと見過ごされていたそうなのですが、骨格の成熟度を調べてみて成体だと判断されたため、今回新属・新種として報告されることになりました。

 もとの論文はこちらです。

 A microraptorine (Dinosauria–Dromaeosauridae) from the Late Cretaceous of North America: Published online before print March 16, 2009, doi: 10.1073/pnas.0811664106

 カナダのアルバータ州で見つかったこの恐竜は Hesperonychus elizabethae と、エリザベスという優雅な名前がつけられましたが、肉食であることは間違いないらしく、昆虫やミミズの他にネズミのような哺乳類を襲って食べていたと想像されます。

 特徴はともかく小さいことで、近縁の肉食恐竜と並べてみるとこんな感じです。
ネコサイズの肉食恐竜_c0025115_2101880.jpg
 一番前にいる小さなやつが今回発見されたもので、大きなものは何トンもの重さがあるのと比べると2キロに満たない彼らは、仲間の肉食恐竜から逃げながら、小さな動物を探していたに違いありません。
ネコサイズの肉食恐竜_c0025115_2120612.jpg
 重さのグラフがこちらですが、縦軸は対数です。今までに発見されていた「小形」のものが10キロのオーダーで今の大型犬くらいのものが最小と考えられていたところへ、いきなりイエネコのサイズの超小型が出てきたのは、恐竜の進化を考えるとかなり興味深いことのようです。

 というのは、7500万年前(白亜紀後期)のものと考えられるこの超小型恐竜から現代の鳥類が進化してきたのではないかと考えられているそうで、中国から掘り出されたこのミニ恐竜の子孫と考えられるものでは、翼(それも今のトリと同じように2枚のものだけではなく、後肢も羽になっている4枚翼のものもいました)を持っています。

 空を自由に飛ぶためには、小型化することが必要だったでしょうから、超小型の恐竜が鳥類へと進化したというストーリーは納得しやすいものです。

 ほかの部分の骨も発見されて復元図が描かれるのがとても楽しみですが、残念ながら小さな動物の骨はなかなか見つからないのだそうで、なんとか見つかって欲しいものだと思います。
by stochinai | 2009-03-17 21:27 | 生物学 | Comments(0)

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