5号館を出て

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事故が多発するJR北海道

 12日は国公立大学の2次試験後期日程の日でした。そして、JR北海道でまた事故がありました。新得駅で貨物列車が停止信号を無視して暴走したのです。

 奇しくも、大学入試の前期日程の2月25日にも、北広島市のJR北広島-上野幌駅間で貨物列車の機関車が立ち往生して、千歳線が朝から一時不通になり、当日行われた北大や札幌医大の入試の開始が1時間半から2時間遅れるという大事件が起きています。

 ここのところ不気味にJRの事故が多くなっている気がします。今のところ幸い、ケガ人が出るような事故は起こっておりませんが、いつ人身事故が起こっても不思議がない状況であることはJRでも認識しているようです。

 先日、高知県で運転士が死亡する特急列車の暴走事故がありました。JR北海道では、今年になってからもはや12件の事故が起きており、昨年1年で起こった事故件数の10件を越えているとのことです。

 私には、これらの事故の根底に何かしらの共通する原因があるのではないかと思われてなりません。

 さまざまな安全装置が付けられているので、場合によっては人が居眠りしても安全に走行できるようになっているとさえ言われている航空機でさえ、2-3名の乗員がコックピットに入っています。

 一方、ATSやATCという装置がついているとは言え、無人での走行ができるほどには自動化していないJRや民間の鉄道はどうなのでしょう。運転席にいるのは運転士が1人なのではないでしょうか。

 JR北海道貨物の支社長は「現場の社員一人ひとりにまだまだ安全意識が浸透していないからではないか」と話しているそうですが、逆ではないでしょうか。安全意識が徹底して守られていた時代から、それを守ることができないくらい社員が酷使されたり、志気が低下してきているということの方がありそうな話だと思いました。

 今後も事故が続きそうだと思われるのは、これらの異常に多発している事故に対する対策が「支社幹部が社員と安全について直接対話」することや、「関連会社へ指導を徹底」するなどという1円のお金もかからない精神主義だというところからです。

 事故が起こっているのに、具体的にものを動かす対応をとらずに「がんばりましょう」とかけ声をかけるだけで何とかなると思っている人は、自分が猛烈に睡魔に襲われた時に精神力だけでどのくらい抵抗できるか考えてみたら良いと思います。意識の力だけで睡魔と闘うことがいかに無力かということは、水で顔を洗うあるいは水を浴びるという実力行使をしてみたらすぐにわかることです。

 JRの事故に関しても、運転士1人1人に注意を喚起するということではなく、運転中に彼らの注意を喚起できる外部からの刺激(理想的には2名体制でしょうが)を与えることを考えるべきだと思います。

 経費を節減しているつもりでも、実際に事故が起こってしまうと、支払いきれない損害が生じることをそろそろ思い出しておきましょう。大事故が起こってからでは遅すぎます。

 歴史から学ぶということは、そういうことだと思います。

 追記:北海道のJRにはJR北海道とJR北海道貨物という二つの会社があるらしいです。でも、事故が多くなっているという点については、同じような傾向がありそうです。
Commented by 北海道大好き at 2005-05-05 03:26 x
これ、タイトルを直すべきだと思う。
この事故に関してはJR北海道は100%悪くは無い。
むしろ、ダイヤを乱された被害者だ。

悪いのはJR貨物だ。訂正してもらいたい。
Commented by stochinai at 2005-05-05 16:28
 北海道大好きさん、こめんとありがとうございます。私も北海道大好きです。実はJRも好きです。
 追記にも書いてあるように、私も最初はJR北海道とJR北海道貨物が別の会社とは知りませんでした。でも、同じ線路を走っている以上、どちらが事故を起こしたとしても両方の責任は免れないと思います。
 このエントリーはすでにあちこちのブログとつながっていることもあることと、たとえ不正確でも私の責任を残すという意味でもこのままにさせていただきます。ご理解いただけると幸いです。
Commented by 北海道大好き at 2005-05-05 22:56 x
stochinaiさん、返信ありがとう。
僕は鉄道マニア、そして日本国憲法を敬愛するものという立場で
も書いています。でも、事実誤認に基づくコメントだけは護憲の立場からもおかしいと思う。

>追記にも書いてあるように、私も最初はJR北海道とJR北海道貨物が
>別の会社とは知りませんでした。

「JR北海道」は存在しますが、「JR北海道貨物」という会社は存在しません。正しくは、「JR貨物北海道支社」です。
もとは確かに日本国有鉄道ですが、「JR北海道」「JR貨物」
は資本関係はありません。(親会社・子会社ではありません。)
「JR北海道」は「JR貨物」から「貨物輸送をするから線路を貸してほしい、
ついては線路使用料金は○○円を定められた期日に払います。また運転者はJR貨物北海道支社の○●△▼であり、運転にあたっては御社の規程を守ることを誓います」という契約を結んでいるのです。

この事故の場合、明らかに「JR貨物・北海道支社」運転士の責任事故です。
したがって、あなたの説はおかしいではないでしょうか。
Commented by stochinai at 2005-05-06 00:34
 おっしゃるように、上記のいくつかの事故は「JR貨物・北海道支社」が責任を負うべきものだというお説はわかりましたし、異論はありません。
 しかし、北海道大好きさんのご説明をお借りするならば、JR北海道がJR貨物北海道支社にレールを貸しているのだとするならば、そこで事故が起こって乗客に被害が生じた場合には、貸した側としての責任は免れないと思います。よって、こういう契約が結ばれている場合には、JR貨物が起こした事故に関しては、JR貨物に線路を貸しているJR北海道にもあるということになると思います。それが嫌なら貸すべきではないということになりませんか。
 いずれにしても、JR北海道は所有する線路の上で誰によっても事故が起こらないように注意を払う義務があると思います。
 違いますか。
Commented by 北海道大好き at 2005-05-07 09:47 x
)JR貨物が起こした事故に関しては、JR貨物に線路を貸しているJR北海道にもあるということになると思います。

ここまでに関しては大筋で異論ありません。一般の旅客から見たらそう映るでしょう。
)それが嫌なら貸すべきではないということになりませんか。 いずれに
)しても、JR北海道は所有する線路の上で誰によっても事故が起こらな
)いように注意を払う義務があると思います。

けれどもここから異議アリ!です。stochinaiさんは、事故が起きないことが、可能だと思い込んでいませんか?鉄道というのは残念ながら事故がつき物です。
あの日比谷線事故は、わずか走行速度12-13km/hで、ほかの同型車両が何年も事故をしていないのにほんの何億分の一という確率で「せりあがり脱線」を起こして死亡事故になっているのです。

事故ゼロに近づける努力はすべきですが、絶対ゼロということは到底考えられません。また、運転士の二人乗務ということも書かれていますが、
二人乗務が当たり前だった昭和50年以前、どれくらい尼崎並みとはい
かなくても脱線転覆事故が起きているかを調べると、二人乗務が解決策にならないことは歴史が証明しています。
Commented by stochinai at 2005-05-07 12:43
 北海道大好きさん、根気強く議論におつきあいくださり、ありがとうございます。
 鉄道のことにとてもお詳しいので勉強になります。いろいろと教えていただけて、感謝しています。そもそも私はJR大好き人間で、飛行機よりも実質的運賃が高くなった以降でも、札幌から水俣までJRを乗り継いで行ったこともあります。今は、時間と運賃の関係でJRによる出張は道内以外は基本的に認めてもらえなくなりましたので、あまり乗らなくなりましたが、あのゴトゴト揺られる感覚はやっぱり好きです。

(続く)
Commented by stochinai at 2005-05-07 12:43
 余談はさておき、さすがに能天気な私ですが、事故をゼロにすることが可能だとは思っておりません。たとえ今回の事故の原因がつきとめられたとして、それに対する対策が取られても将来の事故がゼロになるとも、とうてい思えません。

 しかし、「アナログとデジタル(誘因と事故)」http://shinka3.exblog.jp/1610492/でも書いたように、無数にある原因をひとつでも減らすように不断の努力を続けることが、事故を減らしあるいは起こったとして被害を最小限に食い止めるために必要という点については、北海道大好きさんと意見に相違はないと思います。

 二人運転士体制になっても事故がゼロになるとは思えませんが、二人乗務をさせて自分たちをいたわってくれる会社に対する感謝の気持ちとか、心のゆとりとかが生じることで、緊急時には一人の時よりは適切な対処ができるという気がするのは、コストパフォーマンスから見ても戯言にすぎないと一蹴されてしまう意見なのでしょうか。
Commented by 北海道大好き at 2005-05-08 21:56 x
stochinaiさま、こちらこそ、何かイチャモンをつけているをつけているような書き方で申し訳ありません。
正直、最初は「JR北海道に事故原因がないのに、このタイトルは・・・」という感情からこんな書き方をしてしまいました。私は東京在住で札幌まで北斗星の往復利用をしたことがあるくらい鉄道好きです。
もっといえば、鉄道員を職業にしたかったくらいです。

御説の「アナログとデジタル(誘因と事故)」、すみません、これ読んでいませんでした。

わたしも似たようなことを思いましたし、「絶対に事故が起きない」という思考は持たれていないようなので、
>stochinaiさんは、事故が起きないことが、可能だと思い込んでいませんか?
については、撤回いたします。
Commented by 北海道大好き at 2005-05-08 22:18 x
運転士の二人乗務については、蒸気機関車の運転体制からきています。一人はカマ焚き、ひとりは本来の運転(加減速・停車)という作業があったところから二人が原則であったようです。(夜間や過密線の場合、信号注視の助士が乗っていた場合もあったようです)
ところが、カマ焚き作業がない、気動車・電車においては一人で十分だという論理から、旧国鉄の助士廃止(原則)という事案が紆余曲折あったものの現在に至っています。

心のゆとりは出来るかも知れませんが、逆に「隙、気の緩み」も生まれるかもしれませんし、気が合わない人と組む場合だと「不要な緊張感」をも、生むこともあったようです。
詳しくはこちらもご参考に。↓

事故の鉄道史―疑問への挑戦事故の鉄道史 佐々木 冨泰 (著), 網谷 りょういち (著)
鉄道重大事故の歴史 久保田 博 (著)
なぜ起こる鉄道事故 山之内 秀一郎 (著)

Commented by stochinai at 2005-05-09 00:18
 北海道大好きさん
 
>鉄道員を職業にしたかったくらいです。
 これを読んですべて理解できたように思います。

 私は大学院学生の頃から、つい最近になって事務に禁止されるようになるまでずっと交通手段は鉄道と決めていました。禁止の理由は、遅くて高いからです。

 昔は、東京に出るまでに、室蘭本線・青函連絡船・東北本線・常磐線と乗り継いで1日がかりだったものが、青函トンネルができて乗り換えなしで行けるようになって、すごく(?)楽になり、毎年何回も北斗星に乗ったものでした。もちろん、大阪よりも向こうへ行く時には、トワイライト・エクスプレスです。何時間かかろうが、少しくらい値段が高かろうが文句なく「旅を楽しめた」ものです。出張は旅を楽しむものではないので、禁止されても文句は言えません。

 私が小さい頃の北海道はSLが基本でしたから、機関車には二人いなければ走らないものだと思っていました。カマ焚きがいらなくなったから一人で良いという議論はわからないではないですが、何百人もの乗客を乗せて走る列車としては心細いと感じています。
Commented by stochinai at 2005-05-09 00:19
 北海道は国鉄で作られたようなところがありまして、子どもの頃は田舎へ行くと村そのものが鉄道と深く結びついていて、移動手段としてよりも鉄道があるというそのことが村の存在を支えているところがたくさんあったように記憶しています。鉄道の機関士や運転手が子ども達の夢だった時代もありました。

 それがいつの間にか赤字の根源とかいうことにされて分割・民営化されて今日に至っているわけですが、無謀な政治路線の整理や経営のスリム化の努力をさほどしないうちに、汚職隠しのどさくさで国鉄が壊されてしまったというのが私の持っている印象です。畑の中にある新幹線の駅などを見ると、どうしてそんなことをした政治家が牢屋に入れられないのか今でも不思議でなりません。

 今回の事故の遠因のひとつは、その時の処理の失敗にもあるのだろうと思いますが、政府がそのことについてどのくらい深刻に考るだろうかと考えると、やっぱり個々の会社の責任と言うことで終わってしまいそうな気がします。
by stochinai | 2005-03-14 21:33 | つぶやき | Comments(11)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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