2009年 03月 28日
猫舌はがんになりにくい?
ScienceDailyのScience Newsに非常に熱いお茶を飲むと喉のがんになりやすくなるという記事が載っていました。
Drinking Very Hot Tea Can Increase The Risk Of Throat Cancer ScienceDaily (Mar. 28, 2009)
本文を読むとdrinking very hot tea (70°C or more) can increase the risk of cancer of the oesophagusと書いてあります。70℃以上の熱いお茶を飲むと食道がんになるリスクが高まるという意味ですから、喉のがんといっても食道がんということです。
もとの論文はBritish Medical Journalに載ったもので、ウェブでオープンアクセスになっています。
熱過ぎるお茶で「咽喉がん」になる可能性=研究
ロイターのもとニュースが見つかりませんでしたが、一番上の解説記事と同じように原稿には「喉のがん」と書いてあったものを「咽頭がん」としてしまったのではないかと思われます。残念ながら、これでは誤報になってしまいます。
それはさておき、先日もアルコールを飲んで顔が赤くなる人は食道がんになりやすいという論文をご紹介しました(「お酒を飲んで赤くなる人は週に缶ビール11本までで我慢」)が、今回の論文では熱いお茶を大量に飲む人も食道がんになりやすいということを示しています。食道は食べ物・飲み物の入り口ですから、大変です。
イランの北部に食道がんの発生率が以上に高い地域があるのだそうで、そこを中心に疫学的な調査をした結果です。
食道の扁平上皮がんと診断された300人の人と、近隣の571人の対照群を中心にケースコントロール研究(疫学的研究?)を行い、48582というたくさんの人に対してコーホート分析(集団分析?)を行い、統計解析したということのようです。
当地は乾燥地帯ということで、ほとんどすべての人がお茶(ブラックティー)を毎日1リットル以上飲んでいることがわかりました。そのうち、39.0%が60℃以下のぬるめのお茶を飲み、38.9%が60-64°Cの、そして22.0%の人が65°C以上の熱いお茶を飲んでいるという結果でした。アルコールやタバコの週間も調べたそうですが、特に相関はなかった一方、ケースコントロール研究の結果からぬるいお茶を飲む人の食道がん発生率を1とすると、熱いお茶を飲む人は2.07倍、とても熱いお茶を飲む人は8.16倍もがんの発生が高まったということです。
同じように、お茶を入れてから4分以上たって飲む人の発がん率を1とすると、2-3分後に飲む人は2.49倍、2分以内に飲む人は5.41倍の発がん率になっていました。
おもしろいことに、この論文にはビデオによる解説がついています。

私が子どもの頃には、熱いみそ汁が胃がんの原因になるとおどされたことがありますが、みそ汁の中に含まれる塩の量と胃がんの関係はWHOで認めているところですので、熱いみそ汁は実は食道がんの誘発因子になるということなのかもしれません。
猫舌の人は、熱いお茶も熱いみそ汁も飲めないでしょうから、そういう意味ではがんのリスクを下げる性質だということでしょうか。
Drinking Very Hot Tea Can Increase The Risk Of Throat Cancer ScienceDaily (Mar. 28, 2009)
本文を読むとdrinking very hot tea (70°C or more) can increase the risk of cancer of the oesophagusと書いてあります。70℃以上の熱いお茶を飲むと食道がんになるリスクが高まるという意味ですから、喉のがんといっても食道がんということです。
もとの論文はBritish Medical Journalに載ったもので、ウェブでオープンアクセスになっています。
Published 26 March 2009, doi:10.1136/bmj.b929このニュースはロイターでも配信されており、日本語で読むこともできます。
Cite this as: BMJ 2009;338:b929
Research
Tea drinking habits and oesophageal cancer in a high risk area in northern Iran: population based case-control study
熱過ぎるお茶で「咽喉がん」になる可能性=研究
ロイターのもとニュースが見つかりませんでしたが、一番上の解説記事と同じように原稿には「喉のがん」と書いてあったものを「咽頭がん」としてしまったのではないかと思われます。残念ながら、これでは誤報になってしまいます。
それはさておき、先日もアルコールを飲んで顔が赤くなる人は食道がんになりやすいという論文をご紹介しました(「お酒を飲んで赤くなる人は週に缶ビール11本までで我慢」)が、今回の論文では熱いお茶を大量に飲む人も食道がんになりやすいということを示しています。食道は食べ物・飲み物の入り口ですから、大変です。
イランの北部に食道がんの発生率が以上に高い地域があるのだそうで、そこを中心に疫学的な調査をした結果です。
食道の扁平上皮がんと診断された300人の人と、近隣の571人の対照群を中心にケースコントロール研究(疫学的研究?)を行い、48582というたくさんの人に対してコーホート分析(集団分析?)を行い、統計解析したということのようです。
当地は乾燥地帯ということで、ほとんどすべての人がお茶(ブラックティー)を毎日1リットル以上飲んでいることがわかりました。そのうち、39.0%が60℃以下のぬるめのお茶を飲み、38.9%が60-64°Cの、そして22.0%の人が65°C以上の熱いお茶を飲んでいるという結果でした。アルコールやタバコの週間も調べたそうですが、特に相関はなかった一方、ケースコントロール研究の結果からぬるいお茶を飲む人の食道がん発生率を1とすると、熱いお茶を飲む人は2.07倍、とても熱いお茶を飲む人は8.16倍もがんの発生が高まったということです。
同じように、お茶を入れてから4分以上たって飲む人の発がん率を1とすると、2-3分後に飲む人は2.49倍、2分以内に飲む人は5.41倍の発がん率になっていました。
おもしろいことに、この論文にはビデオによる解説がついています。

猫舌の人は、熱いお茶も熱いみそ汁も飲めないでしょうから、そういう意味ではがんのリスクを下げる性質だということでしょうか。

子供の頃、テレビでラーメンを勢い良くすする場面を見て、ぁあ、これは嘘だな。撮影セットのだからもう冷めちゃっているんだね、などと思ったものですが、京都に住んで、初めてラーメンを食べた時に諒解しました。アレは本当だったんです。ずずずーと食べられるのです。何が云いたいかと云うと、北海道のラーメンは熱くて、あんなに勢い良くずずずーっとは食べられません(少なくとも私には)。こんな熱いラーメンを食べている道産子は、疫学的に、食道がんに罹り易いんでしょうか?ちょっと(だけ)、気になりました。
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北海道のラーメンは、汁の表面がたっぷりの油で蓋をされている状態なので、なかなか冷めないとも聞きます。舌や口の天井(口蓋)を火傷しながら食べるというのはやはり危険なことのようですよ。
by stochinai
| 2009-03-28 18:09
| 医療・健康
|
Comments(2)